シンガポール軍
シンガポール軍(シンガポールぐん Singapore Armed Forces,SAF)はシンガポールにおける国防組織。陸海空、デジタル・インテリジェンス・サービスの四軍からなり、シンガポール独立後の1965年に創設された。
概要
編集シンガポールは、小規模な島国でありながら、経済が強いこともあり、小規模ながら精強な軍を有している。シンガポール軍は、陸軍・海軍・空軍・デジタル・インテリジェンス・サービスの四軍からなり、国防省の管轄下にある。軍内の最高位は、中将の国防軍司令官(Chief of Defence Force)。徴兵制度があり、成人男性には2年間の兵役義務がある。
- シンガポール陸軍(Singapore Army)
- シンガポール海軍(Republic of Singapore Navy)
- シンガポール空軍(Republic of Singapore Air Force)
- シンガポールデジタル・インテリジェンス・サービス(Digital and Intelligence Service)
1965年の独立後もイギリス極東軍が駐留していたが、1968年にイギリスはスエズ以東より撤退を表明し、1971年からは5か国防衛取極によるANZUK軍が1980年代まで駐留していた。サイバー部隊の独立軍種化が計画されている。
陸軍
編集2023年時点の兵員数は40,000名(うち徴兵26,000名)[1]。第3師団、第6師団、第9師団の3個師団を主力としており、他に予備役部隊を有する。戦車部隊や特殊部隊もあり、台湾での訓練も行っている。
装備の一覧
編集小銃
編集機関銃
編集- CIS ウルティマックス100軽機関銃[2]
- コルト IAR6940E-SG 分隊支援火器[2]
短機関銃
編集拳銃
編集対戦車火器
編集戦車
編集装軌装甲車
編集- AMX-10 PAC90 火力支援車×22両(保管中)[3]
- バイオニクス 歩兵戦闘車 IFV-25型×250両、IFV-40/50型×250両[3]
- ハンター AFV 歩兵戦闘車×50両(推定)[3]
- M113A2 Ultra 歩兵戦闘車×50両以上[3]
- AMX-10P 歩兵戦闘車×22両(保管中)[3]
- M113A1/A2 装甲兵員輸送車×700両以上[3]
- ブロンコ ATTC 装甲兵員輸送車×400両以上[3]
装輪装甲車
編集- テレックス ICV 装甲兵員輸送車×135両[3]
- LAV-150/V-200 コマンドウ 装甲兵員輸送車×250両(保管中)[3]
- V-100 コマンドウ 装甲兵員輸送車×30両(保管中)[3]
- ベルレックス 軽装甲車×74両[3]
- マックスプロ ダッシュ 軽装甲車×15両[3]
- ピースキーパー 軽装甲車×51両[3]
工兵・支援車両
編集- CET 戦闘工兵車×18両[3]
- FV180 戦闘工兵車×54両[3]
- コディアック 戦闘工兵車×14両[3]
- M728 戦闘工兵車×8両[3]
- バイオニクス 装甲回収車×不詳[3]
- ビュッフェル 装甲回収車×不詳[3]
- LAV-150 装甲回収車×不詳[3]
- LAV-300 装甲回収車×不詳[3]
- バイオニクス 架橋車×不詳[3]
- LAB 30 架橋車×不詳[3]
- レグアン 架橋戦車×不詳[3]
- M2 架橋車×不詳[3]
- M3 架橋車×60両[3]
- M60 架橋戦車×12両[3]
- ハイドレマ910-MCV-2 地雷除去車×不詳[3]
- トレイルブレイザー 地雷除去車×不詳[3]
榴弾砲
編集- LG-1 105mm榴弾砲×37門(保管中)[3]
- SLWH ペガサス 155mm榴弾砲×18門(推定)[3]
- FH-2000 155mm榴弾砲×18門[3]
- FH-88 155mm榴弾砲×52門[3]
迫撃砲
編集- 81mm迫撃砲×500門[3]
- M-65 120mm迫撃砲×36門[3]
- M-58 Tampella 160mm迫撃砲×12門[3]
自走砲
編集- HIMARS 自走ロケット発射機×18両[3]
- SSPH-1 Primus 155mm自走榴弾砲×54両[3]
- ブロンコ ATTC 120mm自走迫撃砲×40両[3]
- M113 120mm自走迫撃砲×50両[3]
その他
編集海軍
編集シンガポール海軍は、2024年時点で80隻の水上艦艇及び4隻の潜水艦、9,000名の人員を有している[6]。スキャンイーグルUAV以外の航空戦力は、艦載ヘリ・哨戒機含め空軍が保有している[7]。2ヶ所の海軍基地がある。
装備の一覧
編集潜水艦
編集- チャレンジャー級潜水艦(旧シェーオルメン級潜水艦) - 2隻[6]
