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ドメイン名関連会議報告

2010年

ICANNカルタヘナ会合報告

~ 新TLDの導入に関する最新動向を中心に~

2010/12/24

2010年12月5日から10日にかけて、コロンビアのカルタヘナで第39回ICANN Meetingが開催されました。
10月28日のICANN理事会において、2011年5月30日の新gTLD申込受付開始に向けたスケジュール決定がなされていたことから、新gTLD関連の動きに大きな注目が集まっていた本会合。今回のFROM JPRSでは、新gTLD及びIDN ccTLDの導入に関する最新動向を中心に、会合の模様を読者の皆さまにお届けします。

ICANNカルタヘナ会合の様子
ICANNカルタヘナ会合の様子

新gTLDの「応募者用ガイドブック最終案」は理事会承認に至らず

先述のICANN理事会決定スケジュールに則れば、11月9日に発表された「新gTLD応募者用ガイドブック最終案」の理事会承認がカルタヘナ会合中になされる予定でした。しかし、今回の会合では結果的に承認には至らず、残存課題にアプローチする以下のような理事会決議がなされています。

  1. 2011年2月にGACとICANN理事会で会議を行い、残存課題を解決する
  2. パブリックコメント期間中に寄せられたコメントを考慮して、更にガイドブックを改訂する
  3. 新gTLDを経済面から調査研究した分析結果に対する判断も含め、ICANN理事会による各種判断の根拠を説明する

関係者間では、この決議は米国商務省及びGACが表明した懸念を考慮したものと認識されているようです。GACはICANNの諮問機関の一つで、米国も含む各国政府などからの代表メンバーによって構成されており、政府の立場からICANN理事会に対して助言を行っています。

カルタヘナ会合に先立つ12月2日、米国商務省はガイドブック最終案について「ICANN理事会が決定したスケジュールではGACでの課題共有を十分に行えない」として、懸念を表明する書簡を発行しました。具体的には、「新gTLD導入がもたらす消費者の利益と潜在コストを経済学的観点で分析した研究結果が十分に考慮されていない」「応募者用ガイドブック最終案に寄せられるパブリックコメントが適切に反映できるスケジュール設定にない」といった事項が記されています。
この書簡で表明された懸念は、カルタヘナ会合の会期に合わせて行われたGAC会合において共有・議論されたものと思われ、12月9日に公開されたGACの声明でも同様の懸念が表明されています。

カルタヘナ会合閉会後の動き

カルタヘナ会合閉会後、ICANNは既に締め切っていたガイドブック最終案のパブリックコメント募集を2011年1月15日まで延長する旨をアナウンスしています。応募者用ガイドブック最終案の承認延期とともに、2011年5月30日の新gTLD申込受付開始に向けたスケジュールにどのように影響するかは現時点で未定の状況です。


恒久的なポリシー検討が進むIDN ccTLD

IDN ccTLDについては、ファストトラックプロセス(*1)による申請受け付けが開始された2009年11月16日から1年が過ぎ、カルタヘナ会合までに33の文字列が申請されている状況です。このうち、22の申請が文字列審査を通過し、12の国/地域のIDN ccTLDがルートゾーンに登録されています。

現在は、IDN ccTLDの正式導入に向けた恒久的なポリシー検討がccNSO(*2)のワーキンググループにおいて進められています。具体的には、IDN ccTLDの文字列や委任に関する検討がIDN PDP WG 1で、IDN ccTLD導入に際して必要となるICANN定款見直しの検討がIDN PDP WG 2で進められています。

(*1)
IDN ccTLDの正式導入のために必要となる「ポリシー策定プロセス(ccPDP)」の作成と並行して、早期に必要とされるIDN ccTLDを限定的に迅速導入するためのプロセスです。
(*2)
ICANNの活動を支える支持組織の一つです。ccTLDの連合体としてICANNの他の支持組織や委員会などと協調しながら、ccTLD全体にまたがるグローバルな課題についてポリシー案を策定し、ICANN理事会に勧告を行う役割を担います。

以下、カルタヘナ会合における主な検討をご紹介します。

許容されるIDN ccTLD文字列の検討(IDN PDP WG 1)

許容されるIDN ccTLD文字列について、ファストトラックプロセスでは「非ラテン文字を1字でも含む文字列」と定めていましたが、恒久的なポリシーでは「非ASCII文字を1字でも含む文字列」とするべく検討が進められています。
これが実現すれば、スペイン語などで用いられるアクセント符号付きのラテン文字の申請も可能になります。

IDN ccTLDレジストリのccNSO参加の位置付け検討(IDN PDP WG 2)

IDN ccTLDレジストリのccNSO参加をどのように位置付けるかが、IDN PDP WG 2の主な検討課題となっています。現時点では、「IDN ccTLDも含め、全ccTLDの管理者はccNSOのメンバーになれる」「IDN ccTLDの数に関わらず、投票権はこれまで通りISO-3166上の国/地域単位で1票とみなす」との方向で検討が進められています。


DNS-CERTの組織化に関する議論

前々回のナイロビ会合において、ICANNから組織化が提案されていたDNS-CERT。DNSに関する専門性を持ち24時間365日稼動するグローバルなCERTを志向するものですが、現状の分析が不十分であることなどが指摘されていました。
今回、現状の課題分析を行うワーキンググループのチャーターが、ccNSO、GNSO、ALAC(At-Large諮問委員会)、NRO(Number Resource Organization)から合同で提案されました。今後、このチャーターに従ったワーキンググループが立ち上げられ、実検討が始まる予定です。

また、DNS-CERTが活動する上では各ccTLD管理者の連絡先情報をデータベース化しておくことが欠かせませんが、このデータベースはDNS-CERTの活動に限らず有意なものであり、取り組みを進めるべきではないかとの指摘がなされました。この採否については、次回のccNSO評議委員会で決議される予定となっています。


次回のICANN Meeting

次回の第40回ICANN Meetingは米国のシリコンバレーで、2011年3月13日から18日にかけて開催される予定です。



本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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