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学問

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
学術から転送)

学問がくもん: learning[1], study[1], science(s)[1][2], academic discipline[1], scholarship[1], knowledge[1])または学術がくじゅつとは[3]学び習うこと[4]、新知識の学習[4]、一定の理論に基づいて体系化された知識方法[2]歴史学心理学言語学などの人文学経済学政治学法学などの社会科学物理学化学生物学などの自然科学数学計算機科学論理学などの形式科学などの総称。

なお、「学術」は技術などを含む専門的・研究的な学問を指したり、学問と芸術・学問と技芸を指したりすることもある[5][3]。「科学」は一般に哲学宗教芸術などとは区別されており[6]、狭義または一般の「科学」は自然科学を指す[6][7][8]

学問の専門家を一般に「学者」と呼ぶ。研究者[注釈 1]科学者と呼ばれる場合もある。

概説

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学問については体系化された知識を指すことが多い。ただし、学問を知識のことだとするのは、あくまで一例であり具体的な意味目的による定義は多数存在する。また主観的にも意味合いが違ってくる。

基本的に学問の名前は、接尾語である「学」を付けて言い表すが、「学」が付いていないもの(省略されているもの)も多数有る。

学問と学術

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学問に対し「学術」という言葉には、次のような意味がある[3][5]

  1. 学問[3]原理応用技術を含む専門的な学問[5]研究的な学問[3]
  2. 学問と芸術[5]、学問と技芸[3]

なお古代ギリシア哲学では、技術(テクネー)は学術・芸術・知識エピステーメー)などをも意味し[9][10]数学[11]天文学[12]や学問全般が技術に含まれていた[13]本質の、または理知ロゴス)は技術に備わっているとされた[14]アリストテレスの論では、技術も自然本来的にはであり、はそれを際立たせるとされていた[15]

学問の略史

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歴史的に見れば、学問は様々な場所で行われてきた。例えば江戸時代日本では、私塾が、藩校などとともに、大いに学問の発展を荷ってきた(→日本の私塾一覧)。大学制度が整えられている現在では、学問は大学私立大学公立大学)によって主導されていることが多いが、その他の様々な研究所(公立・私立とも)で行われていることもある。

近代教育が確立される以前の「学問」は知の体系を指すという意味以外にも今日の言葉で言う「人間学」や「教養」を意味する使われ方もしてきた。儒学でいう「聖人の学」などという言葉の文脈で使われる「学問」は、今日の自然科学・社会科学・人文科学という意味での学問ではなく、人格を修養する手段としての学問である。日本においても、江戸時代の儒学者などのいう「学問」は人間の修養と、社会を治める知識としての学問の両方を意味していた。

現在、ある学問が存在すれば、一般的には、それに関連する学会が(ひとつ乃至複数)存在しており、その学問の発展に関与しており、各学者は一般的には、当該学問のいずれかの学会の(多くは複数の学会の)会員となっていて、自身の研究の成果を発表することで認知を得たり、あるいは他の学者の発表を確認することで当該学問の最新の情報を把握し、自身の研究に役立てようと努めている。

学問の追究によって得られた知識などは、学会での発表だけでなく、各種学術雑誌での公表(大学の紀要・論文集への掲載を含む)、著書(単著・共著)の出版など、様々な方法で公表される可能性がある。ただし、特に自然科学系の学問においては、数限られた定評ある学術雑誌などで査読を経たうえで公表された知識のほうが、最も正式なものと認知され、そうではない知識に比べて格段に信頼される傾向が強い。

学問の分類

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学問の分類は人によって異なる。[要検証]大まかには、日常会話や文献検索時の共通キーワードとして、時と場合により下記の分類のいずれかとすることが多い(これ以外の分類も多数存在するが、一般的で無い)。なお、科学技術工学などの言葉は、定義が無数にあり、統一的な定義は存在しないため、科学と技術をベースとした学問の分類とその範囲を厳密に決めることは困難である。

