Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

コンテンツにスキップ

「ジャングル (音楽)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
WhiLoop (会話 | 投稿記録)
カテゴリと関連項目を修正
WhiLoop (会話 | 投稿記録)
歴史部分を追記
 
(3人の利用者による、間の3版が非表示)
4行目: 4行目:
[[ソウルミュージック|ソウル]]や[[ファンク]]における[[ドラムセット|ドラム]]の[[フレーズ]]をサンプラーに取り込み分解、並べ替えたもの(=[[ブレイクビーツ]])を早回しで再生することによって生まれる高速で複雑な[[リズム]]と、[[リズムマシン]]の[[フロアタム]]の音をサンプラーで[[音高|ピッチ]]を落としたものや[[正弦波]]等を用いたルーズな低い[[ベース (弦楽器)|ベース]]音が特徴。
[[ソウルミュージック|ソウル]]や[[ファンク]]における[[ドラムセット|ドラム]]の[[フレーズ]]をサンプラーに取り込み分解、並べ替えたもの(=[[ブレイクビーツ]])を早回しで再生することによって生まれる高速で複雑な[[リズム]]と、[[リズムマシン]]の[[フロアタム]]の音をサンプラーで[[音高|ピッチ]]を落としたものや[[正弦波]]等を用いたルーズな低い[[ベース (弦楽器)|ベース]]音が特徴。


<!--[[ターンテーブル]]の回転数を誤って鳴らしてしまったのを面白がってそれを[[音楽]]に仕立て上げた[[レゲエ]][[ディスクジョッキー|DJ]]たちが祖先とされ、はじめはレゲエ音楽の亜流であったが-->後に[[ドラムンベース]]等のジャンルが派生したり、あらゆる[[ポピュラー音楽]]にモチーフとして用いられたりする。
後に[[ドラムンベース]]等のジャンルが派生したり、あらゆる[[ポピュラー音楽]]にモチーフとして用いられたりする。

ジャマイカのキングストン市にある[[トレンチタウン]]が「ジャングル」と呼ばれていたことがジャンル名の由来とされる<ref name="clash" />。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
10行目: 12行目:


1990年代初頭、[[ハックニー区|ハックニー]]の音楽デュオ{{仮リンク|シャット・アップ&ダンス|en|Shut Up and Dance (duo)}}がMCの{{仮リンク|ラガ・ツインズ|en|Ragga Twins}}と共同で "Hooligan 69"、”Shine Eye"、"Spliffhead" を作成した。これらは当時流行し始めていた初期の{{仮リンク|ブレイクビート・ハードコア|en|Breakbeat hardcore}}の楽曲の中でも、[[トースティング]]と呼ばれるボーカルスタイルや、サウンド・システム由来のベース音など、レゲエの要素を多く取り入れていた<ref name="clash">{{Cite web |title=Hackney Soldiers: The Birth Of Jungle |url=https://www.clashmusic.com/features/hackney-soldiers-the-birth-of-jungle/ |website=Clash Magazine Music News, Reviews & Interviews |date=2011-04-11 |access-date=2022-11-09 |language=en-GB |author=Matthew Bennett }}</ref>。シャット・アップ&ダンスとラガ・ツインズはレイブシーンに大きな影響を与え、その他のプロデューサーとともに、ジャングルの創始者の1人として数えられることとなった<ref name="clash" />。
1990年代初頭、[[ハックニー区|ハックニー]]の音楽デュオ{{仮リンク|シャット・アップ&ダンス|en|Shut Up and Dance (duo)}}がMCの{{仮リンク|ラガ・ツインズ|en|Ragga Twins}}と共同で "Hooligan 69"、”Shine Eye"、"Spliffhead" を作成した。これらは当時流行し始めていた初期の{{仮リンク|ブレイクビート・ハードコア|en|Breakbeat hardcore}}の楽曲の中でも、[[トースティング]]と呼ばれるボーカルスタイルや、サウンド・システム由来のベース音など、レゲエの要素を多く取り入れていた<ref name="clash">{{Cite web |title=Hackney Soldiers: The Birth Of Jungle |url=https://www.clashmusic.com/features/hackney-soldiers-the-birth-of-jungle/ |website=Clash Magazine Music News, Reviews & Interviews |date=2011-04-11 |access-date=2022-11-09 |language=en-GB |author=Matthew Bennett }}</ref>。シャット・アップ&ダンスとラガ・ツインズはレイブシーンに大きな影響を与え、その他のプロデューサーとともに、ジャングルの創始者の1人として数えられることとなった<ref name="clash" />。

