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蛇らいさんの映画レビュー・感想・評価

蛇らい

蛇らい

おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)

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何度目かの。

水や雪の描写がとても写実的で誇張した嘘がないのが良い。街のルックもアニメーション作品としては、ずば抜けて嘘がない。

『時をかける少女』『サマーウォーズ』までのフィクショナルな作風では
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遊星よりの物体X(1951年製作の映画)

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肝心な対象を見せないという演出から生まれるサスペンスは『エイリアン』も影響を受けていると感じる。科学者の研究熱、人間の向上心が生む暴走は『オッペンハイマー』的か。劇中で核への言及もあり。

暗転させる
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白夜 4K レストア版(1971年製作の映画)

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4K上映にて。

打ちひしがれた、この言葉に尽きる。この後にどんな映画を観てもだめ。劇薬的(良すぎて他の映画が太刀打ちできない)な作品なので、観るタイミングは本当に考えなくてはいけない。

玉ボケが生
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

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映画である意味が感じられなかった。部屋のワンシチュエーションはさすがに工夫を凝らしに凝らさないとしんどい。

ANORA アノーラ(2024年製作の映画)

4.6

若さゆえの煌びやかさと勢いを殺すことなく、悲喜劇として見たことのない斬新さで描く。ショーン・ベイカーの作品からしか享受できない体験だ。インディペンデントと言ってもいい限られた予算とテーマ性であれば、尖>>続きを読む

罪の天使たち(1943年製作の映画)

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刑務所と修道院に共通して写り込む格子の影が、交差する善と悪を担的に表している。罪人を救ってしまった罪と、罪人と一括りにする以前に必要な真価を見極める目、さまざまなレイヤーが同居する複雑なストーリーに魅>>続きを読む

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(2024年製作の映画)

4.5

実在の人物を扱った作品の導入としては唐突に始まるストーリーテリングだが、スクリーンにティモシーが登場した瞬間に彼がボブ・ディランの人間性を背負う覚悟のようなものすら感じられた。ウディ・ガスリーとピート>>続きを読む

Broken Rage(2024年製作の映画)

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後半のコメディパートについて。

表層的には前半と後半の対比を楽しむのが筋だろう。しかし、前半のアウトレイジのような映画的に望ましいクオリティに対して、お前らが普段崇めて楽しんでいるのは後半パートのよ
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17歳のカルテ(1999年製作の映画)

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映画が凡庸になろうとしてなっていると思うので仕方がない。

サイコ(1960年製作の映画)

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カメラに水をかけずに撮られた水の出るシャワーのショットどう撮ったんだよってなるし、宿帳を覗き込むノーマン・ベイツの異様なショットの奇妙さと美しさに腰を抜かした。

ブルータリスト(2024年製作の映画)

4.1

IMAXレーザー上映にて。

建築家の半生を描いた作品から由来する、タイトルバックの計算され尽くしたデザインの美しさに目を見張る。アバンタイトルからフルスイングの野心的なショットにからのタイトルバック
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イレイザーヘッド(1976年製作の映画)

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4K版 BESTIA上映にて。

出だしから工場の機械音のようなノイズが劇場内を埋め尽くす。それは途切れることなく鳴り続き、主人公が抱える不安やストレスが具現化させたような演出。そして、まるで悪夢のよ
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キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド(2024年製作の映画)

3.2

久しぶりにユニバース展開の意義を強く感じられる作品としてとても楽しめた。キャラクター登場ののサプライズに依存した作劇ではなく、これからのフランチャイズの先を見据えたストーリーテリングと、媚び媚びになら>>続きを読む

ファーストキス 1ST KISS(2025年製作の映画)

3.7

明らかに日本のアニメ、ラノベ的な文脈を意識した作劇であることにまず驚くが、ここまで徹底して人間関係の過去と生死について検証し、逡巡している物語になっていることはさすが坂本裕二という他ない。過去を変える>>続きを読む

ザ・ビートルズ:Get Back(2021年製作の映画)

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バンドの状態やテンションが心拍のように時に乱れ、また穏やかに戻る。バンドが生き物かのように変化する記録が、普遍的な事実として余計なフィルターなしでビートルズを体感できる。

オノ・ヨーコの存在が本当に
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

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正直、舐めていた。わかりやすいティーンムービーとして消費されているアイコン程度に思っていたが、ここまで心揺さぶる骨太な映画だとは。孤独の本質と正面から向き合った作劇が、アイコニックなルックによって異化>>続きを読む

ミッシング・チャイルド・ビデオテープ(2025年製作の映画)

2.0

ストーリーがドライブするまでの前半に、もう少しできたことがあったのではないかという思慮がちらつく。低体温な作劇は抑制が効いていていいのだか、いかんせん展開の少なさと、興味をそそる演出が不足している。け>>続きを読む

機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編(1982年製作の映画)

