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せいけさんの映画レビュー・感想・評価

せいけ

せいけ

映画(1489)
ドラマ(1)
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マン・ハント(1941年製作の映画)

4.7

言うに及ばず、お手本のようなサスペンス描写の連続に唸らされる
かなり政治的な話でありながら、間口が広い
それでいてかなり危うい
こんな緊密な話でありながら、メロドラマという迂回を経由することにも驚かさ
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飾窓の女(1944年製作の映画)

3.8

他なる映画とを読んでからの鑑賞のため、大体の結末は知っているというところからスタート
鏡の使い方や普通に面白いサスペンス展開が緊張感と軽やかさを両立して展開されていく
普通に面白いんだけど、ラングを集
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抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

4.7

ブレッソンの中で1番シンプルに面白い作品かもしれない
脱獄モノというサスペンス性が約束されているジャンルを、周到にクリシェを避けながらシネマトグラフに昇華している
端正な手の動きを丹念に写すことで脱獄
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ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ(1953年製作の映画)

4.5

結構複雑な話だと思うけど、90分で明快に語ってしまうフリッツ・ラングの語り口のスマートさが光る
的確なショット構成と驚きのある展開のツイストに、ソリッドかつ迫力あるガンアクション
やや苦みある着地含め
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M(1931年製作の映画)

4.7

サスペンスとしてこの上なくよくできている
オープニングの絶妙な間合いのカッティングとフレームインしてくる悍ましい陰で掴みは完璧
トーキー映画初期に、ここまで音響演出を効果的に使っていることにも驚かされ
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メトロポリス(1927年製作の映画)

4.5

圧倒的な物量と大きさ、運動のスケールに圧倒される
ロボットの暴走、世界観構築、あらゆる描写がほぼ全ての映画の原点になっているのではないか
サイレントなので当たり前だが、画面で語る強さをこれでもかと感じ
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I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ(2022年製作の映画)

4.3

映画大好きな登場人物が出てくる映画はその時点で苦手なのだが、甘くない現実を描いているチャレンジな映画
日頃映画好きが、目を背けている事柄をある人物の語りにより、突きつける
これでも映画を好きと言えるの
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アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(2024年製作の映画)

4.3

伝記映画としてかなり誠実なバランスだったかと
特別な出来事というよりある出会いと教えを忠実に遂行した結果、いつの間にか現代の我々がよく知るトランプの造形になっていくという語り口
70年代ニューヨークと
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ANORA アノーラ(2024年製作の映画)

5.0

なんてバカバカしい話、と一蹴してしまいそうな筋立てだけどあまりにもエネルギッシュな作劇に見入ってしまう
今どきなかなかお目にかかれないスクリューボールコメディテイストの作風にも惹かれた
セックスワーカ
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ミッシング・チャイルド・ビデオテープ(2025年製作の映画)

4.5

意外にもと言うと失礼だが、筋が通った上質な物語があることに驚いた
壊れた血縁関係とオカルト的な山と廃墟のモチーフが上品な演出によって紡がれて、あれよあれよと恐怖の深淵へと誘っていく
余りにも当たり前で
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暗黒街の弾痕(1937年製作の映画)

4.3

まずエディの顔とセリフの圧がいい
切迫した状況からなる、暴走の説得力がある
週間されて以降の演出もスケールが大きいものから小さく繊細なものまで冴え渡る
ドライな幕引きも見事

大空の凱歌(1956年製作の映画)

4.3

どうしようもなく美しい映像とディゾルブを多用した編集のリズムに魅了されながらも、これってそんないい話だっけ?この人流石に美談化され過ぎてないか?という引っかかりを感じざるを得ない
それでもいい話として
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突然の花婿(1952年製作の映画)

4.8

まず、突然の花嫁じゃないところにこの話の大らかさと時代を超えて響く普遍性があると感じた。言いたいことがないわけでもないが、男の振る舞いがいい具合にナイスガイなので、シャレがシャレとして通用するというか>>続きを読む

わたしの願い/わが望みのすべて(1953年製作の映画)

5.0

軽快に展開していく家族の物語
忌み嫌って逃げ出した女優の妻が家族の元へ戻り、忙しなくかつて置いてきた感情が揺れ動く
下手したらベタベタな人情噺になりそうなものを、サークは役者の動きと巧みな構図、照明使
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翼に賭ける命(1957年製作の映画)

4.8

画面から漂う色気たるや
とにかく陰影を生かしたモノクロのショットが素晴らしい
顔に影がかかる動きの連なりにより、関係性の深みに沈んでいくような
沈んでは浮かび上がる人間の顔に見惚れつつ、不穏さも露わに
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僕の彼女はどこ?(1952年製作の映画)

4.5

お金だけが幸せじゃないよという余りにもありきたりなテーマをここまで面白くできることに恐れ入る。ハイテンポにリズムよく、俳優たちが画面を動き回る。動きによりエモーションとユーモアが駆動して、どうでも良さ>>続きを読む

コンタクト(1997年製作の映画)

5.0

圧倒的な物量で世界の実在感を示す胆力と決して絵空事ではないと、信念に基づき突き進む女性の逞しさに感動した。アナログとデジタル、宗教と実証、あらゆる相反するものが渾然一体となっていくような展開に胸を打た>>続きを読む

