「ミノムシ」の版間の差分
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'''ミノムシ'''(蓑虫)は、チョウ目・'''ミノガ科'''([[学名]]: {{Sname|Psychidae}})の[[ガ]]の[[幼虫]]。一般には、その中でも'''[[#オオミノガ|オオミノガ]]、チャミノガ'''の幼虫を指す。 |
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幼虫が作る[[巣]]が、[[藁]]で作った雨具「[[蓑]]」に形が似ているため、「ミノムシ」と呼ばれるようになった。 |
幼虫が作る[[巣]]が、[[藁]]で作った雨具「[[蓑]]」に形が似ているため、[[日本]]では「ミノムシ」と呼ばれるようになった<ref>{{Cite web|和書|url= https://www.city.toda.saitama.jp/uploaded/attachment/30978.pdf |title=カワセミ通信 No.102 |publisher= 戸田市彩湖自然学習センター |accessdate=2019-10-31}}</ref>。 |
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== 形態・生態 == |
== 形態・生態 == |
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多くの[[種 (分類学)|種]]の[[成虫 |
多くの[[種 (分類学)|種]]で進化の結果、雌の[[成虫]]は[[翅]]や[[脚]]を持たないが、脚を残している種や痕跡的に[[退化]]した翅を持つ種もある。ただし、このような進化を経なかった[[ヒモミノガ]]類のように雌が[[雄]]同様に[[羽化]]し飛翔力を持つ種も存在する。 |
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幼虫は[[バラ科]]、[[カキノキ科]]などの[[果樹]]や、[[サツキ]]等の[[葉]]を、特に7月から8月の[[梅雨]]後の[[夏期]]に[[食害]]する。[[摂食]]後の[[枯葉]]や枯枝に粘性の糸を絡め、[[袋]]状の[[巣]]を作って枝からぶら下がる。 |
幼虫は[[バラ科]]、[[カキノキ科]]などの[[果樹]]や、[[サツキ]]等の[[葉]]を、特に7月から8月の[[梅雨]]後の[[夏期]]に[[食害]]する。[[摂食]]後の[[枯葉]]や枯枝に粘性の糸を絡め、[[袋]]状の[[巣]]を作って枝からぶら下がる。 |
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== 人間との関わり == |
== 人間との関わり == |
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ミノムシは身の回りの[[繊維]]であれば、葉や枝でなくても、蓑を作り上げる。このため、[[毛糸]]くずや細かく切った[[色紙]]の中に蓑を取り去った幼虫を入れると、色鮮やかな蓑を作り上げる。 |
ミノムシは身の回りの[[繊維]]であれば、葉や枝でなくても、蓑を作り上げる。このため、[[毛糸]]くずや細かく切った[[色紙]]の中に蓑を取り去った幼虫を入れると、色鮮やかな蓑を作り上げる。このような実験は、子供の遊びとして広く行われていた。 |
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ミノムシは[[秋]]に蓑を作るため、[[俳句]]では秋の[[季語]]となった。ミノムシ自体は[[発声器官]]を持たないのだが、季語では「蓑虫鳴く」と扱われている。一説によれば、これは秋の深い頃まで枝先で鳴く[[カネタタキ]]の鳴き声であるという。 |
ミノムシは[[秋]]に蓑を作るため、[[俳句]]では秋の[[季語]]となった。ミノムシ自体は[[発声器官]]を持たないのだが、季語では「蓑虫鳴く」と扱われている。一説によれば、これは秋の深い頃まで枝先で鳴く[[カネタタキ]]の鳴き声であるという。 |
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=== 化学分野への応用 === |
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ミノムシの糸は[[蜘蛛]]の糸よりも強靭であるという結果があり[[生体工学]]・[[バイオミメティクス]]の分野での応用開発も期待されている<ref>[https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nias/130229.html (研究成果) クモ糸を超えるミノムシの糸、強さの秘密を科学的に解明]</ref><ref>[https://ampmedia.jp/2019/07/22/minomushi-yarn/ 「クモの糸」を超える「ミノムシの糸」がバイオエコノミーを加速する]</ref><ref>[https://engineer.fabcross.jp/archeive/190403_naro.html ミノムシ糸が、クモ糸を超える強さを持つ理由を科学的に解明――高い秩序性階層構造に起因 農研機構と豊田工業大]</ref>。日本の[[興和]]と[[農業・食品産業技術総合研究機構|農研機構]]は、ミノムシの糸を大量に取り出して工業製品に使う技術を開発したと2018年12月5日に発表した<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38577430V01C18A2TJ2000/ 「ミノムシから糸 数百メートル/興和と農研機構 シルク繊維の代替」]『[[日本経済新聞]]』朝刊2018年12月6日(企業2面)2018年12月16日閲覧。</ref>。 |
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=== ミノムシが登場する作品 === |
