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JP2000171560A - 車両の巻き込み防止装置 - Google Patents

車両の巻き込み防止装置

Info

Publication number
JP2000171560A
JP2000171560A JP10361972A JP36197298A JP2000171560A JP 2000171560 A JP2000171560 A JP 2000171560A JP 10361972 A JP10361972 A JP 10361972A JP 36197298 A JP36197298 A JP 36197298A JP 2000171560 A JP2000171560 A JP 2000171560A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
turning
future
steering angle
obstacle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10361972A
Other languages
English (en)
Inventor
Akinori Horiguchi
明伯 堀口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Isuzu Motors Ltd filed Critical Isuzu Motors Ltd
Priority to JP10361972A priority Critical patent/JP2000171560A/ja
Publication of JP2000171560A publication Critical patent/JP2000171560A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 旋回開始から定常旋回に至るまでの過渡時に
おいても旋回軌跡を正確に予測して危険領域を設定でき
る車両の巻き込み防止装置を提供する。 【解決手段】 車両の巻き込み防止装置は、操舵角検出
手段によって検出された実舵角と車速検出手段によって
検出された速度に基づいて車両の将来旋回軌跡を演算す
る将来旋回軌跡演算部と、将来旋回軌跡演算部によって
算出された将来旋回軌跡に基づいて車両が所定時間後に
通過する危険領域を設定する危険領域設定部と、車両周
辺を認識するためのスキャン式レーダ手段と、スキャン
式レーダ手段によって捕捉した障害物を認識する障害物
認識部と、障害物認識部によって認識された障害物が該
危険領域に存在するか否かを判別する判定部とを有する
制御手段を具備している。将来旋回軌跡演算部は、実舵
角から実舵角速度を求め、実舵角と実舵角速度および車
速に基づいて車両の将来旋回軌跡を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラック等の車両
が走行中に折曲する際に人体等の障害物を巻き込む事故
を防止するための車両の巻き込み防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両が走行中に折曲する際に前輪の旋回
軌跡と後輪の旋回軌跡とは異なり、後輪の旋回軌跡は前
輪の旋回軌跡より内側にくる。この前輪の旋回軌跡と後
輪の旋回軌跡との差は、トラック等ホイールベースの長
い車両ほど大きく、折曲する際に人等の障害物と接触し
たり巻き込む事故が発生し易い。特に、運転室の右側に
運転席が配置された車両は左側後輪部の見え難いため、
運転者は特に左折時には左側後輪部を確認しつつ慎重に
運転する必要がある。このような問題を解決するため
に、車両の折曲時に車両に接近する障害物を検出し、危
険度が高い状態になったとき警報して運転者の注意を喚
起するようにした提案が特開平5ー266400号公
報、特開平7ー291064公報等に開示されている。
【0003】上記特開平5ー266400号公報には、
操舵角を検出し、この検出した操舵角から車両が走行す
る範囲内を想定算出し、この範囲内に障害物を検出した
とき警報する車両の障害物検出方式が開示されている。
また、上記特開平7ー291064公報には、操舵角と
車両速度とを検出し、この検出した操舵角と車両速度に
