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これに対しパッシブステアは、ブッシュの変形を利用するまでは変わらないが、旋回初期の極浅い[[ローリング|ロール]]の際、後輪を一瞬だけトーアウト(逆位相)にコントロールするものである。動作が受動的であるためアクチュエーターはなく、タイロッドを持たない点が四輪操舵とは異なる。挙動を乱し[[スピン]]に至らないよう、外輪のみをトーアウトとするものもある。主に[[前輪駆動]]車や[[スポーツカー]]の一部で、回頭性を向上させるための「きっかけ」として用いられる。簡単な構造で四輪操舵に近い効果を実現できる反面、高度な制御を行うことはまったく不可能である。また、ブッシュ硬度の温度依存特性や経年劣化、あるいは路面の凹凸によるストローク量の変化や路面の[[摩擦係数]]の変化などにより動作が変動する点も弱点となる。[[マツダ]]の'''トーコントロールハブ'''<ref name="FC">[https://www.autoexe.co.jp/kijima/column2.html チューニングを楽しむための動的感性工学概論 §2 トー変化をどうコントロールするか?] - AutoExe:貴島ゼミナール</ref>とSSサスペンション<ref name="BD"/>、[[いすゞ自動車|いすゞ]]の[[ニシボリック・サスペンション]]、[[サーブ・オートモービル|サーブ]]のReAxs(リアクシス<ref>[https://www.saabplanet.com/saab-reaxs-unique-passive-rear-wheel-steering/ Saab ReAxs – unique passive rear-wheel steering] - SaabPlanet.com</ref>)などがあり、{{要出典範囲|[[日産・パルサー]]/[[日産・エクサ|パルサーエクサ]]/[[日産・ラングレー|ラングレー]]/[[日産・リベルタビラ|リベルタビラ]] (N12型系)|date=2021年2月}}、[[マツダ]]・[[マツダ・RX-8|RX-8]]、[[マツダ・RX-7|RX-7]](FC、FD)、[[マツダ・ロードスター|ユーノス・ロードスター]](NA、NB、NC)、[[いすゞ・ジェミニ]](3代目)と[[いすゞ・PAネロ|PAネロ]](ジオ・ストーム、[[アスナ・サンファイア]])、サーブでは[[ゼネラルモーターズ|GM]]傘下となってからの各車(2代目[[サーブ・9-3|9-3]]など)に採用例がある。
 
自動車史上、パッシブステアの概念を本格的にリアサスペンションの設計に採り入れた最初の車輌は1966[[モデルイヤー|年式]]{{仮リンク|フォード・ゼファー|en|Ford Zephyr}}・マークIVであったが、当時の英国市場での評価は芳しくなかった<ref>[https://driventowrite.com/2016/03/29/suspension-when-independence-goes-wrong/ Theme : Suspension – When Independence Goes Wrong] – Driven To Write</ref>。1978年には[[ポルシェ・928]]が{{仮リンク|ヴァイザッハ・アクスル|en|Weissach axle}}を採用したが、これは原理的にはゼファー・マークIVの概念と同じ物であった。日本車では1980年にBD型[[マツダ・ファミリア]]が'''SSサスペンション'''の名称でパッシブステアの概念を導入、旋回時や制動時に後輪をトー・イン側に積極的に変化させる特性が持たせられ、それまでの前輪駆動車につきものであった[[タックイン_ (自動車)|タックイン]]を大幅に抑え込むことに成功、商業的にも大きな成功を収め、日本市場で前輪駆動車が本格的に普及する嚆矢となった<ref name="BD"/>。
 
マツダでは現行車にも採用されているが、かつてほど大々的に宣伝されてはいない。トーコントロールハブの開発に携わった[[貴島孝雄]]によると、パッシブステアは機敏で優れた操縦特性を実現した一方で、ドライバーに操縦時の違和感を感じさせやすく、自動車工学としては正しいものではあるが、貴島自身が提唱するドライバーの「動的感性」を満足させるものにはなりにくいという反省点が得られたとされており、FD3S以降ではドライバーに明確に変化を感じさせる程のトー角度の制御は行わなくなったという<ref name="FC"/>。
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[[モータースポーツ]]では、パッシブステアが操作性の低下を招く不確実要素となるため、たわみブッシュを硬質な材料で作られたものに交換することがある。実際に[[サーキット]]走行などにおいては、「トーコン(トロール)キャンセラー」、「ニシボリ殺し」などといった[[アフターマーケット]]パーツで動作をキャンセルすることが一般的であった。
 
その一方で国内[[ラリー]]シーンではパッシブステアは好評であった。ニシボリック・サスの場合、旋回中に通常の前輪駆動車では考えられないほどのオーバー・ステア傾向を示したことや<ref>[{{Cite news|url=https://bestcarweb.jp/feature/column/2879 |title=【あの失敗があるから今がある…でもガッカリしたなぁ】 あの時の新技術&新装備] -|publisher= ベストカー|date=}}</ref>、トーコントロールハブでは後輪駆動でありながらアクセルオフでタックインを誘発させて高速なコーナリングが可能<ref>[{{Cite news|url=https://www.excite.co.jp/news/article/Clicccar_607474/?p=2 |title=NEW・RX-7(FC3S)は街中で飛ばすと免許が無くなります(汗)・その3【OPTION 1985年12月号より】 (|page=2|date=2018年7月-07-10日)] -|publisher= エキサイトニュース}}</ref>という、通常の駆動方式の特性とは正反対の要素が備わっていたからである<ref>[{{Cite news|url=https://motorz.jp/race/great-car/74776/ |title=テンロクターボ最強!?3代目ジェミニが残した いすゞワークス最後の伝説を知ってる?] -|publisher= Motorz|date=}}</ref>。
 
== 脚注 ==