ホン・サンスは独特な撮影スタイルだ。撮影は物語の通りに頭から順撮りされ、しかし台本は撮影当日の朝に役者に配られる。役者は事前に役作りを出来ず、撮影現場で極度の集中力を要求される。このスタイルはゴダール>>続きを読む
三宅唱の長編第二作で劇場映画デビュー作。村上淳のラブコールで実現したという。白黒ビスタ。
大胆に時間が反復される。過去が繰り返されて、ズレが生まれ、最初は意味不明だった事態の真相に迫っていく、しかし判>>続きを読む
三宅唱の短編。石橋静河が一人主役。ある日の日常を部屋な中だけで描く。13分、カラービスタ。
長回しで撮影した素材をジャンプカットで断片化して編集している。
◉石橋がソファーから起きる
◉不在の姉を呼ぶ>>続きを読む
三宅唱の短編。石橋静河の一人主役。18分、カラービスタ。
◉石橋が座っている。やがて立ち上がる。ワンカット。
◉タイトルバック。
◉石橋が海辺で歩く、貝殻を拾う、投げる、走り出す、踊る。波の音だけが響>>続きを読む
三宅唱の処女作。白黒ビスタ。三宅の主題が早くも現れている。
「並ぶ」ことは三宅作品の人物が安定する配置であることが本作でよく分かった。なにしろトップカットから高校生三人が並んで歩いている、やがて走りだ>>続きを読む
瀬尾まいこの原作を三宅唱が映画化した。原作はPMSの藤沢美紗(上白石萌音)とパニック障害の山添孝俊(松村北斗)が、交互の視点から日常の「かけがえのなさ」を劇的な場面もなく淡々と描いている。映像化は難題>>続きを読む
冒頭から「円」が氾濫する。トロンボーン、サックス、コンガ、ドラム。さらには壺、目、耳穴、銃口、指輪、手錠と「円」の主題が展開していく。
一方で廊下や駅のホーム、列車、バーなどの奥行きを活かした縦構図の>>続きを読む
ブニュエルの主題は「高さ」だ。本作も随所に階段、高台、螺旋階段、鐘塔が印象的だ。特に鐘塔はヒッチコックの「めまい」が想起される。「めまい」は高所恐怖症の映画だった。フランシスコ(アルトゥーロ・デ・コル>>続きを読む
フィリピンの31歳の女性監督マルティカ・ラミレス・エスコバルのデビュー作。8年がかりで製作したという。タイトルのヒプナゴジアとは半覚醒のこと。英語原題は Leonor Will Never Die
本>>続きを読む
まさかの濱口竜介の失敗作である。考えすぎではないか?濱口の悪い面が出てしまった。
冒頭は英語タイトルが青字、赤字でゴダール風にクレジットされる。そして真下から見上げる木々と空の移動撮影が長々と続く。こ>>続きを読む
ペドロ・コスタが「あなたの微笑はどこに隠れたの?」から抜粋した6つの小品集。バガテルとは小品の意味。しかし中身は「あなたの微笑はどこに隠れたの?」で使われていないショットで構成されている。6つのパート>>続きを読む
ボール遊びをする少女の後ろ姿とその影の俯瞰ショット、そこへ女の影がインする。あッ!このショットはラングの「M」ではないか!「M」はまさに連続児童誘拐事件の映画である。ラングといえば影、そして円だ。にわ>>続きを読む
146分でわずが37カット。タル・ベーラが7時間半の大作「サタンタンゴ」に引き続きクロスナホルカイ・ラースローの小説「抵抗の憂鬱」を映画化した。
トップカットはストーブの火、本作は広場の焚き火、暴動の>>続きを読む
146分でわずが37カット。タル・ベーラが7時間半の大作「サタンタンゴ」に引き続きクロスナホルカイ・ラースローの小説「抵抗の憂鬱」を映画化した。
トップカットはストーブの火、本作は広場の焚き火、暴動の>>続きを読む
原作・江戸川乱歩、脚本・いどあきお、監督・田中登、出演・宮下順子、石橋蓮司。
田中登は「高さ」の監督だ。本作は絶好の題材である。文字通り屋根裏の天井から真下を覗く節穴、その見た目の俯瞰ショット、節穴か>>続きを読む
神代辰巳が宮下順子、芹明香と初めて組んだ作品。袖子(宮下順子)と信介(江角英明)の濡れ場を御簾ごしにロングショットの長回しで描く。宮下順子が赤い襦袢を噛むのが官能的だ。宮下順子の口に魅入られる。袖子が>>続きを読む
ビクトル・エリセの31年ぶりの長編第4作。題名どおり「瞳」の映画だ。アップの映画である。特に眼球の瞳孔が大きい役者が揃っている。黒目が大きい。しかも全ての瞳孔にキッチリと照明のキャッチアイが入っている>>続きを読む
ビクトル・エリセの10年ぶりの長編第2作。エリセによると、本来は北部を舞台とする第1部と南部を舞台とする第2部で構成される2時間半の大作が構想されていたのが資金難のために第一部のみで断念した未完の作品>>続きを読む
