衆参同日選挙
衆参同日選挙(しゅうさんどうじつせんきょ)は、衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙の投票日を同日にする選挙のこと。衆参同時選挙、衆参ダブル選挙とも呼ばれる。
概説
衆参同日選挙は参議院非改選議員を除いた国会議員、すなわち全衆議院議員と参議院議員の半数の選挙となるので、一度に多くの民意を反映させやすい選挙である。また、衆議院議員の参院選立候補、改選参議院議員の衆院選立候補など、衆参の鞍替えがしやすい選挙になる。
選挙運動期間は衆参で異なるため、選挙活動開始時期は衆参で異なる。なお、1人の候補者が両方の選挙に同時に立候補をすることは出来ない。
次回の国政選挙は、参議院選挙は3年後であること、衆議院は解散があるため任期は4年以内で不定期であるがおおよそ3年程度であることから、補欠選挙を除いて国政選挙が3年程度の間、行われない可能性が高くなる。
同日選挙では投票率が上がり、浮動票に依存する政党に有利であり、組織票に依存する政党に不利であるという見方は一般的となっている。
また、政権与党に有利と言われる。これは、衆院選あるいは参院選を単独で行った場合は野党間で候補者調整などの選挙協力を行いやすいが、衆参同日選挙となった場合はそれぞれの政党が議席の獲得を目論むため、選挙協力を行いにくいという事情があるからである。野党に不利であることは選挙結果にも現れており、実施された2回とも野党第一党だった社会党、第二党だった公明党は惨敗し、議席を減らしている。
特に参議院選挙は衆議院総選挙に比べて投票率が低い傾向があるため、同日選による投票率への影響が顕著である。また参議院選挙よりも衆議院選挙が注目されがちなことや、本来なら参議院選挙候補者の応援に回ってくれる衆議院議員が自分の選挙活動に専念しがちなことから、与党の参議院幹部からは反対論が多い。
問題点
同じ時期に選挙の投票を行うために衆参が似たような構成になってしまうこと、選挙のない国会議員が参議院の非改選の半数のみになり、衆議院解散から投票日までの期間(衆議院が存在しない)と参議院選挙期間が重なって政治空白(改選予定の議員が選挙運動中)ができてしまい、緊急事態に対する国会決議が行えない可能性があることを理由に、違憲論が存在する。
これに対する反論として、衆議院と参議院で異なる選挙制度を導入することによって衆参がそれぞれ異なる構成になることが期待されること、緊急事態の際には政治空白を避けるために、定足数の面からは参議院の非改選議員だけでも緊急集会を開くことができること等の理由から、合憲論もある(緊急集会は衆議院解散に限定されているため、衆院選が任期満了によるものの場合、緊急集会を開くことができない)。
全国区や2つの異なる地方選挙区など、異なる3つ以上の制度の選挙が同時に行われるため、有権者から見ると複雑でわかりにくいという指摘がある。過去の衆参同日選挙では衆議院地方選挙区(中選挙区)、参議院地方選挙区(中選挙区・小選挙区(参議院一人区))、参議院全国区(または比例代表区)と3つの制度(最高裁裁判官国民審査も加えると4つ)の選挙が同時に行われた。
1994年の衆院選制度変更(小選挙区比例代表並立制導入)以降に衆参同日選挙が行われた場合、衆議院地方選挙区(小選挙区)、衆議院比例代表区、参議院地方選挙区(中選挙区・小選挙区(参議院一人区))、参議院比例代表区と4つの制度(最高裁裁判官国民審査も加えると5つ)の選挙が同時に行われることになる。また2000年に参議院比例代表選挙が非拘束名簿式に変更されたことより、2000年以降において衆参同日選挙となった場合、衆参の比例代表区では「政党にしか投票できない衆院選」と「候補者にも政党にも投票が可能な参院選」が同時に存在しており、有権者から見て一層複雑になっていると指摘する意見がある。
選挙期日の法的制約
衆議院議員の任期満了による総選挙は、任期満了の日の前30日以内に行われる(公職選挙法31条)。参議院議員の通常選挙は、任期満了の日の前30日以内に行われる(公職選挙法32条1項)。
ただし、衆参同日選挙を行うにあたって、衆議院議員の任期満了と参議院議員の任期満了の日が異なるケースが多い。この場合、衆議院を解散して選挙期日を合わせることになる。また、衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる(日本国憲法第54条第2項)。
衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に衆議院議員総選挙を行わなければならない(日本国憲法54条第1項、公職選挙法第31条3項)。また、参議院の通常選挙を行う期間が、参議院開会中または参議院閉会の日から23日以内にかかる場合、参議院閉会の日から24日以後30日以内に行う(公職選挙法32条2項)。
以上の法令に照らし日程上の制約が生じる。
過去の衆参同日選挙
衆参同日選挙は過去に2回例がある。そのうちの1回はハプニング解散と呼ばれ、大平正芳首相が選挙期間中に急死して弔い選挙となった特異な例である。過去の衆参同日選挙では与党が圧勝する結果になっている。
年月日 | 選挙 |
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1980年6月22日 | 第36回衆議院議員総選挙 第12回参議院議員通常選挙 |
1986年7月6日 | 第38回衆議院議員総選挙 第14回参議院議員通常選挙 |
変則衆参同時選挙
衆院選と参院選の投票日が数日違いの選挙を変則衆参同時選挙と呼ぶことがあり、過去2回例がある。衆参同日選挙とは逆に与党が敗北する結果になっている。
年 | 月日 | 選挙 |
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1947年 | 4月20日 | 第1回参議院議員通常選挙 |
4月25日 | 第23回衆議院議員総選挙 | |
1953年 | 4月19日 | 第26回衆議院議員総選挙 |
4月24日 | 第3回参議院議員通常選挙 |