JP2000294385A - 人工照明計画方法 - Google Patents
人工照明計画方法Info
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Abstract
ることが可能な人工照明計画方法を提供する。 【解決手段】 ヒトの生体リズムにおける沈静化期P1
には低色温度の第1の光源1を点灯し、ヒトの生体リズ
ムにおける活動化期P2には高色温度の第2の光源2を
点灯するようにして、光環境を人工的に調節する。
Description
ムに応じた適正な光環境を設計するための人工照明計画
方法に関する。
な影響を与えるものであり、この光環境を適正に設計す
ることは、健康で快適な生活環境を得る上で基本的な要
素のうちの一つである。
は、ヒトの心理面、生理面に対する光の影響にまで十分
に配慮がなされているとは言い難いのが現状である。照
明計画の指針としては、JISの照明基準(JIS-Z-911
0)や照明学会の住宅照明基準があるが、これらは、主
として基本的生活行動および視作業における見やすさを
確保する安全性(safety)、視認性(visibility)に対
する基準である。
部、快さ、楽しさをつくる雰囲気に関する快視性が扱わ
れており、光環境の快適性を考慮する試みも部分的には
なされている。しかしながら、照明を生理面から考察し
た研究は少ない。
ズム(生体リズム)のうちの代表的なものとして、約2
4時間周期の概日リズムがある。例えば、ヒトの深部体
温は、通常約1℃の振幅をもって、深夜に最も低く、昼
から夕方にかけて最も高くなり、また、この体温の挙動
と強く関連するメラトニンホルモンの分泌は、深夜に最
も著しく、昼間は非常に少ないという概日リズムを示
す。夜間の十分な体温低下は、熟睡(感)につながり、
また、メラトニンホルモンは、免疫系などにも影響して
いることがわかっている。
は視交差上核)にあるとされる「時計」によって制御さ
れながら、その本来の周期である約25時間を、光の明
暗や社会的因子に基づいて24時間に調整している。
る上では、ヒトの有する生体リズムの位相が、周囲の環
境の時間的な流れと一致し、さらに振幅が大きく確保さ
れることが重要であるといわれている。したがって、照
明計画においても、ヒトの生体リズムの位相に合致し、
さらには振幅が大きく確保されるように光環境を設計す
ることが望ましいと考えられる。
ズムに応じた適正な光環境を得ることが可能な人工照明
計画方法を提供することを目的とするものである。
になされたこの発明の請求項1に記載の人工照明計画方
法は、ヒトの生体リズムに応じて光環境を人工的に調節
する人工照明計画方法であって、前記ヒトの生体リズム
における沈静化期には低色温度の第1の光源を点灯し、
前記ヒトの生体リズムにおける活動化期には高色温度の
第2の光源を点灯することを特徴とするものである。
明計画方法は、前記請求項1に記載の人工照明計画方法
において、前記第1の光源を低発光レベルで点灯し、第
2の光源を高発光レベルで点灯することを特徴とするも
のである。
ズムにおける沈静化期」とは、ヒトの概日リズムにおい
て、ヒトの深部体温が下降しメラトニン分泌が増加する
期間にほぼ対応するものとし、「ヒトの生体リズムにお
ける活動化期」とは、ヒトの深部体温が上昇しメラトニ
ン分泌が減少する期間にほぼ対応するものとする。
し、図面に基づいて具体的に説明する。本実施形態に係
る人工照明計画方法は、図1に示すように、ヒトの生体
リズムにおける沈静化期(以下、単に沈静化期と称す)
P1には低色温度の第1の光源1を点灯し、ヒトの生体
リズムにおける活動化期(以下、単に活動化期と称す)
P2には高色温度の第2の光源2を点灯するものであ
る。
一室において、夜間の点灯時間帯、即ち図1に示す日没
前t1から就寝時t2までの時間帯と、朝の点灯時間
帯、即ち図1に示す起床時t3から正午前後t4までの
時間帯との2つの時間帯でそれぞれ照明を行うようにし
ている。上記住宅内の一室としては居間を使用してお
り、該住宅の居住者が、睡眠時間を除くほぼ全時間をこ
の居間で起居するようにしている。
グライト(天井灯)L1を用いて行うようにしている。
同図に示すシーリングライトL1は、第1および第2の
2本の環形蛍光管1、2で構成されており、第1の蛍光
管1は小径の電球色蛍光灯(色温度3000K)、第2
