マリーンズファン
マリーンズファンとは、日本のプロ野球球団千葉ロッテマリーンズのファンのことである。
概要
千葉マリンスタジアムのライト側外野席でのサッカーサポーターを参考にした応援パフォーマンスはマリーンズファンの最も大きな特徴の一つであり、しばしばマスコミでも取り上げられる。中でもライトスタンドのほぼ全てを覆い隠せるほどに大きな「26 MARINES IS MY LIFE」の横断幕(ビッグフラッグ)は千葉マリンスタジアムの名物となっていた。
現在では、ライトスタンドに座るためには早めに並ばなくてはならず、週末の試合ではレフトスタンドのセンター寄りもマリーンズファンの白で一杯になる。その際には試合開始前に、警備員がビジターのファンにレフトスタンドのセンター寄りに座ることを控えさせていた。2007年からは、レフトスタンドのセンター寄りもあらかじめホーム応援席として定義されるようになった(阪神戦を除く)。この他にも一塁側の指定席では平日でもほぼ満員、さらに三塁側でも阪神戦などを除き、ほぼ大半がマリーンズファンで占められるなど(三塁側のマリーンズファンは一塁側のチケットが取れなかった人がほとんどであり、一塁側のチケットは前売りでないと購入が難しくなっている)、数年前までの低迷期には考えられなかったことが起こっている。ちなみにレフトスタンドは平日の埼玉西武・オリックス・東北楽天等の対戦カードだと、空席が目立つ。
ビジターにおいては、2005年に甲子園の阪神戦(交流戦)において、レフトスタンド上段をマリーンズファンの黒い集団が埋め尽くしたことで話題になった。2006年から甲子園ではビジター応援席が設置されたが、瞬く間に完売してしまったため、2007年ではマリーンズファンのためにビジター応援席が増設されることになった。甲子園では千葉ロッテと巨人の2球団との試合に限り、他球団との試合の時よりビジター応援席が多くなっている。
応援スタイル
彼らの応援スタイルは、ゲート横に陣取る応援グループ『Marines Victory Productions』と親交の深い『ウルトラス・ニッポン』のメンバーや、FC東京・アビスパ福岡・柏レイソル・ベガルタ仙台・浦和レッドダイヤモンズ(浦和レッズ)などのサポーターの影響を強く受けていると言われ、応援団自身も公式にサッカーやアメリカン・スポーツなどを参考にしたことを認めている。『bombonera』『Rabona』のような本来はサッカーのサポーターへ向けたファッション・ブランドからも、例外的にマリーンズ・ファンへ向けたファッション・アイテムが出回っているという側面もあり、サッカーの影響が色濃い。スタンドの空気は千葉マリンスタジアムの構造的特徴も相まって、さながらヨーロッパや南米の強豪クラブ・チームが本拠を置くサッカー・スタジアムのようである。
具体的には、以下の点が特徴として挙げられる。
- 従来応援に使われてきたメガホンを用いず、手拍子と指笛を主体とした声による後押しを行う。
- 攻撃時のヒッティングマーチにおいて野球応援では広く使われているトランペットの他、寸胴型のドラムなどの鳴り物を使用する。インチャ(バルサ)ホーンも2005年頃まで使用していたが、現在は自粛しており非常にまれになっている。
- 応援歌は既存の曲をアレンジして歌詞をつけて使用している。原曲はスカや洋楽、邦楽、アニメソング、各国民謡、K-POP、ゲームのBGMなど多岐にわたる。
- 試合開始の際にフェイスタオルや、マフラータオル、また応援団の方々から事前に貸してもらえるフェイスタオルの大きさと同サイズで文字が書かれている紙を両手に広げ『オズの魔法使い』の『Over The Rainbow (虹の彼方に)』を大合唱する。
- メッセージ性の強い両手持ちの旗「ゲートフラッグ(ゲーフラ)」を掲揚する。ただし、現在ではゲートフラッグの使用を許可する球場が少なくなってきて、現在で使用許可されている球場は、千葉マリンスタジアム、西武ドーム(その他の球場の情報提供募ります)
- 「マーチ旗」「ミニフラッグ」と呼ばれる小旗を使用する。以前から自作で使われていたが、2007年に球団が売り出したことによって急速に普及した。基本的には試合開始前や相手投手交代時にテーマにあわせて球場全体で振っている。