=== ミノムシが登場する作品 === |
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* [[随筆]] |
* [[随筆]] |
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** 『[[枕草子]]』 - 「蓑虫、いとあはれなり。鬼の生みたりければ、親に似てこれも恐しき心あらんとて、…八月ばかりになれば、「ちちよ、ちちよ」と、はかなげに鳴く、いみじうあわれなり」 |
** 『[[枕草子]]』 - 「蓑虫、いとあはれなり。鬼の生みたりければ、親に似てこれも恐しき心あらんとて、…八月ばかりになれば、「ちちよ、ちちよ」と、はかなげに鳴く、いみじうあわれなり」 |
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* [[俳句]] |
* [[俳句]] |
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** [[松尾芭蕉]] - みのむしの音をききにこよ草の庵 |
** [[松尾芭蕉]] - みのむしの音をききにこよ草の庵 |
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== 類似の虫 == |
== 類似の虫 == |
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同じように糸で体を包んで、移動する巣を作るガは他にもある。[[家屋]]内では[[イガ]]が小さいながらも同じような巣を作る。 |
同じように糸で体を包んで、移動する巣を作るガは他にもある。[[家屋]]内では[[イガ (昆虫)|イガ]]が小さいながらも同じような巣を作る。 |
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ミノガ同様、雌の翅が退化する種類のガに |
ミノガ同様、雌の翅が退化する種類のガに[[フユシャク|フユシャク亜科]]がある。フユシャク類の雌は翅を全く持たないか、小さく退化した翅を持つ。その代わり[[胴体]]や脚は雄より発達している。ミノガの雌と違う点として、ミノガの雌は蛹の段階から翅が無いのに対し、フユシャク類の雌は蛹の段階では翅があるように見える。羽化後に餌を摂らないのもミノガと共通している。 |
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他にも[[ドクガ]]の一種に雌の翅が退化する種がある。夏に発生する雌は翅を持つが、秋に発生する雌のみ翅が退化する[[ヒメシロモンドクガ]]のような特異な種もある。 |
他にも[[ドクガ]]の一種に雌の翅が退化する種がある。夏に発生する雌は翅を持つが、秋に発生する雌のみ翅が退化する[[ヒメシロモンドクガ]]のような特異な種もある。 |
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また、[[トビケラ]]類の幼虫は[[水生昆虫]]で |
また、[[トビケラ]]類の幼虫は[[水生昆虫]]で、多くの種が同じような巣を川底などに作る。 |
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== オオミノガ == |
== オオミノガ == |
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|種 = '''オオミノガ''' {{Snamei|E. japonica}} |
|種 = '''オオミノガ''' {{Snamei|E. japonica}} |
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|学名 = {{Snamei||Eumeta japonica}}<br> {{AUY|Heylaerts|1884}}<ref name="dji">{{Cite web|和書 |
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|author = 神保宇嗣 |
|author = 神保宇嗣 |
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* {{Snamei|Clania variegata}} ({{AUY|Snellen|1879}})<ref>{{NCBI|1368026|''Clania variegata''}} {{En icon}}</ref> |
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日本産で最も大きなミノムシ<ref>『[[#imomushi|イモムシハンドブック]]』 51頁。</ref>。 |
日本産で最も大きなミノムシ<ref>『[[#imomushi|イモムシハンドブック]]』 51頁。</ref>。 |
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[[成虫]]が「[[ガ]]」の形になるのは[[ |
[[成虫]]が「[[ガ]]」の形になるのは[[雄]]に限られる。雄は[[口]]が[[退化]]しており、[[花]]の[[蜜]]などを吸うことはできない。雄の体長は30〜40mm。[[雌]]は無翅、無脚であり、形は小さい[[頭]]に、小さな[[胸]]と体の大半以上を[[腹部]]が占める形になる(また、雄同様口が退化する)。したがって「ガ」にはならず、蓑内部の蛹の殻の中に留まる([[性的二形]])。 |
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=== 生態 === |
=== 生態 === |
