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JP2000239786A - 冷延用母板および面内異方性の小さい深絞り用冷延鋼板ならびにその製造方法 - Google Patents

冷延用母板および面内異方性の小さい深絞り用冷延鋼板ならびにその製造方法

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Publication number
JP2000239786A
JP2000239786A JP4053199A JP4053199A JP2000239786A JP 2000239786 A JP2000239786 A JP 2000239786A JP 4053199 A JP4053199 A JP 4053199A JP 4053199 A JP4053199 A JP 4053199A JP 2000239786 A JP2000239786 A JP 2000239786A
Authority
JP
Japan
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less
cold
rolling
rolled
steel sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4053199A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Tosaka
章男 登坂
Hideko Yasuhara
英子 安原
Osamu Furukimi
古君  修
Masatoshi Araya
昌利 荒谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP4053199A priority Critical patent/JP2000239786A/ja
Publication of JP2000239786A publication Critical patent/JP2000239786A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いr値を有し、しかもr値、伸び、降伏強
さ等の機械的特性の面内異方性が小さい深絞り用冷延鋼
板およびそれらの製造方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.001 〜0.0040%、Si、
Mn、Pを規制し、さらにTi:0.050 超〜0.30%、B:0.
0003〜0.0030%を含む組成とし、フェライト粒径25μm
未満、AI値5 〜30MPa の熱延板を冷延用母板として、
冷延、再結晶焼鈍、スキンパス圧延を施す。熱間圧延
は、1200℃以下の温度に加熱し、好ましくは動的再結晶
温度域で5パス以上圧延し、仕上圧延温度を(Ar3変態
点−20℃)以上とする熱間圧延を施し、熱間圧延終了
後、0.2sec以内に急冷処理を開始し600℃以下の巻取温
度で巻取る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、深絞り用冷延鋼板
に係り、とくに面内異方性を改善し、面内異方性の小さ
い深絞り用冷延鋼板および該冷延鋼板用母板に好適な熱
延鋼板に関する。本発明でいう面内異方性の小さい鋼板
とは、Δr、ΔEl、ΔYSが、絶対値表示でそれぞれ
0.3 以下、2%以下、20MPa 以下の鋼板をいう。ここ
で、Δrは鋼板の圧延方向、圧延方向と45°方向、圧延
方向と90°方向におけるr値(r0 、r45、r90)につ
いて、下記(1)式で計算される値であり、ΔElは鋼
板の圧延方向、圧延方向と45°方向、圧延方向と90°方
向における伸び(El)(El0、El45、El90)につい
て、下記(2)式で計算される値であり、ΔYSは鋼板
の圧延方向、圧延方向と45°方向、圧延方向と90°方向
における降伏強さYS(YS 0 、YS45、YS90)について、
下記(3)式で計算される値であり、各特性の面内異方
性を表す指数である。
【0002】 Δr =(r0 +r90−2・r45)/2 ……(1) ΔEl =(El0 +El90−2・El45)/2 ……(2) ΔYS =(YS0 +YS90−2・YS45)/2 ……(3)
【0003】
【従来の技術】従来から、自動車の内板部品、外板部品
や、各種容器などには、極めて高い深絞り成形性が要求
されている。このような難成形部品に適用できる冷延鋼
板としては、例えば特開平61-276930 号公報に示される
ように、Cを0.005wt %以下に低減した極低炭素鋼を素
材としたものがある。しかし、極めて高い焼鈍温度を必
要とするという問題があった。これ以外にも、極低炭素
鋼を素材として深絞り性、とくにr値を改善した鋼板が
提案されている。
【0004】例えば、特開平5-112831号公報には、C:
0.001 〜0.005wt %、N:0.005wt%以下、S:0.01wt
%以下に規制し、TiおよびNbのいずれかまたは一方を
C、S、Nと関連して規制するとともにTi+Nbを0.02wt
%以上、Mnを0.1 〜1.20wt%含有する鋼を、熱延の最終
圧下率30%以上、仕上温度をAr3変態点以上、Ar3変態
点+50℃以下とし、熱延直後から冷却を開始し、開始か
ら3秒間の平均冷却速度を60℃/s以上、とくに開始か
ら1秒間の平均冷却速度を80℃/s以上となるように冷
却したのち、通常の酸洗、冷延、焼鈍を行う、加工性に
優れた冷延鋼板の製造方法が提案されている。この方法
によれば、熱延板を細粒にし、冷延板のr値が向上する
とされる。
【0005】また、特開平6-17140 号公報には、C:0.
0005〜0.005wt %、N:0.005wt %以下、S:0.01wt%
以下、P:0.1 wt%以下、Al:0.1 wt%以下に規制し、
TiおよびNbのいずれか一方または他方をC、S、Nと関
連して規制し、さらにMn、Si、Cr、Ni、Cu、Moの1種ま
たは2種以上の含有量が0.1 〜1.5 wt%含有する鋼をA
r3変態点以上、Ar3変態点+100 ℃以下の温度域で少な
くとも全圧下率が70%以上の圧延を行い、仕上温度をA
r3変態点以上とするか、あるいは仕上温度をAr3変態点
以上、Ar3変態点+50℃以下でかつ最終圧下率30%以上
で圧延し、圧延直後からAr3変態点−50℃までの平均冷
却速度を50℃/s以上で冷却し、その後0.5 〜10%の圧
延をし、750 ℃以下で巻取、引続き、通常の酸洗、冷
延、焼鈍を行う、深絞り用冷延鋼板の製造方法が提案さ
れている。この方法によれば熱延板が細粒となり、製造
された冷延鋼板は、平均r値が従来より向上していると
される。
【0006】また、特開平5-17758 号公報には、Ti:0.