基づいて危険ゾーンを算出し、この危険ゾーンに障害物
を検出したとき警報する車両の警報装置が開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】而して、上記各公報に
開示された技術は、車両の折曲時に車両が定常旋回して
いることを前提として旋回軌跡を算定している。しかし
ながら、車両を旋回させようとする場合、運転者がステ
アリングハンドルをある回転加速度で回しながら旋回し
ているため、旋回開始から定常旋回に至るまでの過渡時
における旋回軌跡は定常旋回時の旋回軌跡と異なる。従
って、車両が定常旋回していることを前提として旋回軌
跡を算定している上記各公報に開示された技術では、旋
回開始から定常旋回に至るまでの過渡時における旋回軌
跡を算定することができない。このため、危険ゾーンの
設定を正確に行うことが困難であり、従って、安全の観
点から危険ゾーンを広めに設定することになる。危険ゾ
ーンを広めに設定すると、危険度が低いときでも警報が
発せられるため煩わしく、運転者は危険度が高いときで
も注意を怠りがちになる。
【0005】本発明は上記事実に鑑みてなされたもの
で、その主たる技術的課題は、旋回開始から定常旋回に
至るまでの過渡時においても旋回軌跡を正確に予測して
危険領域を設定することができる車両の巻き込み防止装
置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記主
たる技術的課題を解決するために、操舵装置の操舵角を
検出する操舵角検出手段と、車両の走行速度を検出する
車速検出手段と、該操舵角検出手段によって検出された
実舵角と該車速検出手段によって検出された速度に基づ
いて車両の将来旋回軌跡を演算する将来旋回軌跡演算部
と、該将来旋回軌跡演算部によって算出された将来旋回
軌跡に基づいて車両が所定時間後に通過する危険領域を
設定する危険領域設定部と、車両周辺を認識するための
スキャン式レーダ手段と、該スキャン式レーダ手段によ
って捕捉した障害物を認識する障害物認識部と、該障害
物認識部によって認識された障害物が該危険領域に存在
するか否かを判別する判定部と、を有する制御手段と、
該判定部によって障害物が該危険領域に存在するとき警
報する警報手段と、を具備し、該制御手段の該将来旋回
軌跡演算部は、該実舵角から実舵角速度を求め、該実舵
角と該実舵角速度および該車速に基づいて車両の将来旋
回軌跡を演算する、ことを特徴とする車両の巻き込み防
止装置が提供される。
【0007】上記将来旋回軌跡演算部は、実舵角速度か
ら所定時間刻みの舵角を積分して算出し、該算出された
舵角に基づいて旋回半径を求め、該旋回半径から車両の
将来旋回軌跡を演算する。上記危険領域設定部は、上記
将来旋回軌跡および上記車速検出手段によって検出され
た車速に基づいて車両が所定時間後に通過する危険領域
を設定する。上記車両障害物認識部は、複数回の計測か
ら該障害物の移動速度ベクトルを演算する。また、車両
を停止する車両停止手段を具備し、上記危険領域設定部
は危険度が高い第1の危険領域と危険度が次に高い第2
の危険領域を設定し、上記判定部によって該障害物が該
第2の危険領域に存在すると判定したとき該警報手段を
作動し、上記判定部によって該障害物が該第1の危険領
域に存在する判定したときには該車両停止手段を作動す
ることが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従って構成された
車両の巻き込み防止装置の好適実施形態を図示している
添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0009】図1には本発明に従って構成された車両の
巻き込み防止装置のブロック図が示されており、図2に
は図1に示す巻き込み防止装置を装備した車両が示され
ている。図2に示す車両2は、前輪2aが1軸で後輪2
bが2軸の一般的な商業車である。車両2は図示の実施
形態においては、運転室2cの左側後部に車両周辺を認
識するためのスキャニング・レーザ・レーダ3が配設さ
れている。このスキャニング・レーザ・レーダ3は、広
範囲の探査範囲を有するものが用いられる。なお、スキ
ャニング・レーザ・レーダ3は、高さ方向の検知能力は
なく、地上より特定高さにある物体を検知することが可
能である。また、車両2には、ステアリングハンドル操