の蛍光管2は大径の昼光色蛍光灯(色温度6500K)
となっている。また、第1および第2の蛍光管1、2
は、居間内の照度(床面上0.85mの水平面における
計測値)が、それぞれ低照度、高照度となるような発光
レベルを有するものとなっている。該シーリングライト
L1は、図3に示すスイッチS1により、段階的に調光
可能に点滅し得るようになっている。即ち、ツマミ3を
「低」の位置に合わせると第1の蛍光管1のみが点灯
し、「高」の位置に合わせると第2の蛍光管2のみが点
灯し、「中」の位置に合わせると第1および第2の蛍光
管1、2がいずれも点灯するようになっている。
t1−t2には、第1の蛍光管1を点灯し、朝の点灯時
間帯t3−t4には、第2の蛍光管2を点灯するように
し、正午前後t4から日没前t1までの間は昼光照明と
している。即ち、沈静化期P1には低色温度・低発光レ
ベルの第1の蛍光管1を点灯し、活動化期P2には高色
温度・高発光レベルの第2の蛍光管2を点灯するように
している。これにより、居間内の光環境が、沈静化期P
1には低色温度光を多く含み、かつ低照度のものとなる
ように、活動化期P2には高色温度光を多く含み、かつ
高照度のものとなるように、人工的に調節するようにし
ている。
ムの位相に合致したものとなっており、したがって、特
に生理面で居住者にとって望ましいものとなっている。
以下に、上記と同様の照明方法がヒトの生理面に及ぼす
影響について調べた実験の例を示す。
を、それぞれ夜間21:00〜2:00の5時間浴び、
それぞれの場合において、ほぼ1時間毎に9:00まで
深部体温を測定するとともに、21:00、23:3
0、2:00、8:00の各時刻にメラトニン分泌量を
測定した。上記3種の光の照度はいずれも1000lux
とし、Control として、照度50lux の条件下で同時間
過ごすようにした。
た。同図に示すように、緑色光ないし青色光を浴びた場
合には、体温の低下およびメラトニン分泌の上昇が著し
く抑制され、この現象は、睡眠中、即ち消灯後(2:0
0以降)にも継続してみられた。一方、赤色光を浴びた
場合には、体温およびメラトニン分泌は Controlの場合
とほぼ同様の挙動を示した。
色蛍光灯(色温度6500K)および電球色蛍光灯(色
温度3000K)により、高色温度光および低色温度光
の2種の光を用いるようにする以外は全て同様にして、
深部体温およびメラトニン分泌量を測定した。
た。同図に示すように、高色温度光を浴びた場合には、
体温の低下およびメラトニン分泌の上昇が著しく抑制さ
れ、この現象は睡眠中にも継続してみられた。一方、低
色温度光を浴びた場合には、高色温度光を浴びた場合に
比して、前記のような抑制の程度は小さい。
lux の2種類の照度に設定した赤色光、緑色光および青
色光(計6種類)を、それぞれ朝4:00〜9:00の
5時間浴び、それぞれの場合における深部体温およびメ
ラトニン分泌の挙動を調べた。Control としては、照度
50lux の条件下で同時間過ごすようにした。
が得られた。同図に示すように、照度1000lux で
は、赤色光、緑色光および青色光のいずれの場合も、体
温上昇(図6)およびメラトニン分泌減少(図8)への
影響は認められないが、照度2500lux では、緑色光
の場合、体温上昇(図7)およびメラトニン分泌減少
(図8)がともに促進された。
の視認性においては同一である同じ照度条件であって
も、光の波長成分として長波長成分を多く含む光、即ち
低色温度光/赤色光は、ヒトの生体リズムに対する影響
は小さく、中〜短波長成分を多く含む光、即ち高色温度
光/緑〜青色光は、ヒトの生体リズムに対する影響が大
きいことがわかる。
体温のリズムに対して、夜間の下降期にはその下降を抑
制するように作用し、朝の上昇期にはその上昇を促進す
るように作用する。メラトニンリズムに対しても同様
に、夜間の分泌上昇期にはその上昇を抑制するように作
用し、朝の分泌下降期にはその下降を促進するように作
用する。
ズムと強い逆相関を有することが知られているため、前
述の内容は、換言すれば以下のようになる。即ち、高色
温度光/緑〜青色光は夜間のメラトニン分泌増加を抑
制、朝のメラトニン分泌減少を促進するように作用し、
その結果として、夜間の深部体温下降が抑制され朝の深
部体温上昇が促進されるという体温挙動が現出したので
ある。
1の結果と比較しながら考察すると、朝の場合にも、夜
