社会思想社
株式会社社会思想社(しゃかいしそうしゃ)は、かつて東京都文京区本郷に存在していた出版社である。1947年事業開始。1951年に創刊した文庫本の叢書である現代教養文庫を柱に人文・社会系の全集や翻訳も数多く擁していたが、1990年代から経営不振に陥り、2002年6月25日に事業を停止した。
歴史
編集創業
編集河合栄治郎の弟子らによって立ちあげられた社会思想研究会が1947年に出版部門を設けて出版事業を始め、これが社会思想社の母体となった。社会思想研究会出版部として1948年にルース・ベネディクト『菊と刀』、1949年にはアーノルド・J・トインビー『歴史の研究』などを翻訳出版し、事業を軌道に乗せる。1951年には第二次文庫ブームをとらえて、河合栄治郎の教養主義の精神を引き継ぎその普及を目指すべく、現代教養文庫を創刊し、多くの分野・全集・叢書なども内包した同文庫は、以後廃業まで同社の看板となった。1962年に社会思想社と改称。
出版社として自立
編集1962年、社会思想研究会出版部から株式会社社会思想社として独立した。1967年からは、創立20周年記念出版として、『河合栄治郎全集』全23巻と別巻を順次刊行した。1977年にアレックス・ヘイリーのベストセラー『ルーツ』を出版した。1984年からは現代教養文庫のアドベンチャーゲームブックとしてスティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンによるファイティング・ファンタジーシリーズの刊行を開始し、ゲームブックブームを起こした。また、1986年にゲームブックの専門誌として創刊された「ウォーロック」は後のトンネルズ&トロールズやウォーハンマーRPGの紹介などにつながった。1990年にはのちにテレビドラマ化[1]もされたエリス・ピーターズの修道士カドフェルシリーズの翻訳、刊行を始めた。
業績悪化から廃業へ
編集ゲームブックブームの終焉からその後のRPGブームの終焉、さらにバブル景気の崩壊と競合他社の増加などが1990年代前半までに続けざまに起こり[2]、経営が悪化し始めた。1990年代後半からはいわゆる出版不況の煽りも受け、1998年以降は赤字経営が続き、2002年6月に事業を清算することが決まった。負債総額は6億円にのぼっていたとされる。
歴代社長
編集出版物
編集書籍
編集- そしおぶっくす
- 現代教養文庫
- ルース・ベネディクト『菊と刀』
- アーノルド・J・トインビー『歴史の研究』全7巻と別巻
- 『河合栄治郎全集』全23巻と別巻
雑誌
編集- 知の考古学
- 季刊社会思想
- 季刊人類学
- ゲームブック・マガジン
- ウォーロック
脚注
編集関連項目
編集外部リンク
編集- 社会思想社ホームページ - ウェイバックマシン(2002年8月2日アーカイブ分)
- 社会思想社 - メディア芸術データベース