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雄は雌の[[フェロモン]]に引かれて[[夕方]]頃飛行し、蓑内の雌と[[交尾]]する。この時、雄は小さな腹部を限界近くまで伸ばし[[蛹]]の殻と雌の体の間に入れ、蛹の殻の最も奥に位置する雌の[[交尾孔]]を雄の[[交尾器]]で挟んで[[挿入器]]を挿入して交尾する。交尾後、雄は死ぬ。その後、雌は自分が潜んでいた蓑の中の蛹の殻の中に1,000個以上の[[卵]]を産卵し、卵塊の表面を腹部の先に生えていた淡褐色の微細な毛で栓をするように覆う。雌は普通 |
雄は雌の[[フェロモン]]に引かれて[[夕方]]頃飛行し、蓑内の雌と[[交尾]]する。この時、雄は小さな腹部を限界近くまで伸ばし[[蛹]]の殻と雌の体の間に入れ、蛹の殻の最も奥に位置する雌の[[交尾孔]]を雄の[[交尾器]]で挟んで[[挿入器]]を挿入して交尾する。交尾後、雄は死ぬ。その後、雌は自分が潜んでいた蓑の中の蛹の殻の中に1,000個以上の[[卵]]を産卵し、卵塊の表面を腹部の先に生えていた淡褐色の微細な毛で栓をするように覆う。雌は普通、卵が[[孵化]]するまで蛹の殻の中に留まっていて、孵化する頃にミノの下の穴から出て地上に落下して死ぬ。 |
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20日前後で孵化した幼虫は蓑の下の穴から外に出て、そこから糸を垂らし、多くは風に乗って分散する。葉や小枝などに到着した1齢幼虫はただちに小さい蓑を造り、それから[[摂食]]する。6月から10月にかけて7回[[脱皮]]を繰り返し、成長するにつれて蓑を拡大・改変して小枝や葉片をつけて大きくし、終令幼虫(8令)に達する。主な食樹は、[[サクラ]]類、[[カキノキ]]、[[イチジク]]、[[マサキ]]など<ref name="HostPlants***">『[[#HostPlants|昆虫の食草・食樹ハンドブック]]』 53頁。</ref>。 |
20日前後で孵化した幼虫は蓑の下の穴から外に出て、そこから糸を垂らし、多くは風に乗って分散する。葉や小枝などに到着した1齢幼虫はただちに小さい蓑を造り、それから[[摂食]]する。6月から10月にかけて7回[[脱皮]]を繰り返し、成長するにつれて蓑を拡大・改変して小枝や葉片をつけて大きくし、終令幼虫(8令)に達する。主な食樹は、[[サクラ]]類、[[カキノキ]]、[[イチジク]]、[[マサキ]]など<ref name="HostPlants***">『[[#HostPlants|昆虫の食草・食樹ハンドブック]]』 53頁。</ref>。 |
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[[日本列島]]([[本州]]、[[四国]]、[[九州]]、[[対馬]]、[[屋久島]]、[[沖縄本島]]、[[宮古島]]、[[石垣島]]、[[西表島]])<ref name="dji" />に分布する。本種は[[東南アジア]]に広く分布する {{Snamei|Eumeta variegata}} と同じ種であるという説も有力である。 |
[[日本列島]]([[本州]]、[[四国]]、[[九州]]、[[対馬]]、[[屋久島]]、[[沖縄本島]]、[[宮古島]]、[[石垣島]]、[[西表島]])<ref name="dji" />に分布する。本種は[[東南アジア]]に広く分布する {{Snamei|Eumeta variegata}} と同じ種であるという説も有力である。 |
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近年は後述する[[外来種]]の[[ヤドリバエ]]による[[寄生]]により生息個体が激減しており、各[[自治体]]の[[レッドリスト]]で[[絶滅危惧種]]に選定されるようになってきている。 |
近年は後述する[[外来種]]の[[ヤドリバエ]]による[[寄生]]により生息個体が激減しており、各[[地方公共団体|自治体]]の[[レッドリスト]]で[[絶滅危惧種]]に選定されるようになってきている。 |
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=== オオミノガヤドリバエによる寄生 === |
=== オオミノガヤドリバエによる寄生 === |
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オオミノガを初めとして、日本ではミノムシは広く見られる一般的な昆虫であったが、[[1990年代]]後半からオオミノガは激減している。原因は、オオミノガにのみ寄生する外来種の[[ヤドリバエ科]]の[[オオミノガヤドリバエ]] ({{Snamei|Nealsomyia rufella}}) |
オオミノガを初めとして、日本ではミノムシは広く見られる一般的な昆虫であったが、[[1990年代]]後半からオオミノガは激減している。原因は、オオミノガにのみ寄生する外来種の[[ヤドリバエ科]]の[[オオミノガヤドリバエ]] ({{Snamei|Nealsomyia rufella}}) である。 |
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オオミノガヤドリバエは、主にオオミノガの終令幼虫を見つけると、摂食中の葉に産卵し、卵は葉と共に摂食される。[[口器]]で破壊されなかった卵はオオミノガの[[消化器]]に達し、体内で孵化する。 |
オオミノガヤドリバエは、主にオオミノガの終令幼虫を見つけると、摂食中の葉に産卵し、卵は葉と共に摂食される。[[口器]]で破壊されなかった卵はオオミノガの[[消化器]]に達し、体内で孵化する。 |
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なお、オオミノガヤドリバエに寄生する[[寄生蜂]]([[キアシブトコバチ]] ({{Snamei|Brachymeria obscurata}}) など)が存在する<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/60410.html|title=オオミノガヤドリバエ|website=侵入生物DB|publisher=国立環境研究所|accessdate=2020-10-05}}</ref><ref>{{Cite Kotobank|word=キアシブトコバチ|encyclopedia=『世界大百科事典 第2版』|accessdate=2020年10月5日}}</ref>。 |
