時間逆行作である「メメント」がヒットしたのは、巻き戻っていくにつれ「なんと!そうだったのか」という
ミステリ謎解き要素があったからであって、本作はただただひどく見づらいカメラワークの暴力シーン&
ドラッギーな音楽に翻弄され、遡るにつれて「何故そうなったのか」は分かるものの、
「え、あのラストに行くために導入部分になにか目新しい展開や理由とか、付け得るの?」と見ていても、
”思った通り”特に驚くような要素や展開はなく終わるばかりで拍子抜け。
そしてAmazonプライム・ビデオでの作品説明文の3/4を埋める光刺激に対する注意文…
それによって映画自体の説明はほぼ1行しかないし、そんな説明文をガッツリ入れてまで
あのビカビカシーンが必要&効果的かと言えば、全然そんなことはない。不要なギミック。
というか全体的に、いかにも若くて未熟な監督が「どうだ、こんなどぎつい映像撮れちゃう
俺ってすごいだろう」とドヤッてるような、”新しいつもりで陳腐な中身のない露悪演出”なのだけど、
撮ったの(公開したの)39歳の時なんだ… まあ映画業界ではまだ”若い”方か……
結局この映画では何がいいたいのか?
終始、男達がみな身勝手で共感性に欠け暴力的で差別的で救いようのないクズ、ということしか分からない。
「時間は全てを破壊する」なんて哲学的っぽいセリフを冒頭とエンディングに出して、
締めたような気になってるけど、むしろ時間(を逆行させるというトリッキーな手段)によって
物語が全て破壊された失敗映画、といいたくなる。