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JP2000316677A - クッション体とその製造方法および製造装置 - Google Patents

クッション体とその製造方法および製造装置

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Publication number
JP2000316677A
JP2000316677A JP11127157A JP12715799A JP2000316677A JP 2000316677 A JP2000316677 A JP 2000316677A JP 11127157 A JP11127157 A JP 11127157A JP 12715799 A JP12715799 A JP 12715799A JP 2000316677 A JP2000316677 A JP 2000316677A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cushion body
net
loop
cut
continuous linear
Prior art date
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Pending
Application number
JP11127157A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Minegishi
健 峰岸
Takashi Ebihara
隆 海老原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NHK Spring Co Ltd
Original Assignee
NHK Spring Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by NHK Spring Co Ltd filed Critical NHK Spring Co Ltd
Priority to JP11127157A priority Critical patent/JP2000316677A/ja
Publication of JP2000316677A publication Critical patent/JP2000316677A/ja
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  • Mattresses And Other Support Structures For Chairs And Beds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で製造の容易な3次元ランダムループ網
状構造体からなるクッション体を提供する。 【解決手段】 このクッション体1は、立体的な3次元
ランダムループ網状構造体3によって構成されている。
網状構造体3の外側はカバー部材5によって覆われる。
網状構造体3は、熱可塑性樹脂からなる繊度300〜1
00000デニールの多数の連続線状体2を各々ループ
状に曲がりくねらせかつ互いの接触部を融着させた見掛
け密度が0.005〜0.2g/cm3 のものである。
網状構造体3をヒータ線等によって所望の立体形状に切
断することにより、熱プレスによらずに無圧縮もしくは
部分圧縮状態で所望のクッション体製品形状に成形され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両や船舶,航空
機等の乗り物に装備される座席、あるいはソファやベッ
ド等の家具類などに好適なクッション体とその製造方法
および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば車両の座席等に使われるクッショ
ン体として、従来よりウレタンフォーム等の合成樹脂発
泡体が多く用いられてきたが、通気性を良くするため、
あるいは再溶融によるリサイクル使用の観点から、例え
ば米国特許明細書(USP)第5,639,543号明
細書に開示されているような熱可塑性樹脂を用いた立体
網目構造のクッション体も提案されている。
【0003】前記網目構造のクッション体は、溶融した
熱可塑性樹脂を多数のノズルから吐出させることによっ
て得られる多数本の連続ファイバを、左右一対の平坦な
コンベア間を通しながら冷却槽に導くことにより、連続
ファイバをループ状に曲がりくねらせかつ各々のループ
の互いの接触部を融着させることにより直方体形状のク
ッション体(網状ブロック)を得ている。
【0004】そしてこの網状ブロックを所望のクッショ
ン体形状にするために、従来はパンチングメタル等のよ
うに多数の孔が形成された成形用の上型と下型との間に