トラック運転手とホームレスの女。神代辰巳の傑作「赫い髪の女」を彷彿とするいまおかしんじの新作。子供を失った女、妻に裏切られた男という設定がいまおからしい。行き当たりばったりに見える人間関係がだんだん絡>>続きを読む
劇団チーズtheaterの旗揚げ公演作品を主宰者の戸田彬弘が自ら監督した。消えた市子(杉咲花)は存在していない、市子は誰なのか?名前と不在をめぐる物語だ。戸田は黒澤明の「羅生門」を意識したらしいが構造>>続きを読む
「陽炎座」はまるでキュビズムである。空間や位置関係は断片化され、セリフだけでかろうじて繋がっていて、物語があるのかどうかもギリギリだ。これ以上は映像と音の断片を再構築したゴダールのソニマージュに至って>>続きを読む
「陽炎座」はまるでキュビズムである。空間や位置関係は断片化され、セリフだけでかろうじて繋がっていて、物語があるのかどうかもギリギリだ。これ以上は映像と音の断片を再構築したゴダールのソニマージュに至って>>続きを読む
かつての角川映画の傑作「セーラー服と機関銃」を彷彿とさせる瑞々しい青春映画だ。和山やまのコミック原作を野木亜紀子が見事な脚本にした。「失われたもの」がテーマである。声、愛する人、小指、失ったものへの代>>続きを読む
TIFF/NFAJクラシックス 小津安二郎監督週間
白黒サイレント。8日間で撮影された。
この時期の小津は和と洋をいかに混ぜ合わすかを考えている。冒頭は剣道大会。岡島(岡田時彦)が優勝する。面を取るま>>続きを読む
TIFF/NFAJクラシックス 小津安二郎監督週間
後期の小津は男3人が縁談の世話をするパターンが多いが本作はマダム三人 、麹町の時子(栗島すみ子)、牛込の千代子(飯田蝶子)、御殿山の光子(吉川満子)>>続きを読む
ビー・ガンの新作ショートフィルム。中国の猫グッズのメーカーからの依頼で作られた。
⚫︎黒猫の片目から深いOLで草原の低い滑走、疾走する黒猫の見た目である、ビー・ガンのナレーション、案山子に火をつける、>>続きを読む
ゴダールの長編第6作目。原作アルベルト・モラヴィア。愛についての映画だ。女が車に乗った時から愛が崩壊する。ゴダールがロッセリーニの「イタリア旅行」を見て「男と女と自動車があれば映画が出来る」と宣言した>>続きを読む
ゴダールの長編第6作目。原作アルベルト・モラヴィア。愛についての映画だ。女が車に乗った時から愛が崩壊する。ゴダールがロッセリーニの「イタリア旅行」を見て「男と女と自動車があれば映画が出来る」と宣言した>>続きを読む
東京国際映画祭クロージング作品。
噴飯ものである。ゴジラが出る場面は面白い。ゴジラの登場場面は「キングコング」以来の怪獣は南の島から登場するという嬉しい入り方だ。海を東京湾目指して進むゴジラを機雷船で>>続きを読む
ヴェンダースの最新作で東京国際映画祭オープニング作品。役所広司がカンヌ映画祭で主演男優賞を受賞した。ヴェンダースが日本の役者で現代の東京を舞台に撮影した。
カラーのスタンダードサイズだ。単眼のカメラ。>>続きを読む
清順の日活後期の作品群のなかで「殺しの烙印」「悲愁物語」に繋がる重要な作品だ。
「高さ」の主題が頻出する。露子(野川由美子)が佐一(野呂圭介)と源七(杉山元)に拉致される土手、露子と坂田のボン(和田浩>>続きを読む
清順初の任侠映画。野口博志監督「地底の歌」のリメイク。
小林旭が撮影初日に西郷隆盛のような太い眉毛を描いてきたので「ああ、あ奴がやるなら俺もやろう」となったらしい。恐るべし!確信犯の清順!
ファースト>>続きを読む
ジャン・ユスターシュの第2作。ゴダールの「男性・女性」の未使用フィルムで撮られた。ユスターシュが10代を過ごしたナルボンヌが舞台だ。後に「ぼくの小さな恋人たち」ではナルボンヌ時代の長編が撮られることに>>続きを読む
ジャン・ユスターシュの処女作。妻のジャネット・ドゥロがカイエ・デュ・シネマの秘書をしていて金庫から金を盗んで制作したという伝説がある。須藤健太郎の評伝によれば、ロメールが「モンソーのパン屋の女の子」の>>続きを読む
ジャン・ユスターシュの第2作。ゴダールの「男性・女性」の未使用フィルムで撮られた。ユスターシュが10代を過ごしたナルボンヌが舞台だ。後に「ぼくの小さな恋人たち」ではナルボンヌ時代の長編が撮られることに>>続きを読む
ジャン・ユスターシュの処女作。妻のジャネット・ドゥロがカイエ・デュ・シネマの秘書をしていて金庫から金を盗んで制作したという伝説がある。須藤健太郎の評伝によれば、ロメールが「モンソーのパン屋の女の子」の>>続きを読む