筋を追えない脚本、特に後半の混濁ぶりが凄まじい!北鎌倉にて非行少年である石橋正次を更生させるために南田洋子に雇われた地井武雄!その師弟を超えた友情を描く感動作……では全くない!母親の洋子が事故で臨終する間際に手術室にいる武雄、正次、智恵子のショット。1つも自然じゃなくて驚嘆。梶さん(何も語られない)と智恵子の兄江原真二郎の結婚式に銃を持って現れる3枚目伊丹十三の気持ち悪さ。披露宴とジャズバーは完全にチル空間。身長差30cmはあるだろう殴り合い!弾を抜いて出し抜く正次に一本取られたと言って浜辺で感傷に耽り、智恵子と交わる武雄。出歯亀の市議会議員小松方正を墓場に縛り付け、下衆な数学教師である加藤和夫をチェーンで殴りつけるとダミーヘッド眼鏡が粉々に!少年院にぶち込まれた正次を無下に突き放すラスト!すごい!感情の置き所が定まらない!
模造された手に刺されるナイフと、人間の手に立つナイフをイメージしたいまだ削られていない鉛筆。その対比こそがこの映画におけるイメージとの戯れなのかもしれない。