おもいっきりメイクしよう。
本日8月6日(土)より2日間にわたって東京ビッグサイトで開催中の、モノづくりの祭典「Maker Faire Tokyo 2016」。
アートあり、ロボットあり、音楽あり、メカあり…。とにかくモノづくりが大好きなメイカーたちが、大集合しました!
エデュケーション&キッズゾーン
こちらはキッズ(親子)メイカーによる作品の展示や、MESHなどのプログラミング/工作キットなど教育系おもちゃの展示が行なわれています。
入り口には、大きな「レインボーメリーゴーランド」。上部にはWebカメラがついていて、RaspberryPi3を使って5分毎に会場の写真を撮り、Twitterにアップします。
メイカーは、12歳のkogameくん。自分でPythonのコードを書き、CADでメリーゴーランドの歯車を設計、3Dプリンターで出力して製作しました。お父さんに教えてもらいながら、数週間ほどでつくったそうです。
「GlueMotor(グルーモーター)」は、スマートフォンのイヤホンジャックに差し込んでサーボモーターをコントロールできるケーブルキット。コントローラーのアプリもストアから手に入るので、ほんとうに電池を用意して、モーターを動かしたいものにつけるだけでOKなんです。
今回のMaker Faireブースでは、小学生以下のお子さんに向けた工作体験もありますよ。
スペース&サイエンスゾーン
ロケットや小型の衛星などを開発する宇宙系メイカーや、植物、バイオなどさまざまなテーマの作品があるサイエンスゾーンです。
ISS(国際宇宙ステーション)がいまどこにいるかをリアルタイムに計算し、地球儀上のISS模型が移動する「ISS TRACKER(ISSトラッカー)」。メイカーは、KOJIMA KUNIOさん。
地球が光っているのもいい感じで、部屋に飾っておきたくなるデジタルアートです。
また、クラウドファンディングで約2300万円を集めた、インターステラテクノロジズが2016年を目標に飛ばそうとしている宇宙観測ロケット「MOMO(モモ)」の1/1模型も展示中。
ロボティクスゾーン
Maker Faireといえばロボット!ですよね。
上の写真はギズモード・ジャパンでも何度か紹介した山田社長による「ROBOT CAFE」。コーヒーを淹れるロボットたちの連携プレーは、今回のMaker Faireでも注目展示のひとつだったのですが…なんとモーターの故障で動かず!
「モーターを調達して修理できたら明日は動くかも…」とのことで、イベント2日目に参加される方は、もしかしたら見られるかも…。
山田社長によりますと、今回は「ありえないくらい屋台のほうに時間をかけてしまった」とのことで、確かにロボットたちが乗っている屋台は頑丈そうです。
ちなみに昨年のMaker Faireでは、会場の規則で実演不可となってしまった火炎放射ロボットも看板の後ろにいました。
こちらはセンサーで傾きと位置を検知し、バランスを保てるよう計算しながらモーターを動かして、座布団の上で見事に玉乗りするロボット。東工大ロボット技術研究会の井上拓海さんの作品です。
ちょっと押したくらいではバランスを崩すことはありません。いまはロボットの自重程度までしか支えられないそうですが、将来的にはなにか上にものを乗せたりできるようにしたいとのこと。
外苑前ロボティクスによる「DALEK8(ダーレク)」は、かわいい背丈のテレプレゼンスロボットです。
操縦者はヘッドマウントディスプレイをつけてロボットの視界を共有し、ハンドルで腕を操作することができます。ロボットを通しておしゃべりすることも可能。そのデモがこちらです。
会場のどこかへロボットをお使いにだして、その先々で出会った人と会話をしている様子です。ロボットを操っている「本人のほうがロボットになりきってしまう」という不思議な現象が起こっていました…。
そして会場の中で、ユニークな展示が目立っていたのがこちら。
二足歩行ロボットによるエンターテイメントショー、ロボットプロレス「できんのか!」。試合前の練習の模様です。
予想以上に素速く動くし、技はきれいに決まるしで、思わず見ていた人たちからは拍手が出ていました。
プロレスの他にもロボットサッカーも行なっているそうです。ロボットスポーツ時代、くるんでしょうか?
エレクトロニクス&IoTゾーン
Maker Faire Tokyoの中でも随一を誇る広さもさることながら、出展作品の多彩さも楽しいエレクトロニクス&IoTゾーン。個人から企業の同好会まで、たくさんの人たちが集まっていました。
R-MONO Labは、音楽に関わるとある会社のもの作り同好会です。そのためか、出展している作品も楽器に関わるものが多かったです。たとえば…
RP-09Gは、リコーダーでつくったパイプオルガンです。穴をふさぎ、各音階に設定したリコーダーを並べてそこに空気を送り込むことで演奏できます。考えてみれば、パイプオルガンの原理は、このようにシンプルなものなんですよね。スケールこそ違いますが、目をつぶって演奏を聞いていると、小さな教会に来たような気持ちになります。
こちらは音とビジュアルのインタラクション、水滴ドロップ「WATER MIDI」。鍵盤が入力装置になり、水たまりの下に設置してあるディスプレイに波紋を表示させて、それが徐々に広がっていくという仕組みです。それに合わせたタイミングで水面に水滴が垂れるのがポイント。それによって、本当に水が光の波紋をつくりだしているかのような、素敵な錯覚を覚えるんです。
音楽とは関係のない作品もありました。「たわしって、もっと自由であるべきですよね!」というコンセプト(?)でつくられたものなのですが、はいずりまわる姿はキモかわいい。何の役に立つのかと言われると返答に困りますが、見るとたわし観が変わるのは確かかもしれません(もしや我が家のたわしも、実は夜中に…)。
30代以上の人にとってゲームウォッチは子ども時代の懐かしい思い出のひとつかもしれません。ですが、それに近いゲーム機を13歳の少年が自作する時代が来るなんてことは、当時誰も想像しなかったのではないでしょうか?
