JP2001015146A - 電 池 - Google Patents
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Abstract
イオンの樹枝状析出を抑制し、充放電サイクル寿命特性
に優れた非水電解質二次電池を提供する。 【解決手段】 長尺状の集電体に合剤を塗布した正、負
極板を備え、正極板はその幅方向の断面において上下端
部の合剤量が中央部の合剤量より大きくなっており、負
極板はその幅方向の断面において上下端部の合剤量が中
央部の合剤量より小さくする。
Description
レータを巻回した電極体を用いた電池に関するものであ
る。
機器の小型軽量化、コードレス化が急速に進んでおり、
これらの駆動用電源として高エネルギー密度を有する二
次電池が要求されている。この中でリチウムを活物質と
する非水電解質二次電池はとりわけ高電圧、高エネルギ
ー密度を有する電池として期待が大きい。従来、この電
池には負極に金属リチウム、正極に二硫化モリブデン、
二酸化マンガン、五酸化バナジウムなどが用いられ、3
V級の電池が実現されていた。
合、充電時に樹枝状(デンドライト状)リチウムの析出
が起こり、充放電の繰り返しとともに極板上に堆積した
樹枝状リチウムが、極板から分離して電解液中を浮遊
し、正極と接触して微少短絡を起こし、充放電効率が1
00%未満となり、サイクル寿命が短くなるという問題
があった。また、樹枝状リチウムは表面積が大きく、反
応性が高いため、安全性の点でも問題があった。
正極にLiCoO2やLiNiO2、LiMn2O4等のリ
チウムに対して4V級の電圧を示すリチウム含有遷移金
属酸化物、負極に炭素材を用いたリチウムイオン二次電
池が研究の中心となり、一部商品化されている。この電
池では負極においてリチウムは炭素中にイオンとして吸
蔵された状態で存在するため、従来の負極に金属リチウ
ムを用いた場合のような問題がなく、非常に安全である
とされている。
機溶媒を用いるため、イオン伝導度が水溶液系のアルカ
リ蓄電池などに比べて小さく、大電流放電を行うために
は電極面積を大きくする必要がある。よって、リチウム
イオン二次電池に用いられる電極群の形状としては、正
極、負極およびセパレータを渦巻状に巻回した形状が一
般的に用いられている。
群では、正極板、負極板ともに外周面では引っ張り、内
周面では圧縮の力がかかる。そのため、極板外周部は引
き延ばされ単位面積当たりの塗布量が減少する。逆に極
板内周部は縮められ単位面積当たりの塗布量が増大す
る。そこで、通常外周面の塗布量を内周面よりも多くす
る方法が採られている。しかし、上記対策のみでは渦巻
状に巻回した電極群において渦巻の曲率の違いから、電
極群中心部から外周にかけて電気容量比を適正にするこ
とができず、部分的に樹枝状リチウムの析出が起こり、
充放電サイクル特性や安全性が低下した。このため、電
極材料の塗布量を渦巻の中心部から外周にいたるまで変
化させる、すなわち、極板長さ方向において渦巻の曲率
に応じて最適な電気容量比を得ることができるようにす
る方法が特開平9−180704号公報、特開平9−1
99177号公報に提案されている。
電池に用いられる非水電解液は温度上昇にともなってイ
オン伝導度が大きくなるが、渦巻状極板群を用いた場
合、極板の上下端部から内側へ進むにしたがって放熱性
が低下し、幅方向断面の中央部分において電解液のイオ
ン伝導度が高くなり、充電時に負極板の幅方向の断面中
央部に過剰のリチウムイオンが供給され、負極板表面に
樹枝状リチウムとして析出し、電池の充放電サイクル寿
命特性が低下していた。つまり、極板群の蓄熱性による
負極板の幅方向中央部の表面における樹枝状リチウムの
析出に関しては、特開平9−180704号公報、特開
平9−199177号公報のように極板の長さ方向で合