01〜0.1wt %、Nb:0.003 〜0.03wt%、B:0.001 〜0.
004wt %、Al:0.05〜0.1wt %含有させ、P、S、Nを
低減させた極低炭素鋼を素材として、仕上温度を800 〜
900 ℃とする熱間圧延を施し、650 ℃未満の温度でコイ
ルに巻き取り、ついで冷間圧延を行ったのち、830 ℃〜
Ar3変態点の温度範囲で連続焼鈍し、しかるのちにスキ
ンパス圧延を施す冷延薄鋼板の製造方法が提案されてい
る。この方法により製造された鋼板は、冷延板の平均r
値(r値:2.0 〜2.2 )が従来より向上し、面内異方性
(Δr:0.15〜0.22)が少ないとされる。
【0007】また、特開平5-247540号公報には、Ti:0.
01〜0.1wt %、Nb:0.003 〜0.03wt%、B:0.0015〜0.
005wt %、Al:0.05〜0.1wt %含有させ、Si:1.0wt %
以下、Mn:2.0wt %以下、P:0.2wt %以下、S:0.01
wt%以下、N:0.006wt %以下に制限した極低炭素鋼を
素材として、仕上温度を800 〜900 ℃とする熱間圧延を
施し、650 ℃以下の温度でコイルに巻き取り、ついで冷
間圧延を行ったのち、830 ℃〜Ar3変態点の温度範囲で
連続焼鈍し、しかるのちにスキンパス圧延を施す深絞り
用高強度冷延鋼板の製造方法が提案されている。この方
法により製造された鋼板は、冷延板の平均r値(r値:
1.7 〜2.0 )が従来より向上し、面内異方性(Δr:0.
15〜0.22)が少ないとされる。
【0008】また、特開平8-170121号公報には、Tiを0.
01〜0.08wt%含有し、かつS、Nと結合する以外のTi量
(有効Ti量)をC量と関連して規制した極低炭素鋼スラ
ブを、仕上温度880 ℃以上として熱間圧延したのち、直
ちに急冷して巻取温度をスラブ加熱温度と有効Ti量で規
定される温度に近い温度に調整し、ついで冷間圧延し、
再結晶温度以上Ar3変態点以下の温度で焼鈍する成形性
に優れた冷延鋼板の製造方法が提案されている。この方
法によれば、伸びとr値が優れた冷延鋼板を安定して製
造できるとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来から、深絞り性を
向上させるには、鋼板の平均r値が高いことが重要であ
ることは知られていたが、最近、多くのプレス部品の成
形においては、r値の面内異方性が小さいことが成形時
の割れを防止するうえで有効であるということが判明し
てきた。また、面内異方性はr値のみならず、伸び、降
伏強さにおいても小さいことが重要で、これら特性の面
内異方性がいずれも小さいことがプレス成形の安定化を
促進することが明らかになってきた。
【0010】このような観点からすると、特開平5-1128
31号公報、特開平5-17758 号公報、特開平5-247540号公
報、特開平6-17140 号公報、特開平8-170121号公報に記
載された技術で製造された冷延鋼板は、確かにある程度
の平均r値の向上は認められるが、まだ不十分であり、
しかもr値2以上の領域でr値を向上させると、△r等
の面内異方性が増大することを考えると、最近の要求を
満足しうる深絞り成形用冷延鋼板とは言いがたい。
【0011】本発明は、上記した従来技術の問題を有利
に解決し、2.2 以上という高いr値を有し、しかもr
値、伸び、降伏強さ等の機械的特性の面内異方性を小さ
くした、深絞り用冷延鋼板、深絞り用めっき鋼板および
それらの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成すべく、とくに冷延用母板である熱延板の微
細組織に注目して鋭意研究を重ねた。その結果、優れた
深絞り性に加え、小さな面内異方性の機械的特性を得る
ためには、冷延用母板である熱延板では、 フェライト平均粒径が25μm 未満であること、 AI値が5 〜30MPa となる適正量の固溶Cを有するこ
と Bを共存させること が重要であり、これにより、とくに高r値を有する場合
でも低面内異方性を得ることができるとの知見を得た。
そして、本発明者らは、具体的に、(i)動的再結晶温
度域での圧延を行い、γ域での動的再結晶を誘起させ再
結晶γ粒を微細化し、さらに圧延後急冷し、γ−α変態
後のフェライト粒を微細化する、(ii)Tiを0.050wt %
超えて添加し固溶Cの過剰残留を防止するとともに、巻
取温度を600 ℃以下の低温とし、固溶Cの過剰析出を防
止する、(iii )0.0003wt%以上の微量のBを共存さ
せ、動的再結晶温度域での圧延を行い、機械的特性の面
内異方性をさらに改善する、ことが有効であるとの結論
に達した。
【0013】本発明は、上記した知見に基づいてさらに
検討を加え構成されたものである。すなわち、本発明
は、重量%で、C:0.001 〜0.0040%、Si:1.5 %以
下、Mn:1.0 %以下、P:0.2 %以下、Ti:0.050 超〜
0.30%、B:0.0003〜0.0030%、Al:0.10%以下を含
み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
かつ、平均で25μm 未満のフェライト結晶粒径を有する
組織を有し、時効指数AIが5 〜30MPa である熱延板で
あることを特徴とする冷延用母板であり、本発明では、
前記組成に加えて、重量%で、A群:Nb:0.1 %以下、
B群:Ni:0.01%以上、Cr:0.01%以上、Cu:0.01%以
上、Mo:0.01%以上のうちの1種または2種以上を合計
で1.0 %以下、C群:Ca:0.0005%以上、REM:0.0005%
以上のうちの1種または2種を合計で0.10%以下、のA
〜C群のうちの1群または2群以上を含有してもよい。
【0014】また、本発明は、重量%で、C:0.001 〜
0.0040%、Si:1.5 %以下、Mn:1.0 %以下、P:0.2
%以下、Ti:0.050 超〜0.30%、B:0.0003〜0.0030
%、Al:0.10%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純
物からなる組成を有し、かつ、平均で25μm 未満のフェ
ライト結晶粒径を有する組織を有し、時効指数AIが5
〜30MPa である熱延板に、好ましくは酸洗を施したの
ち、冷間圧延および再結晶焼鈍を施してなる面内異方性
の少ない深絞り用冷延鋼板であり、また、本発明では、
前記組成が、重量%で、C:0.001 〜0.0040%、Si:1.