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{{Wikispecies-inline|Eumeta variegata|オオミノガ}} |
{{Wikispecies-inline|Eumeta variegata|オオミノガ}} |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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* {{Cite book|和書 |
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|author = 森上信夫 |
|author = 森上信夫 |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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* [[イモムシ]] |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* {{Cite web |
* {{Cite web|和書 |
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|url = http://listmj.mothprog.com/list/Psychidae.html |
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* {{Cite web |
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|author = 柳田慶浩ほか |
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* {{Cite web |
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|author = ニワカガマニア |
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|date = 2013-11-30 |
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|url = http://www.jpmoth.org/Psychidae/Aindex.html |
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|title = ミノガ科(Psychidae)種一覧 |
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* {{Cite web |
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* {{Cite web|和書|title=ミノムシ |url=https://www2.nhk.or.jp/school/watch/clip/?das_id=D0005402193_00000 |website=NHK for School |accessdate=2022-04-02 |publisher=日本放送協会}} |
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[[カテゴリ:ガの幼虫]] |
2024年8月2日 (金) 23:40時点における最新版
ミノガ科 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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ミノムシ
| |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Psychidae Boisduval, 1829 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
タイプ属 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Psyche Schrank, 1801 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
bagworm moth | |||||||||||||||||||||||||||||||||
亜科 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ミノムシ(蓑虫)は、チョウ目・ミノガ科(学名: Psychidae)のガの幼虫。一般には、その中でもオオミノガ、チャミノガの幼虫を指す。
幼虫が作る巣が、藁で作った雨具「蓑」に形が似ているため、日本では「ミノムシ」と呼ばれるようになった[1]。
形態・生態
[編集]多くの種で進化の結果、雌の成虫は翅や脚を持たないが、脚を残している種や痕跡的に退化した翅を持つ種もある。ただし、このような進化を経なかったヒモミノガ類のように雌が雄同様に羽化し飛翔力を持つ種も存在する。
幼虫はバラ科、カキノキ科などの果樹や、サツキ等の葉を、特に7月から8月の梅雨後の夏期に食害する。摂食後の枯葉や枯枝に粘性の糸を絡め、袋状の巣を作って枝からぶら下がる。
下位分類
[編集]ミノガ科には日本列島では20以上の種が属している。
- オオミノガ Eumeta japonica
- チャミノガ Eumeta minuscula - 幼虫は15mm〜25mmとオオミノガの1/2〜1/3にすぎない。蓑も小ぶりである。
- クロツヤミノガ Bambalina sp.
