児女英雄伝
十三妹(しいさんめい)とは中国・清末期の武俠小説『児女英雄伝』に登場する架空の人物。また、それを題材とした作品の題名、及び登場人物。
児女英雄伝
概要
武俠小説とは当時の大衆小説で、十三妹はその中でも珍しい戦うヒロイン。多くの読者を得て、その後何度も映画化・ドラマ化された。中国、台湾、香港では京劇などの人気演目であり、女俠といえば十三妹というくらい有名。
『児女英雄伝』四十回の作者、文康は字を鉄仙といい、満州旗人と言われる。正確な生没年は未詳であるが、嘉慶から道光にかけての人物とされている。『児女英雄伝』が書かれたのは1850年ごろ、最初は写本として流通していたが、1878年に木版印刷で出版された。[1]
奥野信太郎らによる共訳[2]、立間祥介訳[3]がある。後者の解説(松枝茂夫)では、本作品は紅楼夢に対抗して正反対のシチュエーションとした物語としている。
あらすじ
清は乾隆帝の時代。清廉の人安学海は、老年にいたって思いがけず科挙に合格し、地方官の職を得る。老妻と一人息子を都に残して任地に向かうが、官界は何はなくとも賄賂付け届けということを知らないために、無実の罪で獄に繋がれてしまう。老年の父の身を案じた安公子(公子=若旦那)は、自分の科挙を放り出して保釈金を工面すると、馬の背に飛び乗った。しかし都育ちのお坊ちゃんには慣れない山道、雇った荷運び人足が山賊に早変わりし、命からがらボロの旅籠に辿りつく。大金を抱えて生きた心地がしない。これからどうしようかと思案していると、一人の美女がじっとこちらを見ている。美女は大の男でも持て余す石臼を、指先でひょいと持ち上げて見せた。安公子が山賊に襲われる一部始終を見ていた女俠客・十三妹であった。
恵まれた家庭の娘として幸せに育った何玉鳳は、あるとき両親を殺され運命が一転する。復讐を誓った玉鳳は武術の達人のもとでクンフーの修行を積み、師匠から十三妹(しいさんめい)と名づけられる。十三妹は日本刀を武器に悪人どもを斬りまくり、親の仇を追い詰める。
十三妹が登場する作品
- 「十三妹」(小説・日本・武田泰淳著、1965年朝日新聞連載時には「中国忍者伝」という副題が付いていた、2002年に中公文庫で刊行)、ISBN 978-4122040205
- 「十三妹 : 絵物語」全2巻 山川惣治著 1983-1984年 角川書店、1)ISBN 978-4048520263、2)ISBN 978-4048520270
- 「児女英雄伝」 全2巻 松本零士著 1999年 潮出版社<希望コミックス> (SFにアレンジされ、未来が舞台である) 1)ISBN 978-4267903397、2)ISBN 978-4267903427
- 「黄土の嵐」(TVドラマ・1980年日本・日本テレビ系)(主人公を見守る十三手観音の化身という設定。ピンチになると神通力を発揮する。演:マッハ文朱)
- 「俠女十三妹(中国語版)」(映画・1986年日中合作・監督:村川透、楊啓天 / 監修:舛田利雄)(3D方式で製作されたイベント映画。日本国内では3-D VHDのローンチタイトルの一本として発売。演:ティン・ナン(中国語版))
- 「ポートランド・ストリート・ブルース」(原題:古惑仔情義編之洪興十三妹 映画 1999年 香港)(現代香港が舞台のレズビアン映画)
- 「十三妹」(京劇)(2014年9月13~14日・成城ホール[4]にて新潮劇院による日本初上演)