IchigoJam
IchigoJam(イチゴジャム)は低消費電力、低コストのシングルボードコンピュータ・開発プラットフォーム。株式会社jig.jpによって公開され、プログラミング クラブ ネットワークより発売されている。
IchigoJam S (圧電サウンダ付) | |
価格 | 1500 円〜 |
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種類 | シングルボードコンピュータ |
プロセッサー | LPC1114FN28またはLPC1114FDH28 |
周波数 | 48MHz(12MHzで動作) |
メモリ | 4KB |
電源 | 5V DC |
概要
編集2014年4月1日に福野泰介(株式会社jig.jp取締役 創業者、公開当時は代表取締役)が開発・公開。[1][2]当初はBASICが動作するファームウェアと回路図などが公開され、組み立てる前提となっていたが、2014年7月にプリント基板が公開され、[3]現在はこれが主流である。後にプリント基板などの販売・卸はプログラミング クラブ ネットワーク(通称PCN)で、ライセンス管理などをjig.jpで行うようになった。後にjig.jpの子会社B Inc.が設立され、実質的なIchigoJam関連事業はB Inc.が継承している。jig.jpおよびB inc.はライセンスなどの発行は行っているが、IchigoJamプリント基板の販売は行っていない。
通常はプログラミング クラブ ネットワークからの卸によって販売を行っているが、同様仕様または上位互換で独自に製作・販売されているIchigoJam互換機も存在する。またファームウェアは無償でダウンロードでき(ただし再販はライセンスが必要)必要なパーツや回路図が公開されているため、自作も可能。
多くのシングルボードコンピュータは開発をパソコンなどから別途行う必要があったが、IchigoJamは電源を入れるだけでBASICが起動し、すぐにプログラミングが可能な事が特徴。入出力ポートも備えているため、プログラムに限らず、電子工作の制御が容易に行える。
「こどもパソコン」として、子供向けのプログラミング教育向けに展開している。
モデル
編集IchigoJam
編集プログラミング クラブ ネットワーク によって発売されている IchigoJam は次が存在する。
- IchigoJam[3]
- 2014年7月公開。初代プリント基板。
- IchigoJam U[4]
- 2015年7月公開。U=Universal。ユニバーサル基板に合わせた大きさに変更された。水晶振動子を基板に追加し映像表示の安定化を実現。CN5端子が追加されている。
- IchigoJam T[5][6]
- 2016年7月より発売。品薄になってきていたLPC1114FN28に代わってLPC1114FDH28を採用するようになった。キーボードのコネクタをUSBに変更(信号はPS/2のまま)。
- IchigoJam S[7]
- 2018年7月より発売。IchigoJam Tの改良版で、壊れやすいスライドスイッチの強化、半田付けミス防止のためLPC1114FN28向け端子を削除など。
- IchigoJam R
- 2021年1月より発売。IchigoJam Sの改良版で、ICをNXP社のLPC1114、Arm Cortex-M0アーキテクチャーに加え、RISC-Vに対応、それに従って端子の追加、インタプリタの高速化、本体に格納できるプログラムの大幅増量、従来のPS/2キーボードに加えUSBキーボードに対応など。
- IchigoJam Get Started Kit[8]
- 組み立て済みの IchigoJam S、ふにゃふにゃキーボード(US)、ビデオケーブル、microUSBケーブル、IchigoJam入門テキストが、特製IchigoJamセットケースに入ったもの。ビデオ入力端子のついたテレビ等のモニター、5Vが供給できる電源を別途用意する必要がある。福井県鯖江市のふるさと納税返礼品になった[9]。
- IchigoJam (ブレッドボード)
- ブレッドボード版。半田付けの代わりにパーツをブレッドボードに構築する。
IchigoLatte 本体
編集ファームウェアはIchigoJam BASICに代わってIchigoLatteを採用。 BASICではなく、JavaScriptでプログラミングできるファームウェア。
- IchigoLatte[10]
- 2016年9月にβを販売後、2017年1月より正式販売開始。βはIchigoJam Tをベースにしている。
IchigoDake & IchigoIgai
編集2017年4月に限定発売後、2017年6月より量産販売された。IchigoDakeとIchigoIgaiに分かれていて、IchigoDakeは首にぶら下げるなどして別に持ち歩ける。IchigoDakeを交換してOSを変更できる。