ジャングルの前身となる曲の中でも、1991年に発表されたLennie De Iceの "We Are I.E." は、このジャンルの音楽的な特徴を確立した曲として知られ、「最初のジャングルの曲の1つ」と紹介されることもある<ref name=":0">{{Cite web |title=Junglist Massive: State Of Bass Author Martin James's 20 Essential D&B Tracks |url=https://thequietus.com/articles/28122-state-of-bass-jungle-drum-bass-book-martin-james-playlist |website=The Quietus |access-date=2023-08-23 |language=en-us |date=2020-04-18}}</ref><ref name=":1">{{Cite web |title=Jungle |url=https://12edit.com/jungle/ |website=12edit.com |access-date=2023-08-23 |author=George Palladev}}</ref>。この曲は[[アーメンブレイク]]のサンプルや[[ラガマフィン|ラガ]]のベースラインの他にも、銃の発砲音や[[レコードプレーヤー|ターンテーブル]]の巻き戻し(リワインド)音を取り入れており、後のジャングルの楽曲でもこれらの音が用いられた<ref name=":0" /><ref name=":1" />。


[[1994年]]に発売されたM-Beatの「Incredible」のヒットが、ブームのきっかけとなった<ref name="NR950711">「トレンドNOW クラブ音楽最終兵器!? 気分は『ジャングル』」『[[日経MJ|日経流通新聞]]』1995年7月11日付、22頁。</ref>。
[[1994年]]に発売されたM-Beatの「Incredible」のヒットが、ブームのきっかけとなった<ref name="NR950711">「トレンドNOW クラブ音楽最終兵器!? 気分は『ジャングル』」『[[日経MJ|日経流通新聞]]』1995年7月11日付、22頁。</ref>。


ジャマイカでは、多くのレゲエ音楽家の出身地であるキングストン市の[[トレンチタウン]]が「ジャングル」、その出身者が「ジャングリスト」と呼ばれていた。{{仮リンク|レベルMC|en|Rebel MC}}が自身の楽曲中で使ったフレーズ "Rebel got this chant / Alla the junglists" により、ジャンル名としての「ジャングル」という用語が普及したと言われている<ref name="clash" />。
ジャマイカでは、多くのレゲエ音楽家の出身地であるキングストン市のトレンチタウンが「ジャングル」、その出身者が「ジャングリスト」と呼ばれていた。{{仮リンク|レベルMC|en|Rebel MC}}が自身の楽曲中で使ったフレーズ "Rebel got this chant / Alla the junglists" により、ジャンル名としての「ジャングル」という用語が普及したと言われている<ref name="clash" />。


日本では、「[[レゲエ]][[ディスクジョッキー|DJ]]が[[ターンテーブル]]の回転数を誤って曲を流してしまったことが起源」とする言説が多く見られる。
日本でも1994年頃からジャングル作品の日本盤が相次いで発売された<ref name=NR950711 />。そして[[1995年]]発売の[[H Jungle with t]]([[小室哲哉]]と[[浜田雅功]])の『[[WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント]]』が200万枚を超えるヒットになり、日本人の間でのジャングルの認知度が上がった<ref name=NR950711 />。同年、[[サエキけんぞう]]はサーフィン音楽とジャングルビートをミックスしたアルバム『SURFIN' TO JUNGLE(サーフ in'to ジャングル)』を発売し話題になった<ref name=NR950711 />。また、[[田中勝己]]が「灼熱のファイヤーダンス」でジャングルに挑戦した<ref>『[[マイコンBASICマガジン]]』1996年1月号、242頁。</ref>。

また、1994年頃からジャングル作品の日本盤が相次いで発売された<ref name="NR950711" />。そして[[1995年]]発売の[[H Jungle with t]]([[小室哲哉]]と[[浜田雅功]])の『[[WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント]]』が200万枚を超えるヒットになり、日本人の間でのジャングルの認知度が上がった<ref name="NR950711" />。同年、[[サエキけんぞう]]はサーフィン音楽とジャングルビートをミックスしたアルバム『SURFIN' TO JUNGLE(サーフ in'to ジャングル)』を発売し話題になった<ref name="NR950711" />。また、[[田中勝己]]が「灼熱のファイヤーダンス」でジャングルに挑戦した<ref>『[[マイコンBASICマガジン]]』1996年1月号、242頁。</ref>。