- アーチャー級潜水艦(旧ヴェステルイェトランド級潜水艦) - 2隻[6]
- インヴィンシブル級潜水艦(独218SG型) - 2隻(2隻建造中)[6][8][9]
フリゲート
編集- フォーミダブル級フリゲート(ラファイエット級フリゲートの派生型) - 6隻[6]
コルベット
編集- ヴィクトリー級コルベット - 6隻[3]
- インディペンデンス級沿岸域任務艦 - 8隻[3]
哨戒艇
編集- センチネル級哨戒艇(フィアレス級哨戒艇を改修・再就役したもの) - 4隻[10]
- SMC TYPE1型哨戒艇(シンガポール国産の40t級ステルス迎撃艇[7]) - 2隻[3]
- SMC TYPE2型哨戒艇(同上[7]) - 6隻[3]
揚陸艦艇
編集- エンデュアランス級揚陸艦 - 4隻[3]
- 揚陸艇 - 33隻[6]
掃海艇
編集潜水艦救難艦
編集- スウィフトレスキュー - 1隻[3]
その他
編集過去に就役した艦艇についてはシンガポール海軍艦艇一覧を参照のこと。
空軍
編集人員は6000名で、うち3000名が徴兵[3]。早期警戒機を有する等、機材の充実が図られており、最新のF-35戦闘機の導入も決定している。アメリカやオーストラリアでも訓練を行っている。
装備の一覧
編集戦闘爆撃機
編集- F-15SG - 40機[3]
- F-16C Block 52 - 20機[3]
- F-16D Block 52 - 20機[3]
- F-16D Block 52+ - 20機[3]
早期警戒機
編集海洋監視機
編集- フォッカー 50 マリタイム・エンフォーサー(ハープーン空対艦ミサイルおよび魚雷を装備) - 5機[3]
空中給油・輸送機
編集- A330 MRTT - 6機[3]
- KC-130B ハーキュリーズ - 4機[3]
- KC-130H ハーキュリーズ - 1機[3]
- C-130H ハーキュリーズ - 5機(ELINT型2機を含む)[3]
- フォッカー 50 - 4機[3]
練習機
編集ヘリコプター
編集- シコルスキー S-70 - 41機
- AH-64D アパッチ・ロングボウ - 19機[3]
- S-70B シーホーク - 8機[3]
- CH-47D チヌーク - 6機[3]
- CH-47SD チヌーク - 10機[3]
- CH-47F チヌーク - 2機以上[3]
- H225M - 3機以上[3]
- AS332M スーパーピューマ -18機(SAR型5機を含む)[3]
- AS532UL クーガー - 12機[3]
- H120 コリブリ - 5機(リース機)[3]
無人機
編集対空火器
編集- SAMP/T - 4基以上[3]
- Spyder-SR[3]
- 9K38 イグラ(自走型を含む)[3]
- ミストラル[3]
- RBS-70[3]
- GAI-C01 20mm機関砲(自走型を含む)[3]
- GDF 35mm機関砲[3]
搭載兵装
編集デジタル・インテリジェンス・サービス
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特殊部隊
編集シンガポール陸軍は、少なくとも1個のコマンド大隊と規模不明の特殊部隊を保有している。その訓練状況の詳細は不明であるが、多くの元特殊部隊隊員が所持している空挺降下の記念バッジから、アメリカ海軍のNavy SEALsから訓練を受けていることが判明している。また、海軍にも特殊部隊がある。
シンガポールの特殊部隊は良く訓練されており、高い能力を示している。2000年にはSEALsの養成訓練において、シンガポールの訓練生が首席となった。
また、2009年より陸軍、海軍の特殊部隊員より選抜された特殊作戦タスクフォース(Special Operation Task Force:SOTF)が編成され、テロ対策任務を担うようになった。
階級
編集分類 | 階級 | 特技レベル |
---|---|---|
Enlistee(下士官) | Recruit(二等兵) | |
Private(一等兵) | ||
Private (First Class)(上等兵) | ||
Lance Corporal(兵長) | ||
Corporal(伍長) | ||
Corporal (First Class)(上級伍長) | ||
Specialists(下士官) | Third Sergeant(三等軍曹) | ME1 (Military Expert 1) |
Second Sergeant(二等軍曹) | ||
First Sergeant(一等軍曹) | ||
Staff Sergeant(上等軍曹) | ME2 (Military Expert 2) | |