舵角を検出する操舵角センサ4と、車両の走行速度を検
出する車速センサ5と、車両が旋回しているときの回転
速度を検出するヨーレートセンサ6が配設されている。
【0010】図示の実施形態における車両2は、制御手
段7を具備している。制御手段7は上記スキャニング・
レーザ・レーダ3によって走査された画像から物体を認
識する障害物認識部71と、上記操舵角センサ4、車速
センサ5およびヨーレートセンサ6等からの検出信号に
基づいて車両の将来旋回軌跡を演算する将来旋回軌跡演
算部72と、上記障害物認識部71と将来旋回軌跡演算
部72からのデータに基づいて車両が所定時間後に通過
する危険領域を設定する危険領域設定部73と、上記障
害物認識部71によって認識された障害物が該危険領域
に存在するか否かを判別する判定部74とを具備してい
る。また、図示の実施形態における車両2は、制御手段
7によって作動制御される警報手段8および車両停止手
段9を備えている。なお、警報手段8は、図示の実施形
態においては音声による聴覚的警報手段81と、視覚的
警報手段82とを備えている。また、車両停止手段9
は、車両の制動装置を強制的に作動せしめるための手段
である。
【0011】上記スキャニング・レーザ・レーダ3によ
り出力される結果は、物体のある一部分(点)より反射
したレーザの方向と、その距離の情報が得られる。例え
ば、図3に示すように車両2が交差点を左折しようとし
ている場合、車両の左側方にオートバイ10a、信号機
10b、歩行者10cが図示のような状況にあるとする
と、スキャニング・レーザレーダ3は図4に示すような
測定ポイントの検出情報を得ることができる。このよう
にスキャニング・レーザ・レーダ3によって検出された
情報を制御手段7の障害物認識部71が物体認識する。
障害物認識部71は、図5に示すようにスキャニング・
レーザ・レーダ3によって検出されたポイントで互いに
近いものをグルーピングし、予め車両等の大きさを把握
しておき、それと比較して車両か障害物かを判定する。
また、障害物認識部71は、上記のようにグルーピング
したポイント群にラベルを付け、スキャニング・レーザ
・レーダ3からの次のサンプリング情報で新たにグルー
ピングしたものとを比較しながら、ラベリングされた物
体の移動量を算出する。このサンプリング周期を短くす
ることにより、物体の絶対的な移動の速度ベクトルを算
出することができる。
【0012】次に、上記将来旋回軌跡演算部72による
車両3の将来旋回軌跡を予測する方法について図6を参
照して説明する。車両2のホイールベースをLとする
と、車両2の定常回転中における後輪の旋回半径は、幾
何学的に次の(1)式で求めることができる。 但し、ρは旋回半径、δは実舵角、Vは車速、Aはスタ
ビリティファクタ、cは補正項である。なお、後車軸が
1軸の小型乗用車や図6に示すように車両の前輪および
後輪の旋回中心が1点になる、所謂アッカーマンステア
リングジオメトリが成立している一般的な商業車の場合
は、補正項cは必要なく、この場合補正項cは1とな
る。一方、商業車の場合は車輪軸も多くなり、アッカー
マンステアリングジオメトリが成立している車両は少な
い。低速領域ではホイールベース或いは実舵角に補正項
cを掛けることで、略上記(1)式を満足することが実
験的に確かめられている。従って、車両個々にホイール
ベースに対する補正項cを求める必要がある。これに
は、実車による旋回軌跡を計測し、上記(1)式と比較
して補正項cを求めてもよいし、高精度の車両運動方程
式によるシミュレーション結果と比較して補正項cを求
めてもよい。以上のようにして、車両旋回時の後輪の旋
回半径ρを求めることにより、車両2の将来旋回軌跡を
予測することができる。
【0013】ここで、図7に示すトラクタ20およびト
ラクタ20によって牽引されるトレーラ22の将来旋回
軌跡を予測する方法について説明する。トラクタ20の
前輪20a軸から後輪20b軸までの長さであるトラク
タ20のホ イールベースをL1とすると、トラクタ2
0の定常回転中における後輪の旋回半径ρ1 は、幾何学
的に次の(2)式で求めることができる。 但し、δは実舵角、Vは車速、Aはスタビリティファク
タ、cは補正項である。また、トラクタ20とトレーラ
22を連結するキングピン21からトレーラ22の後輪
22b軸までの長さであるトレーラ22のホイールベー