間の場合と同様に、長波長成分を多く含む光(ここでは
赤色光)の生体リズムに対する影響は小さく、中〜短波
長成分を多く含む光(ここでは緑色光)の生体リズムに
対する影響は大きいが、その影響が現れる光の強度(照
度)をみると、朝の場合(2500lux )は夜間の場合
(1000lux )よりも大となっていることがわかる。
lux および60lux の2種類に設定してそれぞれ過ご
し、それぞれの場合における深部体温の挙動を調べた。
いずれの場合も室温は同一とした。その結果、照度を5
000lux とした場合には、夜間の深部体温が有意に低
下することが認められた。また、照度を60lux とした
場合には、より寒く感じられることが認められた。この
結果から、日中に高照度の光環境とすることは、ヒトの
生体リズムに対し、日中だけでなく夜間にまで影響を及
ぼすことがわかる。
下のような知見を得ることができる。夜から早朝にかけ
て、特に深夜までの生体リズムの方向は沈静化にあり、
これを現す体温の低下およびメラトニン分泌の上昇がそ
の目的となる。この目的を支援するか、あるいは少なく
とも妨害しない低色温度光を多く含む光環境とすること
が、夜間においては望ましいと考えられる。一方、早朝
から昼〜夕方にかけて、特に午前中までの生体リズムの
方向は活動化にあり、これを現す体温の上昇およびメラ
トニン分泌の速やかな減少がその目的となる。この目的
を支援する高色温度光を多く含む光環境とすることが、
朝においては望ましいと考えられる。
リズムの方向が沈静化にある夜間には低照度の光環境と
し、生体リズムの方向が活動化にある朝には高照度の光
環境とすることが、より望ましいと考えられる。また、
日中に高照度の光環境下で過ごすことは、生体リズムの
振幅を確保するという意味でも重要であると考えられ
る。
生体リズムにかかわる受光器官の作用を考慮に入れて捉
えることも可能である。
は、網膜上にあるL、M、Sの3タイプの錐体(cone)の
うち、M−錐体が関与していると考えられる。以下、ヒ
トの生体リズムに対するM−錐体の関与について調べた
実験の例を示す。
的にM−錐体に障害を有する第2色覚異常者を被験者と
する以外は全て同様にして、深部体温およびメラトニン
分泌量を測定した。その結果、赤色光、緑色光および青
色光のいずれの場合にも、体温リズムおよびメラトニン
リズムに影響は認められなかった。
錐体、M−錐体およびS−錐体が色順応したとき受けた
刺激量を、CIE(国際照明委員会)の色順応方程式に
より算出し、そのときの深部体温およびメラトニン分泌
への影響の程度と比較した。その結果、M−錐体が実験
光から受けた刺激量と、深部体温およびメラトニン分泌
への影響の程度との間に、強い相関関係があることが認
められた。
ヒトの生体リズムにかかわる受光器として、M−錐体が
関与していることが強く示唆される。
トの生体リズムに対するM−錐体の関与が考えられる。
ここで、前記実験例3からは、特定の光を一定量受けた
場合に、深部体温およびメラトニン分泌への影響の程度
が朝と夜間とで差があることがわかっているが、このこ
とは、M−錐体の感度に日内変動があることによるもの
と考えられる。受光器感度に日内変動があることは、視
覚上の問題としてこれまでにも確認されている。M−錐
体は、視覚上も重要な役割を担うものであるが、前記し
たように生体リズムにかかわる受光器としても機能する
と考えられることから、視覚上の日内変動と同様の変動
が、生体リズムにおいても認められると考えられる。
ての考察を踏まえると、以上の実験例により得られた結
果は、あらためて以下のように概括することもできる。
生体リズムの方向が沈静化にある夜間には、M−錐体の
分光感度分布に入る波長をあまり含まない光が好まし
く、生体リズムの方向が活動化にある朝には、M−錐体
の分光感度分布に入る波長を多く含む光が好ましいと考
えられる。M−錐体は、約540nmに感度ピークを有し
ており、これは緑色光の分光分布にほぼ対応する。
うまでもなく本発明の実施形態の一例であって、本発明
はこれに限定されるものではない。以下、本発明におい
て可能な実施形態の例について、さらに広汎に説明す
る。
しては、例えば、電球色蛍光灯(色温度3000K程
度)、温白色蛍光灯(色温度3500K程度)、ハロゲ
ンランプ(色温度3000K程度)、白熱電球(色温度
2850K程度)等が挙げられる。一方、高色温度の第
