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Adobe Illustrator

概要

Adobe Illustratorとは、米アドビ・システムズ(Adobe)社の図形描画・編集ソフト。主にベクタ形式の図形や文字などを組み合わせて図表やイラストレーション、デザインなどを作成する「ドローソフト」と呼ばれる分野の標準的な存在となっている。

ベクタ画像は画像を図形要素の組み合わせとして表現する形式で、点と線(直線・曲線)、矩形や円などの幾何学図形、領域の塗りつぶしやパターンの貼り付けなどを組み合わせて画像を構成していく。写真や絵画のような緻密な自然画の表現はできないが、変形や形状(輪郭)の調整、拡大・縮小が容易で、サイズに依らず常に高品位な出力を得られる特徴がある。

Adobe Illustratorはキャンバスに図形や文字を描画したり、任意に配置した複数の点を結ぶ自由曲線(ベジェ曲線)を描くことができる。どの要素も後から位置やサイズ、色、線の太さなどの属性を自由に変更することができる。後から機能を追加できるプラグイン機構を備えており、同社や他社から多彩な追加ソフトが提供されている。

作成したデータは独自のAI形式.aiファイル)として保存されるが、SVGEPSPDFなどベクタ画像ファイル形式に標準で対応している。特定の画像サイズや解像度などを指定して、JPEGGIFPNGなどビットマップ形式ファイルに書き出す機能もある。

Adobe Illustratorは主に出版・印刷・デザイン業界などで業務用に用いられ、紙面やラベルなどのデザインやその構成要素となるロゴやタイポグラフィ、イラストレーションの作成などに使われる。写真編集などに用いるAdobe Photoshopと共に定番のグラフィックスソフトの一つとして長年に渡りプロに愛用されている。

最初のバージョンは1986年に当時のアップルコンピュータApple Computer)社のMacintoshマッキントッシュ)向けに発売され、デザイン業界で広く受け入れられた。2003年には「Illustrator CS」が正式名称となり、同社のデザイン関連ソフトウェアの統合パッケージ「Adobe Creative Suite」(Adobe CS)の構成要素の一つと位置づけられるようになった(単体購入も可能)。

2013年には「Illustrator CC」に再び改称され、同社製ソフトウェアの利用権を期間毎に購入するサブスクリプション方式のサービス「Adobe Creative Cloud」に組み込まれた。パッケージの店頭販売は原則行われなくなり、同社サイトからソフトウェアダウンロード後、一定期間分の利用料金を支払うことで起動できるようになる。

(2018.5.11更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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