  1. 文系理系の大雑把な分類
  2. 学会による分類
  3. 図書による分類(日本十進分類法など)
  4. 公務員試験、企業就職試験、資格試験に見られる区分け
  5. 1991年以前の半数以上の大学に共通して見られる組織による分類(工学理学農学医学薬学文学経済学法学など。大学設置基準などの改正で、大学における学問の基本分類が撤廃された後にも、従前の分類は有名大学を中心に根強く残る。)
  6. 学位の分類(5.とほぼリンクしている)
  7. 科学技術行政の統計を作成する場合の分類(例えばユネスコ勧告[1]
  8. 一般的または慣例的に使用される、人文・社会・自然科学による分類および、基礎と応用の区分けなどによる分類(下記に、この分類の一例を示す。この例以外の、分類解釈も存在する。)

分類

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人文学

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内容と場合によっては人文科学とも呼称する。上記の分類以外に、大学の文学部で行っている学問を指す解釈もある。

社会科学

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下記の小分類の幾つかは、人文科学に含める場合も有る。最も大まかな分類では、社会科学全体が人文科学に含まれる。

統治系
経済系
一般系
教育系

この分類以外に、大学の法学部、経済学部、教育学部などで行っている学問を指す解釈もある。

自然科学

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基本的には、大学の理学部で行っている学問を指す。 基礎科学も、自然科学と同等に扱われる場合が多い。

形式科学

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自然科学や社会科学との境界が曖昧なものもある。

  • 数学(自然科学とすることもある)
  • 計算機科学(応用科学とすることもある)

応用科学

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ラファエロ・サンティアテナイの学堂」1510-11 フレスコ 左の天を指すのがプラトン(虚学の象徴)であり、右の大地を指さすのがアリストテレス(実学の象徴)である[要出典]

応用科学(実学、英:art、希:τεχνη)とは、基本的に、医学部、薬学部、歯学部、工学部、農学部で行っている学問を指すことが多いが、人文科学や社会科学の応用分野についても応用科学とされることもある。実学はその時代の文明や人間活動の役に立つと同時に、基礎科学分野にも影響を与え(例えばモルの研究は蒸気機関発明後になされている)、かつ後世にも多くの普遍的な知識・技術を与えるものである。

総合科学・学際分野

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学際分野とは、複数の小分類の学問を組み合わせたり、目的別によるテーマ(例えば環境問題)ごとに複数分野の学問の観点からアプローチする新分野の学問のことである。また、このような学際分野が体系性を持った科学であることを強調するときに、「総合科学」の語が用いられることもある。

各大学では学際分野の学問を指向することもあり、総合科学のほかにも総合人間学などの多様な呼称があり、独自の名称で呼ばれていることもあり、世間への認知は広がりつつある段階である。また、学際的な大学の新組織も、各々の教員は、小分類の学会などでも活動を行っており、新学問を指向した教育研究組織のほとんどは、各教員が有する学位の専攻分野などは異なっている。

様々な分類法

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学問は様々な側面から分類できる。

文系か理系か
  • 文系:人文科学、社会科学、人文社会科学、形式科学の一部(哲学伝統的論理学など)
  • 理系:自然科学、応用科学、形式科学の一部(数学数理論理学など)
    • 文理系:自然社会科学
実学か非実学か
経験科学か形式科学か
  • 経験科学:人文科学(哲学の一部を除く)、社会科学、自然科学、応用科学
  • 形式科学:哲学の一部、数学
歴史科学か否か
数学(数式)を用いる程度
  • 大:物理学、天文学、工学、経済学
  • 中:化学、地球惑星科学
  • 小:生物学、農学、薬学、医学、歯学、人文科学、経済学を除く社会科学
形式科学 経験科学
文系
文学部系研究
理系
理学部理工学部系研究
理系自然科学
natural science
文系人文科学社会科学
cultural science, social science
伝統的研究 現代的研究 基礎科学 応用科学 自然社会科学
natural social science
社会科学 人文社会科学
cultural social science
人文科学
非実学 伝統的論理学論理学
言語学の一部
数学
数理論理学/現代論理学
コンピュータ科学情報科学の一部
統計学の一部
計算言語学の一部
数学
物理学
化学
生物学の大半
地球惑星科学の大半
宇宙科学の大半
応用数学の一部
数理科学
数理物理学
数理生物学
数理化学
数理医学
データ科学の一部
社会生物学
図書館情報学
数理経済学
計算言語学の一部
地質学地史学古生物学
宇宙科学の一部
教育学
政治学
社会学
歴史科学歴史学の一部
社会言語学
文化人類学の一部
考古学
歴史科学歴史学の大半
心理学
言語学の大半
人文地理学
文化人類学の大半
哲学美学倫理学認識論など)
宗教学
文学文芸学
美学芸術学
実学 数理工学
応用数学の一部
コンピュータ科学情報科学の一部
統計学の一部
自然言語処理の一部
理工学
応用数学の一部
応用生物学生物工学
応用物理学物理工学
応用化学化学工学
応用地学地球工学
応用宇宙科学宇宙工学
工学
医学
薬学
農学
コンピュータ工学情報工学
データ科学の一部
データ科学の一部
自然言語処理の一部
神経法学
社会情報科学
神経経済学
法学
経営学
経済学