5 %以下、Mn:1.0%以下、P:0.2 %以下、Ti:0.050
超〜0.30%、B:0.0003〜0.0030%、Al:0.10%以下
を含み、さらに、A群:Nb:0.1 %以下、B群:Ni:0.
01%以上、Cr:0.01%以上、Cu:0.01%以上、Mo:0.01
%以上のうちの1種または2種以上を合計で1.0 %以
下、C群:Ca:0.0005%以上、REM :0.0005%以上のう
ちの1種または2種を合計で0.10%以下、のA〜C群の
うちの1群または2群以上を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物からなる組成としてもよい。また、本発明で
は、前記組成が、重量%で、C:0.001 〜0.0040%、S
i:1.5 %以下、Mn:1.0 %以下、P:0.2 %以下、T
i:0.050 超〜0.30%、B:0.0003〜0.0030%、Al:0.1
0%以下、さらにN:0.0040%以下を含み、あるいはさ
らにA群:Nb:0.1 %以下、B群:Ni:0.01%以上、C
r:0.01%以上、Cu:0.01%以上、Mo:0.01%以上のう
ちの1種または2種以上を合計で1.0 %以下、C群:C
a:0.0005%以上、REM :0.0005%以上のうちの1種ま
たは2種を合計で0.10%以下のA〜C群のうちの1群ま
たは2群以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
らなる組成としてもよい。
【0015】また、本発明は上記した各組成の深絞り用
冷却延鋼板の表面に、めっき層を形成したことを特徴と
する深絞り用めっき鋼板である。前記めっき層は、Zn、
Zn-Ni 等の電気めっき、溶融亜鉛めっき、あるいは溶融
亜鉛めっきを施したのち合金化焼鈍を施し合金化溶融亜
鉛めっきとしてもよい。また、本発明は、重量%で、
C:0.001 〜0.0040%、Si:1.5 %以下、Mn:1.0 %以
下、P:0.2 %以下、Ti:0.050 超〜0.30%、B:0.00
03〜0.0030%、Al:0.10%以下を含む組成を有する圧延
素材を、1200℃以下の温度に加熱し、仕上圧延温度を
(Ar3変態点−20℃)以上とする熱間圧延を施し、熱間
圧延終了後、0.2sec以内に急冷処理を開始し600 ℃以下
の巻取温度で巻取り熱延板とし、ついで該熱延板に、好
ましくは酸洗を施し、ついで、好ましくは圧下率:60%
以上の、冷間圧延を施したのち、再結晶終了温度以上の
温度範囲で連続焼鈍を施し、圧下率:0.8 %以下のスキ
ンパス圧延を施すことを特徴とする面内異方性の小さい
深絞り用冷延鋼板の製造方法であり、また、本発明で
は、前記熱間圧延が、動的再結晶温度域でかつ動的再結
晶温度域下限温度〜(動的再結晶温度域下限温度+80
℃)の温度範囲内で5パス以上の圧延を行う熱間圧延と
するのが好ましい。また、本発明では、前記組成を、重
量%で、C:0.001 〜0.0040%、Si:1.5 %以下、Mn:
1.0 %以下、P:0.2 %以下、Ti:0.050 超〜0.30%、
B:0.0003〜0.0030%、Al:0.10%以下を含み、あるい
はさらに、A群:Nb:0.1 %以下、B群:Ni:0.01%以
上、Cr:0.01%以上、Cu:0.01%以上、Mo:0.01%以上
のうちの1種または2種以上を合計で1.0 %以下、C
群:Ca:0.0005%以上、REM :0.0005%以上のうちの1
種または2種を合計で0.10%以下、のA〜C群のうちの
1群または2群以上を含有残部Feおよび不可避的不純物
からなる組成としてもよい。また、本発明では、前記組
成が、重量%で、C:0.001 〜0.0040%、Si:1.5 %以
下、Mn:1.0 %以下、P:0.2 %以下、Ti:0.050 超〜
0.30%、B:0.0003〜0.0030%、Al:0.10%以下、さら
にN:0.0040%以下を含み、あるいはさらにA群:Nb:
0.1 %以下、B群:Ni:0.01%以上、Cr:0.01%以上、
Cu:0.01%以上、Mo:0.01%以上のうちの1種または2
種以上を合計で1.0 %以下、C群:Ca:0.0005%以上、
REM :0.0005 %以上のうちの1種または2種、のA〜C
群のうちの1群または2群以上を含有し、残部Feおよび
不可避的不純物からなる組成としてもよい。
【0016】なお、本発明では、上記した冷延鋼板に加
え、さらにめっき層を形成するめっき処理を施してもよ
い。
【0017】
【発明の実施の形態】まず、本発明冷延鋼板の冷延用母
板である熱延板の組成の限定理由について説明する。 C:0.0005〜0.0040% Cは、本発明で重要な元素であり、0.0040%以下の極低
炭素範囲とする。Cを0.0040%以下とすることにより、
伸び特性、r値が向上し安定して高r値を得ることがで
き深絞り成形を容易にする。一方、Cが0.0005%未満で
は、組織が粗大化し、高いr値は得られるが、面内異方
性が大きくなる。このため、Cは0.0005〜0.0040%の範
囲に限定した。なお、安定して高いr値と小さい面内異
