スマートフォンやタブレットは、ある程度ストレージの容量が大きいモデルでも、ユーザーがデータを自由に保存できる容量はせいぜい数十GBといったところ。大容量モデルでも、メモリカードスロットを備えた機種でも、一気にTB級の内蔵ストレージを確保することは非常に困難だ。
一方、動画データは一つのファイルで数GBから十数GBのサイズになることも珍しくないし、また個々のファイルサイズはそれほど大きくなくてもPCレスで作業するため、スマホで大量のデータを持ち歩きたいというニーズは少なくない。うっかり容量の小さいスマホやタブレットを購入してしまい、後から不便さに気付くケースもあるだろう。
こうした場合に重宝するのが、スマホやタブレットから直接ワイヤレスで利用できるWi-Fi対応のポータブルHDDだ。今回はWi-Fiルーターや外付けHDD製品でおなじみのバッファローが販売している「ミニステーション エア」シリーズの最新モデル「HDW-PDU3-C」を試してみた。
HDW-PDU3-Cを端的に説明するならば、Wi-Fi接続にも対応したUSBポータブルHDDとなる。ノートPCなどにUSBケーブルで接続できることに加えて、本体に内蔵されたWi-Fi機能をオンにすることで、スマホやタブレットから無線経由での読み書きも行える。いわば二刀流の製品というわけだ。
本製品の利用スタイルは、有線接続時と無線接続時とで全く異なる。まず無線、スマホやタブレットから利用する場合は、本体の電源ボタンを4秒間長押しすることでワイヤレス機能が有効になるので、スマホやタブレットで本製品固有のSSIDを探して接続する。
次にスマホやタブレットで専用アプリ「MiniStation Air2」を起動すると、本製品のHDDに保存されたファイルを「写真」「ミュージック」「ビデオ」といったカテゴリーごと、あるいはフォルダ単位で表示できるので、必要なファイルを選んで表示もしくは再生を行ったり、ダウンロードしたりできるという仕組みだ。
一方、PCからデータを読み書きする場合は、一般的なポータブルHDDと同様、USBケーブルで有線接続する。先ほどと違って電源ボタンを押す必要はなく、USBケーブルでつなぐだけでバスパワー駆動のHDDとして認識され、読み書きが可能になる。ケーブルを収納するギミックこそないが、見た目も含めて一般的なポータブルHDDと全く同じだ。
さて、ここまで読んで「おやっ、スマホやタブレットと組み合わせて使う場合の電源はどうなってるの?」と不思議に思った人もいることだろう。一般的なUSBポータブルHDDはバスパワーでPCから電力を得て駆動するが、本製品をスマホやタブレットと組み合わせる場合は、PCから給電できない。スタンドアロンの状態では、一体どうやって電源を確保するのだろうか。
本製品をスタンドアロンで使う場合、電源の供給は2通りの方法がある。一つは付属のACアダプターにUSBケーブルを接続して利用する方法だ。コンセントが近くにあるところでは、この使い方になるだろう。本製品はUSBケーブル以外に、専用の給電ケーブルも付属している。この場合も、コネクターが違うだけで、ACアダプターを用いてコンセントに接続することに変わりはない。
もう一つはバッテリー駆動だ。本製品はバッテリーを内蔵しており、約4時間の充電で最大10時間の動画の連続再生が行える。これにより完全なワイヤレスの状態で、Wi-Fi経由の読み書きができるというわけだ。このバッテリー機能はなかなか強力で、モバイルバッテリーさながらに、スマホやタブレットを充電することもできるというから面白い。
ちなみにUSBケーブルによるPCとの有線接続と、Wi-Fiによるスマホおよびタブレットとの無線接続は、それぞれが排他となっており、前者で接続している場合は後者は有効にならない。後者で接続している場合に前者の接続を行うと、Wi-Fiは切断される。
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