- IchigoDake BASIC
- IchigoJam BASICが入っている。基板は IchigoJam プリント基板同等の緑。
- IchigoDake JavaScript
- IchigoLatteが入っている。基板は IchigoLatte プリント基板同様の黒。
- IchigoDake IchigonQuest
- IchigonQuestが入っている。基板は青。2018年4月より発売開始。
- IchigoIgai
- IchigoDakeの接続部、ビデオ出力、キーボード、電源、圧電サウンダ、EEPROM向けピンソケットを備える。基板は赤。
- DakeJacket
- IchigoJamの拡張ボードを重ねられるようにした、IchigoDake用ドックステーション。2018年4月発売開始。
IchigoJam 互換機
編集プログラミング クラブ ネットワーク以外で開発・販売されているIchigoJam互換機が存在する。
- ai.Jam シリーズ
- IchigoJam EX
- SkyBerryJAM
- IchigoSoda
- KumaJam
- Ichigokamuy
その他、企業や個人による互換機などが存在する。
拡張基板
編集- PanCake
- マルチメディアボード。カラー表示、スプライト表示、多重演奏などができる
- MixJuice
- ネットワークボード。Wi-Fiによるインターネット接続
- MapleSyrup
- モーターの制御
- Juice Server
- バッテリーシールド。単四乾電池2本が入る基盤で、IchigoJamの上に挿し込んで使用する。ファイブ・テン 製。
- IchigoToast
- USBーシリアル変換ボード。IchigoシリーズとPCをシリアル通信で繋いだり、Ichigoシリーズのファームウェアの書換えに使える。北の電子工房 製。
- IchigoJam専用学習リモコン基板
- 基板上に7個のスイッチを搭載し、各スイッチ毎に赤外線リモコン信号を基板本体内に記録可能。IchigoJamのI/Oピンに接続することで、IchigoJamを赤外線学習リモコンとして動作させる拡張基板。株式会社ビット・トレード・ワン 製。
アプリケーション
編集基板とは別にパソコン内でアプリケーションとしての使用も可能。
- IchigoJam ap
- WindowsおよびmacOSのアプリケーションとして
- IchigoJam web by WebAssembly
- Web ブラウザ上で動作
これ以外にIchigoJam PCも過去公開されていた。
仕様
編集- CPU - NXP LPC1114[11] - ARM Cortex-M0搭載 32-bitマイコン 48MHz
- メモリ - 4KB
- プログラミング言語 - IchigoJam BASIC
- グラフィックス
- 32x24 テキスト(PCG対応) / NTSCビデオ出力
- 16x6 テキスト(PCG対応) / AQM1248A液晶ディスプレイ
- キーボード PS/2キーボード(ファームウェアでJP/US選択可能)
- I/O
ボタン、汎用入力x4 (アナログ入力x2) / LED x1、汎用出力x6(IO切替により入力最大x10、出力最大x10、アナログ最大x6)
PWM x4(2ch)
シリアル入出力(TXD/RXD) 最大115,200bps - 記憶媒体 - 内蔵Flashメモリ4つ / 外付けEEPROM対応
- 拡張機能 - PanCake を接続することで、80x45 16色+4和音に対応[12][13]
プログラミング言語
編集IchigoJam では次のプログラミング言語を使用できる。ハード構造はIchigoJamR以外は全部共通となっていてLPC1114にファームウェアを入れて使用可能。
IchigoJam BASIC
編集IchigoJamとその互換機で動作可能なBASICプログラミング言語とその総称。自作したIchigoJamにも入れることは可能だが、再配布する場合はライセンスが必要。 2019年6月現在の最新バージョンは1.3.1(正式版)。 保存媒体としてEEPROMを使用できる。本体にもプログラムを保存できる。またシリアル信号による通信が可能。 当初はMSXの影響を受けて開発されて、いくつか共通点が存在する[1]が、LPC1114の制限による独自仕様も増えている。 テキストと入出力の処理に特化されており、周辺機器ボードの追加によって機能を拡張できる。
IchigoJam BASIC RPi/RPi+
編集株式会社ナチュラルスタイルによってRaspberry Piに実装されたIchigoJam BASIC。IchigoJam RPi/RPi+の表記も公式を含め用いられる。2019年6月現在の最新バージョンは1.2.6RPi。
