クライング フリーマン
『クライング フリーマン』は、ビッグコミックスピリッツ(小学館)に連載されていた小池一夫原作、池上遼一作画の漫画作品。巨大マフィアに属する暗殺者・「クライングフリーマン」の戦いを描く。
漫画の他にも、東映アニメーションによってアニメ化され、1988年から1994年にかけて6本のOVAが発売された。また香港で2度、実写映画化されたほか(1990年の『紅場飛龍』、同じく1990年の『浪漫殺手自由人』)、1995年には日米合作によりクリストフ・ガンズ監督、マーク・ダカスコス主演で映画化されている。
あらすじ
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
気鋭の陶芸家・火野村窯(ひのむら よう)は自らの個展会場であるフィルムを手にする。そこには残忍なチャイニーズ・マフィアである「百八竜(ハンドレッド・エイト・ドラゴン)」の殺人場面が写されていた。フィルムを回収しようとする百八竜は、引渡しを拒んだ窯を拉致し、強力な催眠を掛けて殺し屋に仕立て上げる。殺し屋としてのコードネーム「フリーマン」を与えられた窯は殺し屋としての訓練を受け、自由の象徴として竜の刺青を入れられる。窯は殺しが終わると同時に、己の宿命に涙を流すことから、「クライングフリーマン」とも呼ばれるようになった。
天涯孤独の画家・日野絵霧(ひの えむ)は、香港でフリーマン(窯)の殺人を目撃する。目撃者として殺されることを悟るが、同時に静かに涙を流したフリーマンに思いを募らせるようになる。絵霧は殺しにやって来たフリーマンに、殺す前に抱いて欲しいと願いをぶつける。彼女の願いを叶えたフリーマンは、彼女を愛したため彼女を殺せなくなった。しかしその頃、フリーマンに会長を暗殺された白真会組員たちが絵霧の家に侵入、フリーマンとの戦いになり、絵霧が巻き添えで重傷を負う。フリーマンは彼女を病院に運び、火野村の登窯で会おうと言い残す。回復した絵霧は窯と共に百八竜へ向かい、フリーマンの手で虎の刺青を入れられる。
頭目・百八竜とその妻・虎風鈴は、フリーマンに龍太陽(ロン・タイイァン)、絵霧に虎清蘭(フー・チンラン)という中国名を与え、結婚を許す。百八竜の後継者となる事を運命付けられたフリーマンだったが、日本人が頭領となることを快く思わない頭目の孫娘・白牙扇(ペーヤーサン)に命を狙われ、組織を巻き込む争いとなる。さらにテロリストや誘拐組織など、国際的な犯罪組織が次々と百八竜とフリーマンの前に立ちふさがる。
人物
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百八竜(ハンドレッド・エイト・ドラゴン)
日本では世界一の組織とされ全世界にアジトを抱えている。長には竜の刺青が彫られその妻には虎の刺青が彫る仕組みとなっている。頭領は親子での継承を否定されており、子を作る事を禁じられパイプカットされる。百八竜・虎風鈴夫妻は子を作ってしまった事を苦にしていた。
- 火野村窯(ひのむら よう)
- 中国名:龍太陽(ロン・タイイァン)。陶芸家であったが自身の展示会に展示していた壺の中に、「百八竜(ハンドレッド・エイト・ドラゴン)」のリンチ写真を見つけてしまう。百八竜に拉致され、殺人者として鍛えられた。コードネームは「フリーマン」で、自由の象徴として竜の刺青を入れられている。頭領自ら戦いによって様々な組織を打ち崩し、かつて敵であった女性も愛人にしてしまう。
- 日野絵霧(ひの えむ)
- 中国名:虎清蘭(フー・チンラン)。もとは画家で、香港でフリーマンと出逢い、想いを募らせる。フリーマンと再会し虎の刺青を入れられ、フリーマンの妻となる。年齢29歳
- 百八竜 (ハンドレッド・エイト・ドラゴン)
- 百八竜の長。竜の刺青が彫られていると思われているが作品中に刺青姿は見せなかった。
- 虎風鈴 (フウ・フンリン)
- 百八竜の妻。拳法の達人でフリーマンに技を伝授する。体前後に虎の刺青が彫られている。年齢99歳。
- 白牙扇(ペーヤーサン)
- 百八竜と虎風鈴夫妻の孫娘。フリーマンが百八竜を継いだことに不満を抱き牙を剥くが、敗れて軍門に下り、以後フリーマン夫妻を兄・姉と慕う。巨躯で肥満体形だがさまざまな武器を使いこなすことができる。目元に刺青が入っている。
- 黄徳源(ホァン・デユァン)
- フリーマンの部下。フリーマンの手足として共に修羅場を潜り抜けるが、途中で戦死する。体に刺青はない。
白神会(はくしんかい)
- 藤崎俊堂(ふじさき・しゅんどう)
- 指定暴力団白神会の長。警視庁が百八竜についての手がかりのため警視庁内の会議室に呼ばれ、百八竜について暴露した。そのため警視庁を後にした矢先にフリーマンに射殺される。
- 花田竜二(はなだ・りゅうじ)
- 通称(カミソリ竜二)。白神会の2次団体である花田組組長。角刈りでサングラスがチャームポイント。親分の藤崎俊堂の仇打ちのため、フリーマンに復讐を燃やすが反対にフリーマンに爆殺される。肩から胸部に刺青が入っている。
- 花田君江(はなだ・きみえ)
- 竜二の妻。熊我教の信者。竜二殺害後、竜二の葬式でそのさみしさをマスコミを利用し、新田に略奪愛人にしてしまう。熊我教の祭壇でフリーマンをセックスしたきっかけでフリーマンの愛人となる。背部に菩薩の刺青が入っている。
作品のネタ化について
小池一夫の濃密でシリアスなストーリー、池上遼一の高い画力はこの作品の見所だが、その意図に反して笑えてしまう場面が多い。
その他
実写映画 『Crying Freeman』(1995年)
東映Vシネマのハリウッド映画版「東映Vアメリカ」として企画された。企画は日本側の主導だがプロダクションはアメリカ側の主導で、ハリウッドシステムで撮影された。
スタッフ
- 監督 クリストフ・ガンズ
- 原作 小池一夫
- 脚本 ロジャー・エイヴァリー(ノンクレジット)、クリストフ・ガンズ
- 撮影 トーマス・バースティン
- 美術 アレックス・マクドウェル
- 編集 デヴィッド・ウー
- その他 ロジャー・エイヴァリー(スペシャルサンクス)
- プロデューサー ブライアン・ユズナ、サミュエル・ハディダ
- 製作総指揮 一瀬隆重
- 企画 黒澤満
- 製作 東映ビデオ、フジテレビジョン、東北新社、デイビス・フィルム
- 配給 東映