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「モスク」の版間の差分

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'''モスク'''は、[[イスラム教]]の礼拝堂、寺院のことである。アラビア語では'''マスジド'''('''masjid''')といい、マスジドの訛った語で、[[イスラム帝国]]が[[スペイン]]地方を占領したときマスジドが[[スペイン語]]でメスキータ(mesquita)となり、それが[[英語]]ではさらに訛ってモスク(mosque)となった。モスクは欧米や[[日本]]における呼び名である。しばしばイスラム寺院と訳されるが、モスク自体は崇拝の対象ではなく、あくまで礼拝を行うための場である。
'''モスク'''は、[[イスラム教]]の礼拝堂、寺院のことである。
[[画像:Kinjo_no_camii_005.jpeg|thumb|300px|近代的なデザインのジャーミー]]
アラビア語では'''マスジド'''('''masjid''')といい、マスジドの訛った語で、[[イスラム帝国]]が[[スペイン]]地方を占領したときマスジドが[[スペイン語]]でメスキータ(mesquita)となり、それが[[英語]]ではさらに訛ってモスク(mosque)となった。モスクは欧米や[[日本]]における呼び名である。しばしばイスラム寺院と訳されるが、モスク自体は崇拝の対象ではなく、あくまで礼拝を行うための場である。


モスクは都市の各街区、各村ごとに設けられるが、都市の中心には[[金曜礼拝]]を行うための大きなモスクが置かれ、金曜モスク(マスジド・ジャーミー、略してジャーミー)と呼ばれる。このようなモスクは、専任職員として[[イマーム]](導師)、[[ムアッジン]]([[アザーン]]を行う者)を抱えている。[[エジプト]]、[[カイロ (市)|カイロ]]の[[アズハル]]のような特に大きなモスクは複合施設(コンプレックス)をともなっており、マスジド(ジャーミー)だけでなく[[マドラサ]](イスラム学院)も併設されたりしていることもある。病院や救貧所のような慈善施設をともなう場合もあり、これらのモスク複合施設の維持・運営は[[ワクフ]](寄進財産)によって担われる。
モスクは都市の各街区、各村ごとに設けられるが、都市の中心には[[金曜礼拝]]を行うための大きなモスクが置かれ、金曜モスク(マスジド・ジャーミー、略してジャーミー)と呼ばれる。このようなモスクは、専任職員として[[イマーム]](導師)、[[ムアッジン]]([[アザーン]]を行う者)を抱えている。[[エジプト]]、[[カイロ (市)|カイロ]]の[[アズハル]]のような特に大きなモスクは複合施設(コンプレックス)をともなっており、マスジド(ジャーミー)だけでなく[[マドラサ]](イスラム学院)も併設されたりしていることもある。病院や救貧所のような慈善施設をともなう場合もあり、これらのモスク複合施設の維持・運営は[[ワクフ]](寄進財産)によって担われる。

2004年10月26日 (火) 06:23時点における版

モスクは、イスラム教の礼拝堂、寺院のことである。

近代的なデザインのジャーミー

アラビア語ではマスジドmasjid)といい、マスジドの訛った語で、イスラム帝国スペイン地方を占領したときマスジドがスペイン語でメスキータ(mesquita)となり、それが英語ではさらに訛ってモスク(mosque)となった。モスクは欧米や日本における呼び名である。しばしばイスラム寺院と訳されるが、モスク自体は崇拝の対象ではなく、あくまで礼拝を行うための場である。

モスクは都市の各街区、各村ごとに設けられるが、都市の中心には金曜礼拝を行うための大きなモスクが置かれ、金曜モスク(マスジド・ジャーミー、略してジャーミー)と呼ばれる。このようなモスクは、専任職員としてイマーム(導師)、ムアッジンアザーンを行う者)を抱えている。エジプトカイロアズハルのような特に大きなモスクは複合施設(コンプレックス)をともなっており、マスジド(ジャーミー)だけでなくマドラサ(イスラム学院)も併設されたりしていることもある。病院や救貧所のような慈善施設をともなう場合もあり、これらのモスク複合施設の維持・運営はワクフ(寄進財産)によって担われる。

伝統的に、モスクは政府の布告を通達する役所、カーディーの法廷が開かれる裁判所、ムスリム(イスラム教徒)の子弟に読み書きを教える初等学校(クッターブ)であった。また、小モスクは現在でも「無料人生相談所」とでも言うべき機能を持っており、近隣に住むイスラム法の知識をもった人物が、人生相談に対してイスラム法に基づいて助言・回答などを与える場所として活用されている。

内部には、イスラム教の教義に従い、天使預言者聖者の(偶)像は置かれることも描かれることもない。装飾はもっぱら幾何学模様のようなものだけである。マッカ(メッカ)の方角(この方角をキブラ(kibla)という)に向けて、壁にミフラーブ(mihrab)と呼ばれる窪みがある。これは、コーランの規程に従ってメッカの方向に対して行わる礼拝の方向をモスクに集う人々に指し示すためのもので、礼拝の場であるモスクに必須の設備である。付属設備としては、集団礼拝を指導するときイマームが登る説教壇や、礼拝の前に体を清めるための泉などが見られ、礼拝への呼びかけに用いるミナレット(マナーラ)を有する場合も多い。

建築構造は、回廊に囲まれた四角形の広い中庭と礼拝堂を持つ形が基本形である。アラブ圏ではダマスカスウマイヤ・モスクのようにキリスト教教会の構造を取り入れた多柱式のモスクが主流であったが、イランではイーワーン(半ドーム)を多用した形式が起こった。アナトリア半島では中庭をドームで覆う形式が起こり、オスマン帝国に至ってビザンツ帝国の教会建築を取り入れ、大ドームを小ドームや半ドームで支えることで柱のない広大な礼拝堂空間をもつ形式を生み出した。

図像を廃した内装と外観を持つモスクは、その装飾美・建築美から、イスラム教徒に限らず、非イスラム教徒にとっても観光施設としての役割も果たしている。トルコイスタンブルスルタンアフメト・モスクトルコ語名スルタンアフメット・ジャーミー。通称「ブルーモスク」)や、イランイスファハーンのイマーム・モスク(ペルシア語名マスジデ・エマーム。旧名マスジデ・シャー、「王のモスク」)などの著名なモスクは、世界遺産にも指定されており、(各地から)世界中から観光客を集めている。

関連項目