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ララァというめちゃくちゃに魅力的なキャラクターが登場する。一気に作品が新たな一面を見せるが、彼女に物語を背負わせ過ぎな気もして気が引ける。

野生の島のロズ(2024年製作の映画)

3.0

ディズニーを初めとする他のCGのアニメーション作品との明確な棲み分けができている。それはスタジオの独自性を示すうえで、とても大事なことだと思う。

まず驚いたのは写実的なカメラワークだ。単にリアリティ
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劇場版ポケットモンスター/ピカチュウのなつやすみ(1998年製作の映画)

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小田部羊一のデザインの秀逸さが際立つ、ポケモンたちの生き生きとした作画が素晴らしい。

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

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何度目かの。

華やかな50'sの楽曲が心地よく、ファッションアイテムすら魅力的。その中で深層心理が欲する生の実感と、マチズモへの抵抗、死体から仄めく、戻すことのできない瞬間への憂いは歳を重ねるほどに
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セブン 4K版(1995年製作の映画)

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IMAXレーザー上映にて。

改めて観るとエポックメイキングなタイトルバックのかっこよさに驚く。ライティング、プロダクションデザイン、衣装、音楽、編集、すべてにおいて禍々しさを増幅させる演出が行き届い
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機動戦士ガンダム II 哀・戦士編(1981年製作の映画)

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戦争を描く上で何が起こりうるのか、人々の機微を丁寧に描写しながら、作劇上で戦争的なダイナミズムを生むことの悲哀や迷いに相当な覚悟を感じる。

機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-(2025年製作の映画)

3.7

IMAXレーザー上映にて。

前半約35分の庵野秀明のオリジナルに対するリスペクト、演出の足し引きの選択の間違いのなさにはさすがに脱帽。一度も停滞することがない前のめりな作劇と演出は、昨今のアニメーシ
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(2025年製作の映画)

3.8

取り繕った主人公の言動を、自我が反映された夢の描写で解体していく作劇だ。浮遊感がありながらも地に足の付いたリアリティが気持ち良い。日本家屋、気の利いた食事、質素でしたたかな暮らしをする一方で、男性とし>>続きを読む

機動戦士ガンダム(1981年製作の映画)

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あまりにも真正面から戦争を描いていて腰を抜かした。こんなやばいものがテレビから流れて来たら確実に心奪われる。

アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(2024年製作の映画)

3.7

トランプが生まれる構造を丁寧に描写しつつ、映画のキャラクターとして魅力的に描く作劇は映画作家としての意地を感じた。イデオロギーを前傾化せず、映画としての面白さやルック、映画的な演出に頑なに固執すること>>続きを読む

レベル・リッジ(2024年製作の映画)

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温いと言われそうな良心の呵責に訴えかけるストレートな作劇は、もっと評価してもいいと思える。真実が映る記録だけが大切なマクガフィンとして機能する脚本は、今だからこそ響くものがある。

ビーキーパー(2024年製作の映画)

3.1

単なる界隈のご機嫌取りムービーかと思いきや、締めるところは締める、減り張りの効いたタフな作劇と演出に驚いた。しょうもない十字架を背負うことのない、ムービースターとしてのジェイソン・ステイサムがスクリー>>続きを読む

劇映画 孤独のグルメ(2025年製作の映画)

3.0

主人公以外のキャラクターに血が通っていないTVドラマシリーズとは対照的に、人物描写の丁寧さが『孤独のグルメ』らしからぬ良い違和感を生んでいる。

腹が減るという人間の生理現象の本質を、生命が脅かされる
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借りぐらしのアリエッティ(2010年製作の映画)

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レジェンド級のアニメーターが集結したらさすがにこのクオリティだよなと納得。死と終わりの匂いが漂うシビアな作風は肝が据わっている。

イル・ポスティーノ 4K デジタル・リマスター版(1994年製作の映画)

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図らずも現代を映す鏡としての鮮明さがあったと思う。言葉の力について深層まで抉った脚本は極めてクリティック。言葉の表層だけを切り取って善悪を表明することの危うさがしっかりと描かれる。

マリア・グラツィ
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劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師(2024年製作の映画)

2.5

忍たまのTVアニメシリーズのトンマナから逸脱しないことが、悪い方向に影響していたと感じた。忍たまに深く関わってきた監督ゆえにもう一つ上のステージに押し上げることができなかったとも言える。

プロット自
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陪審員2番(2024年製作の映画)

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「ハリウッド的な空虚なカタルシスを伴う結末からは、会話が始まることはないのです。」というエメラルド・フェネルの言葉を体現するかのようなキレの良さ。

正義に倣った人々の連帯の根幹と愚挙を炙り出す語り口
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ブルーピリオド(2024年製作の映画)

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人間から湧き上がる、イマジネーションの結晶としての絵画と、クリアで写実的な東京のショットが対比として美しい。映画的で攻めの飛躍する演出も冴えている。