スをL2とし、トラクタ20の後輪20b軸から上記キ
ングピン21までの長さであるキングピンオフセットを
aとすると、トレーラ22の定常回転中における後輪の
旋回半径ρ2 は、幾何学的に次の(3)式で求めること
ができる。
【0014】一方、旋回開始から定常旋回に至るまでの
過渡時における旋回軌跡は定常旋回時の旋回軌跡と異な
る。即ち、車両3を旋回させようとする場合、運転者は
ステアリングハンドルをある回転角速度で回しながら旋
回するため、上記(1)、(2)、(3)式を用いて直
接的に将来旋回軌跡を求めることはできない。従って、
定常旋回に至るまでの過渡時における旋回軌跡を予測す
ることが望ましい。以下、定常旋回に至るまでの過渡時
における旋回軌跡を予測について説明する。時刻tにお
いて実舵角δ(なお、実舵角δは操舵角センサ4によっ
て検出されるステアリングハンドル操舵角に対応してい
る)、車速Vであるとすると、次の時間刻みΔt の間は
定常的な旋回をしていると仮定し、実舵角δと車速Vに
より上記(1)式により旋回半径ρを求め、この旋回半
径ρと上記ヨーレートセンサ6によって検出されたヨー
レートrによってr・Δt の角度だけ軌跡を求めること
ができる。なお、ヨーレートは車両旋回時の回転速度で
あり、車速Vと旋回半径ρから求めてもよい(r=V・
ρ)。更に、次の時間刻みΔt では、時刻tでの実舵角
δの微分値をdδとすれば、実舵角δはδ+dδ・Δt
となり、これを用いて新たに旋回半径ρを求めることが
できる。これを繰り返すことによって定常旋回に至るま
での過渡時における旋回半径ρを、図8に示すようにρ
1,ρ2,ρ3,ρ4のように求めることができる。
【0015】次に、上記危険領域設定部73による車両
が所定時間後に通過する危険領域の設定について説明す
る。本発明における危険領域とは、旋回する車両が特定
時間後に通過する範囲である。従って、この危険領域
は、基本的には上述した車両の将来旋回軌跡予測にて算
出された車両の後輪の将来旋回軌跡と車両の旋回速度に
基づいて算出される。先ず、特定時間後に車両の後輪の
到達する位置が上述した車両の将来旋回軌跡予測により
算出され、そのときの後輪の位置から幾何学的にそのと
きの車両全体が占める範囲も算出することができる。即
ち、図9に示すように特定時間T0 秒後に車両が通過す
る範囲が危険度が高い第1の危険領域E1であり、T0
+T1 秒後に通過する範囲が危険度が次に高い第2の危
険領域E2であり、更に、T0 +T1 +T2 秒後に通過
する範囲が危険度が低い第3の危険領域E3となる。し
かしながら、車両近傍にある物体が突然車両に近づく可
能性もあり、このことを考慮して車両より一律D0 以内
は危険度が高い第1の危険領域E1 とし、D0 +D1 の
範囲は次に高い第2の危険領域E2 とする。
【0016】次に、上記判定部74による危険度の判定
について説明する。上記障害物認識部71によって認識
された障害物が特定時間T0 秒後に上記第1の危険領域
E1 に存在するする場合は、衝突する可能性があるので
危険度大と判定する。また、障害物認識部71によって
認識された障害物が特定時間T0 +T1 秒後に上記第2
の危険領域E2に存在するする場合は危険度中と判定
し、障害物認識部71によって認識された障害物が特定
時間T0 +T1 +T2 秒後に上記第3の危険領域E3に
存在する場合は危険度小と判定する。なお、この判定に
おいて、障害物認識部71によって認識された障害物が
移動していることも考慮して、上述した物体認識で算出
された移動速度ベクトルにより、特定時間後の位置を算
出して、危険領域との干渉を判定する。
【0017】次に、制御手段7の動作を図10および図
11に示すフローチャートをも参照して説明する。制御
手段7は、上記操舵角センサ4によって検出された実舵
角δ(なお、実舵角δは操舵角センサ4によって検出さ
れるステアリングハンドル操舵角に対応している)を入
力しこれをメモリに格納する(ステップS1)するとと
もに、この実舵角δの微分値である実舵角速度dδをメ
モリに格納する(ステップS2)。また、制御手段7
は、上記車速センサ5によって検出された車速vおよび
上記ヨーレートセンサ6によって検出されたヨーレート
rをメモリに格納する(ステップS3およびステップS
4)。このようにして、車両の運転状態を検出したなら
