法人番号
法人番号(ほうじんばんごう)は、法人と一部の団体に対し日本の国税庁が指定する13桁の識別番号である(会社の法人番号は、商業登記の会社法人等番号12桁の左側に1桁のチェックディジットを付加したもの)。国税、地方税、社会保険などの手続に使われる。行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法、マイナンバー法)の規定に基づく。
収録数 | >5,200,000 |
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利用開始 | 2015年10月5日 |
管理団体 | 国税庁 |
桁数 | 13 |
チェック ディジット | mod 9 |
「マイナンバー」は個人番号の通称であり、法人番号は「マイナンバー」とはいわないが、法人番号を「法人版マイナンバー」あるいは「企業版マイナンバー」と説明する報道もある[1][2]。「社会保障・税番号制度」の意味で「マイナンバー制度」という場合、これには法人番号を含む。
番号の指定対象
編集内国法人であっても、設立登記がなく、所得税の源泉徴収義務がなく(=役員・従業員に報酬・給与を支払わない)、法人税・消費税の納税義務もない法人は、その法人から国税庁に法人番号の指定を申請しない限り、法人番号が指定されない。申請しない限り法人番号が指定されない法人としては、健康保険組合の一部、土地改良区の一部、勤労者財産形成基金、認可地縁団体などがある。
必ず指定
編集以下の機関、法人、団体に対しては、指定を受ける側からの申請によることなく、法人番号が必ず指定される[3]。
- 国の機関[4]
- 地方公共団体
- 法令の規定により設立の登記をした法人(設立登記法人)(株式会社、合同会社、一般財団法人、一般社団法人など)
必ず指定するとされているもの
編集以下の法人、団体などは、マイナンバー法39条1項により、必ず法人番号が指定されることになっているものであるが、下記の届出書を出さなかった場合でも、漏れなく法人番号が指定されるかは分からない。
- 地方公共団体でも上記の設立登記法人でもない法人(健康保険組合、土地改良区、外国法人など)であって、下記届出書のいずれかの提出義務があるもの
- 法人でない社団で代表者または管理人の定めがあるもの(権利能力なき社団)・法人でない財団で代表者または管理人の定めがあるもの(権利能力なき財団)であって、上記届出書のいずれかの提出義務があるもの
申請により指定
編集以下の法人・権利能力なき社団・権利能力なき財団は、「法人番号の指定を受けるための届出書」を国税庁に提出すれば、法人番号の指定を受けることができる[5]。
- 日本国内に本店または主たる事務所を有する法人(内国法人)
- 国税に関する法律の規定に基づき申告書、申請書、届出書、調書その他の書類を提出する法人・社団・財団
- 国税に関する法律の規定に基づき申告書、申請書、届出書、調書その他の書類を提出する者から書類に記載するため必要があるとして法人番号の提供を求められる法人・社団・財団
指定対象外
編集以下に示す組合は、法人番号の指定を受けることができない[6]。
法人番号は1法人・団体につき1個であり、事業所別、部局別の番号を取得することはできないのが原則である[7][8][9]。
しかしながら、全国の税理士会は、税理士会自体の法人番号のほか、支部ごとの法人番号を取得している(東京税理士会の場合、東京税理士会自体は 6011005000656、麹町支部は 2700150001262、神田支部は 6700150003437などとなっている)。このほかにも、法人自体に指定された番号のほかに、支部独自の番号を取得した団体は、少数ながら存在する。
指定件数
編集法人番号は、2019年(平成31年)3月末日時点で、約480万件指定されており、うち約98%(約470万件)を、設立登記法人(会社、一般社団法人、一般財団法人など)が占めた[10]。法人番号の指定を受けた国家機関は850弱、地方公共団体は約7,400であった[10]。
番号の指定・通知・公表
編集法人番号を指定する権限は、国税庁長官にある。実際の業務は、国税庁本庁の法人番号管理室(長官官房企画課法人番号管理室)が担当している[11](同室は、本庁の組織ではあるが、千代田区霞が関の財務省庁舎内にはなく、文京区湯島の湯島地方合同庁舎内にある)。各地の国税局・税務署には委任されていない。
登記所に法人の設立登記を申請した場合、法人側で国税庁・税務署に対して何の手続をしなくても、国税庁は設立登記の完了から原則2日後に法人番号の通知書(法人番号指定通知書)を発送する[12]。これは法律に基づいて国税庁が登記所(法務省)から情報提供を受けているからである[13]。
設立登記に基づく指定でない場合、国税庁は「法人番号の指定に関するお尋ね」に対する回答または「法人番号の指定を受けるための届出書」の内容に基づいて審査し、法人番号指定通知書を発送する。
法人番号指定通知書は、国税庁長官の官印は省略されているが、マイクロ文字などの偽造防止措置が施されている[14]。
指定した法人番号を変更する手続は法令に規定されていない。ひとたび指定された法人番号は、法人の名称(会社の商号)の変更、法人の主たる事務所(会社の本店)の移転、法人の組織変更(合同会社から株式会社への変更など)などを経ても変わらない。法人格が同一である限り同じ法人番号を使用し続けるのが原則である。
ただし、単独市制の際は、法人番号が変更される(2018年(平成30年)10月までに3例。岩手県岩手郡滝沢村→滝沢市、宮城県黒川郡富谷町→富谷市、福岡県筑紫郡那珂川町→那珂川市)。また、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第63号)附則の規定により、2016年(平成28年)4月1日に全国農業会議所と都道府県農業会議が一般社団法人に組織変更した際には、組織変更後の法人に対して別の法人番号が指定された。
法人・団体の解散後に同じ数字が別の法人・団体の法人番号に使い回されることはない。
