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[[ファイル:Army prosthetic.jpg|thumb|400px|義手で[[テーブル・フットボール]]をプレーする[[アメリカ陸軍|米国陸軍]]の軍人]]
'''義肢'''(ぎし)とは、平たく言えば「[[人工]]の手足」のことであり、患者が失った四肢の外見や機能を補うために使う[[福祉用具|器具]]を指す<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.japo.jp/top/gisisoug.html|title=日本義肢装具士協会 義肢と装具|accessdate=2019.02.03.|publisher=公益社団法人 日本義肢装具士協会}}</ref>。
 
上肢に用いる義肢を「[[義手]]」、下肢に用いる義肢を「[[義足]]」と呼ぶ<ref>{{Cite book|和書|author=|title=標準整形外科学|date=|year=2017|accessdate=|publisher=医学書院|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=|last=志波|first=直人|editor=井樋栄二ほか|edition=13版|isbn=978-4-260-02537-9|day=}}</ref>。
 
義肢は古くから存在したが、そのありようが大きく進歩したのは[[第一次世界大戦]]以降である。<!--
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[[塹壕戦]]による[[凍傷]]や銃創、さらに爆発物による損傷が急増し、戦後復興の際にこれらのケアが求められたことによる。
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==歴史==
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義肢の登場する最も古い記録は “[[リグ・ヴェーダ|Rig Veda]]” の中でViśpalāという女性が金属製([[Ralph T. H. Griffith]]<small>([[:en:Ralph T. H. Griffith|英語版]])</small>によれば鉄製)の下腿義足を用いた、という記述であるとされている<ref>{{Cite book|author=|title=The Rigveda: the earliest religious poetry of India|date=|year=2014|accessdate=|publisher=Oxford University Press|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=|isbn=9780195179187|volume=vol.1|translator=Stephanie W. Jamison et al.}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.sacred-texts.com/hin/rigveda/rv01116.htm|title=Rig Veda: Rig-Veda Book1.HYMN CXVI. Aśvins.|accessdate=2019.02.02.|publisher=}}</ref>。
 
一方、現在発見されている世界最古の義肢は、エジプト・[[テーベ|テーベ]]の墓地遺跡]]で発見された右母趾用の木製の義足である。これは紀元前950年 - 710年に生存していたTabaketenmutという祭司の娘のものである。欠損部位を補うための単なるアクセサリーではなく、体重をかけて移動できるように設計されている<ref>{{Cite book|author=Andreas G. Nerlich et al.|title=Ancient Egyptian prosthesis of the big toe|date=|year=2000|accessdate=|publisher=The Lancet|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=|issn=0140-6736|issue=356}}</ref><ref>[httphttps://www.afpbb.com/articlearticles/environment-science-it/science-technology/2785502/?pid=6818102 エジプトのミイラの足に人工親指、最古の「人工器官」発見 国際ニュース] - AFPBB News 2011年2月15日</ref>。
 
ほかには、1858年に[[イタリア]]・[[カプア]]の古墳から発掘された下腿義足(通称:[[Capua Leg]] <small>([[:en: Capua Leg|英語版]])</small>)がある。これは木と銅から作られていた。時期は紀元前300年頃、[[サムニウム戦争|Samnium戦争]]の頃である。この義足の現物はイギリス・ロンドンの[[イングランド王立外科医師会]]に保存されていたが、[[第二次世界大戦]]の空襲で焼失し、現在はレプリカが同じくロンドンの[[サイエンス・ミュージアム]]に保存されている。
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ゲッツの使用していた義手は高度なギミックが組み込まれていて、剣や槍を握って戦うことが出来たと自伝に記されている。実際にヨーロッパでは手足をなくした傷痍軍人にとってゲッツの話に元気付けられることは多く、ゲーテの戯曲としても有名であることから四肢切断者へのケアとして現在でも引き合いに出される。
 
なお、当時は義肢と[[医学]]との関連は薄く、同時代の著名な[[医学書の一覧|医学書]]にも義肢についての記述は見受けられない。[[日本]]でも義肢に関する史料はほとんど無いが、最古の物として、[[1818年]]以前の物と考えられる義足が残っている。日本で記録に残っている最古の義肢の使用者は、[[歌舞伎]]役者の三代目[[澤村田之助 (3代目)|澤村田之助]]である。彼は四肢を切断するも、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]製の義肢を用いて舞台に立ち続けた<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.hashimoto.co.jp/hashimotogisi/history2.html |title=義肢の歴史 |publisher=橋本義肢製作会社 | accessdate=2015-04-12 }}</ref>。
 