WiFiBoy kitはヘビゲームやテトリスといった比較的シンプルなゲームで遊べるゲーム機をつくる開発キットです。出展者であるWiFiBoyは台湾から来た親子のチームで、開発は13歳の息子さんとのこと。いやー、デジタルネイティブすごい!
趣味で工作やアプリ開発、グッズ制作を行っているmocymoのブースには、表情が変わるパネルのついたヘッドマウントディスプレイ「SmileMachine Mk.3」をかぶった人がいました。説明によると、これは接客用・感情表現用なのだとか。作り笑いをするぐらいなら、いっそのことディスプレイ任せにしたいこともありますから、ちょっと欲しいなぁなんて思ってしまいました。
スポンサーゾーン
企業ブースの集まるスポンサーゾーンも、ありふれた製品紹介にとどまらないチャレンジングな出展が見られました。
今年の春にドバイで開催され、15歳の少年が世界チャンピオンになった「World Drone Prix」が世界中で話題になり、新しいエンターテインメントとしてのドローンが注目を集め始めています。
その盛り上がりをさらに加速させそうな演出方法がYAMAHAのブースに出展されていました。異なるプロトコルやアプリケーションを変換するオープンソースプログラム「Creators' Hub」を使い、ドローンのコントローラーをスイッチャーにして音と光を連動させます。
今回の会場は明るかったですが、クラブなど暗い会場内でドローンレースをした時に爆音のダンスミュージックと照明が連動すれば、観客たちのテンションが思い切り上がりそうです。日本でも徐々に知名度を増しているドローンレースが、スポーツとポップカルチャーを融合させたひとつのシーンとして盛り上がるには、こういった仕掛けが重要な役割を果たすのかもしれません。
ミュージック&サウンドゾーン
ブースの広さではイベント最小ですが、音の大きさでは会場最大だった「ミュージック&サウンドゾーン」です。
昨年も展示していた音楽ハードウェア・クリエイティブ集団「WOSK」が展示していのは、MIDIコントローラーの新作「CC-1 2016model」です。
ノブやフェーダーのブロックを自由に組み替えて配置できるデザイン。各ブロックはLEDがMIDIソフトと同期して音とリズムに合わせて光ります。光やMIDIのアサインもブラウザ上のエディタから設定が簡単に。
今年はiPad Miniに立ち上げたブラウザから設定できる仕様になっていたので、操作もよりインタラクティブな感じになっていました。
特別に基盤も見せてもらったよ。
ISGK Instrumentsさんのブースに展示されていたのは、LogiCloverのボードを使った自作オーディオエフェクター「Comet Audio Effector」。PCとケーブルで接続して、基盤のボタンで音にエフェクトをかけられます。
ディスプレイも付いています。基盤もケーブルもむきだしでDIY感あります。約一カ月で基盤一枚作成してきたそうです。
これ、本当に便利! 思わず欲しくなりました。ラップトップでソフトを持ってなくてもスクラッチができる、Dm9 Recordsのターンテーブル用エフェクター「RasPiDJ」。
普通にソフトが必要なんですよねラップトップでDJする時って。RasPiDJはその名前の通りRaspberry Piを使ったDJギアで、持ち運びもできるポータブルさもグッド。Dm9 RecordsはDJ、VJ用にオープンソースハードウェアを使ったギアを開発したり、情報をオープンにしている集団。何か一緒にやりたいなあ。とりあえずRasPiDJは欲しいです。
食べ物はおいしくプレイしましょう...なんて言われたことは一度もないのですが、お菓子回路ユニット「BreadBoard Baking」のドラムカップケーキを見れば価値観変わります。アイデア勝負ですね〜。
金属製の皿の上に金属のピンを刺したケーキを置いて、ドラム回路に接続されたフォークで叩くと通電するのでドラムサウンドが出る仕組み。
食べられる回路の作成を目指しているBreadBoard Bakingの皆さんが考案したレシピは、クックパッド(!)をはじめThingiverseでも公開されていますので、回路とクッキング好きな方はぜひご覧ください。
これがロボット家電の未来なのか?
クリエイティブユニットDum6 Sen5eが展示していたのは、iRobotルンバでスクラッチができる、ロボット・ターンテーブル「Create2 DJ Turntable I」。はい、ご存知ロボット掃除機のルンバの回転をMIDIコントローラーで制御、スクラッチしてくれるアイデアが現実になりました。
しっかりできているんですよね。中央のモータ軸を固定する青いアームの部分とか。猫が乗ったりポケモンGO用にiPhoneを乗ったりするルンバにまたファミリーが増えました。ルンバ2台あればビートジャグリングをやってほしい。来年はお願いします。
腰痛女子が中心の立体音楽団が展示していた「モジャラー・シンセ」。
モジュラーシンセのパッチケーブルがごちゃごちゃした様子(モジャっとする)に憧れてラックを作っちゃったそうです。ケーブルも裏側に隠したりせず、堂々と前年にモジャ!と配置。LittleBitsが積めるブロックラックもあります。キース・エマーソンのようにはなれないけれど、モジュラーシンセ憧れます。これなら、机の上に置いておきたい気分です。。
Maker Faire Tokyo 2016は、明日8月7日(日)も10:00〜18:00に開催しています。出展作品を見ているだけでも楽しいですし、参加型のワークショップも開催されているので、ぜひ行ってみてください!
source: Maker Faire Tokyo 2016
(Yohei Kogami、高橋ミレイ、斎藤真琴)