2の光源としては、例えば、昼光色蛍光灯(色温度65
00K程度)、昼白色蛍光灯(色温度5000K程度)
等が挙げられる。また、例えば、高圧水銀ランプ(色温
度5700〜5800K程度)による光は、M−錐体の
分光感度分布に入る波長を含む割合が高いと考えられ
る。
らと同等の色温度を有する各種の光源を用いることがで
き、また、所望の色温度を有する光源を調製するように
してもよい。これにより、任意の色温度を有する光源を
得ることができる。
ュール)については、前記実験例から、夜間においては
特に遅い時間帯における光環境が重要であると考えられ
るので、例えば少なくとも21:00〜就寝時の時間帯
には低色温度の第1の光源を点灯し、それよりも早い時
間帯には場合に応じ任意の照明とすることも可能であ
る。また、朝においても、前記実験例に基づき、例えば
4:00〜9:00の時間帯には高色温度の第2の光源
を点灯し、それ以外の時間帯には場合に応じ任意の照明
とすることも可能である。
よび第2の光源の点灯時間を、それぞれ可及的に長く設
定することもできる。このような場合における一日の照
明スケジュールの一例を朝から順に示すと、起床時以前
の未明時刻(例えば4:00)から日没時までの朝〜昼
間全般には高色温度の第2の光源を点灯し、上記日没時
で照明の調整を行って、これ以降就寝時までの夜間全般
には低色温度の第1の光源を点灯することが挙げられ
る。さらに、睡眠時間中にも、例えばごく低い照度で低
色温度の照明を行うようにしてもよい。
されている。同図に示す例では、日没前t1から21:
00まで、前記図1乃至図3に示した照明方法で使用し
たものと同様の第2の蛍光管2を点灯し、21:00か
ら就寝時t2まで、第1の蛍光管1を点灯するようにし
ている。一方、起床時t3以前の未明時刻4:00から
正午前後t4まで、第2の蛍光管2を点灯し、以降は昼
光照明としている。
としては、例えば1000lux 程度以下に設定すること
が挙げられる。前記実験例から、夜間においては、低色
温度光を多く含む光環境に維持されていれば、1000
lux 程度の照度条件であっても生体リズムの沈静化の傾
向は大きくは阻害されないことがわかっている。さら
に、例えば500lux 程度以下、好ましくは100lux
程度以下、さらに好ましくは50lux 程度以下とする
と、生体リズムの沈静化に対する抑制傾向はさらに小さ
くなり、また、心理的にもより落ち着いた温かみのある
光環境とすることができる。
えば1000lux 程度より大、好ましくは2500lux
程度以上に設定することが挙げられる。前記実験例3か
ら、朝においては、高色温度光を多く含む光環境に維持
されていれば、2500lux程度の照度条件で生体リズ
ムの活動化の傾向が促進されることがわかっている。さ
らに、前記実験例4から、例えば5000lux 程度以上
の照度条件下で過ごすと、生体リズムの振幅を確保する
上で望ましいことがわかっている。
程度に高照度の光環境とすることも可能である。この場
合でも、低色温度光を多く含む光環境に維持されていれ
ば、ヒトの生体リズムに対して好ましくない影響が及ぼ
されることは比較的少ないと考えられる。
は、直接照明、半直接照明、半間接照明および間接照明
のいずれを採用することも可能である。
に、壁面4に沿って光源(蛍光管)5を配設し該光源5
を幕板6で覆う構造とすることによって室内を間接光に
より照明し、これにより拡がり感が得られる照明とする
ことが従来提案されているが(特開平10−32101
9号公報参照)、本発明の方法をこのような間接照明構
造に適用するようにしてもよい。この場合、例えば、上
記光源5にかえて、低色温度の第1の光源および高色温
度の第2の光源を並置して配設するようにすればよい。
さらにこの場合、上記第1および第2の光源を壁面4で
はなく幕板6に取り付けるようにすると、該光源および
幕板6を予め一体的に作製しておくことができ、現場で
の取付作業を簡略化することができる。さらにまた、上
記図10に示す間接照明構造では、幕板6を壁面4に取
り付けるための金具7を利用してカーテンレール8が配
設されているので、該間接照明構造を採用することによ
り、幕板6をカーテンレールボックスとしても機能させ
ることができる。
以外にも、例えば、壁内に光源を埋設し、該壁の適宜位
置に設けたスリット等から間接光を室内に導入する構造