前記網状ブロックを収容し、熱風を吹き込むなどの加熱
手段によって網状ブロックを体積2分の1程度となるよ
うに圧縮しかつ変形させたのち、冷風によって冷却固化
させて所望の形状(クッション体としての最終製品形
状)を得るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記網状ブロックを熱
プレスにより圧縮成形する場合、網状ブロックのループ
の変形形状や密度が熱プレスによって一定になりにくい
ため、クッション体の密度(重量)と硬さが一定となら
ず、見掛け上の密度も必要以上に大きくなるという問題
がある。
【0006】上記欠点を解消するために、網状ブロック
を互いに大きさの異なる複数のブロック片に切断し、こ
れらブロック片を所望のクッション体製品形状に応じて
並べるブロック工法も考えられる。このブロック工法で
は、各ブロック片の間にホットメルト不織布等の接着材
を挿入し、上型と下型とによって熱プレスすることによ
り熱変形させたのち、冷却固化させて所望形状のクッシ
ョン体を得る。
【0007】しかし、こうしたブロック工法により成形
する場合には多くの工数と作業時間が必要となるため、
コストが高くなる。また、熱プレス用の型に熱を供給す
る際に温度むらが生じると均一なクッション体にならな
いため、熱の供給制御に多くの設備費用を要する等の問
題がある。
【0008】従って本発明の目的は、リサイクルの容易
な立体網目構造体からなる軽量なクッション体を能率良
く製造できるようなクッション体とその製造方法および
製造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述の目的を果たすため
の本発明のクッション体は、熱プレス型を用いずに、ヒ
ータ線やウォータジェットあるいはカッター刃などによ
ってブロック状の3次元ループ網状構造体を切断するこ
とにより、この網状構造体を実質的に無圧縮あるいは部
分圧縮のみで所望形状に成形する。
【0010】すなわち本発明のクッション体は、熱可塑
性樹脂からなる繊度300〜100000デニールの複
数本の連続線状体を各々ループ状に曲がりくねらせかつ
互いの接触部を融着させた見掛け密度が0.005〜
0.2g/cm3 の立体的な網状構造体を有するクッシ
ョン体であって、前記網状構造体を所望のクッション体
製品形状に切断してなるものである。
【0011】この明細書で言う「所望のクッション体製
品形状」とは、例えば車輛のシート用クッションの場合
には、左右両側にいわゆる土手部と称されるサイドサポ
ート部を含む形状、ソファ等の家具類の椅子の場合には
その目的に適した座部や背もたれ形状、ベッド等の寝具
の場合には平面的なマット形状などであり、要するに使
用目的に応じた製品形状を意味する。
【0012】本発明のクッション体は、前記網状構造体
を覆うカバー部材を有し、前記網状構造体の一部(例え
ばシート用クッション体のサイドサポート部)を前記カ
バー部材によって圧縮することも含んでいる。また、前
記網状構造体の切断面表層部のループ切断部をクッショ
ン体表面に沿う方向に変形させることにより、切断面表
層部を平滑化することも含んでいる。
【0013】本発明は、軟化した熱可塑性樹脂を複数の
ノズルから吐出させることによって複数本の連続線状体
を各々ループ状に曲がりくねらせかつ互いの接触部を融
着させて立体的な網状構造体を形成する手段と、前記網
状構造体を冷却する手段と、前記網状構造体をヒータ線
やウォータジェット等の切断機によって所望のクッショ
ン体製品形状に切断する手段とを具備している。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態につい
て、図1から図7を参照して説明する。
【0015】図1に示すクッション体1は、主として熱
可塑性弾性樹脂からなる300デニール以上の連続線状
体2を、ランダムなループ状に曲がりくねらせかつ各々
のループの互いの接触部を融着させた立体的な網状構造
体3からなり、見掛け密度が0.005〜0.20g/
cm3 の範囲にある。このクッション体1は例えば自動
車等の車両用座席(シート)の座部あるいは背もたれに
使用され、着座者の荷重が加わる主部1aと、主部1a
の左右両側に位置する盛り上がった形状のサイドサポー
ト部1bなどを備えている。
【0016】網状構造体3の外側がカバー部材5によっ
て覆われている。カバー部材5は、クッション体1のサ
イドサポート部1bをある程度圧縮した状態で吊り込み
ワイヤ等の引張り部材6を用いてカバーリングされてい
る。また図1に2点鎖線M1で示すように、カバーリン
グ前のサイドサポート部1bの網状構造体3の外形寸法
を、カバーリング後の外形寸法よりも例えば20mm程
度大きくしている。こうすることにより、カバー部材5
によってサイドサポート部1bの網状構造体3が圧縮さ