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

4.5

飛行機の不時着水による生還を96分という尺感で描くスマートな構成
なぜ、あの決断ができたか、それは彼だからという結論にイーストウッドならではの俳優への信頼を感じる
人的要因と再現シミュレーションが交差
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陪審員2番(2024年製作の映画)

5.0

なんという板挟み型法廷劇
中途半端な良心の揺らぎ、やましさ、誤魔化し、あまりにも人間臭い感情をあらゆる緻密なアクションにとって描いている
94歳が余生で撮りましたみたいな、言い訳めいた様子を全く感じら
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二つの季節しかない村(2023年製作の映画)

4.3

卑しく愚かな中年男性の口論を3時間強描き続ける胆力とそれでいて面白い演出力に驚かされる
とにかく何を置いても村の説得力
何でもかんでも土地のせいにする主人公だが然もありなんという風景がシネスコの画面い
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ザ・バイクライダーズ(2023年製作の映画)

4.7

アウトローな生き方の男性達を描いた回顧録というスタイルはどうしたってグッドフェローズを彷彿とするけど、その周縁から見守る女性からの視点という語り口がビクトル・エリセを想起した
ベニーは存在感は圧倒的だ
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恐怖のメロディ(1971年製作の映画)

4.2

ラジオDJが女性に付き纏われるというミニマムな話でありながら、緊張感が途切れない
冒頭の空撮とイーストウッドの存在感が、どこか映画のスケールを増しているような
陰影がある屋内の撮影と大胆なサスペンス描
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

4.5

あまりにも簡潔で明快すぎる物語に笑ってしまいつつ、荒野と逆光とイーストウッドが融合すると何にも代え難い映画になる。省略と迂回のバランスに驚くというか戸惑う。警官のガサ入れを丸ごと省略するシークエンス。>>続きを読む

ベイブ(1995年製作の映画)

4.0

まさしく健気さと可愛さにやられる一本。簡潔に90分でまとめたおとぎ話風味な物語という、意外と昨今あまり観られない作風。サスペンス描写は、見せるところと見せないところの取捨選択がうまく、品よくかわいく面>>続きを読む

雪の断章 情熱(1985年製作の映画)

4.3

相米印の長回しにただただ驚かされる
斉藤由貴主演の東宝という企画、古典的なストーリーもあってか他の相米作品よりは多少観やすい印象
画面を観ていてクラクラするような感覚はやや薄めかもしれない
映画をいい
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SUPER HAPPY FOREVER(2024年製作の映画)

5.0

行き着くはずの物語のサスペンスとささやかな映像のサプライズにより映画的興奮を得られる映画
繰り返しとズレというこれぞ映画としか言いようがない仕掛けに心が躍る
ただそんな映画的技巧は実にさりげなく、本質
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十一人の賊軍(2024年製作の映画)

3.0

『十一人の賊軍』を鑑賞。白石和彌監督は邦画大作を手掛けるようになってよく言えば丁寧、悪く言えば説明過多な演出に拍車が掛かっている。油が吹き出すシーンや、舐め回すような視線の撮り方、主人公然としていない>>続きを読む

心のともしび(1954年製作の映画)

5.0

カラーの美しさと滑らかなアクション繋ぎ、大仰に見えて実は繊細な演技と演出
こんなに嘘が上手い映画は久しぶりに観たかもしれない
あらゆるサスペンスを配置しながら、扇動的な展開から程よく迂回して、出来過ぎ
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最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

4.8

家族による結婚の策略から逃れる男女のスクリューボールコメディ
濱口竜介節でいう、ISA(いつの間にそんなに愛しちゃったの)ではなく、SA(最初から愛してた)なラブロマンスに心踊らされる
恋愛にまつわる
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ルート29(2024年製作の映画)

5.0

目的から逸脱したファンタジックな世界観は現実と異なる映画を体験させてくれる
光が移ろいゆく森の中はどこか異界もっと言えば霊的な雰囲気を帯びていた
『こちらあみ子』同様、空間のこちらとあちらを捉えて浮か
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ろくでなし(1960年製作の映画)

5.0

浮ついた青春期を自堕落にかつそれなりに優雅に過ごす男子学生たち
まさしくろくでなしと以外に形容し難い男たちの話はどうでもいいと思いそうだけど、画面から目が離れない
ルックの強さと言葉の強さ
浮ついてい
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ダーティハリー(1971年製作の映画)

4.7

圧倒的なスター俳優としての華を覆い隠すような暗闇の撮影
闇に塗れて汚れ仕事を務めるハリーのアバンギャルドだけど無骨で地味なアクションを追っていく
ままならない状況に陥りながらも、蒸気を逸した執念をイー
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.8

オープニングのキレ味に慄き、ハンナ・シグラ演じるマリアの生き様に魅せられる
夫の妻としてサバイブしていたマリアが、自分の手で報酬を手に入れていく様の逞しさと先見性に驚かされる
自分の立場が安定していな
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ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

4.5

嘘と真実、光と影というモチーフから落ちぶれたスター女優の後世を描く
どの作品にも通ずるけど、どこか過剰で倒錯したような人物描写はかなり痛々しい
大胆なセットと陰影のコントラストを極限まで高めた映像は美
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