6月1日(日本時間)、NVIDIAが最新ハイエンドGPU「GeForce RTX 3080 Ti」と「GeForce RTX 3070 Ti」を発表した。それぞれが“Ti”なしの上位GPUという位置付けとなる。
スペックを見る限りにおいて、RTX 3080 TiもRTX 3070 Tiも、“Ti”という名に相応しいパフォーマンスアップが図られている。半導体不足とマイニング需要によりGPU全般の入手難が長期化する中ではあるが、今回の発表に注目していたユーザーも少なくないはずだ。
この記事では、6月3日22時から販売が解禁されるRTX 3080 Tiの実力を、NVIDIAが自ら設計したグラフィックスカード「GeForce RTX 3080 Ti Founders Edition」(日本発売未定)を通してチェックしていく。
RTX 3080 Tiは、他のGeForce RTX 30シリーズと同様に「Ampere(アンペア)」アーキテクチャで設計されたGPUだ。コアは「GA102」と、Tiの付かないベースモデルと同じものを使っている。ただし、内部的にはSM(Streaming Multiprocessor)とGPC(Graphics Processing Claster)の構成が変わっており、利用できる「CUDAコア」の数が増えている。
深層学習で用いる「Tensorコア」は第3世代、リアルタイムレイトレーシング(RT)処理で用いる「RTコア」は第2世代で、機能的には他のGeForce RTX 30シリーズと違いはない。
RTX 3080 Tiの主なスペックを箇条書きすると、以下のようになる。
まず目を引くのはCUDAコア数の多さだ。RTX 3080 TiのCUDAコアは10240基で、RTX 3080の8704基を大きく上回り、シリーズの最上位である「GeForce RTX 3090」の1万496基に近い。動作クロックこそ少し落とされてはいるものの、数十MHz程度の差であれば、演算ユニットの多さがものをいう。少なくとも、演算性能に関してはRTX 3080を上回ることは確かだ。実際のパフォーマンスについては、後でチェックすることにしよう。
グラフィックスメモリはRTX 3080から2GB増えて12GBとなった他、メモリバス幅がRTX 3090と同じ384bitに強化された。RTX 3080では「演算性能に対してグラフィックスメモリ容量がやや心もとない」といった声が聞こえてくることもあった。さすがにRTX 3090の24GBには及ばないが、グラフィックスメモリを大量に使いがちなAAA級ゲームタイトルを高解像度かつ余裕を持った設定でプレイできるようになることはうれしい。
もっとも、グラフィックスメモリが12GBあっても足りないというタイトルもないわけではないが……。
一方、GeForce RTX 3080 Ti Founders Editionの消費電力は350Wで、「GeForce RTX 3080 Founders Edition」よりも30Wほど高く、GeForce RTX 3090 Founders Editionと同等だ。先述の通り、性能的にはRTX 3090に近いこともあって、消費電力もそれ相応となる。
当然ながらGPU用補助電源は「8ピン×2」となる。これはパートナー企業が設計したグラフィックスカードも同様だ。
RTX 3080 Ti搭載グラフィックスカードの想定販売価格は、日本では17万5800円となっている。RTX 3080は10万9800円、RTX 3090は22万9800円だったことを考えると「まあ、こんなものだろう」だと思える。ただ、現状においてグラフィックスカードの実売価格は軒並み高騰傾向にある。初出価格が想定販売価格を上回る可能性は高い。現時点においてコストパフォーマンスを語るのは難しいだろう。
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