東名酒匂川橋
東名酒匂川橋(とうめいさかわがわばし)は、神奈川県足柄上郡山北町の酒匂川に架かる東名高速道路の橋梁である。
東名酒匂川橋 | |
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基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 神奈川県足柄上郡山北町 |
交差物件 | 酒匂川 |
用途 | 道路橋 |
路線名 | E1 東名高速道路 |
管理者 | 中日本高速道路 |
施工者 |
宮地鉄工所、日本橋梁(上部工) 三井建設・竹中土木(下部工)[1] |
建設 | 1969年 |
座標 | 北緯35度22分14.5秒 東経139度2分10.2秒 / 北緯35.370694度 東経139.036167度 |
構造諸元 | |
形式 | トラス橋 |
材料 | 鋼板 |
全長 | 750m[2] |
桁下高 | 65m(橋脚の高さ) |
関連項目 | |
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概要
編集全長750mの曲線連続鋼トラス橋で、トラス部分は朱色に塗装されている。1969年(昭和44年)の完成当初は上下線各2車線の橋が2本並列していたが、1991年(平成3年)の拡幅事業により南側に離れた位置に上り線が新設され、現在は2本とも下り線(左ルート、右ルート)として運用されている。東名高速下り線は都夫良野トンネルを出てすぐに本橋に差し掛かり、酒匂川とその左岸に並行する神奈川県道727号川西線、右岸に並行する国道246号、神奈川県道76号山北藤野線を跨ぎ越す。橋梁区間が終わった先でJR御殿場線のトンネルと交差する。橋脚は鉄筋コンクリート製で、高さ65m・直径7m[2]。開通当時は東洋一の高さを誇り[3]、東名高速開通記念切手にも描かれた。
1990年度には、4kmほど東京寄りに架かる東名皆瀬川橋とともにかながわの橋100選に選定されている[2]。
構造
編集東名随一の難工事区間である大井松田インターチェンジ(IC) - 御殿場IC間は山岳区間であり、地形が急峻である。山あいを通過するため、この区間には随所にカーブが挿入されたが、その影響をまともに被ったのが東名酒匂川橋である。全長約724 mにわたって橋桁を折り曲げた日本最初のカーブ橋となった[5]。横断する酒匂川の地質は軟弱な火山灰が滞積し、基礎のケーソンの安定沈降に神経を使うと同時に、当初14 mも掘れば充分とされた深さは、20 mまで掘削しなければ岩盤に到達しなかった。このケーソン工事は鉄砲水で知られる酒匂川の出水期前にはどうしても掘り終える必要があり、非常にきついスケジュールを強いられることになった[6]。
ケーソン基礎の上に円柱のコンクリート製橋脚が8本建設され、その高さは最高で65 mである。橋脚が完成したのちの1968年(昭和43年)7月15日、国内2例目となる橋脚の耐震実験が公開で行なわれた。8本の内の1本に推力5トン、長さにして1 mのロケットを取り付け、約1分間噴射させた上でそのショックと振動を計測した[7]。
上部工の架設にはカレンチバーエレクション工法が採用された。全橋にわたりカーブが挿入されることで高精度のくみ上げが要求され、架設併合時にその誤差を10ミリメートル以内に納めた[8]。上部工の工期約半年の間に2600トンの重量物を空中高く積み上げ、このために関係者は、東名全線開通の時期がこの橋のために遅れることを懸念するほどの大工事となった[9]。
参考文献
編集- 池上雅夫『東名高速道路』中央公論社〈中公新書188〉、1969年5月25日。
脚注
編集- ^ “PDF版 橋の情報と資料” (PDF). 中日本建設コンサルタント. p. 32. 2018年10月26日閲覧。
- ^ a b c “かながわの橋100選 東名酒匂川橋”. 神奈川県庁 県土整備局 (2011年3月1日). 2018年10月26日閲覧。
- ^ “東名高速道路:ハイウエー時代の幕開け 全線開通から40年”. 毎日新聞. (2012年3月12日) 2018年10月26日閲覧。
- ^ “東名高速道路酒匂川橋支承改良”. 宮地エンジニアリング. 2018年10月26日閲覧。
- ^ 池上雅夫 1969, p. 163.
- ^ 池上雅夫 1969, pp. 163–166.
- ^ 池上雅夫 1969, p. 167.
- ^ 池上雅夫 1969, pp. 167–168.
- ^ 池上雅夫 1969, p. 168.