ば制御手段7は、ステップS5に進んで車速Vが所定車
速V0 より小さいか否か、即ち車両が折曲するために低
速になっているか否かをチェックする。車速vが所定車
速V0以上であれば折曲しないものと判断して上記ステ
ップS1に戻る。車速Vが所定車速V0 より低速の場合
は、制御手段7はステップS6に進んで実舵角速度dδ
または実舵角δが所定の実舵角速度dδ0 または所定の
実舵角d0より大きいか否か、即ち車両が折曲している
状態か否かをチェックする。実舵角速度dδまたは実舵
角δが所定の実舵角速度dδ0 または所定の実舵角d0
以下の場合は車両が折曲状態でないと判断して上記ステ
ップS1に戻る。実舵角速度dδまたは実舵角δが所定
の実舵角速度dδ0 または所定の実舵角d0 より大きい
場合は、制御手段7は車両が旋回状態であると判断して
ステップS7に進んで車両の将来旋回軌跡を算出する。
この将来旋回軌跡は、将来旋回軌跡演算部72によって
上述したように算出する。
【0018】ここで、旋回開始から定常旋回に至るまで
の過渡時における旋回軌跡について図12に示す一般的
な商業車の説明図および図13、図14に示すフローチ
ャートを参照して説明する。定常旋回に至るまでの過渡
時における車両の後輪の将来旋回軌跡を算出する座標系
について、図12を用いて説明する。後輪の位置に原点
がある座標系(X,Y)を仮定する。図12において
(Xn ,Yn )は、n番目の後輪の将来位置を示してい
る。n番目の後輪の旋回半径ρn は、次の(4)式で求
めることができる。 但し、ρn は旋回半径、Lはホイールベース、Vは車
速、Aはスタビリティファクタ,δn は実舵角δと実舵
角速度dδより計算されるn番目の舵角である。図11
において、θn はX−Y座標系に対する車両のn番目の
傾き(旋回角度)を示している。これらの記号を用い定
常旋回に至るまでの過渡時における旋回軌跡について図
13および図14に示すフローチャートを参照して説明
する。
【0019】制御手段7の将来旋回軌跡演算部72は、
先ずステップP1において、それぞれのパラメータの初
期値を設定する。なお、(CXn , CYn )は、n番目
の旋回中心であり、初期の状態では(0,ρn )という
ことになる。ステップP1において初期設定したならば
将来旋回軌跡演算部72は、ステップP2においてnを
インクリメントし、ステップP3に進んで旋回する車両
のn番目の旋回角度θn を求める(θn =θn-1 +r・
Δt )。次に、将来旋回軌跡演算部72はステップP4
に進んで、ステップP3で求めたn番目の旋回角度θn
がπ/2以下か否か、即ち車両の旋回角度θn が90°
以下か否かをチェックする。車両の旋回角度θn が90
°より大きい場合は車両が交差点を曲がりきったと判断
して、上記図10および図11に示すフローチャートの
ステップS8に移行する。車両の旋回角度θn が90°
以下の場合は車両が交差点を曲がりきっていないと判断
して、将来旋回軌跡演算部72はステップP5に進ん
で、実舵角速度dδからn番目の舵角δn を積分して算
出する(δn =δn-1 +dδ・Δt)。なお、このとき
のΔt は最小時間刻みとする。
【0020】上記のようにしてn番目の舵角δn を算出
したならば、将来旋回軌跡演算部72はステップP6に
進んで、(δn ×δn-1 )が零(0)以下か否か、即ち
舵角がn−1番目の舵角と符号が反転したか否かをチェ
ックする。舵角がn−1番目の舵角と符号が反転した場
合には、将来旋回軌跡演算部72はそれ以上旋回してい
ないと判断して、将来旋回軌跡演算部72はステップP
7に進んでステップP7乃至ステップP10を実行す
る。即ち、nがNmax になるまで、車両が直線的に進む
ものとして、後輪の将来旋回軌跡のX−Y座標位置(X
n =Xn-1 +(Xn-1 −Xn-2 ), Yn =Yn-1 +(Y
n-1 −Yn-2 ))を計算し、nがNmax に達したならば
上記図10および図11に示すフローチャートのステッ
プS8に移行する。
【0021】上記ステップP6において、舵角がn−1
番目の舵角と符号が反転していない場合は、将来旋回軌
跡演算部72は旋回中であると判断して、ステップP1
1に進んでn番目の舵角δn からn番目の後輪の旋回半
径ρn を上記(2)式から算出する。そして、将来旋回
軌跡演算部72はステップP12に進んでステップP1
