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男主人公の安公子のモデルは文康の[[またいとこ]]である文慶(1822年の[[進士]]で、[[吏部]]尚書を経て[[武英殿大学士]]に至る)だろうという<ref name="tsuneishi"/>。
 
ヒロインの十三妹(何玉鳳)は[[伝奇小説|唐代伝奇]]の「紅桟の物語」に登場する紅桟や、「聶隠娘」のヒロイン(第16回で名前が出てくる)、あるいは『[[三言二拍|初刻拍案驚奇]]』巻4の韋十一娘、[[王士禎]]「剣侠伝」(『虞初新志』に収録)などをモデルとしているという<ref name="tsuneishi"/>。十三妹の主要な戦闘は第6回の能仁寺での戦い、第15回の鄧九公の回想に出てくる周三との戦い、結婚後の第31回の賊との戦いの3回であるが、他にも所々に豪傑ぶりを示す描写がある
 
== あらすじ ==
[[清]]の[[康熙]]末から[[雍正]]のはじめごろの話とされている。北京西郊の双鳳村に住む'''安学海'''は[[漢軍八旗]]の正黄旗に属し、清廉の人であったが、老年にいたって思いがけず[[科挙]]に合格し、南方の地方官の職を得、一人息子を都に残して任地に向かう。しかし汚職の横行する官界で清廉な安学海は総督の談爾音に嫌われ、洪水の危険のある場所に任命される。前任者の手抜き工事によって[[洪沢湖]]があふれたため、安学海は責任を問われて獄に繋がれる。
 
安学海の子の'''安公子'''(名は驥、号は竜媒。公子=若旦那)は賠償金を届けるため、自分の科挙を放り出して[[淮安市|淮安]]まで慣れない旅に出るが、雇った荷運び人足が安公子をだまし討ちにして金を盗もうとたくらむ。世間知らずの安公子は彼らに騙されてついていくが、とちゅうで逃げ出した騾馬を追いかけて古寺にたどりつき、そこで一泊することになった。しかし寺の住職は実は赤面虎黒風大王という賊で、安公子を柱に縛り上げて殺そうとする。そこへ現れた女が飛び道具や[[倭刀]]([[日本刀]])を武器にひとりで賊を全滅させる。
 
女は賊にとらえられていた'''張金鳳'''という娘とその両親を助けだす。彼らは農民だったが道をまちがえてこの寺にたどりつい入ってしまった。賊が張金鳳を我が物にしようとしたが、金鳳の操が固いために閉じ込められていたのだった。
 
女は十三妹と名乗り、父が上司の恨みを買って獄死したため、'''鄧九公'''という侠客のもとに身を寄せ、父の仇をとろうとしている。悪徳商人やごろつきが奪った金を盗む強盗で生活しているとつげる。
 
十三妹は金鳳の操の固さに感心し、安公子と無理やり結婚させる。十三妹は去るが、一行は無事淮安に到着し、父は話を聞いて安公子と張金鳳の婚姻を認める。取調べにやってきた安学海の教え子の'''烏克斎'''の活躍により総督は収賄が露見して辺境に流刑になり、安学海の名誉は回復される。
 
十三妹は青雲山中に母と住んでいたが、母が死んだため、後のことを鄧九公にまかせて、いよいよ父の仇を討ちに出立しようとする。いっぽう安学海は十三妹について思い当たることがあり、鄧九公のもとを訪れて、十三妹ことの正体は'''何玉鳳'''であり、彼女の家自分と父祖以来の親交があること、仇の紀献唐がすでに死んでいることをつげる。十三妹の父は紀献唐の副将だったが、無実の罪を着せられて獄死していた。その後紀献唐は悪事を弾劾され、自尽を命ぜられた。天が自分のかわりに仇を打ってくれたと知った十三妹ははじめて娘らしい様子を見せて父母を思って哭き、母の喪に服する。十三妹を恩人とする山賊たちは一部始終を聞いて改心し、自分たちも山賊をやめて青雲山中で農民になる。
 
何玉鳳は父の葬儀の後に出家しようとするが、安学海と鄧九公は十三妹何玉鳳を説得して安公子と結婚させようとする。十三妹何玉鳳安公子と生涯独身誓いを立てていたので拒絶するが、張金鳳にこんこんと道理で説得され、ついに結婚を承認し、第二夫人になる。
 
何玉鳳と張金鳳は安公子が風雅の道に陥っていることを心配し、計略と弁舌によって夫をやりこめ、学問の道に向かわせることに成功する。安公子は学問に励み、[[郷試]]に合格して[[挙人]]の第六名となり、翌年の[[会試]]・[[殿試]]にも及第して[[進士]](八旗としては異例の[[探花]])となった。[[ウリヤスタイ]]参賛大臣に任命されるが、任地が遠くて離ればなれになってしまう妻たちは悲しむ。しかし結局山東に任地が変わる。その後安公も急速に昇進して[[国は位人臣をきわめ、張金鳳と何玉鳳はそれぞれ監|国祭酒]]で出世する。
 
安学海はふたたび鄧九公のもとに逗留する。旅の途中でかつて自分を陥れた談爾音が没落しているのに偶然会うが、彼を許して銀子を送る。
 
安公子は[[ウリヤスタイ]]参賛大臣に任命されるが、任地が遠く、妊娠しているためにともに任地に赴くことができない妻たちは悲しみ、夫のために[[苗族]]の長姐児を妾として同行させることにする。しかし烏克斎の手配によって結局山東に任地が変わり、ウリヤスタイに行く必要はなくなる。
 
== 日本語訳 ==
:[[奥野信太郎]]監訳、[[村松暎]]、[[常石茂]]、[[立間祥介]]らによる共訳
* {{citeCite book|和書|title=児女英雄伝(上)|series=中国古典文学全集 29|publisher=[[平凡社]]|year=1960}}(25回まで)
* {{citeCite book|和書|title=児女英雄伝(下)・[[鏡花縁]]|series=中国古典文学全集 30|publisher=[[平凡社]]|year=1961}}
:[[立間祥介]]による抄訳
* {{citeCite book|和書|title=児女英雄伝(抄)|series=[[中国古典文学]] 47|publisher=[[平凡社]]|year=1971}}
 
== 児女英雄伝にもとづく作品 ==
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== 参考文献 ==
* {{citeCite book|和書|author=[[太田辰夫]]|authorlink=太田辰夫|chapter=『兒女英雄傳』の言語|title=中国語史通考|year=1988|publisher=[[白帝社]]|isbn=4891740817|pages=299-324}}(もと日本中国学会報(26)、1974年)
 
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