愛知電気鉄道デキ400形電気機関車
愛知電気鉄道デキ400形電気機関車(あいちでんきてつどうデキ400がたでんききかんしゃ)は、愛知電気鉄道(愛電)が新製した直流用電気機関車。後年愛電と名岐鉄道が合併し名古屋鉄道(名鉄)が設立された際にも形式称号は変わらずデキ400形を名乗った。数多く在籍した名古屋鉄道の旧型電気機関車では唯一の箱型電気機関車で、2両が在籍していた。
愛知電気鉄道デキ400形電気機関車 名鉄デキ400形電気機関車 | |
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デキ400形402(2008年豊明検車区にて撮影) | |
基本情報 | |
運用者 | 愛知電気鉄道・名古屋鉄道 |
製造所 | 日本車輌製造 |
製造年 | 1930年(昭和5年) |
製造数 | 2両 |
廃車 | 2016年(平成28年) |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 | 直流600 V(架空電車線方式) |
車両重量 | 40.00 t |
全長 | 11,052 mm |
全幅 | 2,700 mm |
全高 | 4,120 mm |
車体 | 全鋼 |
台車 | 日本車輛製造ELNO564(板台枠式) |
主電動機 | ウェスティングハウスWH-550-JF-6 |
主電動機出力 | 125 PS |
搭載数 | 4基 / 両 |
歯車比 | 67:14 |
制御装置 | ウェスティングハウスHL |
制動装置 | ユニットスイッチ |
備考 | 1944年の諸元表より[1]。 |
概要
編集愛知電気鉄道が1930年に発注した機関車。同時に愛知電気鉄道が自社発注した最後の機関車でもある。2両が(400・401)が製造され、400は1930年(昭和5年)、401は1932年(昭和7年)製である。1935年の名鉄発足に伴い400は402に改番されて0起番から1起番とした。車体は日本車輌製造製だが、機器類はすべてアメリカのウェスティングハウス社製となっている。
本格的な機関車としては、EL120形が登場するまでは名鉄唯一の箱型機であり[注釈 1]、そのスタイルから更新前の本形式を好んで模型化するファンも多い。前面窓上の大きなひさしと窓下の砂箱が、特徴ある外観をさらにいかめしいものにしている。パンタグラフは当初ウェスチングハウス社製の独特な大きいものが2基取り付けられていたが、後にPS13形1基に変更され、末期はPT42-F形1基に変更された。
台車は日本車輌製造製の板台枠式で、名鉄では珍しく台車牽引式となっている点も特徴である。
主電動機はWH-550-JF-6形で出力93.25kWを4基であり、歯車比は4.785[2]。1時間定格出力は360kW、1時間定格引張力は4750kg、1時間定格速度は27.5km/hであった。
かつて車体の塗装は黒地だったが、1993年6月に特別整備を行い、制御装置や電動発電機、尾灯等を交換し、あわせて車体もノーシルノーヘッダー化、塗色はメイテツブルーに変更された。車体裾や前面のデッキ、手すりなどは黄色でこれは旧塗色当時と基本的に変更はない。
名鉄所有となってからも主に東部・三河線で使用されてきたが、貨物輸送廃止後は矢作橋駅構内に留置され、夜間に砕石運搬車を挟んでプッシュプル運転で使用された。なお、デキ401は一時期三岐鉄道や岳南鉄道[注釈 2]に貸し出されていた。
注釈
編集- ^ 過去には電車改造のデキ30形・デキ50形、電動貨車から編入されたデキ1000形、デキ1500形が箱型機であった。
- ^ 吉原駅には岳南鉄道で使用されていた電気機関車の写真が展示されているが、その中に名鉄からの借入機としてデキ401がED281形電気機関車と一緒に並んでいる写真がある。
- ^ 清水武、田中義人『名古屋鉄道車両史 上巻』アルファベータブックス、2019年、166頁。ISBN 978-4865988475。
- ^ 『鉄道ピクトリアル』2006年1月臨時増刊号 電気車研究会
- ^ 『鉄道ファン』2017年8月号 交友社「大手私鉄車両ファイル2017 車両データバンク」
参考文献
編集- 清水武・田中義人・澤内一晃『名古屋鉄道の貨物輸送』フォトパブリッシング、2021年。ISBN 978-4-8021-3270-1。
- 清水武・田中義人『名古屋鉄道車両史 上巻』アルファベータブックス、2019年。ISBN 978-4-86598-847-5。
- 鉄道ピクトリアル2006年1月号(臨時増刊号)通巻№771 電気車研究会