れ、サイドサポート部1bの見栄えが向上するととも
に、ホールド性が向上する。
【0017】また、図3に2点鎖線M2で示すように、
サイドサポート部1bの着座者側の面7と外側の面8と
が交わる稜線部9のカバーリング前の外形寸法をある程
度大きく形成しておき(例えばH=20mm程度)、こ
の大きめの稜線部9をカバー部材5で覆うことによって
圧縮してもよい。こうすることによってもサイドサポー
ト部1bの見栄えが向上するとともに、ホールド性能が
向上する。
【0018】前記網状構造体3は、見掛け密度が0.0
05g/cm3 未満では反発力が失われるので、クッシ
ョン体として不適当である。見掛け密度が0.2g/c
3を越えると弾発性が強くなり過ぎて座り心地が悪く
なるので、やはりクッション体として不適当となる。よ
り好ましい見掛け密度は、0.01g/cm3 以上、
0.05g/cm3 以下である。
【0019】また、連続線状体2の繊度が300デニー
ル未満では強度が低下し、反発力が低下するので好まし
くない。繊度が100000デニールを越えると、単位
体積当たりの連続線状体2の構成本数が少なくなり、圧
縮特性が悪くなるので好ましくない。すなわちクッショ
ン体として好ましい反発力が得られる300デニール以
上、望ましくは400デニール以上、100000デニ
ール以下であり、より好ましくは、500〜50000
デニールである。
【0020】連続線状体2の材料である熱可塑性弾性樹
脂としては、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド
系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等を適用
できる。ポリエステル系エラストマーは、例えば熱可塑
性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリアルキレ
ンジオールをソフトセグメントとするポリエステルエー
テルブロック共重合体、または脂肪族ポリエステルをソ
フトセグメントとするポリエステルエーテルブロック共
重合体である。ポリアミド系エラストマーは、例えばナ
イロンをハードセグメントとし、ポリエチエングリコー
ルあるいはポリプロピレングリコール等をソフトセグメ
ントとするものなどが例示できる。
【0021】上記熱可塑性弾性樹脂に、熱可塑性の非弾
性樹脂を組合わせてもよい。熱可塑性非弾性樹脂は、例
えばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどであ
る。これら非弾性樹脂と熱可塑性弾性樹脂との組合わせ
は、リサイクル使用の観点から互いに同系の樹脂が望ま
しく、例えば、ポリエステル系エラストマーとポリエス
テル系樹脂との組合わせや、ポリアミド系エラストマー
とポリアミド系樹脂との組合わせ、あるいはポリウレタ
ン系エラストマーとポリウレタン系樹脂との組合わせな
どが推奨される。
【0022】前記クッション体1に用いる網状構造体3
は、図4に概念的に示した網状体製造装置10と、図6
に示す切断機31とを備えたクッション体製造装置によ
って製造される。網状体製造装置10の一例は、押出機
15とノズル部16を備えている。押出機15は、材料
供給口17から投入された熱可塑性弾性樹脂原料を、そ
の融点より10℃ないし80℃高い温度(例えば40℃
高い温度)に加熱しつつ、ノズル部16に向って押出
す。
【0023】上記温度に加熱された熱可塑性弾性樹脂は
ノズル部16から下方に吐出され、線状に連続して途切
れることなく自由落下するようになっている。なお、熱
可塑性弾性樹脂の吐出時の溶融温度をこの樹脂の融点よ
り30℃〜50℃高い温度とすれば、ランダムな三次元
ループを形成しやすく、しかもループどうしの接触部が
互いに融着しやすい状態に保つことができるので好まし
い。
【0024】ノズル部16には、所定広さ(例えば60
cm×5cm)のノズル有効面18があり、このノズル
有効面18に、孔径0.5mm程度の多数のノズル16
aが所定の孔間ピッチ(例えばピッチ:5mm)で設け
られている。押出機15は、ノズル1つ当りの吐出量が
0.5g〜1.5g/分となるように前記熱可塑性弾性
樹脂をノズル16aから吐出するようにしている。ノズ
ル有効面18は、成形すべきクッション体1の横断面形
状に応じた領域のみノズル16aを開口させてもよい。
【0025】ノズル部16の下方には、ノズル部16か
ら例えば50cmほど離れて、この発明でいう冷却手段
として機能する水等の冷却液20の液面20aが位置し
ている。この冷却液20は、例えば70℃前後の温度に
加熱されている。ノズル部16の下方にガイド手段21
が設けられている。ガイド手段21は、網状構造体3の
厚み方向両面3a,3bに対向するように設けた例えば
幅が70cmのステンレス鋼などの金属ネットからなる
