1987年に開院後、経営難から20億円以上の負債を抱え2007年に閉院した新潟・糸魚川市にある「旧・姫川病院」。閉院から15年以上経過するなか、“最恐心霊スポット”などとネットでも話題となり、無断侵入し撮影する行為が後を絶たないばかりか、2021年にはボヤ騒ぎが起きるなど地元住民が困惑する事態となっている。

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専門家は、廃墟でも看板があれば「建造物侵入」に問われる可能性はあると指摘するが、市は「現状では対応が困難」としている。

2007年に閉院した病院が“心霊スポット化”

「イット!」取材班が向かったのは新潟・糸魚川市の廃虚となった病院。

人がいないはずの病院の入り口へと向かって、延々と足跡が続いていた
人がいないはずの病院の入り口へと向かって、延々と足跡が続いていた

足元に降り積もった雪を見ると、人がいないはずの病院の入り口へと向かって、延々と足跡が続いていた。

糸魚川市大野区・新井春雄元区長:
助けてよ。“幽霊屋敷”か“お化け屋敷”か、耐えられんわ。全国の心霊スポット(の動画)に入っているらしい。

地元住民が“心霊スポット化”していると訴える廃病院。

許可を得て撮影
許可を得て撮影

壁は草木が絡まるように生い茂り、入り口の扉は至る所で破壊され、ガラスが散乱し、壁には謎の落書きもあった。

窓のブラインドにはなぜか消火器がぶら下がっていた
窓のブラインドにはなぜか消火器がぶら下がっていた

見上げると、窓のブラインドにはなぜか消火器がぶら下がっていた。

無断侵入も後を絶たず…2021年には不審火も

雪景色の中に立つ糸魚川市の旧姫川病院は、JR姫川駅から徒歩3分、目の前には国道148号が走る絶好のロケーションに立っている。

1987年に地元住民などが出資して作られたが、医師不足などで経営難に陥り、20億円以上の負債を抱え2007年に閉院した。

閉院から既に15年以上がたつ中、地元住民が困惑する深刻な問題が起きている。

土地の所有者から許可を得て病院の敷地内に入ると、まだ辺りは明るいものの病院の中は真っ暗で窓ガラスも割られている。

病院の入り口は破壊されていて、廊下には椅子などが散乱し、壁には無数の落書きが確認できる。さらに、人が侵入したとみられる足跡があちこちに見られた。

地元住民:
立ち入り禁止の看板があろうがなかろうが、見たい人は好き勝手に入っている。夜中の2時とか3時くらいにガラスを割る音とか聞こえる。

かつて市民の心のよりどころだった病院が、今は不安の種となっていた。

地元住民:
心霊スポットってことでYouTubeとかで上がってる。困ります、何があるか分からないし。

SNSで「姫川病院」と検索すると、無数の動画が投稿されていて、建物内部に無断侵入したとみられる映像とともに“最恐の心霊スポット”などと紹介されている。

問題はそれだけではなかった。

地元住民:
3年ぐらい前にボヤ騒ぎがあって、消防が来て大騒ぎになった。

2021年には不審火が発生し、廃病院から煙が出て、多くの消防車が駆けつける騒ぎとなった。

地元住民:
治安が悪くなる一方だから、本当だったら壊してほしい。周りの人間はみんな思っていると思う。

市「現状では対応が困難」専門家「建造物侵入の可能性」

住民が望むのは廃病院の取り壊しなのだが、病院の広大な敷地の所有者が分かれているうえ、当時、病院を運営していた法人は事実上の解散状態となっている。

そのため、住民は市に対応を求めてきたが、その反応はこうだった。

糸魚川市大野区・新井春雄元区長:
結局、行政は民間の企業のものに手を出せないということで…。

「イット!」は、糸魚川市に廃病院の取り壊しの予定や建物の活用法などについて質問した。

その回答は「市は土地・建物の権利者ではないことから、現状では対応が困難です。市としては、旧姫川病院の活用は考えておりません」としたうえで、市は無断侵入への対策として、「警察によるパトロールを増やすほか、土地所有者による防護柵の設置を支援した」などと回答した。

では、相次ぐ廃病院への無断侵入者が罪に問われる可能性はあるのか。

橋下綜合法律事務所・去来川祥弁護士は「廃墟であったとしても、看板があるのであれば『建造物侵入』に問われる可能性はある。捜査が進んでいくうちに管理者がいないとなれば、『軽犯罪法』が適用される可能性が高い」としている。
(「イット!」 3月4日放送より)

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