- 一部では、アルゼンチンサッカーのサポーター(インチャ)が使うような大きいパラソルを使用する。
- 「ゲート横」「危険地帯」と呼ばれる一部ではジャンプをする際にはタスキ状の長い布「バンデーラ」を使用する。
- 代名詞ともなっているタオル回しは「白いタオルとボールが重なってロッテ選手の打撃の妨害になる」「巨人応援団も流用している」などの理由からインプレー中は行われていないが(大量に点差がついて勝っている場合のみ例外)、未だにチャンステーマ時に回すものと誤解している人が多いため、チャンステーマの代わりにジャンプをする様になった。
- レプリカユニフォームを着用する。マリーンズファンの多くはホーム用及びビジター用のレプリカを所持していて、千葉マリンなどのホームではホーム用を、ビジターではビジター用を着用する。外野席は常にホームなら白、ビジターは黒一色となっている。レプリカユニフォームはファンクラブ有料会員の入会特典でもあり、種類は選択可能である。ただ、前述の縁起の良さからホームユニフォームでは「誠」を選ぶ人が2006年には急増した。
- レプリカユニフォームが手元になくても、ホームでは白色、ビジターでは黒色の服装でいても特に当り触りはない。ちなみに、球場内売店で売られているTシャツや手作りのTシャツを着用する人も結構な数いる。
- MVP(Marines Victory Productions)ツアーというツアーが年に数回行われ、その観戦料の安さや特典等に惹かれ多くのマリーンズファンが参加する。その時のマリーンズの応援はかなりの迫力がある。
この応援スタイルは読売ジャイアンツなど他球団の応援スタイルにも影響を与えており、特にレプリカユニフォームを着ての観戦はプロ野球においてもすっかり定着している。大阪近鉄の名物応援「タオル回り」(後にオリックスに引き継がれる)は、「タオル回しはカッコイイが、これをそのままやるとパクリになるから」という理由で始まった。
読売ジャイアンツがこの応援スタイルの影響を受け、近いスタイルで応援しているが、その事は他球団ファンからも賛否両論である。
ジェット風船については、白色の風船に統一している。
過去の応援スタイル
- 川崎球場時代以前の応援には、大毎時代からの内野応援団長だった故・松本真一の意向が強く働いていた。
- バッター登場時に小太鼓を使用して観客に三・三・七拍子の拍手をさせ、そのあとに紙吹雪を撒く、相手選手への洒落の利いた野次、プレー中の応援自粛、得点時には球団旗をかたどった応援旗を振って声援を送るなど、松本の作りあげた応援スタイルは多い。
- また松本はロッテのアメリカ・ビトリアキャンプ(1971年)に同行して、サンフランシスコジャイアンツとのエキシビションマッチ(日本で言うオープン戦)で、前述のスタイルによる応援をして、地元新聞に記事が載ったことがある。
- ロッテの千葉移転以後も同様に内野席で小太鼓を使う応援スタイルを貫いた。(少なくても1994年以降、内野席で太鼓を使用する許可を球団から公式に得ていたのは松本のグループのみだった。){以上松本真一著・『私の応援人生』より引用}
- 内野席での太鼓を使用した集団応援は、2007年に外野応援団により限定的にバス・ドラムを使用して復活した。
- なお松本の内野応援団は、外野応援団の巨大化と一般ファンの支持、そして松本自身の体調悪化(のち逝去)もあり、自然消滅したものと思われる。しかしその残党は今でも内野席1階のシーズン席を購入して試合観戦している。
- 東京オリオンズ時代には「東京音頭」を応援に取り入れていた。東京スタジアム閉鎖後は、ヤクルトの応援団にこのスタイルが継承された。
マナー
10年ほど前までは、試合後のスタンドで身の回りの清掃を行うなど「12球団の応援団で最もマナーがいい」と言われていた。しかし、近年では後述のマナーの悪さが目立ってきてしまっている。
ゴミのリサイクル問題で分別収集がスタジアム運営側にも求められるようになり、必ずしも観戦するファン自らが「適当にまとめて大きなゴミ箱に運べばよい」と言う話ではなくなってきたため「ファン自らがスタンド清掃をすることが良い」と言う価値観も変わりつつある。近年では一部の熱狂的なファンによる過熱・暴走―フーリガン化への批判や、チームの調子が上向いてきた事によるいわゆる「にわかファン」の大量流入に端を発した千葉マリンスタジアムライトスタンドの「席取り」問題の発生や、内野席でも観戦マナーが悪い客が増えている。球団の対応の遅れも手伝い、これまで見えてこなかった問題が表面化してきたのも事実である。