剤量を変化させるより、むしろ極板の幅方向において合
剤量を変化させる事がより重要である。
であり、負極板の幅方向の断面中央部分におけるリチウ
ムイオンの析出を防ぎ、充放電サイクル寿命特性の優れ
た非水電解質二次電池を提供するものである。
層を塗布した長尺状の正、負極板を用い、これらの極板
間にセパレータを介して渦巻状に巻回した極板群を備え
ており、前記正極板は幅方向断面に関して少なくともひ
とつの面に塗布された上下端部の合剤量が中央部の合剤
量より大きく、負極板は幅方向断面に関して少なくとも
ひとつの面に塗布された上下端部の合剤量が中央部の合
剤量より小さいものである。もしくは、前記正極板はそ
の幅方向の断面に関して上下端部の集電体の厚さが中央
部の厚さより小さく、負極板はその幅方向の断面に関し
て上下端部の集電体の厚さが中央部の厚さより大きいも
のである。
合剤量を少なくし、負極板の幅方向断面中央部の合剤量
を多くすることによって、負極板の幅方向断面中央部の
周囲に存在する過剰なリチウムイオンを充分に吸収する
ことができ、負極板上にリチウムイオンが樹枝状に析出
することを防止し、充放電サイクル寿命特性の優れた非
水電解質二次電池を提供することができる。
下端部の合剤量が中央部の合剤量より大きい正極板、お
よび幅方向断面に関して上下端部の合剤量が中央部の合
剤量より小さい負極板を用いるものである。塗布された
合剤量は図1に示すように連続的に変化することが望ま
しいが、図2に示すように断続的に変化する場合におい
ても本発明の効果を有することができる。正、負極板の
合剤量の塗布量を変化させる方法に制限はないが、合剤
1を極板の長さ方向に塗布する場合、ダイコーターの吐
出口およびブレードコーターのクリアランス形状を図1
および2の形状に合わせて塗布する方法が好ましく、ま
た合剤を極板の幅方向に塗布する場合、ダイコーターの
合剤ペースト供給量を変化させる、もしくはブレードコ
ーターのクリアランスを変化させることにより極板合剤
量の塗布量を変化させることが望ましい。さらに、図3
に示すように複数回にわたって合剤量を塗布する方法も
有効である。
に塗布された上下端部の合剤量が中央部の合剤量より大
きい正極板、および幅方向断面に関して少なくともひと
つの面に塗布された上下端部の合剤量が中央部の合剤量
より小さい負極板を作製する方法としては、前記のよう
に合剤塗布量を変化させる以外に、正極板はその幅方向
の断面に関して上下端部の厚さが中央部の厚さより小さ
く、負極板はその幅方向の断面に関して上下端部の厚さ
が中央部の厚さより大きい集電体を用いることも有効な
手段である。この場合においても、集電体2の厚さは図
4に示すように連続的に変化することが望ましいが、図
5に示すように断続的に変化する場合においても本発明
の効果を有することができる。集電体の厚さを変化させ
る方法に制限はないが、常温もしくは加温状態における
圧延を施し、その強度によって集電体の厚みを制御する
方法が好ましい。このような芯材を用いた場合、合剤塗
布の手段としては、前記のように様々であるが、クリア
ランスを一定にしたブレードコーターで塗布する方法が
単純でかつ有効な手段である。
説明する。
二次電池(直径17mm、総高50mm)の縦断面図を
示す。セパレータ3を介して、帯状正極板4と負極板5
を複数回渦巻状に巻回して極板群が構成される。正極板
4と負極板5にはそれぞれアルミニウム製正極リード板
6およびニッケル製負極リード板7を溶接している。極
板群とケース底面の間にポリエチレン樹脂製底部絶縁板
8を装着し、ニッケルメッキした鉄製電池ケース9内に
収容し、負極リード板7の他端を電池ケース9の内低面
にスポット溶接する。極板群上面にポリエチレン樹脂製
上部絶縁板10を載置してから電池ケース9の開口部の