2およびステップP13を実行する。即ち、n−1番目
の旋回半径ρn-1 およに旋回中心CXn-1 と、n番目の
車両の旋回角度θn から、n番目の車両後輪の将来旋回
軌跡のX−Y座標位置(Xn =ρn-1 ・sin(θn)+CX
n-1 , Yn =ρn-1 ・cos(θn)+CYn-1 )を算出す
る。この算出結果を車両後輪の将来旋回軌跡のデータと
してメモリに格納しておく。次に、将来旋回軌跡演算部
72はステップP14に進んでステップP14乃至ステ
ップP16を実行する。即ち、n番目の旋回中心のX−
Y座標位置を、n番目の後輪の将来旋回軌跡位置とn−
1番目の旋回中心から算出する(CXn =( 1−α)・
Xn +α・CXn-1 , CYn=( 1−α)・Yn +α・
CYn-1 )。このようにしてn番目の旋回中心を算出し
たならば、将来旋回軌跡演算部72は上記ステップP2
に戻ってステップP2乃至ステップP16を繰り返し実
行する。
【0022】以上のようにして上記ステップS7の将来
旋回軌跡算出のサブルーチンであるステップP1乃至ス
テップP16を実行したならば、制御手段7はステップ
S8に進んで危険領域を設定する。この危険領域の設定
は、上述したように危険領域設定部73によって上記第
1の危険領域E1、第2の危険領域E2、第3の危険領
域E3に設定される。
【0023】次に、制御手段7はステップS9に進んで
上述したようにスキャニング・レーザレーダ3によって
検出された情報に基づき障害物認識部71が物体認識す
る。この物体認識においてした物体認識された個数をm
個とする。そして、制御手段7はステップS10および
ステップS11を実行しn=1番目の認識物体がm個に
達したか否かをチェックする。1番目の認識物体はm個
に達していないので、制御手段7はステップS12に進
んでn番目の認識物体のΔt 秒後の位置を移動速度ベク
トルより算出する。この認識物体のΔt 秒後の位置は、
上述したように障害物認識部71によって算出される。
【0024】ステップS12において認識物体のΔt 秒
後の位置を算出したならば、制御手段7はステップS1
3乃至ステップS19を実行して危険度の判定を行う。
この危険度の判定は、上述したように上記判定手段74
によって行われる。判定部74は、先ずステップS13
において危険度大か否か、即ち上記障害物認識部71に
よって認識された障害物が特定時間T0 秒後に上記第1
の危険領域E1 に存在するか否かを判定する。障害物が
第1の危険領域E1 に存在するする場合は衝突する可能
性があるので危険度大と判定し、ステップS14に進ん
で上記車両停止手段9を作動し車両を停止して終了す
る。ステップS13において障害物が第1の危険領域E
1 に存在しない場合には、判定手段74はステップS1
5に進んで危険度中か否か、即ち上記障害物認識部71
によって認識された障害物が特定時間T0 +T1 秒後に
上記第2の危険領域E2に存在するか否かを判定する。
障害物が第2の危険領域E2に存在するする場合は危険
度中と判定し、ステップS16に進んで上記聴覚的警報
手段81を作動し運転者に危険状態にあることを警告す
る。ステップS15において障害物が第2の危険領域E
2に存在しない場合には、判定部74はステップS17
に進んで危険度小か否か、即ち上記障害物認識手段71
によって認識された障害物が特定時間T0 +T1 +T2
秒後に上記第3の危険領域E3に存在するるか否かを判
定する。障害物が第3の危険領域E3に存在するする場
合は危険度中と判定し、ステップS18に進んで上記視
覚的警報手段82を作動し運転者に警報する。このよう
にして、危険度の判定を実行したならば、制御手段7は
ステップS19に進んでnをインクリメントして上記ス
テップS11に戻り、物体認識の個数m分だけステップ
S11乃至ステップS19を実行した後、上記ステップ
S1に戻る。
【0025】
【発明の効果】本発明による車両の巻き込み防止装置は
以上のように構成されているので、以下に述べる作用効
果を奏する。
【0026】即ち、将来旋回軌跡演算部は、実舵角から
実舵角速度を求め、実舵角と実舵角速度および車速に基
づいて車両の将来旋回軌跡を演算するので、旋回開始か
ら定常旋回に至るまでの過渡時においても旋回軌跡を正
確に予測することができる。従って、安全の観点から危
険領域を広めに設定する必要がなく、危険ゾーンを広め