方性を得るためには、Cは0.0010〜0.0030%とするのが
好ましい。
【0018】Si:1.5 %以下 Siは、鋼の強度を増加させる元素であり、比較的安価で
あるため、高強度化の目的で添加する。しかし、1.5 %
を超える含有は、熱間圧延において変形抵抗が増加し、
さらに表面処理特性を劣化する。このため、Siは1.5 %
以下とした。なお、安定した表面処理特性が要求される
場合には、Siは0.5 %以下に限定するのが望ましい。。
【0019】Mn:1.0 %以下 Mnは、鋼の変態点を低下させ、この変態点の低下効果を
介し結晶粒の微細化に効果がある。また、Nb、Tiとの相
互作用で熱延板のフェライト粒を微細化する効果も有し
ている。しかし、1.0 %を超える含有は、r値、伸び特
性が劣化する傾向となる。このため、Mnは1.0 %以下に
限定した。なお、Mnは赤熱脆性防止の観点から0.05%以
上とするのが望ましい。
【0020】P:0.2 %以下 Pは、熱延板組織の微細化に極めて有効に作用し、さら
に鋼の強度を増加させる効果を有している。しかし、0.
2 %を超える含有は、伸びが低下するとともに、偏析に
起因した内部欠陥、表面欠陥が発生しやすくなる。この
ため、Pは0.2%以下に限定した。なお、強度と組織微
細化のためにはPは0.02%以上とするのが望ましい。な
お、機械的特性、内部品質、表面品質の観点からは0.02
5 〜0.10%の範囲とするのがより好ましい。
【0021】Ti:0.050 超〜0.30% Tiは、Bとともに極低炭素鋼におけるγ域動的再結晶域
を確保するのに有効な元素であり、組織の微細化に寄与
する。また、Tiは固溶Cの過剰残留を防止し、適正量の
固溶Cを確保し、焼鈍後の機械的特性の面内異方性を小
さくするのに効果がある。このような効果は、0.050 %
超えの含有で認められるが、しかし0.30%を超える含有
は効果が飽和するうえ、連続鋳造時にノズル閉塞を起こ
しやすく健全な圧延素材(鋼片)を得ることが困難とな
る。このため、Tiは0.050 超 〜0.30%の範囲に限定し
た。なお、製造の容易性、材質の安定性という観点から
は0.060 〜0.15%の範囲が望ましい。
【0022】B:0.0005〜0.0030% Bは、極低炭素鋼においては、耐2次加工脆性を向上さ
せる元素として知られているが、本発明においてBの役
割はこれに留まるものではなく、Tiとともに極低炭素鋼
におけるγ域動的再結晶温度の確保に好適な元素であ
り、本発明において極めて重要な元素である。また、微
量のBの存在は、焼鈍後の機械的特性の面内異方性を小
さくするという別の重要な効果を示す。また、微量のB
は、粒界に偏析しCの粒界拡散を阻害しCの析出を遅ら
せることで固溶C量を増加させ時効指数AI値を高く
し、この効果を介して焼鈍後の機械的特性の面内異方性
を小さくする効果を示すものと考えられる。このような
効果は0.0003%以上のB含有で認められるが0.0030%を
超えると効果は飽和し含有量に見合う改善効果を期待で
きなくなるうえ、熱間加工性が劣化する。このため、B
は0.0003〜0.0030%の範囲に限定した。
【0023】Al:0.10%以下 Alは脱酸剤として作用するが、0.10%を超えて含有する
と、アルミナクラスター等に起因する表面欠陥が多発
し、しかも含有量に見合う材質改善の効果が期待できな
い。そのため、Alは0.10%以下に限定するのが好まし
い。製鋼工程の安定性という観点からAl含有量は0.001
%以上とするのが好ましく、0.005 〜0.08%の範囲とす
るのがより好適である。
【0024】N:0.0040%以下 Nは、本発明ではとくに限定しないが、鋼のr値を低下
させる傾向を有するため、できるだけ低減するのが望ま
しい。0.0040%以下であれば、耐2次加工脆性、引張特
性ともに良好となる。なお、0.0030%以下とするのが良
好な材質特性を得るためには好ましい。N低減のための
コストと材質の改善度合との兼ね合いでN含有量の下限
は0.0010%以上とするのが好ましい。
【0025】本発明では上記した各成分に加えて、さら
にA、B、C群のうちの1群または2群以上を含有でき
る。 A群: Nb:0.1 %以下 Nbは、結晶粒の微細化に有効に作用する元素であり、冷
延、焼鈍後の機械的特性の面内異方性の低下に有効に作
用し、必要に応じ含有できる。0.1 %を超えて含有して
も効果が飽和する傾向を示し含有量に見合う効果が期待
できない。このため、Nbは0.1 %以下の範囲とするのが
望ましい。なお、材質の安定性という観点からは、Nbは
0.005 〜0.05%の範囲とするのがより好ましい。
【0026】B群: Ni:0.01%以上、Cr:0.01%以
上、Cu:0.01%以上、Mo:0.01%以上のうちの1種また
は2種以上を合計で1.0 %以下 Ni、Cr、Cu、Moは、いずれも固溶強化あるいは細粒化強
化で強度を増加させる効果を有するため、必要に応じ含
有できる。このような効果は、いずれも0.01%以上の含
有で認められる。これら元素を複合添加した場合でも効
果は相殺されることはない。しかし、合計で1.0 %を超
