NetBIOS 【Network Basic Input Output System】
概要
NetBIOS(Network Basic Input Output System)とは、ソフトウェアがコンピュータのネットワーク機能を利用するための標準的な規約(API)を定めた規格の一つ。コンピュータに内蔵されたNIC(LANカード)などのハードウェアを制御し、外部の機器と通信を行うためのコマンドや引数の形式などを定めている。ソフトウェアは個々の通信用ハードウェアの仕様に対応しなくても、NetBIOSで定められた規約に従ってハードウェアへ指示を出すことで通信機能を利用することができる。
非常にシンプルな仕様で、ネットワーク上の機器の登録や管理、特定の相手とのコネクションレス型(データグラム型)通信、コネクション型(セッション型)通信の3つの機能を利用することができる。Windowsネットワークの基礎として長年利用されており、ファイル共有やプリンタ共有などもNetBIOSの機能を呼び出して実現している。
ネットワーク上の機器はNetBIOS名と呼ばれる16バイト(半角英数字16文字)の固有の識別符号で認識される。Windowsでは通常、「コンピュータ名」として設定される文字列がNetBIOS名として使用される(末尾1バイトは属性を表すため利用者が任意に入力できるのは15文字まで)。
当初は下位層のプロトコルとして独自のNetBEUIを規定しており、単一のLANセグメント内でのみ通信できる小規模ネットワーク向けのプロトコルであった。インターネットやイントラネットの普及とともに下位層にTCP/IPを用いるNBT(NetBIOS over TCP/IP)が追加され、以後はそちらの方が標準的に用いられている。
最初の仕様は1984年に米IBM社が同社のPC製品向けに策定したもので、OS/2やMS-DOS上のLAN Managerなどで利用された。米マイクロソフト(Microsoft)社がWindowsのネットワーク機能として標準採用したため急速に広まった。
NetBEUI (NetBIOS Extended User Interface)
NetBIOSの通信プロトコル部分を独立した仕様として切り出した規格をNetBEUI(ネットビューイ)という。ネットワーク上でやり取りされるフレーム(データグラム)の形式などを定めている。IBM社が1985年に策定した。
ブロードキャスト通信を多用するなど、各機器が物理的に直接通信可能な範囲(セグメント)にある小規模なネットワークでの利用を想定している。複数のネットワークをまたいでデータを転送していく経路選択(ルーティング)や中継などの機能はない。
NetBEUIという名称は当初NetBIOSの拡張仕様としてAPIを含む全体を指していたため、純粋にプロトコル部分を定義したNBF(NetBEUI Frame Format)をプロトコル名とする場合もある。
インターネットの普及以降はNetBIOSの下位層にNetBEUIに代えてTCP/IPを用いるNBT(NetBIOS over TCP/IP)が標準となったためWindows XP以降ではオプション扱いとなり、Windows 7以降では削除された。