とすること等も可能である。さらに、照明を壁だけでな
く天井に配設したり、また水平方向だけでなく垂直方向
に沿って配設したりすることもできる。
としては、例えば、天井(または壁)に直付けされるも
の(シーリングライト等)、埋め込み式のもの(ダウン
ライト等)、半埋め込み式のもの、天井吊下げ式のもの
(ペンダント等)等のいずれのものも使用することがで
きる。また、光源として蛍光管を用いる場合、環形、直
管等がいずれも使用でき、さらに、蛍光管以外にも、白
熱電球、ハロゲン電球等の当該分野で既知の任意の光源
を用いることができる。
示されている。同図に示す光源9は、低色温度の第1の
蛍光管1と、高色温度の第2の蛍光管2とを重ね合わせ
捩じるようにして複合・一体化させることにより、全体
として1本のロッド形状の光源としたものであり、該第
1および第2の蛍光管1、2の一方または両方を点灯さ
せることで、異なる色温度の光が得られるようになって
いる。このように色温度の異なる複数の光源を複合・一
体化してなる光源によれば、低色温度光および高色温度
光をそれぞれほぼ全方向に均一に放射させることがで
き、また光源をコンパクト化して占有スペースを少なく
することができる。
としては、2種類の光源を選択的に点灯するようにする
以外にも、種々の方法が可能である。例えば、単一の光
源と、1種または複数種の色温度変換フィルタとを組み
合わせ、該光源を露出させて点灯させるか、またはいず
れか1つのフィルタで該光源を覆った状態で点灯させる
ことによって、異なる色温度の光を得るようにしてもよ
い。あるいは、例えば、色温度の異なる3種類以上の光
源を用い、これらのうちから2種類以上の光源を選択し
同時に点灯して混光するようにし、この光源の組み合わ
せを変えることにより、得られる光の分布が異なるよう
にすることもできる。3種類の光源を用いる場合に、い
ずれか1種類のみを用いる場合ならびに3種類すべてを
用いる場合も含めると、光源の組み合わせは計7通りと
なる。さらにこの場合、3種類の光源を赤色光、緑色光
および青色光にそれぞれ対応させておくと、可視光領域
内で広範に光色を変化させることができる。
整する以外にも、例えば図13に示すように、連続的に
光を調整し得るようにしてもよい。同図に示す例では、
低色温度の第1の直管形蛍光管1と、高色温度の第2の
直管形蛍光管2とで構成される蛍光灯L2が、コントロ
ーラC1に接続されている。該第1および第2の直管形
蛍光管1、2のそれぞれは、インバータによる周波数制
御で連続的に発光レベルを調整し得るようになってお
り、該コントローラC1のツマミ10を下端から上端ま
で上昇させると、第1の直管形蛍光管1の発光レベルが
100%〜0%まで連続的に下降するとともに、第2の
直管形蛍光管2の発光レベルが0%〜100%まで連続
的に上昇するようになっている(なおここではオン/オ
フ用スイッチは図示省略)。これにより、低色温度光か
ら高色温度光へ(あるいはこれとは逆に)漸次切り換え
ることができ、したがって、室内の光環境を、低色温度
光を多く含む状態と高色温度光を多く含む状態との間で
連続的に調整することができる。このような連続的な調
整方法によれば、視覚の順応特性に合わせて光環境を穏
やかに変化させることができ、快適性をより向上させる
ことができる。
スイッチS1には、例えば、第1および第2の蛍光管
1、2の各々の点灯位置に、「夜」、「朝/昼」等の表
示をそれぞれ付しておくようにしてもよい。本発明にお
いては、例えば夜間には低色温度の第1の蛍光管1を点
灯し、朝/昼には高色温度の第2の蛍光管2を点灯する
ようにするが、このとき、例えば高低や強弱等の別を示
す表示だけであると、各時間帯に点灯すべき光源がそれ
ぞれ正しく選択されず誤操作が生じることとなりやすい
きらいがあるが、前記のように昼夜の別を示す表示を付
すことにより、このような誤操作を少なくすることがで
きる。
の操作のうち、少なくとも一部を自動的に行うように制
御するようにしてもよい。照明の消灯の場合は、その時
刻は通例は一定でないため、スイッチ、リモコン等で手
動により操作する方が一般には望ましいが、照明の点灯
ないし調整の場合はその時刻がほぼ一定であることが多
いため、この操作を自動制御により行うことが有利な場
合もある。特に、特定時刻で光源を切り換えるような場
合、即ち、例えば日没時に高色温度の第2の光源から低