脚注

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注釈

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  1. ^ 研究者はresearcherの訳語でもある。なお、researcherのほかの訳語としては、調査員などがある。

出典

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  1. ^ a b c d e f 「研究社 新和英中辞典での「学問」の英訳」
  2. ^ a b 広辞苑第六版「学問」
  3. ^ a b c d e f 『精選版 日本国語大辞典』「学術
  4. ^ a b 『デジタル大辞泉』「学問」
  5. ^ a b c d 『デジタル大辞泉』「学術
  6. ^ a b 『デジタル大辞泉』「科学」
  7. ^ 『世界大百科事典 第2版』「かがく【科学 science】」”. Kotobank. 2022年6月5日閲覧。 “「かがく【科学 science】」 科学とは今日通常は自然科学を指す。人文科学,社会科学という呼び方もある。”
  8. ^ 『英辞郎』「science」”. 英辞郎 on the WEB. 2022年6月5日閲覧。 “「science」 1.〔自然現象を研究する〕自然科学  2. 〔特定の学問分野の〕科学”
  9. ^ 山崎 2021, p. 技術.
  10. ^ 加藤 2021, p. ギリシア哲学/用語.
  11. ^ プラトン 2022, p. 31.
  12. ^ プラトン 2022, p. 34.
  13. ^ アリストテレス 2016, p. 52.
  14. ^ 樋笠 2021, p. テクネー.
  15. ^ アリストテレス 2015, p. 73.

参考文献

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  • アリストテレス 著、渡辺邦夫立花幸司 訳『ニコマコス倫理学』 上巻(初版第1刷)、光文社、2015年12月20日。ISBN 978-4334753221 
  • アリストテレス 著、渡辺邦夫・立花幸司 訳『ニコマコス倫理学』 下巻(初版第1刷)、光文社、2016年1月20日。ISBN 978-4334753245 
  • 加藤, 信朗ギリシア哲学/用語」『日本大百科全書(ニッポニカ)』コトバンク、2021年https://kotobank.jp/word/%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%82%A2%E5%93%B2%E5%AD%A6%2F%E7%94%A8%E8%AA%9E-1614470#:~:text=%E6%8A%80%E8%A1%93(%E3%81%8E%E3%81%98%E3%82%85%E3%81%A4)%E3%80%80%EF%BC%88%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8D%E3%83%BCtechn%C4%93%EF%BC%892021年7月2日閲覧 
  • 樋笠, 勝士テクネー」『日本大百科全書(ニッポニカ)』コトバンク、2021年https://kotobank.jp/word/%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8D%E3%83%BC-15655982021年7月2日閲覧 
  • プラトン 著、中澤務 訳『ゴルギアス』(初版第1刷)光文社、2022年5月20日。ISBN 978-4334754624 
  • 山崎, 俊雄技術」『日本大百科全書(ニッポニカ)』コトバンク、2021年https://kotobank.jp/word/%E6%8A%80%E8%A1%93-504432021年7月2日閲覧 

関連項目

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