国税庁長官は、法人番号を指定したときは、指定を受けた法人、団体などに番号を通知するとともに、「法人番号公表サイト」で法人番号、名称(商号)、住所(本店の所在地)(基本3情報)を公表する[15]。設立登記法人はこの公表を拒否することができないが、非登記法人(健康保険組合、厚生年金基金、国民年金基金、企業年金基金、土地改良区、認可地縁団体など)や権利能力なき社団、権利能力なき財団は、「法人番号等の公表同意書」を提出しないことにより公表を拒否することができる[16]。
数字の意味
編集番号の右からn桁目 | ||||||||||||||
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14 | 13 | 12 | 11 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
会社法人等番号 | 0 | 1 | 0 | 7 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 7 | 2 | 5 | ||
法人番号 | 7 | 0 | 1 | 0 | 7 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 7 | 2 | 5 | |
登録番号 | T | 7 | 0 | 1 | 0 | 7 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 7 | 2 | 5 |
法人番号は13桁の数字からなる。左端の数字が「0」になることはなく、必ず13桁である。個人番号(マイナンバー)や商業登記・法人登記の会社法人等番号は12桁であるから、桁数でこれらから区別することができる。
13桁の間にハイフンのような桁区切りを置く決まりはない[19]。国税庁・税務署が用意する申告書などの用紙では法人番号の記入枠が1桁、4桁、4桁、4桁に区切られている。
左側の1桁は検査用数字(チェックディジット)であり、それ以外の12桁から計算される1〜9のいずれかの数字である。計算方法は公開されている[20]。検査用数字が合っているかどうかの検証により1桁の入力誤りは検出可能である。ただし、1桁の入力誤りのうち、0と9との取り違えは検出できない[21]。
左側の1桁を除いた12桁は、日本で設立の登記をした法人の場合、商業登記・法人登記の会社法人等番号12桁に一致する[22]。それ以外の機関・法人・団体に対しては、会社法人等番号と区別できるように12桁の数字が決められる[23]。会社法人等番号の左端1桁は0〜5のいずれかであり、左側2桁が00になることはないため、国の機関と地方公共団体に00で始まる12桁を割り当て、その他の法人・団体に7で始まる12桁を割り当てる。
消費税法に基づく適格請求書発行事業者の登録番号は、法人の場合、法人番号13桁の左端に「T」を付加した14桁となる[24]。
法人番号の指定対象 | 法人番号の右からn桁目 | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
13 | 12 | 11 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
国会の機関[表注 1] | 検査用数字 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 6桁 | |||||
国の行政機関[表注 2]・検察審査会 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | |||||||
裁判所[表注 3] | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | |||||||
地方公共団体(団体コードあり[表注 4]) | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 団体コード6桁 | ||||||
地方公共団体(団体コードなし[表注 5]) | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 6桁 | ||||||
設立登記のある法人 | 会社法人等番号12桁 | ||||||||||||
予備 | 6 | 11桁 | |||||||||||
設立登記のない法人[表注 6]・人格なき社団・人格なき財団 | 7 | 0 | 0 | 1 | 8桁 | ||||||||
予備[表注 7] | 8 | 11桁 | |||||||||||
予備 | 9 | 11桁 |
表注
編集番号の利用
編集法人番号の指定は2015年(平成27年)10月5日、通知は同年10月22日から始まった[25]。2016年(平成28年)1月以降、国税・地方税関係の申告書、源泉徴収票、調書などで法人番号の使用が始まった。2018年(平成30年)1月からは、日本国内で営業する金融機関には、法人名義の預金口座・貯金口座と法人番号との紐付け管理が義務づけられた(国税通則法第74条の13の2)。
法人番号は、個人番号とは異なり、利用目的の制限はない(民間企業が自社の情報システムで「取引先コード」などとして利用しても構わない)。国税庁の「法人番号公表サイト」では、法人番号、名称(商号)、住所から法人番号が検索でき、公表されているデータの一括ダウンロードもできる。
番号の証明方法
編集法人番号の導入後、金融機関に法人名義の口座を開こうとする際などに、法人番号を証明する書類の提出が求められるようになった。
個人番号の場合、個人番号カード(マイナンバーカード)や個人番号入りの「住民票の写し」を提示することにより、番号を容易に証明することができる。これに対し、法人番号については、番号を記録したカードは発行されず[26]、商業登記・法人登記の登記事項証明書や登記事項要約書に番号は記載されない(登記事項証明書・要約書に記載される番号は会社法人等番号である)。
この点に関し、国税庁は、法人番号を証明する用途には、以下のいずれかの文書を使用するように案内している[26]。
- 国税庁が法人番号を指定したときに郵送した「法人番号指定通知書」
- 「法人番号公表サイト」の検索結果画面をプリントアウトした紙