える含有は、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待
できない。このため、Ni:0.01%以上、Cr:0.01%以
上、Cu:0.01%以上、Mo:0.01%以上のうちの1種また
は2種以上を合計で1.0 %以下の範囲に限定するのが望
ましい。なお、特性の安定性という観点からNi、Cr、C
u、Moは合計で0.02〜0.5 %の範囲とするのが望まし
い。
【0027】C群: Ca:0.0005%以上、REM :0.0005
%以上のうちの1種または2種を合計で0.1 %以下 Ca、REM は、いずれも耐2次加工脆性を向上させる有効
な元素であり、必要に応じCa:0.0005%以上、REM :0.
0005%以上のうち1種または2種を含有できる。Ca、RE
M の含有が0.0005%未満では、添加効果が認められず、
Ca、REM の下限を0.0005%とした。また、Ca、REM の含
有が合計で0.1 %を超えると、表面性状が悪化するとい
う不具合がある。
【0028】上記した成分以外の残部は、Feおよび不可
避的不純物である。不可避的不純物として、Oは、非金
属介在物を形成し微細なボイドと同様に耐2次加工脆性
に悪影響を及ぼすため0.005 %以下、より好ましくは0.
0040%以下に低減するのが望ましい。本発明の冷延鋼板
の母板(冷延用母板)である熱延板は、平均で25μm 未
満のフェライト結晶粒径を有する、均一で微細な組織を
有する。熱延板のフェライトの平均結晶粒径を25μm 未
満とすることにより、冷間圧延、焼鈍を行ったのちの冷
延鋼板の機械的特性が面内で均一となり、冷延鋼板の面
内異方性が小さくなる。母板として使用する熱延板のフ
ェライトの平均結晶粒径が25μm 以上となると、冷延鋼
板の機械的特性の面内異方性が大きくなる。なお、安定
して面内異方性の小さな冷延鋼板とするには、熱延板の
フェライトの平均結晶粒径は20μm 以下とするのが好ま
しい。
【0029】本発明では、冷延用母板(熱延板)の結晶
粒は、必ずしもポリゴナルフェライトの必要はなく、ジ
グザグ状の結晶粒界を有するアシキュラーフェライトで
もよい。しかし、圧延加工の影響が残存する組織(回復
した組織を含む)では、冷間圧延、焼鈍後に高r値を得
ることが難しく、機械的特性の面内異方性が大きくな
る。
【0030】なお、本発明でいう平均結晶粒径は、JIS
G 0552の規定に準拠して、鋼板の圧延方向に直角断面で
光学顕微鏡または電子顕微鏡を用いて測定した結晶粒径
を使用するものとする。また、本発明の冷延鋼板の母板
である熱延板は、5 〜30MPa の時効指数AIを有する。
冷延用母板(熱延板)の時効指数、すなわち時効に寄与
する固溶Cは、製品板である冷延鋼板の機械的特性、と
くにr値に大きな影響をおよぼす。さらに冷延鋼板の機
械的特性の面内異方性に強く影響し、面内異方性を小さ
くする効果をも有する。このことから、熱延板の固溶C
量、すなわちAI値を適正範囲とすることにより、高い
r値をえることができ、さらに機械的特性の面内異方性
を小さくすることができる。AI値が5MPa未満では、高
r値を得ることができるが機械的特性の面内異方性が大
きくなり、好ましくない。一方30MPa を超えると、冷延
用母板(熱延板)の組織を細かくしても高r値の冷延鋼
板を得ることができない。このため、冷延用母板(熱延
板)のAI値を5 〜30MPa の範囲に限定した。なお、高
いr値と小さい面内異方性を安定して得るためには10〜
20MPa とするのが好ましい。
【0031】本発明の冷延鋼板は、上記した組成、組
織、特性を有する冷延用母板(熱延板)に、冷間圧延、
再結晶焼鈍を施してなる冷延鋼板である。本発明でい
う、面内異方性の小さい鋼板とは、(1)式で示される
Δr、(2)式で示されるΔEl、(3)式で示される
ΔYSが、絶対値表示でそれぞれ0.3 以下、2%以下、
20MPa 以下の鋼板をいう。Δr、ΔEl、ΔYSは、お
のおのr値、伸び、降伏強さの面内異方性を表す指数で
ある。Δrが絶対値表示で0.3 を超えると、プレス成形
時の材料の流入が、プレス条件の変動に極めて敏感とな
り、プレス成形の安定性が極端に低下する。△r は0.15
以下とするのがより好ましい。なお、r値はJIS 5号引
張試験片を用いて15%の伸び歪を付与して測定するもの
とする。ΔElが絶対値表示で2%を超えると、種々の
形状の部品に適用された場合、プレス成形の安定性が低
下する。ΔYSが絶対値表示で20MPa を超えると、形状
凍結性が変動するため、プレス成形の安定性が低下す
る。
【0032】つぎに、本発明鋼板の製造方法について説
明する。まず、上記した重量%で、C:0.001 〜0.0040
%、Si:1.5 %以下、Mn:1.0%以下、P:0.2 %以
下、Ti:0.050 超〜0.30%、B:0.0003〜0.0030%、A
l:0.1 %以下を含む組成を有する圧延素材(スラブ)
を、加熱炉等通常公知の装置で加熱する。加熱温度は、
1200℃以下の温度とする。なお、圧延素材は、上記した
組成に加え、必要に応じNb:0.1 %以下、またはNi:0.
