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横浜市21年度当初予算案 コロナ対策・経済再生に重点…カジノ誘致推進費に3億6000万円 

2021年1月30日 07時10分
 横浜市は二十九日、二〇二一年度当初予算案を発表した。一般会計総額の一割超の二千四百五億円を新型コロナウイルス対策に計上し、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致推進費には三億六千万円を充てた。新型コロナによる経済の落ち込みから過去最大の減収を見込み、市債発行額の増加や事業の見直しで財源を確保した。 (丸山耀平)
 新型コロナ関連では、中小企業・小規模事業者への支援に千九百七十二億円余りを計上した。資金繰り支援として新たに二千三百億円の融資枠を設け、商店街支援としてプレミアム付き商品券を発行する。また、福祉施設などの感染防止などのため三十六億円余りを計上。入所者と家族がオンラインで面会するための設備導入や新規入所者へのPCR検査費などを賄う助成金を設ける。ワクチン接種事業に二百五十億円を充て、接種場所の確保や人件費、コールセンター設置などをする。
 林文子市長が強い意欲を示すオペラ・バレエを主体とする新たな劇場整備には三千百万円を計上した。前年度の二億円から大幅減。管理・運営の調査などを行うが、設計や建設などの事業化は見送った。財政課は「(昨年)やろうと思った調査・検討ができず、手直しが必要になった。そういう意味では、コロナの影響もある」と説明した。
 IR誘致推進費三億六千万円は前年比四千万円減。夏までに行う事業者選定や、事業者と共同で作る「区域整備計画」の策定に充てるほか、地域の合意形成を図るための事業説明会や公聴会の実施、広報誌発行に使う。
 二七年に米軍上瀬谷通信施設跡地(瀬谷区、旭区)で開催予定の国際園芸博覧会(花博)の開催のため六億円余りを計上した。開催組織を設立し、事業計画を検討する。児童生徒が学習用端末を一人一台所有する「GIGAスクール構想」は二十六億円余り。四月から本格運用が始まり、デジタル教科書の導入や教員の研修を行う。
 財源確保のため見直した事業は、資源循環局港南事務所の移転スケジュールや、横浜環状北西線の市有地一部売却など市民生活に影響を及ぼさないものを中心に千二百八十件。百五十九億円を確保した。
 帯状疱疹(ほうしん)の治療のため入院している林市長は記者会見を開かず、「予算案は感染症対策の強化と経済再生の両立を最優先とし、将来にわたる成長に向けて、横浜が力強く歩みを進めていくためのもの」とするコメントを発表した。
 市は二月一日に開会する市議会定例会に予算案を提出する。

◆一般会計 過去最大の2兆73億円 市税減収戦後最大

 横浜市の二〇二一年度予算案の一般会計は二兆七十三億円(前年度比15・4%増)で、過去最大規模となった。新型コロナウイルス対策で大幅に歳出が増える一方、市税収入は戦後最大の四百八十八億円減り、交付税で補えない財源不足を穴埋めする赤字地方債を五百億円発行する。
 歳入では、市税収入は七千九百五十三億円(同5・8%減)と見込むが、年度途中に組む補正予算のため三十億円を留保し、当初予算案には七千九百二十三億円を計上した。個人市民税は給与所得納税者数の減少で二百九十四億円減、法人市民税は企業収益の減少などで百四十六億円減と見込む。他の自治体にふるさと納税する市民が増えることによる減収は過去最大の百五十七億円とした。
 借金に当たる市債は赤字地方債を含め、千七百十八億円(同35・6%増)発行する。二一年度末の市債残高の見通しは二兆六千四百六億円。貯金に当たる財政調整基金は「来年度以降に備えるため」取り崩さない。
 歳出では、子育て支援や高齢者福祉に充てる扶助費は、保育所の整備や医療、介護費が増えたことから百二十五億円増の五千三百三十一億円。人件費は新型コロナ対応による保健所の体制強化などで十四億円増の三千七百二十六億円。
 特別会計(一兆三千十三億円)と公営企業会計(五千九百三十四億円)を合わせた総額は三兆九千二十億円(同8・2%増)となった。

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