所定位置に溝入れし、所定量の非水電解質を注入含浸さ
せる。ポリプロピレン樹脂製ガスケット11を周縁部に
装着させたステンレス鋼製の封口板12の下面に正極リ
ード板6の他端をスポット溶接した後、電池ケース9の
開口部にガスケット11を介して封口板12装着し、電
池ケース9の上縁部をかしめ封口し、電池が完成する。
を混合し、900℃で10時間焼成して合成したLiC
oO2100重量部に導電材としてアセチレンブラック
3重量部、結着剤としてポリ四フッ化エチレン7重量部
を混合し、LiCoO2に対し1%カルボキシメチルセ
ルロ−ス水溶液100重量部に加え、撹拌混合しペース
ト状の正極合剤を得た。そして、厚さ30μmのアルミ
ニウム箔を集電体とし、その両面に合剤塗布量を集電体
両面ともにその幅方向について上下端部の単位面積当た
りの合剤塗布量を265g/m2とし、中央部の単位面
積当たりの合剤塗布量を275g/m2として直線的に
変化するように前記ペースト状正極合剤を塗布し、乾燥
後圧延ローラーを用いて圧延を行い、所定寸法に裁断し
て正極板とした。
ず、平均粒径が約20μmになるように粉砕、分級した
鱗片状黒鉛と結着剤のスチレン/ブタジエンゴム3重量
部を混合した後、黒鉛に対し1%カルボキシメチルセル
ロ−ス水溶液100重量部に加え、撹拌混合しペ−スト
状負極合剤とした。厚さ20μmの銅箔を集電体とし、
合剤塗布量が集電体両面ともにその幅方向について上下
端部の単位面積当たりの合剤塗布量を90g/m2と
し、中央部の単位面積当たりの合剤塗布量を100g/
m2として直線的に変化するようにペースト状の負極合
剤を塗布し、乾燥後圧延ローラーを用いて圧延を行い、
所定寸法に裁断して負極板とした。
極、負極を厚さ25μmの微多孔性ポリエチレン樹脂製
セパレータを介して渦巻状に巻回し、非水電解液にはエ
チレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを
1:3の体積比で混合した溶媒に1.5モル/リットル
の濃度になるようにLiPF6を溶解したものを用い、
これを注液した後密封口した。これを本発明の電池1と
した。
mのアルミニウム箔を幅方向中央部を固定し、そして幅
方向両端部を幅方向に圧力をあげながら延伸し、両端部
の厚さの厚い部分を切断することにより中央部30μ
m、両端部22μmの集電体を得た。この集電体にブレ
ードコーターを用いてクリアランスを一定にしてその両
面にペースト状正極合剤を塗布した。このとき上下端部
の単位面積当たりの合剤塗布量は262g/m2とし、
中央部の単位面積当たりの合剤塗布量を274g/m2
であった。また、負極集電体として厚さ20μmの銅箔
を幅方向両端部を固定し、幅方向に圧力をあげながら延
伸することにより中央部15μm、両端部20μmの集
電体を得た。この集電体にブレードコーターを用いてク
リアランスを一定にしてその両面にペースト状負極合剤
を塗布した。このとき上下端部の単位面積当たりの合剤
塗布量は92g/m2とし、中央部の単位面積当たりの
合剤塗布量は101g/m2であった。上記以外は(実
施例1)と同様の電池を作製した。これを本発明の電池
2した。
量が両面ともに270g/m2となるように正極合剤ペ
ーストを塗布した正極、単位面積当たりの負極合剤塗布
量が両面ともに95g/m2となるように負極合剤ペー
ストを塗布した負極を用いた以外は(実施例1)と同様
の電池を作製した。これを比較の電池とした。
池を各7セルずつ用意して、環境温度20℃で、上限電
圧を4.2Vに設定して、最大電流500mAで2時間
定電流・定電圧充電を行った。放電はこの充電状態の電
池を放電電流720mA、放電終止電位3.0Vの定電
流放電を行った。そして、100サイクル経過後の容量
維持率を確認した後、その内の電池2セルを分解し、7