01%以上、Cr:0.01%以上、Cu:0.01%以上、Mo:0.01
%以上のうちの1種または2種以上を合計で1.0 %以
下、N:0.0040%以下、またはCa:0.0005%、REM :0.
0005%以上のうちの1種または2種を合計で0.1 %以
下、を単独、または複合して含有してもよいのは上記し
たとおりである。また、圧延素材は、公知の溶製方法に
より溶製された溶鋼を、公知の連続鋳造法、あるいは造
塊法により鋳造凝固され、スラブ等の形状とされるのが
好ましい。
【0033】加熱温度が1200℃を超えると、圧延素材の
初期結晶粒が粗大化し、熱間圧延を施しても所望の粒径
以下の微細結晶粒を有する熱延板とすることができな
い。一方、加熱温度の下限は加熱装置の性能上の制約で
決定されるが、加熱温度が900℃未満では、熱間圧延時
の圧延荷重が大きくなりすぎ操業上の問題がある。この
ようなことから、圧延素材の加熱温度は900 〜1200℃と
するのが好ましい。なお、耐2次加工脆性の観点からは
加熱温度は1120℃以下とするのがより好ましい。
【0034】また、連鋳されたスラブを温片で加熱炉に
装入して圧延する直接温片圧延(DHCR)は省エネルギー
の観点から好ましいが、加熱炉への装入温度は、(Ar3
変態点+100 ℃)以下とするのが望ましい。加熱炉への
装入温度が、(Ar3 変態点+100 ℃)を超えると、組織
が粗大化し、微細化の観点からは好ましくない。加熱さ
れた圧延素材は、ついで熱間圧延される。
【0035】熱間圧延は、動的再結晶温度域で行われる
のが好ましい。しかも動的再結晶温度域でかつ動的再結
晶下限温度と(動的再結晶下限温度+80℃)の間の動的
再結晶低温域とするのがより好ましい。動的再結晶温度
域での圧延とすることにより、熱延鋼板の結晶粒が微細
化され、そのため初期粒界C量が多くなり、時効時に析
出する粒内のCが若干少なくなりAI値が大きくなると
考えられる。動的再結晶温度域で圧延することにより、
熱延鋼板の結晶粒が微細化され、しかも異方性の少ない
細粒組織とすることができる。
【0036】動的再結晶温度域、好ましくは動的再結晶
低温域での熱間圧延は、少なくとも5パス以上の圧延を
行うのが好適である。各パスの圧延は、圧下率20%以上
の圧延とするのが好ましい。これにより、熱延鋼板の組
織を均一かつ微細な組織とすることが可能となる。熱間
圧延の仕上圧延温度は(Ar3変態点−20℃)以上とす
る。仕上圧延温度が(Ar3変態点−20℃)未満では、熱
延板の加工組織(あるいは回復組織)が混在し、最終的
に冷延鋼板の機械的特性の面内異方性が顕著に増加す
る。このため、熱間圧延の仕上圧延温度を(Ar3変態点
−20℃)以上に限定した。
【0037】熱間圧延終了後、ついで0.2sec以内に急冷
処理を開始する。急冷処理は、冷却速度50℃/s以上の
水冷(冷却水による強制冷却する)とするのが好まし
い。冷却速度が50℃/s未満では表面はともかく板厚内
部の冷却速度が十分に大きくなく所望の微細組織を得る
ことができない。なお、急冷処理の開始が熱間圧延終了
から0.2secを超えると、本発明における極低炭素鋼では
結晶粒の成長が著しく所望の25μm 以下のフェライト微
細組織が得られない。急冷処理を施されたのち、600 ℃
以下の巻取温度でコイル状に巻き取られる。巻取温度が
600 ℃を超えると、巻き取り後結晶粒が成長し熱延板の
組織を微細組織とすることができなくなる。コイル形状
の観点からは巻取温度の下限は400 ℃とするのが好まし
い。巻取温度を600 ℃以下、好ましくは400 〜550 ℃の
低温とすることにより、固溶Cの過剰析出が抑制され、
機械的特性とくにYSの面内異方性を小さくすることが
できる。
【0038】ついで熱延板を冷延鋼板用母板として、冷
間圧延用母板に、好ましくは酸洗を施す。酸洗は通常の
条件でとくに問題はない。ついで、冷間圧延を施す。冷
間圧延の圧下率は60〜90%とするのが好ましい。つい
で、再結晶終了温度以上の温度範囲で連続焼鈍(再結晶
焼鈍)を施す。焼鈍温度が再結晶終了温度未満では、未
再結晶組織が残存し、深絞り成形性が顕著に劣化する。
なお、焼鈍温度は、再結晶終了温度〜(再結晶終了温度
+150℃)の範囲とするのが、冷延用母板の結晶粒微細
化による材質改善効果をより高くするのに好適である。
また、焼鈍時の均熱時間は40sec 以下とするのが好まし
い。 焼鈍したのち、ついで圧下率:0.8 %以下のスキ
ンパス圧延を施す。スキンパス圧延の圧下率が0.8 %を
超えると、YSの面内異方性が増加し、ΔYSの絶対値
も増加するため、深絞り性をはじめ加工性が劣化する。
【0039】
【実施例】(実施例1)表1に示す組成の溶鋼を、連続
鋳造法により 200〜290 mm厚のスラブとし、圧延素材と
した。これらスラブを表2に示す製造条件で板厚2.6 〜
6.0mm の熱延板とした。なお、動的再結晶温度域は、各
スラブから採取した試料を用い、熱延板の加工条件を想
定した温度、歪速度、歪量条件で熱間圧縮実験を行い、
