経費がかかり、保存が難しい歴史的建造物をどうするか。
北海道函館市の国の重要文化財に指定されている「旧相馬家住宅」の保存と活用に向けた新たな取り組みが始まった。
2018年に国の重要文化財に指定
函館市元町エリア。
異国情緒あふれる街並みが人気の観光スポットの一角にあるのが「旧相馬家住宅」だ。

明治時代の豪商・相馬哲平が私邸として1908年に建てたこの屋敷は、豪華なしつらえが特徴。

2階からは港など函館の街並みを一望できるこの屋敷。

和洋の文化が調和した建築様式が評価され、2018年に国の重要文化財に指定された。
建物の維持・管理のためのクラウドファンディング
あれから7年――
この歴史的建造物をめぐり、新たな動きが。
「クラウドファンディングで資金調達をして重要文化財の価値を守りながら、ホテルに改修して保存するプロジェクトに参加した」(LEVECHY 高将司社長)

不動産のクラウドファンディング事業を行う企業が主体となり、建物の維持や管理を行う会社を設立して活用を目指すことになった。

取り組みの背景には、現在のオーナー・東出伸司さんが高齢のため、維持が困難になったことがある。

「このままオーナーが(旧相馬家住宅を)持ち続けて保存していくのは難しい。前オーナーの思いをしっかりくみ取りながら、バトンをリレーしていくことが大事」
(バリューマネジメント 他力野淳社長)
宿泊価格は1泊1部屋15万円から25万円の予定

3月5日から始まるクラウドファンディングの目標金額は2億2000万円。
1口1万円から参加が可能だという。

建物のうち、重要文化財に指定されていない部分に風呂や洗面所などの水回り施設を新たに設置。
さらに、重要文化財の蔵や指定されていないカフェなどを改修し、3つの客室を整備し、ホテルとして利用する予定で、2025年内の開業を目指している。

「この旧相馬家住宅の体験を通じて、函館の価値を発信してほしい。そういった人に来てほしい」(バリューマネジメント 他力野淳社長)
宿泊価格は1泊1部屋、15万円から25万円ほどの予定。
歴史ある建物の保存と活用を両立する新たな取り組みが、函館から始まる。