色温度の第1の光源に切り換えるような場合には、その
時刻を一定とすることが比較的容易であるが、この操作
を手動により行うとすると、操作自体を忘れやすく、ま
た面倒である。これに対し、前記のような自動制御によ
れば、照明の点灯ないし調整の操作を、手間なく、確実
かつ正確に行うことができる。
刻に応じて照明の点灯または調整の操作を自動制御する
方法が挙げられる。具体的には、例えば、所望の照明ス
ケジュールに従ってタイマを設定しておき、設定時刻に
自動的に照明の点灯または調整がなされるようにすれば
よい。
変動に応じて照明の点灯または調整の操作を自動制御す
る方法が挙げられる。具体的には、例えば、屋外に光セ
ンサを配設し、該光センサにより屋外の明るさの変動時
期を検知して、この変動時期に自動的に照明の点灯また
は調整がなされるようにすればよい。
記したように連続的に光が調整されるようにすることが
より望ましい。例えば光センサを用いる場合、屋外の明
るさの増減に従って連続的に光が調整されるようにする
ことが例示される。
方法としても、光源の構成により種々の方法が可能であ
り、また、段階的な調整と連続的な調整とがいずれも可
能であり、さらにまた、手動制御と自動制御とがいずれ
も可能である。例えば、図14に示すように、色温度の
異なる複数種類の光源1、2から構成される照明器具L
3において、それぞれの種類の光源1/2を、さらに同
一色温度の複数の光源1、1、1/2、2、2で構成し
ておき、これらのうちで点灯する光源の数を増減するこ
とにより、照度のみを段階的に調整するようにすること
もできる。また、例えば、白熱灯と色温度変換フィルタ
とを組み合わせて色温度の調整が可能な光源を構成する
と(図示せず)、単一の白熱灯で容易に照度を段階的ま
たは連続的に調整することができる。
屋外における明るさの昼夜変動といった、外部の自然的
な因子(以下、自然的因子と称す)とは無関係に、社会
的因子に従って設定するようにしてもよい。
外界の日周変化に従って営まれるものであり、従って基
本的には、人の生活パターンは明暗等の日周変化に合致
したものとなるはずのものである。このような合致が成
立しているような場合には、ヒトの生体リズムの位相
も、明暗等の変動のリズムに一致していると考えられ、
したがって、照明スケジュールを自然的因子に従って設
定しても特に問題はないと考えられる。
には、上記のような自然的な要因よりも、むしろ社会的
な要因により大きく左右されるものであり、明暗等の日
周変化との間に大きなズレがあるような場合も少なくな
い。例えば、人によっては、暗い時間帯に活動し、明る
い時間帯には睡眠するような生活パターンを日常的に繰
り返すこともある。ヒトの生体リズムは、自然的因子だ
けでなく社会的因子にも基づいて調整されるものである
から、上記のような変則的な生活パターンが恒常化して
いった場合、生体リズムの位相も、これに影響を受けて
多少なりとも変動を生じてくることが考えられる。この
ような場合、自然的因子のみに従って設定した照明スケ
ジュールでは、実際の生活パターンだけでなく、人の生
理面にも適合しきれないものと考えられる。
パターン、即ち社会的因子に従って設定すると、生体リ
ズムに変動が生じていると考えられるような場合にも、
これに適合した照明スケジュールとすることができ、し
たがって生理面からみても望ましいと考えられる。
従って設定した照明スケジュールの一例が示されてい
る。同図に示す例では、前記図1に示した例の場合と比
較すると、生活パターンが全体として遅い時間帯へ移行
したものとなっている。即ち、ここに示す例における夜
間の点灯時間帯t11−t12および朝の点灯時間帯t
13−t14は、前記図1の例における夜間の点灯時間
帯t1−t2および朝の点灯時間帯t3−t4よりも、
それぞれ遅い時間帯に設定されている。
t12および朝の点灯時間帯t13−t14には、前記
図1の例の場合と同様の第1の蛍光管1および第2の蛍
光管2をそれぞれ点灯するようにしている。ここで、朝
の点灯時刻t13は正午前となっているが、該時刻t1
3までは睡眠時間となっており、この睡眠時間の間はブ
ラインドで昼光を遮断してできるだけ室内を暗くするよ
うにしている。
うに外部の日周変化よりも遅いものであるが、このよう
な生活パターンが恒常化してくると、生体リズムにおけ
る沈静化期P1および活動化期P2も、この生活パター