得られた応力−歪曲線の形状から判断し決定した。
【0040】得られた熱延板から試験片を採取し、組織
調査、時効性試験を実施した。なお、仕上圧延温度FDT
はすべて(Ar3 変態点−20℃) 以上であった。ついで、
これら熱延板に、さらに表2に示す冷間圧延、再結晶焼
鈍(連続焼鈍)、スキンパス圧延を施し、冷延鋼板とし
た。なお、連続焼鈍の均熱温度はすべて(再結晶終了温
度)〜(再結晶終了温度+150 ℃) の範囲内であった。
【0041】得られた冷延鋼板から試験片を採取し、引
張試験を実施した。なお、1部の冷延鋼板に溶融亜鉛め
っき処理により、鋼板表面にめっき層(目付量:45 g/m
2 )を形成しめっき鋼板(鋼板No.1-2、No.1-15 、No.1
-18 )とした。これらめっき鋼板についても、冷延鋼板
と同様に引張試験を実施した。なお、めっき鋼板におい
ては、めっき層の存在により低r値化する傾向がある。
このため、めっき層を酸で除去してr値および△rを測
定した。 (i) 組織調査 鋼板の圧延方向に直角な断面について、光学顕微鏡また
は電子顕微鏡を用いて、JIS G 0552 に準拠して、切断
法でフェライトの平均結晶粒径を測定した。 (ii)引張試験 各鋼板の圧延方向、圧延方向に45°方向、圧延方向と90
°方向からJIS 5 号引張試験を採取し、引張速度10mm/
min で引張り、降伏点YS、引張強さTS、伸びElを
測定した。また、引張試験で伸び歪15%を付与して、各
鋼板のr値を測定した。これら測定値から前記(1) 〜
(3) 式で定義される各鋼板のr値の面内異方性Δr、伸
びの面内異方性ΔEl、降伏強さYSの面内異方性ΔY
Sを計算した。 (iii) 時効性試験 熱延板の圧延方向からJIS 5 号引張試験を採取し、7.5
%の引張予歪を付与したのち、100 ℃×30min の時効処
理を施し、ついで引張試験を実施し、熱処理前後の変形
応力の増加分をもとめ、AI値(Mpa 表示) とした。
【0042】これらの結果を表3に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】表3から、25μm 未満のフェライト結晶粒
径、5 〜30MPa の範囲のAI値を有する熱延板を冷延-
再結晶焼鈍処理して得られた冷延鋼板(本発明例)は、
2.2以上の高いr値と、0.3 以下のΔr、2%以下のΔ
El、20MPa 以下のΔYSとr値、El、YSのいずれ
の特性の面内異方性も小さく、面内異方性の小さい深絞
り成形用冷延鋼板である。これに対し、本発明の範囲を
外れる比較例は、いずれもr値が低く、さらにr値、E
l、YSのいずれかの特性の面内異方性が大きい。 (実施例2)表4に示す組成の溶鋼を、連続鋳造法によ
り220 〜290 mm厚のスラブとし、圧延素材とした。これ
らスラブを表5に示す製造条件で板厚 4.5〜5.2mm の熱
延板とした。得られた熱延板から試験片を採取し、組織
調査、時効性試験を実施した。なお、仕上圧延温度はす
べて(Ar3 変態点−20℃) 以上であった。
【0049】ついで、これら熱延板に、さらに表5に示
す冷間圧延、再結晶焼鈍(連続焼鈍)、スキンパス圧延
を施し、冷延鋼板とした。なお、連続焼鈍の均熱温度は
すべて(再結晶終了温度)〜(再結晶終了温度+150
℃) の範囲内であった。
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】得られた冷延鋼板から試験片を採取し、引
張試験、を実施した。なお、1部の冷延鋼板に溶融亜鉛
めっき処理により、鋼板表面にめっき層(目付量:45g/
m2)を形成しめっき鋼板(鋼板No.2-5、No.2-6)とし
た。これらめっき鋼板についても、冷延鋼板と同様に引
張試験を実施した。試験方法は実施例1と同様とした。
【0053】試験結果を表6に示す。
【0054】
【表8】
【0055】さらに、これら冷延鋼板およびめっき鋼板
について連続深絞り成形試験を実施した。 (iv)連続深絞り成形試験 各鋼板から円板(直径:93mm)を採取し、この円板をプ
レス成形により径45 mm φの円筒に深絞りする試験を、
潤滑条件を一定とし、同一鋼板で同一速度(60spm)で連
続して実施し、プレス成形が不安定となるまでの成形回
数を求めた。なお、プレス成形が不安定となるとは、顕
著なしわ、あるいは割れを発生する状態をいう。
【0056】連続深絞り成形試験の結果を表6に併記す
る。本発明例は、不安定となるまでの成形回数が多く、
安定したプレス成形が可能であり、プレス成形の安定性
に優れた鋼板である。これに対し、本発明の範囲を外れ
た比較例では、Δr、ΔEl、ΔYSが好ましい範囲を
外れて大きくなり、不安定となるまでの成形回数が少な
く、プレス成形が安定しない。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、高いr値を有し、しか
もr値、伸び、降伏強さ等の機械的特性の面内異方性を
小さい冷延鋼板が安価に製造でき、しかも安定したプレ