に設定することによって生ずる危険度が低いときでも警
報が発せられるという不都合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された巻き込み防止装置を
装備した車両の概略平面図。
【図2】本発明に従って構成された巻き込み防止装置の
ブロック図。
【図3】図1に示す車両が交差点を左折する状態を示す
説明図。
【図4】図3に示す車両の左折する状態において車両に
装備されたスキャニング・レーザ・レーダによって検出
された物体の測定ポイントを示す説明図。
【図5】図4に示すように物体の測定ポイントをグルー
ピングするとともに物体の移動速度ベクトルを示す説明
図。
【図6】図1に示す車両の旋回時における将来旋回軌跡
を説明するための説明図。
【図7】トタクタとトラクタに牽引されるトレーラの旋
回時における将来旋回軌跡を説明するための説明図。
【図8】図1に示す車両の旋回開始から定常旋回に至る
までの過渡時における将来旋回軌跡を説明するための説
明図。
【図9】図1に示す車両の旋回時における危険領域を説
明するための説明図。
【図10】本発明に従って構成された巻き込み防止装置
を構成する制御手段の動作手順を示す一部フローチャー
ト。
【図11】本発明に従って構成された巻き込み防止装置
を構成する制御手段の動作手順を示す一部フローチャー
ト。
【図12】図1に示す車両の旋回開始から定常旋回に至
るまでの過渡時における将来旋回軌跡と旋回中心を説明
するための説明図。
【図13】本発明に従って構成された巻き込み防止装置
を構成する制御手段の旋回開始から定常旋回に至るまで
の過渡時における将来旋回軌跡を演算する動作手順を示
す一部フローチャート。
【図14】本発明に従って構成された巻き込み防止装置
を構成する制御手段の旋回開始から定常旋回に至るまで
の過渡時における将来旋回軌跡を演算する動作手順を示
す一部フローチャート。
【符号の説明】
2:車両 2a:前輪 2b:後輪 3:スキャニング・レーザ・レーダ 4:操舵角センサ 5:車速センサ 6:ヨーレートセンサ 7:制御手段 71:障害物認識部 72:将来旋回軌跡演算部 73:危険領域設定部 74:判定部 8:警報手段 81:聴覚的警報手段 82:視覚的警報手段 9:車両停止手段 20:トラクタ 20a:トラクタの前輪 20b:トラクタの後輪 21:キングピン 22:トレーラ 22b:トレーラの後輪
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月22日(1999.1.2
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】次に、上記将来旋回軌跡演算部72による
車両3の将来旋回軌跡を予測する方法について図6を参
照して説明する。車両2のホイールベースをLとする
と、車両2の定常回転中における後輪の旋回半径は、幾
何学的に次の(1)式で求めることができる。
【数1】 但し、ρは旋回半径、δは実舵角、Vは車速、Aはスタ
ビリティファクタ、cは補正項である。なお、後車軸が
1軸の小型乗用車や図6に示すように車両の前輪および
後輪の旋回中心が1点になる、所謂アッカーマンステア
リングジオメトリが成立している一般的な商業車の場合
は、補正項cは必要なく、この場合補正項cは1とな
る。一方、商業車の場合は車輪軸も多くなり、アッカー
マンステアリングジオメトリが成立している車両は少な
い。低速領域ではホイールベース或いは実舵角に補正項
cを掛けることで、略上記(1)式を満足することが実
験的に確かめられている。従って、車両個々にホイール
ベースに対する補正項cを求める必要がある。これに
は、実車による旋回軌跡を計測し、上記(1)式と比較
して補正項cを求めてもよいし、高精度の車両運動方程
式によるシミュレーション結果と比較して補正項cを求
めてもよい。以上のようにして、車両旋回時の後輪の旋
回半径ρを求めることにより、車両2の将来旋回軌跡を
予測することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】ここで、図7に示すトラクタ20およびト
ラクタ20によって牽引されるトレーラ22の将来旋回
軌跡を予測する方法について説明する。トラクタ20の
前輪20a軸から後輪20b軸までの長さであるトラク