ンに影響されて、外部の明暗の変動のリズムとの間に多
少のズレが生じてくることが考えられる。特に、活動化
期P2に関して、屋外における明暗の昼夜変動との間の
ズレが大きくなっていると考えられる。ここに例示した
照明スケジュールでは、外部の日周変化ではなく生活パ
ターンに従って設定されており、沈静化期P1および活
動化期P2のそれぞれに合わせて適正な照明がなされる
ようになっている。
ールを社会的因子に従って設定する場合に、照明の点灯
ないし調整の操作を自動的に行うように制御するには、
例えば前記と同様に、タイマを設定しておくことによ
り、設定時刻に自動的に照明の点灯または調整がなされ
るようにすればよい。
れるスペースであれば任意のスペースに適用することが
できるが、特に、一日の大半の時間を人が起居すること
が多いようなスペース、例えば、戸建住宅、集合住宅等
の住居、ホテル、旅館等の宿泊施設、病院、療養所等の
医療施設、長距離運行用の交通機関(自動車、鉄道車
両、航空機、船舶等)等のスペースに好適に適用するこ
とができる。
載の人工照明計画方法によれば、ヒトの生体リズムにお
ける沈静化期には低色温度の第1の光源を点灯し、前記
ヒトの生体リズムにおける活動化期には高色温度の第2
の光源を点灯するので、ヒトの生体リズムに応じた適正
な光環境を得ることができる。
的に好適な光環境を提供し得るものであるが、なかで
も、例えば高齢者や身障者のように行動に制約を受けて
いる人々、あるいは生活上の利便性を優先させている都
市生活者等のように、従来は光環境への配慮がとりわけ
不十分となりがちであった人々に対して、特に有用なも
のである。
の人工照明計画方法によれば、前記第1の光源を低発光
レベルで点灯し、第2の光源を高発光レベルで点灯する
ので、生体リズムの振幅を確保する上でもより望まし
く、したがって生理的にさらに好適な光環境を得ること
ができる。
図。
示す模式図。
する赤色光、緑色光および青色光の影響を示すグラフ
図。
する高色温度光および低色温度光の影響を示すグラフ
図。
青色光(1000lx)の影響を示すグラフ図。
青色光(2500lx)の影響を示すグラフ図。
および青色光の影響を示すグラフ図。
器具の一例を示す模式図。
Claims (2)
- 【請求項1】 ヒトの生体リズムに応じて光環境を人工
的に調節する人工照明計画方法であって、 前記ヒトの生体リズムにおける沈静化期には低色温度の
第1の光源を点灯し、前記ヒトの生体リズムにおける活
動化期には高色温度の第2の光源を点灯することを特徴
とする人工照明計画方法。 - 【請求項2】 前記第1の光源を低発光レベルで点灯
し、第2の光源を高発光レベルで点灯することを特徴と
する請求項1に記載の人工照明計画方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10271799A JP2000294385A (ja) | 1999-04-09 | 1999-04-09 | 人工照明計画方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10271799A JP2000294385A (ja) | 1999-04-09 | 1999-04-09 | 人工照明計画方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000294385A true JP2000294385A (ja) | 2000-10-20 |
Family
ID=14335028
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10271799A Pending JP2000294385A (ja) | 1999-04-09 | 1999-04-09 | 人工照明計画方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000294385A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1999
- 1999-04-09 JP JP10271799A patent/JP2000294385A/ja active Pending
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