一対のエンドレスベルト22,23と、上下のローラ2
4,25などを備えている。ベルト22,23間の互い
の対向面間の距離の一例は14cmである。各ベルト2
2,23の上部は冷却液20の液面20a上に露出して
いる。これらのベルト22,23は、モータ等を駆動源
とする駆動機構によって、ローラ24,25間で連続的
に無端走行するようになっている。
【0026】この網状体製造装置10によって製造され
た3次元ランダムループ網状構造体3は、図6に一例を
示すヒータ線30を備えた切断機31によって所望のク
ッション体製品形状に切断される。切断機31は、網状
構造体3をその長手方向(図6中に矢印Fで示す方向)
に連続的に移動させる送り機構32と、ヒータ線30を
網状構造体3の厚み方向(矢印Tで示す方向)に移動さ
せることの可能なヒータ線移動機構33を備え、ヒータ
線30に電流を流すことによって、網状構造体3を溶断
できる温度までヒータ線30を発熱させるようにしてい
る。
【0027】切断手段としては、前述のヒータ線30を
用いる以外に、例えばウォータジェットによる切断でも
よいし、プレス型による切断、あるいは回転する円板状
の刃(いわゆるバーチカルカッタ)による切断でもかま
わない。
【0028】次に上記クッション体製造装置によってク
ッション体1を製造する工程について説明する。網状体
製造装置10の押出機15に熱可塑弾性樹脂原料を供給
し、樹脂原料の軟化温度よりも40℃程度高い温度に加
熱し軟化させる。そして溶融状態の熱可塑性弾性樹脂原
料をノズル部16の各ノズル16aから吐出させ、ベル
ト22,23の間に自然落下させる。
【0029】溶融した熱可塑性弾性樹脂がベルト22,
23の間に落ちることにより、ノズル16aの数に応じ
た本数の連続線状体2が形成されつつ、ベルト22,2
3の間に挟まれかつ停留することで、曲がりくねりなが
らランダムなループが発生する。すなわちこれらの連続
線状体2は、それぞれ途切れることなく曲がりくねりな
がらも図4中の矢印A方向に連続しつつ、A方向と交差
する方向(例えば矢印B方向)にループを形成する。
【0030】この場合、ノズル16aのピッチをループ
が互いに接触できる寸法にしておくことで、ベルト2
2,23の間でループを互いに接触させ、ループどうし
の接触部を融着させることで立体的な網状構造体3が得
られる。なお、冷却液20の温度をこの網状構造体3の
アニーリング温度(擬似結晶化促進温度)に保持してお
くことで、網状構造体3の擬似結晶化処理を同時に進行
させることができる。
【0031】ループが融着した網状構造体3は、その厚
み方向両面3a,3bが前記ベルト22,23によって
規制されつつ冷却液20に毎分約1mの速度で引き込ま
れ、冷却液20の中で硬化するとともに、各ループの融
着部が固定されることによって、網状構造体3が連続的
に製造される。
【0032】上記網状構造体3を、必要に応じて上記熱
可塑性弾性樹脂の融点よりも10℃以上低い温度で擬似
結晶化処理後、所定の大きさに切断することにより、図
5に示すようなブロック状の網状構造体3を得る。この
網状構造体3は、前記ノズル16aの数に応じた本数の
連続線状体2がそれぞれランダムループを描きながら途
切れることなく連なったものとなっている。
【0033】そして図6に示すような例えばヒータ線3
0を用いた切断機31により、網状構造体3を所望のク
ッション体形状、例えば主部1aとサイドサポート部1
bを有する形状に切断する。この実施形態の場合、例え
ば送り機構32によって網状構造体3を矢印F方向に移
動させつつ、ヒータ線30によって網状構造体3を図7
中に2点鎖線M3で示すように切断する。この切断の際
に、切断すべきクッション体1の外形に応じてヒータ線
30をヒータ線移動機構33によって移動させてもよ
い。
【0034】以上述べた工程により、図2に示すような
所望形状の網状構造体3を得た。この網状構造体3の密
度は0.05g/cm3 、寸法は縦横サイズが500m
m×550mm、厚さ140mm、重量1.31kgで
あり、良好な外観であった。中央部の硬さに関しては、
JIS6400に準拠する圧縮試験において240Nで
あった。この網状構造体3の外側にカバー部材5を被せ
ることにより、クッション体1が完成する。
【0035】図8に示すように、網状構造体3の切断面
表層部3cにおいては、連続線状体2のループ切断部2
aが刺状に立った状態となっているから、そのままの状
態で着座すると、ループ切断部2aが肌を突くことによ
って異物感を生じることがある。このような異物感を解
消するために、図9に示すような仕上げ用の型40を用
いることにより網状構造体3の切断面表層部3cを平滑
化するとよい。
【0036】仕上げ用の型40はクッション体1の最終
製品形状に応じた成形面41を有しており、内蔵された
ヒータ42によって、網状構造体3の切断面表層部3c