ス成形が可能で、産業上格段の効果を奏する。
フロントページの続き (72)発明者 古君 修 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 荒谷 昌利 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA08 AA11 AA16 AA19 AA21 AA22 AA23 AA27 AA29 AA31 AA32 AA35 AA40 BA01 CA02 CB02 CC03 CC04 CD03 CD06 CE01 CF01 CG02 CH04 CJ03 CM01 4K037 EA01 EA02 EA04 EA09 EA11 EA15 EA17 EA18 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EA36 EB01 EB02 EB06 EB08 EB09 FA02 FC04 FD04 FD06 FE01 FE06 FH01 FJ05 FK03 FM02 HA04 JA06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.001 〜0.0040%、 Si:1.5 %以下、 Mn:1.0 %以下、 P:0.2 %以下、 Ti:0.050 超〜0.30%、 B:0.0003〜0.0030%、 Al:0.10%以下 を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有
    し、かつ、平均で25μm未満のフェライト結晶粒径を有
    する組織を有し、時効指数AIが5 〜30MPa である熱延
    板であることを特徴とする冷延用母板。
  2. 【請求項2】 前記組成に加えて、重量%で、下記A〜
    C群のうちの1群または2群以上を含有することを特徴
    とする請求項1に記載の冷延用母板。 記 A群:Nb:0.1 %以下、 B群:Ni:0.01%以上、Cr:0.01%以上、Mo:0.01%以
    上のうちの1種または2種以上を合計で1.0 %以下、 C群:Ca:0.0005%以上、REM :0.0005 %以上のうちの
    1種または2種を合計で0.1 %以下
  3. 【請求項3】 重量%で、 C:0.001 〜0.0040%、 Si:1.5 %以下、 Mn:1.0 %以下、 P:0.2 %以下、 Ti:0.050 超〜0.30%、 B:0.0003〜0.0030%、 Al:0.1 %以下 を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有
    し、かつ、平均で25μm未満のフェライト結晶粒径を有
    する組織を有し、時効指数AIが5 〜30MPa である熱延
    板に、冷間圧延および再結晶焼鈍を施してなる面内異方
    性の少ない深絞り用冷延鋼板。
  4. 【請求項4】 前記組成に加えて、重量%で、下記 A
    〜C群のうちの1群または2群以上を含有することを特
    徴とする請求項3に記載の面内異方性の少ない深絞り用
    冷延鋼板。 記 A群:Nb:0.1 %以下、 B群:Ni:0.01%以上、Cr:0.01%以上、Mo:0.01%以
    上のうちの1種または2種以上を合計で1.0 %以下、 C群:Ca:0.0005%以上、REM :0.0005 %以上のうちの
    1種または2種を合で0.1 %以下
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載の深絞り用冷延
    鋼板の表面に、めっき層を形成したことを特徴とする深
    絞り用めっき鋼板。
  6. 【請求項6】 重量%で、 C:0.001 〜0.0040%、 Si:1.5 %以下、 Mn:1.0 %以下、 P:0.2 %以下、 Ti:0.050 超〜0.30%、 B:0.0003〜0.0030%、 Al:0.10%以下 を含む組成を有する圧延素材を、1200℃以下の温度に加
    熱し、仕上圧延温度を(Ar3変態点−20℃)以上とする
    熱間圧延を施し、熱間圧延終了後、0.2sec以内に急冷処
    理を開始し600 ℃以下の巻取温度で巻取り熱延板とし、
    ついで該熱延板に冷間圧延を施したのち、再結晶終了温
    度以上の温度範囲で連続焼鈍を施し、圧下率:0.8 %以
    下のスキンパス圧延を施すことを特徴とする面内異方性
    の小さい深絞り用冷延鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記熱間圧延が、動的再結晶温度域でか
    つ動的再結晶温度域下限温度〜(動的再結晶温度域下限
    温度+80℃)の温度範囲内で5パス以上の圧延を行う熱
    間圧延とすることを特徴とする請求項6に記載の面内異
    方性の小さい深絞り用冷延鋼板の製造方法。
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