Master Sergeant(曹長) | ||
Warrant officers(准士官) | Third Warrant Officer(三等准尉) | ME3 (Military Expert 3) |
Second Warrant Officer(二等准尉) | ||
First Warrant Officer(一等准尉) | ||
Master Warrant Officer(准尉長) | ME4 (Military Expert 4) | |
Senior Warrant Officer(上級准尉長) | ||
Chief Warrant Officer(最上級准尉長) | ||
Junior officers(尉官) | Second Lieutenant(少尉) | |
Lieutenant(中尉) | ||
Captain(大尉) | ||
Field officers(佐官) | Major(少佐) | ME5 (Military Expert 5) |
Lieutenant-Colonel(中佐) | ME6 (Military Expert 6) | |
Senior Lieutenant-Colonel(上級中佐) | ||
Colonel(大佐) | ME7 (Military Expert 7) | |
General officers(将官) | Brigadier-General(准将)/Rear Admiral One-Star(海軍准将) | ME8 (Military Expert 8) |
Major-General(少将)/Rear Admiral Two-Star(海軍少将) | ||
Lieutenant-General(中将)/Vice Admiral(海軍中将) | ||
General(大将)/Admiral(海軍大将) |
関連項目
編集- シンガポールの軍事 - 安全保障政策等を解説
出典
編集- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 287. ISBN 978-1-032-50895-5
- ^ a b “Singapore Army equips active units with new Infantry Automatic Rifle”. janes.com (2024年7月18日). 2024年8月14日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj bk bl bm bn bo bp bq br bs bt bu bv bw bx by bz ca cb cc cd ce cf cg ch ci cj ck cl cm cn co cp cq cr cs ct cu cv The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023/2/15). The Military Balance 2023: The International Institute for Strategic Studies. Routledge. pp. 287-288
- ^ “Singapore Army commissions TPQ-53 S-band WLR system”. janes.com (2021年7月5日). 2024年9月12日閲覧。
- ^ “Singapore Army inducts surveillance UAV”. janes.com (2024年9月11日). 2024年9月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g 『世界の艦船増刊 第1016集 世界の海軍 2024-2025』海人社、2024年3月14日、115-116頁。
- ^ a b c d e f 『世界の艦船増刊 第922集 ネーバル・レビュー2020―世界の海軍力総覧―』海人社、2020年3月16日、137頁。
- ^ “東南ア、軍備増強へ動く シンガポールは独から潜水艦”. 日本経済新聞電子版2017年5月17日. 2017年5月17日閲覧。
- ^ “Singapore commissions first two Invincible-class submarines”. janes.com (2024年9月24日). 2024年9月24日閲覧。
- ^ “Sentinel-class Maritime Security and Response Vessels” (英語). シンガポール海軍. 2024年9月16日閲覧。