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'''ネゲントロピー''' (negentropy) は、[[生命]]などの[[において (自然科学)|系]]が、[[エントロピー]]の増大の法則に逆らうようにエントロピーの低い[[状態]]が保たれていることを指す[[用語]]である。単に、エントロピーを減少させる[[物理量]]、という意味でも使われる。
 
生命が系として孤立しているのであれば、エントロピーが下がることは生命の中で時間が逆転しているのと同じことになるため不可能である。生命が環境に対して開かれており、呼吸などの代謝を通して環境にエントロピーを排出することで、その補償により自己の低エントロピーを保つ作用がネゲントロピーである。
 
== エントロピーとの対照性 ==
[[エントロピー]]は、熱力学や統計力学における物質の「乱雑さ」の度合いを表す物理量のこと。等温可逆的な変化で、ある物質系が熱量を吸収したとき、エントロピーの増加は吸収熱量を温度で割った値に等しい。外部から閉じられた熱の出入りがない系では、[[熱力学]]の第二法則により、内部変化はつねにエントロピーが増大する方向に起こる。それもし生命が系として孤立しているとすると、エントロピー時間限りなく増大し(たとえば老化現象)、反対にエントロピーが下がること、つまり生命システムが秩序化されていくこと(若返ること)は、不可逆的運動能である。生命は環境に対して開かれており、呼吸などの代謝通して環境にエントロピーを排出することで、その補償により自己の低エントロピーを保つことができる。このよな作用がネゲントロピーである。これによって生命は[[自己組織化]]され[[散逸構造]]を維持することが可能となる。ネゲントロピー単体の存在は否定されたが、非平衡系の学問の発展に寄与した
== 数理 ==
ネゲントロピーは
xlog(-x)
で表される。
負の確率が要請される。
 
== 歴史 ==
[[1943年]]に[[エルヴィン・シュレーディンガー]]が著書「What is Life?[[生命とは何か]]」で negative entropy という言葉によりその概念を提唱した<ref>ただし、シュレーディンガー「生命とは何か」の第6章への註には、「ついでに一言すれば、後者(負エントロピー)は私の発見ではなくて、[[ルートヴィッヒ・ボルツマン|ボルツマン]]がはじめて論じたところとたまたまそっくり同じものです」との記述がある。</ref>。その後、フランスの物理学者[[レオン・ブリアン]] (Léon Brillouin) により短縮語 negentropy という表現が用いられ、定着した<ref>Brillouin, Leon: (1953) "Negentropy Principle of Information", ''J. of Applied Physics'', v. '''24(9)''', pp. 1152–1163</ref><ref>Léon Brillouin, ''La science et la théorie de l'information'', Masson, 1959</ref>
 
また、『[[生命とは何か]]』の訳者註で[[鎮目恭夫]]は「ただし、....... 『負エントロピー』という言葉は、その直接の原註にもかかわらず、やっぱり誤解を招きやすい言葉だ。なぜなら、今日の物理的科学には熱力学のエントロピーと通信工学に由来する情報理論のエントロピーという二種類のエントロピーがあって、この両者が分子生物学の大学教授などによっても、しばしば混同され過誤や混乱を助長しているからだ」と述べている<ref>{{Cite book|和書 |title=生命とは何か |publisher=岩波書店 |pages=214-215 |author-link=鎮目恭夫 |chapter=21世紀前半の読者にとっての本書の意義 -岩波文庫への収録(2008年)に際しての訳者あとがき-}}</ref>。
 
エントロピーは日常生活から[[宇宙]]にいたるまで考察され、ネゲントロピー理論もまた多分野に渡って考察されている。
 
== 数理脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
* Nature 474, 61–63 (02 June 2011). http://www.nature.com/nature/journal/v474/n7349/full/nature10123.html
* {{Cite book|和書 |title=生命とは何か: 物理的にみた生細胞(岩波文庫版) |year=2008 |publisher=岩波書店 |pages=214-215 |translator=[[岡小天]]・[[鎮目恭夫]] |author=[[エルヴィン・シュレディンガー]] |isbn=9784003394618}}
 
== 関連項目 ==
エントロピーは日常生活から宇宙にいたるまで考察され、ネゲントロピー理論もまた多分野に渡って考察されている。
<!-- {{Commonscat|}} -->
* [[散逸構造]]
* [[自己組織化]]
* [[ランダウアーの原理]]
* {{仮リンク|エントロピーと生命|en|Entropy and life}}
* {{仮リンク|ネガティヴ・エントロピー|en|Entropy and life#Negative entropy}}
 
== 外部リンク ==
{{sci-stub|ねけんとろひ}}
* Quantum knowledge cools computers (ETH) http://www.ethz.ch/media/detail_EN?pr_id=1042
 
{{Physics-stub}}
[[Category:熱力学|ねけんとろひ]]
 
{{sci-stub|デフォルトソート:ねけんとろひ}}
[[de:Negentropie]]
[[enCategory:Negentropy熱力学]]
ネゲ[[Category:エントロピー]]
[[es:Negentropía]]
[[Category:エルヴィン・シュレーディンガー]]
[[fr:Néguentropie]]
[[Category:レオン・ブリルアン]]
[[it:Negentropia]]
[[no:Negentropi]]
[[pl:Negentropia]]
[[simple:Negentropy]]