を連続線状体2の軟化温度以上(例えば200℃前後)
に加熱するとともに、切断面表層部3cを成形面41に
よって押圧することにより、図10に示すようにループ
切断部2aをクッション体表面に沿う方向に倒し、か
つ、ループ切断部2aを延ばすなどして、切断面表層部
3cを平滑化させる。
【0037】なお、仕上げ用の型40の成形面41の温
度を160℃、網状構造体3と成形面41との接触時間
を30秒とした場合、ループ寸法の変化は2mmで、着
座すると異物感があった。成形面41の温度を160
℃、網状構造体3との接触時間を90秒とした場合、ル
ープ寸法の変化は4mmで、やはり異物感を生じた。
【0038】これに対し、成形面41の温度を200
℃、網状構造体3との接触時間を30秒とした場合、ル
ープ寸法の変化が6mmで異物感が減少した。成形面4
1の温度を200℃、網状構造体3との接触時間を90
秒とした場合、ループ寸法の変化が8mmとなり、異物
感が解消された。
【0039】また、図1に2点鎖線M1で示すように、
大きめに形成されたサイドサポート部1bの網状構造体
3をカバー部材5によって圧縮した場合には、サイドサ
ポート部1bの見栄えが向上するとともに、圧縮荷重
(φ100mm押込み荷重)が23N(ニュートン)程
度向上し、サイドサポート部1bのホールド性が向上し
た。また図3に2点鎖線M2で示すように、大きめに形
成した稜線部9をカバー部材5で覆うことによって圧縮
した場合も、サイドサポート部1bの見栄えが向上する
とともにサポート性能が向上した。
【0040】前記実施形態のクッション体1の網状構造
体3は、主として熱可塑性弾性樹脂からなる300デニ
ール以上の連続線状体2を曲がりくねらせて多数のラン
ダム3次元ループを形成し、各々のループを互いに溶融
状態で接触させ、接触部の大部分を互いに融着させて三
次元的なランダムループからなる立体形状の網状構造体
3を形成している。このため、クッション体1の使用時
に大きい応力で大変形を与えても、網状構造体3の全体
が互いに3次元的に変形しつつ応力を吸収し、応力が解
除されると、熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性によって網状
構造体3が元の形状に復元することができる。
【0041】しかもこのクッション体1の網状構造体3
は、網状構造体3の長手方向に連なる連続線状体2から
なるため、ほつれたり形状の崩れを生じることがない。
そして連続線状体2どうしが溶融状態で互いに融着する
からバインダが不要であり、単一の熱可塑性樹脂からな
るため再溶融によるリサイクル使用が容易である。
【0042】[比較例]前記実施形態と同様の網状体製
造装置10(図4に示す)によって製造した網状構造体
のブロック(密度0.05g/cm3 )を、図11に示
すような熱プレス用のアルミニウム製の型50に収容
し、この網状構造体3′を3分の2の体積に圧縮すると
ともに、ヒータ51と送風機52によって網状構造体
3′の内部に130℃〜160℃の熱風を吹き込むこと
によって熱プレスを行ない、そののち冷却し脱型するこ
とにより、所望形状のクッション体を得た。型50は、
孔径2〜3mmの多数の孔を10〜20mmの間隔で形
成したものである。
【0043】この比較例においては、下記表1に示すよ
うに圧縮前の厚さが互いに異なる3種類の網状構造体
(140mm,120mm,105mm)を、クッショ
ン中央部の厚みが100mm、サイドサポート部の厚み
が140mmとなるように熱プレスし、製品外観の良否
や硬さなどを調べた。
【0044】
【表1】
【0045】表1に示したように、圧縮前の厚さが14
0mmの網状構造体ブロックを用いた比較品1は、製品
外観が良いが、重量が重すぎる欠点がある。圧縮前の厚
さが105mmの網状構造体ブロックを用いた比較品3
は、軽量であるが、製品外観が不良であった。
【0046】
【発明の効果】請求項1に記載した発明によれば、通気
性が良く、耐へたり性に優れかつ軽量な3次元ループ網
状構造体からなる所望形状のクッション体を低コストで
提供することができる。しかもこのクッション体はバイ
ンダが不要であり、リサイクル使用が容易である。請求
項2に記載した発明によれば、カバー部材によってクッ
ション体の見栄えを良くすることができる。請求項3に
記載した発明によれば、車両のシートなどに用いるクッ
ション体の見栄えを良くすることができる。請求項4に
記載した発明によれば、網状構造体の切断面の異物感を
解消する上で有効であり、乗り心地等がさらに向上す
る。
【0047】請求項5に記載した発明によれば、通気性
が良く、耐へたり性に優れかつ軽量な3次元ループ網状
構造体からなるクッション体を、無圧縮あるいは部分圧
縮状態で所望形状に能率良く製造することができ、必要
に応じて行う仕上げのための成形工程も簡単なものです