LiNMRによる負極表面上のリチウムの検出を行っ
た。また、初期容量の半分の容量に低下した時点のサイ
クル数をサイクル寿命とした。この時の容量維持率、サ
イクル寿命の5セルの平均値およびリチウム析出有無を
(表1)に示す。
容量維持率は比較の電池が82%に対して、本発明の電
池1は94%、本発明の電池2は93%と著しく増大し
た。このとき、比較の電池では負極板の幅方向断面中央
部に金属リチウムの析出が認められたのに対し、本発明
の電池1および2では金属リチウムの析出は認められな
かった。比較の電池のように、負極板の幅方向断面中央
部にリチウム析出が起こるとその部分は充電できず、そ
のためリチウムの析出していない部分の電流密度が増大
し、その部分に過剰のリチウムが供給され新たなリチウ
ム析出を引き起こしサイクル寿命特性が低下する。(表
1)よりサイクル寿命は比較の電池では320サイクル
であるのに対し、本発明の電池1では730サイクル、
本発明の電池2では690サイクルと著しく増大した。
合剤重量変化を直線的に変化させた場合について示した
が、合剤重量を断続的に変化させた場合においても本発
明の範囲で同様の効果が得られた。
向断面に関して少なくともひとつの面に塗布された上下
端部の合剤量が中央部の合剤量より大きく、負極板は幅
方向断面に関して少なくともひとつの面に塗布された上
下端部の合剤量が中央部の合剤量より小さい、もしくは
正極板はその幅方向の断面に関して上下端部の集電体の
厚さが中央部の厚さより小さく、負極板はその幅方向の
断面に関して上下端部の集電体の厚さが中央部の厚さよ
り大きいことを特徴としており、このような正、負極板
を用いて電池を構成することにより、負極板の幅方向断
面中央部の周囲に存在する過剰なリチウムイオンを充分
に吸収することができ、負極板上にリチウムイオンが樹
枝状に析出することを防止し、充放電サイクル寿命特性
の優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
二次電池(直径17mm、総高50mm)の縦断面図
Claims (8)
- 【請求項1】 長尺状の集電体上に合剤層を塗布した長
尺状の正極板と負極板をセパレータを介して渦巻状に巻
回した極板群を備えた電池において、正極板はその幅方
向の断面において少なくともひとつの面に塗布された上
下端部の合剤量が中央部の合剤量より大きく、負極板は
その幅方向の断面において少なくともひとつの面に塗布
された上下端部の合剤量が中央部の合剤量より小さい電
池。 - 【請求項2】 長尺状の集電体上に合剤層を塗布した長
尺上の正極板と負極板をセパレータを介して渦巻状に巻
回した極板群を備えた電池において、正極板はその幅方
向の断面において上下端部の集電体の厚さが中央部の厚
さより小さく、また負極板はその幅方向の断面において
上下端部の集電体の厚さが中央部の厚さより大きい電
池。 - 【請求項3】 少なくともひとつの面に塗布された合剤
量が、極板の幅方向の断面において連続的に変化する請
求項1に記載の電池。 - 【請求項4】 少なくともひとつの面に塗布された合剤
量が、極板の幅方向の断面において断続的に変化する請
求項1に記載の電池。 - 【請求項5】 少なくともいずれか一方の極板の集電体
の厚さが極板の幅方向の断面において連続的に変化する
請求項2に記載の電池。 - 【請求項6】 少なくともいずれか一方の極板の集電体
の厚さが極板の幅方向の断面において断続的に変化する
請求項2に記載の電池。 - 【請求項7】 正極の合剤の主材料がリチウム含有遷移
金属酸化物である請求項1および2に記載の電池。 - 【請求項8】 負極の合剤の主材料が炭素材である請求
項1および2に記載の電池。
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