- ニトベミノガ Mahasena aurea
人間との関わり
[編集]ミノムシは身の回りの繊維であれば、葉や枝でなくても、蓑を作り上げる。このため、毛糸くずや細かく切った色紙の中に蓑を取り去った幼虫を入れると、色鮮やかな蓑を作り上げる。このような実験は、子供の遊びとして広く行われていた。
ミノムシは秋に蓑を作るため、俳句では秋の季語となった。ミノムシ自体は発声器官を持たないのだが、季語では「蓑虫鳴く」と扱われている。一説によれば、これは秋の深い頃まで枝先で鳴くカネタタキの鳴き声であるという。
化学分野への応用
[編集]ミノムシの糸は蜘蛛の糸よりも強靭であるという結果があり生体工学・バイオミメティクスの分野での応用開発も期待されている[2][3][4]。日本の興和と農研機構は、ミノムシの糸を大量に取り出して工業製品に使う技術を開発したと2018年12月5日に発表した[5]。
ミノムシが登場する作品
[編集]類似の虫
[編集]同じように糸で体を包んで、移動する巣を作るガは他にもある。家屋内ではイガが小さいながらも同じような巣を作る。
ミノガ同様、雌の翅が退化する種類のガにフユシャク亜科がある。フユシャク類の雌は翅を全く持たないか、小さく退化した翅を持つ。その代わり胴体や脚は雄より発達している。ミノガの雌と違う点として、ミノガの雌は蛹の段階から翅が無いのに対し、フユシャク類の雌は蛹の段階では翅があるように見える。羽化後に餌を摂らないのもミノガと共通している。
他にもドクガの一種に雌の翅が退化する種がある。夏に発生する雌は翅を持つが、秋に発生する雌のみ翅が退化するヒメシロモンドクガのような特異な種もある。
また、トビケラ類の幼虫は水生昆虫で、多くの種が同じような巣を川底などに作る。
オオミノガ
[編集]オオミノガ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Eumeta japonica Heylaerts, 1884[6] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
オオミノガ(大蓑蛾、学名: Eumeta japonica)は、チョウ目ミノガ科に属する昆虫。ヤマトミノガともいう。
形態
[編集]日本産で最も大きなミノムシ[9]。
成虫が「ガ」の形になるのは雄に限られる。雄は口が退化しており、花の蜜などを吸うことはできない。雄の体長は30〜40mm。雌は無翅、無脚であり、形は小さい頭に、小さな胸と体の大半以上を腹部が占める形になる(また、雄同様口が退化する)。したがって「ガ」にはならず、蓑内部の蛹の殻の中に留まる(性的二形)。
生態
[編集]雄は雌のフェロモンに引かれて夕方頃飛行し、蓑内の雌と交尾する。この時、雄は小さな腹部を限界近くまで伸ばし蛹の殻と雌の体の間に入れ、蛹の殻の最も奥に位置する雌の交尾孔を雄の交尾器で挟んで挿入器を挿入して交尾する。交尾後、雄は死ぬ。その後、雌は自分が潜んでいた蓑の中の蛹の殻の中に1,000個以上の卵を産卵し、卵塊の表面を腹部の先に生えていた淡褐色の微細な毛で栓をするように覆う。雌は普通、卵が孵化するまで蛹の殻の中に留まっていて、孵化する頃にミノの下の穴から出て地上に落下して死ぬ。
20日前後で孵化した幼虫は蓑の下の穴から外に出て、そこから糸を垂らし、多くは風に乗って分散する。葉や小枝などに到着した1齢幼虫はただちに小さい蓑を造り、それから摂食する。6月から10月にかけて7回脱皮を繰り返し、成長するにつれて蓑を拡大・改変して小枝や葉片をつけて大きくし、終令幼虫(8令)に達する。主な食樹は、サクラ類、カキノキ、イチジク、マサキなど[10]。
秋に蓑の前端を細く頸って、小枝などに環状になるように絹糸をはいてこれに結わえ付けて越冬に入る。枯れ枝の間で蓑が目立つ。越冬後は普通は餌を食べずにそのまま4月から6月にかけて蛹化する。そして6月から8月にかけて羽化する。
分布
[編集]日本列島(本州、四国、九州、対馬、屋久島、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島)[6]に分布する。本種は東南アジアに広く分布する Eumeta variegata と同じ種であるという説も有力である。