タ20のホ イールベースをL1とすると、トラクタ2
0の定常回転中における後輪の旋回半径ρ1 は、幾何
学的に次の(2)式で求めることができる。
【数2】 但し、δは実舵角、Vは車速、Aはスタビリティファク
タ、cは補正項である。また、トラクタ20とトレーラ
22を連結するキングピン21からトレーラ22の後輪
22b軸までの長さであるトレーラ22のホイールベー
スをL2とし、トラクタ20の後輪20b軸から上記キ
ングピン21までの長さであるキングピンオフセットを
aとすると、トレーラ22の定常回転中における後輪の
旋回半径ρ2 は、幾何学的に次の(3)式で求めるこ
とができる。
【数3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】ここで、旋回開始から定常旋回に至るまで
の過渡時における旋回軌跡について図12に示す一般的
な商業車の説明図および図13、図14に示すフローチ
ャートを参照して説明する。定常旋回に至るまでの過渡
時における車両の後輪の将来旋回軌跡を算出する座標系
について、図12を用いて説明する。後輪の位置に原点
がある座標系(X,Y)を仮定する。図12において
(Xn ,Yn )は、n番目の後輪の将来位置を示してい
る。n番目の後輪の旋回半径ρn は、次の(4)式で求
めることができる。
【数4】 但し、ρn は旋回半径、Lはホイールベース、Vは車
速、Aはスタビリティファクタ,δn は実舵角δと実舵
角速度dδより計算されるn番目の舵角である。図11
において、θn はX−Y座標系に対する車両のn番目の
傾き(旋回角度)を示している。これらの記号を用い定
常旋回に至るまでの過渡時における旋回軌跡について図
13および図14に示すフローチャートを参照して説明
する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵装置の操舵角を検出する操舵角検出
    手段と、 車両の走行速度を検出する車速検出手段と、 該操舵角検出手段によって検出された実舵角と該車速検
    出手段によって検出された速度に基づいて車両の将来旋
    回軌跡を演算する将来旋回軌跡演算部と、該将来旋回軌
    跡演算部によって算出された将来旋回軌跡に基づいて車
    両が所定時間後に通過する危険領域を設定する危険領域
    設定部と、車両周辺を認識するためのスキャン式レーダ
    手段と、該スキャン式レーダ手段によって捕捉した障害
    物を認識する障害物認識部と、該障害物認識部によって
    認識された障害物が該危険領域に存在するか否かを判別
    する判定部と、を有する制御手段と、 該判定部によって障害物が該危険領域に存在するとき警
    報する警報手段と、を具備し、 該制御手段の該将来旋回軌跡演算部は、該実舵角から実
    舵角速度を求め、該実舵角と該実舵角速度および該車速
    に基づいて車両の将来旋回軌跡を演算する、 ことを特徴とする車両の巻き込み防止装置。
  2. 【請求項2】 該将来旋回軌跡演算部は、該実舵角速度
    から所定時間刻みの舵角を積分して算出し、該算出され
    た舵角に基づいて旋回半径を求め、該旋回半径から車両
    の将来旋回軌跡を演算する、請求項1記載の車両の巻き
    込み防止装置。
  3. 【請求項3】 該危険領域設定部は、該将来旋回軌跡お
    よび該車速検出手段によって検出された走行速度に基づ
    いて車両が所定時間後に通過する危険領域を設定する、
    請求項1記載の車両の巻き込み防止装置。
  4. 【請求項4】 車両障害物認識部は、複数回の計測から
    該障害物の移動速度ベクトルを演算する、請求項1記載
    の車両の巻き込み防止装置。
  5. 【請求項5】 車両を停止する車両停止手段を具備し、
    該危険領域設定部は危険度が高い第1の危険領域と危険
    度が次に高い第2の危険領域を設定し、該判定部によっ
    て該障害物が該第2の危険領域に存在すると判定したと
    き該警報手段を作動し、該判定部によって該障害物が該
    第1の危険領域に存在する判定したときには該車両停止
    手段を作動する、請求項1記載の車両の巻き込み防止装
    置。
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