み、製造コストを下げることができる。請求項6に記載
した発明によれば、網状構造体の切断面表層部が平滑化
され、座り心地等をさらに向上させることができる。
【0048】請求項7に記載した発明によれば、前記網
状構造体からなるクッション体を連続的に能率良く製造
することができ、製造コストを下げることができる。請
求項8に記載した発明によれば、切り屑が出ることもな
く、連続的に能率よく所望のクッション体製品形状に成
形することができる。請求項9に記載した発明は、異物
感を解消する上で有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すクッション体の断面
図。
【図2】図1に示されたクッション体を構成する網状構
造体の斜視図。
【図3】図1に示されたクッション体の一部の断面図。
【図4】図1に示されたクッション体の網状構造体を製
造するための装置の側面図。
【図5】図4に示された製造装置によって作られた網状
構造体の斜視図。
【図6】切断機を示す斜視図。
【図7】網状構造体の切断個所を模式的に示す斜視図。
【図8】網状構造体の切断面表層部の平滑処理前の状態
を拡大して示す側面図。
【図9】仕上げ用の型を示す断面図。
【図10】網状構造体の切断面表層部の平滑処理後の状
態を拡大して示す側面図。
【図11】従来の熱プレスを行なうための成形装置を示
す断面図。
【符号の説明】
1…クッション体 1b…サイドサポート部 2…連続線状体 3…網状構造体 5…カバー部材 10…網状体製造装置 31…切断機 40…仕上げ用の型

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂からなる繊度300〜100
    000デニールの複数本の連続線状体を各々ループ状に
    曲がりくねらせかつ互いの接触部を融着させた見掛け密
    度が0.005〜0.2g/cm3 の立体的な網状構造
    体を有するクッション体であって、前記網状構造体を所
    望のクッション体製品形状に切断してなることを特徴と
    するクッション体。
  2. 【請求項2】前記網状構造体を覆うカバー部材を有し、
    前記網状構造体の一部を前記カバー部材によって圧縮し
    たことを特徴とする請求項1記載のクッション体。
  3. 【請求項3】前記カバー部材によって圧縮される部位が
    シート用クッション体のサイドサポート部であることを
    特徴とする請求項2記載のクッション体。
  4. 【請求項4】前記網状構造体の切断面表層部のループ切
    断部をクッション体表面に沿う方向に変形させてこの切
    断面表層部を平滑化したことを特徴とする請求項1記載
    のクッション体。
  5. 【請求項5】軟化した熱可塑性樹脂を複数のノズルから
    吐出させることによって複数本の連続線状体を各々ルー
    プ状に曲がりくねらせかつ互いの接触部を融着させて立
    体的な網状構造体を形成する工程と、前記網状構造体を
    冷却する工程と、前記網状構造体を所望のクッション体
    製品形状に切断する工程とを具備したことを特徴とする
    クッション体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記網状構造体の切断面表層部を型によっ
    て前記連続線状体の軟化温度以上に加熱するとともにル
    ープ切断部を押圧することにより前記切断面表層部を平
    滑化する工程を具備したことを特徴とする請求項5記載
    のクッション体製造方法。
  7. 【請求項7】軟化した熱可塑性樹脂を複数のノズルから
    連続的に吐出することによって得られる複数本の連続線
    状体を各々ループ状に曲がりくねらせかつ互いの接触部
    を融着させて立体的な網状構造体を得るノズル部と、 前記連続線状体を冷却することによって硬化させる冷却
    手段と、 前記網状構造体を所望のクッション体製品形状に切断す
    る切断手段と、 を具備したことを特徴とするクッション体製造装置。
  8. 【請求項8】前記切断手段がヒータ線であることを特徴
    とする請求項7記載のクッション体製造装置。
  9. 【請求項9】前記網状構造体の切断面表層部を前記連続
    線状体の軟化温度以上に加熱しかつループ切断部を押圧
    することにより前記切断面表層部を平滑化する仕上げ用
    の型を備えていることを特徴とする請求項7記載のクッ
    ション体製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003260278A (ja) * 2002-03-11 2003-09-16 Toyobo Co Ltd 車両用座席

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