近年は後述する外来種のヤドリバエによる寄生により生息個体が激減しており、各自治体のレッドリストで絶滅危惧種に選定されるようになってきている。
オオミノガヤドリバエによる寄生
[編集]オオミノガを初めとして、日本ではミノムシは広く見られる一般的な昆虫であったが、1990年代後半からオオミノガは激減している。原因は、オオミノガにのみ寄生する外来種のヤドリバエ科のオオミノガヤドリバエ (Nealsomyia rufella) である。
オオミノガヤドリバエは、主にオオミノガの終令幼虫を見つけると、摂食中の葉に産卵し、卵は葉と共に摂食される。口器で破壊されなかった卵はオオミノガの消化器に達し、体内で孵化する。
なお、オオミノガヤドリバエに寄生する寄生蜂(キアシブトコバチ (Brachymeria obscurata) など)が存在する[11][12]。
ウィキスピーシーズには、オオミノガに関する情報があります。
脚注
[編集]- ^ “カワセミ通信 No.102”. 戸田市彩湖自然学習センター. 2019年10月31日閲覧。
- ^ (研究成果) クモ糸を超えるミノムシの糸、強さの秘密を科学的に解明
- ^ 「クモの糸」を超える「ミノムシの糸」がバイオエコノミーを加速する
- ^ ミノムシ糸が、クモ糸を超える強さを持つ理由を科学的に解明――高い秩序性階層構造に起因 農研機構と豊田工業大
- ^ 「ミノムシから糸 数百メートル/興和と農研機構 シルク繊維の代替」『日本経済新聞』朝刊2018年12月6日(企業2面)2018年12月16日閲覧。
- ^ a b “日本産昆虫学名和名辞書(DJI)”. 昆虫学データベース KONCHU. 九州大学大学院農学研究院昆虫学教室. 2014年2月11日閲覧。
- ^ 神保宇嗣 (2021年6月3日). “List-MJ 日本産蛾類総目録 version 3β”. 2023年8月15日閲覧。
- ^ "Clania variegata". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語).
- ^ 『イモムシハンドブック』 51頁。
- ^ 『昆虫の食草・食樹ハンドブック』 53頁。
- ^ “オオミノガヤドリバエ”. 侵入生物DB. 国立環境研究所. 2020年10月5日閲覧。
- ^ 「キアシブトコバチ」『『世界大百科事典 第2版』』 。コトバンクより2020年10月5日閲覧。
参考文献
[編集]- 森上信夫、林将之「ミノガ科」『昆虫の食草・食樹ハンドブック』文一総合出版、2007年、53頁。ISBN 978-4-8299-0026-0。
- 福田晴夫ほか「ミノガ科」『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方 : 野山の宝石たち』(増補改訂版)南方新社、2009年、58頁。ISBN 978-4-86124-168-0。
- 安田守「ミノガ科」『イモムシハンドブック』高橋真弓・中島秀雄監修、文一総合出版、2010年、50-51頁。ISBN 978-4-8299-1079-5。
- 安田守「ミノガ科」『イモムシハンドブック2』高橋真弓・中島秀雄監修、文一総合出版、2012年、33頁。ISBN 978-4-8299-8101-6。
- 田仲義弘、鈴木信夫「オオミノガ」『校庭の昆虫』全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、1999年、55頁。ISBN 4-88137-073-1。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- "Psychidae". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語).
- "Psychidae" - Encyclopedia of Life
- 青木繁伸 (2010年11月16日). “オオミノガ(大蓑蛾;大避績蛾)”. 幼虫図鑑. 群馬大学社会情報学部. 2014年2月11日閲覧。
- “ミノムシ”. NHK for School. 日本放送協会. 2022年4月2日閲覧。
- 『ミノガ』 - コトバンク
- 『オオミノガ』 - コトバンク