国税庁は、「法人番号指定通知書」は、原則、再発行しないと表明している[27]。会社の商号(法人の名称)・会社の本店(法人の主たる事務所)所在地が変更になった場合であっても、法人番号は変わらないので、「法人番号指定通知書」は再発行されない。この場合、「通知書」記載の商号(名称)・所在地と、現在の商号(名称)・所在地とが齟齬することになる。
権利能力なき社団・権利能力なき財団で、「法人番号公表サイト」による法人番号の公表に同意しなかった団体の場合、法人番号を証明する手段は、「法人番号指定通知書」が唯一となる。国税庁は、「法人番号指定通知書」を紛失した場合、本庁の「法人番号管理室」まで連絡するように案内している[27]。
出典
編集- ^ 浪川攻 (2013年9月29日). “法人版マイナンバー導入で何が変わるのか”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. 2018年10月13日閲覧。
- ^ “登記情報など一括入手 企業版マイナンバー活用、手数料下げ”. 日本経済新聞電子版. 日本経済新聞社 (2015年9月27日). 2018年10月13日閲覧。
- ^ “法人番号はどのような団体に指定されますか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令第36条
- ^ “国税庁長官に届け出ることによって法人番号の指定を受けることができる「一定の要件に該当するもの」とは、具体的にどのような場合をいいますか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ “「人格のない社団等」とは、具体的にどのような団体のことをいいますか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ “当法人は、支店や事業所ごとに管轄の税務署へ給与支払事務所開設届出書を提出しているため、給与支払事務所が本店とは異なります。そういった場合は、支店や事業所ごとに法人番号が指定されるのでしょうか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ “当部署は、市の機関ではありますが、特別会計で事業を行っていることから、市とは会計が異なります。このような場合、法人番号は個別に指定されるのでしょうか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ “市の部局や出先機関ごとに給与支払事務所の開設届出書を提出しているため、複数の給与支払者から給与を支給されている職員がいますが、法定調書の記載にあたり、給与支払者ごとに法人番号の指定を受けることはできますか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ a b “法人番号に関する情報”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2019年6月7日閲覧。
- ^ “法人番号の指定、通知書の発送および「国税庁法人番号公表サイト」の操作方法に関する問合せ先や、法人番号に関する届出書の提出先はどこですか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ “新たに設立登記した法人には、法人番号はいつ通知されますか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2021年11月5日閲覧。
- ^ 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第41条第1項
- ^ “通知書について”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2019年6月7日閲覧。
- ^ “法人番号等の基本3情報(商号や本店所在地および法人番号)は、なぜ公表されるのですか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ “人格のない社団等ですが、「法人番号等の公表同意書」は必ず提出しなければならないのですか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ “日本税理士会連合会の情報”. 法人番号公表サイト. 国税庁. 2021年11月5日閲覧。
- ^ “日本税理士会連合会の情報”. 適格請求書発行事業者公表サイト. 国税庁. 2021年11月5日閲覧。
- ^ “法人番号は、何桁区切りで表示されますか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ “法人番号はどのように指定されますか(桁数)。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ 上原哲太郎 (2016年7月25日). “法人番号の検査用符号の設計ミスと、公共で使われるチェックデジット”. デジタル・フォレンジック研究会. 2018年10月13日閲覧。
- ^ 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令」第35条第2項
- ^ 「法人番号の指定等に関する省令」第3条
- ^ 国税庁. “登録番号とは”. 適格請求書発行事業者公表サイト. 国税庁. 2021年11月5日閲覧。
- ^ “法人番号はいつどのような方法で通知されたのですか。(平成27年10月5日より前に設立した法人等の場合)”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2018年10月13日閲覧。
- ^ a b “法人番号が記載されたカードは発行されますか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2019年6月1日閲覧。
- ^ a b “法人番号指定通知書が手元にない(紛失、届いていない)場合は、どうすればよいのですか。”. 国税庁法人番号公表サイト. 国税庁. 2019年6月1日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- マイナンバー(社会保障・税番号制度)(内閣府)
- 法人番号について(国税庁)
- 国税庁 法人番号公表サイト