「マリーンズサポーター」
一昔前までは、サッカーの影響を受けていることだけではなく、野球や選手に対する真剣な態度やマナーのよさから「応援するだけではなく、チームを支えている存在である(サポーター)」であるとされマスコミなどでは「マリーンズサポーター」と呼ばれていたこともあった。
しかし「野球を見るものなら“ファン”と名乗れ」「略称の『マリサポ』が横浜F・マリノスのサポーターと紛らわしい」などサッカーファン、他球団ファンからの批判も多い。また、近年のあまりのマナーの悪さは目に余るものがあり、前述の通りフーリガンとも呼ばれている。なお、ファンの中にはサッカーのサポーターも多いことから後者の理由はファン内でも周知されていると思われるが、当然ファンの中でもその事は知らず自ら「マリーンズサポーター」と名乗る者もいるし、何より「千葉ロッテマリーンズのファン」を示す言葉としてあまりに広く定着し、一般名詞化していることから、深く突き詰めないようにしているのが現状である。しかしながらにわかファンや応援だけを目的に来る者、負けられない場面で空気を読まずに対戦相手チームの選手による好プレーに対し拍手をしたりする者に対して侮蔑の意味を込めて「マリサポ」と呼ぶ向きもある。また、他球団ファンと比べて異質に映るため、一部から「まるでサッカーファンではないか」という意味を込めて「マリサポ」と呼ばれることもある。 また一部の鳴り物反対派から外野席に陣取り応援に加わるファンに対して「マリサポ」を用いることもある。 にわかファンを「マリサポ」と呼ばれることもある。
余談ではあるが、以前日本テレビ放送網(日テレ)の対読売戦で実況がレフトスタンドのロッテファンの集団のことを「ロッテサポーター」と呼んでいたことがある。(参考:YouTube)
かつては、敵味方問わず、好プレーには拍手を送っていたが、『Marines Victory Productions』の「敵のプレーに拍手をする暇があるなら、味方の選手のプレーに拍手を送ろう」という方針により、現在では相手チームの好プレーに拍手をすることは少なくなっている。
牽制ブーイング
相手ピッチャーが牽制球をした場合にはかまわずブーイングをすることが、特に近年問題になってきた(選手への応援歌を歌っている時を除く)。かつては敵味方を問わず問題のあるプレーに対して行われた行為だったが、近年は「ロッテファンは敵の牽制にブーイングするのが流儀」という誤解が広まり、緊迫した場面でのたった1球の牽制球であっても内野席のファンまでもが反応するような事態になっているという状況であった。これに対しては他チームのファンから「牽制球を投げるのはピッチャーとして当然のプレー」「もし牽制球でランナーがアウトになったらどうするんだ」といった批判がある。これには、マリーンズファンの一部からブーイングをするのはどうかといった声もある。
2007年の「マッチ・カード・プログラム」(=マッチデープログラム)には応援団からのお願いとして「牽制時のブーイングをやめよう」との内容が掲載され、ライトスタンドでも呼びかけが続いているが、依然としてブーイングを行っているファンがいる。
2008年現在でも牽制ブーイングをするファンは多く、過度な牽制や長い間合いに抗議の為におこなわれることもある。怪我の治療のためベンチに下がった相手チームの投手、間合いを取るためマウンドへ行く捕手へ向かってブーイングをする心ないファンが現在でも多く存在する。
応援団・ファンが受けた表彰
- 2003年 毎日スポーツ人賞文化賞(毎日新聞社) - この賞金でビッグフラッグを作成。
- 2005年 特別感謝状(千葉市) - 市から記念プレートの形で特別感謝状が贈られた。ライトスタンド入口に掲げられている。
この他、完全優勝記念碑でも「日本シリーズにおける34人目のプレイヤー」として扱われ、レリーフがはめ込まれている。
その他
- 東尾修は西武監督時代にマリーンズファンを「ライトスタンドの白いオバケ」と評した。
- 2005年のプレーオフ、日本シリーズは全てビジターでの優勝だったのでマスコミは彼らを「黒の軍団」と評した。