===近代===
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: [[ゴム]]や[[シリコーン]]を用いて、本物の肉体に近い仕上がりとする技術がある。労働災害などで失った指や、[[乳癌]]で切除した[[乳房]]の代わりの[[人工乳房]]など、欠損部位の外観再現を積極的に行うものは[[エピテーゼ]]とよばれる。
; 足部
: 歩くためではなく、走ったり跳んだりといった高負荷活動を目的とした部品が存在する。装着者と[[義肢装具士]]の共同作業によって完成されたスポーツ用義肢が数多く登場してきており、[[パラリンピック]]などのスポーツイベントでも数多くみることができる。健常者に肉薄する成績をもつ選手もいる。詳しくは[[オスカー・ピストリウス]]の項を参照。近年は[[球技]]では[[陸上競技]]ほど著名な義足選手は登場していないが、日本では[[2003年]]の[[第85回全国高等学校野球選手権大会]]に[[愛媛県|愛媛]]・[[愛媛県立今治西高等学校|今治西高]]より左足義足の'''曽我健太'''が出場、'''義足の高校球児'''として話題を呼んだ<ref>[http://www.citizen.co.jp/coy/archive/2003_03.html 2003年度受賞者 曽我 健太さん - 受賞者アーカイブ - シチズン・オブ・ザ・イヤー] - [[シチズンホールディングス]]</ref>。また、かつての[[アマチュアレスリング]]日本代表選手で[[プロレスラー]]の[[谷津嘉章]]は、2019年に糖尿病の影響で壊死が進んだ右足を膝下から切断したが、2021年に右足に義足を付けてプロレスラーとして復帰した。さらには2023年には義足を外して健常者のレスリング選手権に出場するなど、障がい者レスリングの啓発活動に努めている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nikkansports.com/sports/news/202307010000453.html|title=【レスリング】元プロレスラー66歳の谷津嘉章が登場 糖尿病で右脚切断、異例の挑戦に会場拍手|publisher=日刊スポーツ|date=2023-07-01|accessdate=2023-07-01}}</ref>。
 
そのほか、[[筋電義手]]、[[コンピュータ制御膝継手]]、[[コンピュータ制御足部]]、触覚を伝える義肢<ref name=bbc2018>[http://www.bbc.com/news/health-42430895 Woman receives bionic hand with sense of touch](BBC)</ref>など、高機能、高性能の義肢パーツが登場してきている。[[3Dプリンター]]の登場により、オーダーメイドの義肢が低コストで制作されるようにもなった<ref>{{Cite web |和書|url=http://jp.techcrunch.com/2016/06/28/20160626the-future-of-3d-printed-prosthetics/ |title=3Dプリント人工装具の未来 |publisher=[[TechCrunch]] Japan |accessdate=2016-09-17}}</ref>。
 
==義肢の機能==
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義手には手の機能の代用として「カギ爪」のようなものも存在するが(ピーター・パンに出てくる[[フック船長]]の腕を思い出すとよい)、後腕の筋肉で操作するピンセットのような「物をつまむ」ことが可能な義手や、さらには[[筋肉|筋電位]]測定と[[マイクロコンピュータ]]を利用して、モーターの力で実際の手のように掴んだり離したりの動作が可能な[[筋電義手]]も開発・実用化されている。
 
最新の物では、直接神経に接続された電極で[[神経|神経電位]]を計測、訓練すれば自分の腕のように操作できるタイプも登場しており(スターウォーズの[[アナキン・スカイウォーカー|アナキン]]の腕や[[ルーク・スカイウォーカー|ルーク]]の腕を思い出せば良い)、これらではコンピュータ制御により、[[触覚]]すらあるという<ref name=bbc2018/>。
 
==義手==
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[[身体障害者福祉法]]による[[補装具]]、または[[労働災害]]補償が受けられる。
 
装着にいたる原因は[[後天的]]なケースが多く、労災や交通事故など外傷性によることが多い。実用性がなくとも、とりわけ小指の有無は“縁切り”をさすものとしての一定の偏見があるため、社会が装着を要求するという面もある<ref group="注釈">2004年、[[指詰め]]を行った暴力団離脱者の就職支援として義指を安価に提供する技師が、暴力団追放功労者として大阪府警に表彰された例がある。[http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=45692 人工ボディーを究める (4) 社会復帰 約束の小指] - yomiDr. 2011年8月25日閲覧</ref>。
 
外装には[[シリコーン]][[ゴム]]などによる仕上げを行うが、基本的に単色であるため、肌の微妙な変化は再現できない。血管の浮き出しや手指特有の色の変化を再現したい場合、つまり本物そっくりにしたい場合は、仕上げを実費負担する必要がある。
 
義手を装着している架空の有名人物としては、[[ジェームス・マシュー・バリー]]の『[[ピーター・パン]]』の[[フック船長]]がいる。
 
=== 目的別分類 ===
* 装飾用義手 - 外観の再現を目的としたもの
* [[能動義手|能動式義手]] - ハーネスなどを用い、身体のほかの部分を活用して任意動作を可能としたもの
* 作業用義手 - 特定の作業に特化させたもの
 
装飾用義手は表面をシリコン素材を中心に仕上げ、外観の保持を目的とする。芯材をいれば、指に表情をつけることもできる。一本だけなら、キャップを填めるようにつけることができる。
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=== 製作部位別分類 ===
* 指 - 義指
* 手 - 手義手
* 前腕 - 前腕義手
* 上腕 - 上腕義手
* 肩 - 肩義手(肩関節離断用肩義手)
* フォークォーター切断用肩義手
 
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* 足指を切断した患者が用いる足指義足
* 足(foot)(foot)を切断した患者が用いる中足義足
* 足首関節で切断した患者が用いる果義足
* 脛を切断した患者が用いる下腿義足
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== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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* [[能動義手]]、[[筋電義手]]
* [[義眼]]、[[義鼻]]、[[義耳]]
* [[動物義肢装具]]:人以外の他の動物の義肢
* [[サイボーグ]]
* [[ブレイン・マシン・インタフェース]]
* [[アクシブ]] - 無動力歩行支援機
* [[サイバスロン]]
* [[ヘルプマーク]] - 外見上、援助が必要ないように見える人のための支援識別票
* [[:Category:切断障害を持つ人物]]
* [[:Category:切断障害を持つ動物]]