基本的にオリジナルであるLPC1114版の仕様を踏襲した物となっており、プラットホームがRaspberry PiであることによってUSBキーボードやHDMI対応のディスプレイなど、レガシーデバイスを用いずに近年入手性の高いハードウェアで動作させることができる。
IchigoJam BASIC RPiは基本的にフリーで提供され自分で公式ページよりダウンロード、使用する分には無料で使用することができる。但しその再頒布などは禁止されており、頒布にはライセンスの締結が必要である[14]。ショップのふうせんがその時点での最新版を書き込み済みのMicroSDカードを販売しており、動作確認済みのメディアで入手することも可能である。
IchigoJam BASIC RPi+はアイ・オー・データ機器からUD-RPSDIJの型番で書き込み済みMicroSDカード+SDカード変換アダプタと言う形の商品として販売されている[15]。フリー版の仕様に加え、Raspberry PiのオプションであるSense Hat、Touchscreenに対応したコマンドが追加された上位版となっている。基本的にサポート対象外の製品となっており、アイ・オー・データ機器はサポートライブラリでのアップデータ提供以外はMicroSDカードのハードウェア保証のみに対応する。システムの更新がほぼ一式入れ替える形となっているため、アップデータの入手には製品シリアルナンバーの入力を必要とする。また、フリー版ならびに公式の更新情報の頻度に対し、アップデータの提供が遅延する傾向にあり、Version1.2.6の時点でリリース日が2018年6月18日[16]にもかかわらず、サポートライブラリの登録は2018年8月28日[17]であった。また、BASICプログラミングキットとして、UD-RP3PKIの名前でUD-RPSDIJに加え、ナチュラルスタイル監修のテキスト本、ファンクションキー部分にコマンドの刻印があるUSBキーボードIS-KBJ[18]、並びにACアダプタと、ケース入りのRaspberry Pi 3 Model Bのセット品も販売されている[19]。
IchigoLatte
編集JavaScriptベース。プログラミング クラブ ネットワークによって公開されている。
IchigonQuest
編集矢印キーとEnter・Escキーのみでプログラミング可能。
マイコンBASICマガジンの復活
編集電子工作マガジン2015年春号よりマイコンBASICマガジンのコーナーが含まれ、IchigoJam BASICが当初からのプログラム投稿対象になっている。[2]
脚注
編集出典
編集- ^ a b 福野泰介 (2014年4月1日). “目指すはMSX! Raspberry Pi より安価な IchigoJam 発表!”. 2017年8月13日閲覧。
- ^ a b ITmedia (2015年3月18日). “「ベーマガ」復活!? 「電子工作マガジン」の1コーナーに”. 2017年8月13日閲覧。
- ^ a b 福野泰介 (2014年7月17日). “小学生OK! ハンダ付けして作るパソコン IchigoJam プリント基板β”. 2017年8月13日閲覧。
- ^ PCN1周年!福井県内全学校にプログラミング教科書寄贈 IchigoJam新基板、鯖江ヤマト工芸作の木工ケースも!
- ^ IchigoJam新基板に表面実装CPUをはんだづけする方法
- ^ こどもプログラミングパソコンに、新デザイン「IchigoJam T」登場!〜基板を発注するためのデータを公開〜
- ^ 女優さんもIchigoJamはんだづけ! 光るアイスのプログラミングと録画できるデジタルメガネ - Innovative Tomorrow
- ^ IchigoJam Get Started Kit PCN
- ^ 鯖江市のふるさと納税 ふるさとチョイス
- ^ IchigoLatte
- ^ 2017年8月現在 LPC1114FN28 または LPC1114FDH28 を使用
- ^ jig.jp (2015年12月22日). “jig.jp、こどもパソコン『IchigoJam』ver1.1リリース”. 2017年8月15日閲覧。
- ^ jig.jp (2016年5月9日). “こどもIoTを実現する、こどもパソコン『IchigoJam』ver 1.2 リリース〜累計1万5千台突破、プログラミング学習から本格IoTデバイス開発まで!〜”. 2017年8月15日閲覧。
- ^ IchigoJam BASIC RPi1.2 ドキュメント
- ^ UD-RPSDIJ
- ^ IchigoJam BASIC RPi+1.2 ドキュメント
- ^ IchigoJam BASIC RPi+
- ^ USB接続有線キーボードIS-KBJキーボード写真を参照。
- ^ UD-RP3PKI
関連項目
編集外部リンク
編集- こどもパソコン IchigoJam - jig.jp子会社B inc.による公式サイト
- PCN プログラミング クラブ ネットワーク