== 主なアーティスト ==
== 主なアーティスト ==
54行目: 60行目:
{{DEFAULTSORT:しやんくる}}
{{DEFAULTSORT:しやんくる}}
[[Category:音楽のジャンル]]
[[Category:音楽のジャンル]]
[[Category:エレクトロニック・ダンス・ミュージック]]
[[Category:イギリスの音楽]]
[[Category:イギリスの音楽]]
[[Category:エレクトロニック・ダンス・ミュージック]]
[[Category:ドラムンベース]]

2023年8月23日 (水) 06:36時点における最新版

ジャングルは、1990年代に興ったサンプラーを多用して制作される音楽ジャンルのひとつ。

ソウルファンクにおけるドラムフレーズをサンプラーに取り込み分解、並べ替えたもの(=ブレイクビーツ)を早回しで再生することによって生まれる高速で複雑なリズムと、リズムマシンフロアタムの音をサンプラーでピッチを落としたものや正弦波等を用いたルーズな低いベース音が特徴。

後にドラムンベース等のジャンルが派生したり、あらゆるポピュラー音楽にモチーフとして用いられたりする。

ジャマイカのキングストン市にあるトレンチタウンが「ジャングル」と呼ばれていたことがジャンル名の由来とされる[1]

歴史

[編集]

第二次世界大戦以降のイギリスでは、ジャマイカなどカリブ海地域の旧イギリス植民地からの移民を積極的に受け入れたことで、レゲエサウンド・システム文化が一定の人気を獲得していた(詳細は「レゲエ#イギリスでの受容と発展」を参照)。

1990年代初頭、ハックニーの音楽デュオシャット・アップ&ダンス英語版がMCのラガ・ツインズ英語版と共同で "Hooligan 69"、”Shine Eye"、"Spliffhead" を作成した。これらは当時流行し始めていた初期のブレイクビート・ハードコア英語版の楽曲の中でも、トースティングと呼ばれるボーカルスタイルや、サウンド・システム由来のベース音など、レゲエの要素を多く取り入れていた[1]。シャット・アップ&ダンスとラガ・ツインズはレイブシーンに大きな影響を与え、その他のプロデューサーとともに、ジャングルの創始者の1人として数えられることとなった[1]

ジャングルの前身となる曲の中でも、1991年に発表されたLennie De Iceの "We Are I.E." は、このジャンルの音楽的な特徴を確立した曲として知られ、「最初のジャングルの曲の1つ」と紹介されることもある[2][3]。この曲はアーメンブレイクのサンプルやラガのベースラインの他にも、銃の発砲音やターンテーブルの巻き戻し(リワインド)音を取り入れており、後のジャングルの楽曲でもこれらの音が用いられた[2][3]

1994年に発売されたM-Beatの「Incredible」のヒットが、ブームのきっかけとなった[4]

ジャマイカでは、多くのレゲエ音楽家の出身地であるキングストン市のトレンチタウンが「ジャングル」、その出身者が「ジャングリスト」と呼ばれていた。レベルMC英語版が自身の楽曲中で使ったフレーズ "Rebel got this chant / Alla the junglists" により、ジャンル名としての「ジャングル」という用語が普及したと言われている[1]

日本では、「レゲエDJターンテーブルの回転数を誤って曲を流してしまったことが起源」とする言説が多く見られる。

また、1994年頃からジャングル作品の日本盤が相次いで発売された[4]。そして1995年発売のH Jungle with t小室哲哉浜田雅功)の『WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』が200万枚を超えるヒットになり、日本人の間でのジャングルの認知度が上がった[4]。同年、サエキけんぞうはサーフィン音楽とジャングルビートをミックスしたアルバム『SURFIN' TO JUNGLE(サーフ in'to ジャングル)』を発売し話題になった[4]。また、田中勝己が「灼熱のファイヤーダンス」でジャングルに挑戦した[5]

主なアーティスト

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d Matthew Bennett (2011年4月11日). “Hackney Soldiers: The Birth Of Jungle” (英語). Clash Magazine Music News, Reviews & Interviews. 2022年11月9日閲覧。
  2. ^ a b Junglist Massive: State Of Bass Author Martin James's 20 Essential D&B Tracks” (英語). The Quietus (2020年4月18日). 2023年8月23日閲覧。
  3. ^ a b George Palladev. “Jungle”. 12edit.com. 2023年8月23日閲覧。
  4. ^ a b c d 「トレンドNOW クラブ音楽最終兵器!? 気分は『ジャングル』」『日経流通新聞』1995年7月11日付、22頁。
  5. ^ マイコンBASICマガジン』1996年1月号、242頁。

関連項目

[編集]