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安全地帯VI〜月に濡れたふたり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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『安全地帯VI〜月に濡れたふたり』
安全地帯スタジオ・アルバム
リリース
録音
ジャンル
時間
レーベル Kitty Records
プロデュース
チャート最高順位
安全地帯 アルバム 年表
安全地帯V
1986年
安全地帯VI〜月に濡れたふたり
(1988年)
I Love Youからはじめよう -安全地帯BEST-
(1988年)
EANコード
『安全地帯VI〜月に濡れたふたり』収録のシングル
  1. じれったい
    リリース: 1987年4月21日
  2. Juliet
    リリース: 1987年12月2日
  3. 月に濡れたふたり
    リリース: 1988年3月10日
  4. I Love Youからはじめよう
    リリース: 1988年6月21日
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安全地帯VI〜月に濡れたふたり』(あんぜんちたいシックス〜つきにぬれたふたり)は、日本のロックバンドである安全地帯の6枚目のオリジナル・アルバム

1988年4月10日Kitty Recordsからリリースされ、前作『安全地帯V』よりおよそ1年4ヶ月ぶりにリリースされた作品であり、作詞は松井五郎、作曲は玉置浩二、プロデューサーは安全地帯および星勝、金子章平が担当している。

レコーディングは前年秋から同年春に日本国内で行われ、打ち込みを多用したデジタルなアレンジが施された曲が多数収録されている。

先行シングルは、太陽誘電カセットテープ「That's」のコマーシャルソングとして使用された「じれったい」、テレビ朝日系報道番組『CNNデイウォッチ』(1984年 - 1993年)のエンディングテーマとして使用された「Juliet」、JTMIASS」のコマーシャルソングとして使用された「月に濡れたふたり」の3曲収録しているほか[注釈 1]、後に「I Love Youからはじめよう」がシングルカットされ、再び「That's」のコマーシャルソングとして起用された。

オリコンチャートでは最高位1位を獲得した他、1988年度の年間ランキングでは19位となった。

背景

前作『安全地帯V』(1986年)リリース後、1987年2月から5月の香港公演まで同バンドは『安全地帯Vツアー』を敢行する[2]。終了後安全地帯は一時休止期間となり、玉置はソロ作品の製作のためロサンゼルスおよびロンドンに滞在し、7月25日にはソロデビュー曲となる「All I Do」をリリース、8月10日には初のソロアルバム『All I Do』をリリースした[3]

録音

マニピュレーターがスタジオに必要になっちゃったんだ。自分たちで人力でやっていたものを、機械の音を必ず最初にレコーディングするから腹立つわけよ。(中略)当時は流行りだったから、なんの疑問もなくやっていたけれど。
玉置浩二,
玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから[4]

本作のレコーディングは1987年10月から1988年3月まで、キティ伊豆スタジオおよびキーストーン・スタジオにて行われた。

本作は『安全地帯IV』(1985年)にて初期における作風が完成し、『安全地帯V』において様々なアイデアを詰め込む形となった後の、次の方向性を模索している状態で製作されており、ゲストボーカルとして当時BARBEE BOYSに所属していた杏子を「悲しきコヨーテ」にて参加させる事となった[5]

前作よりゲストミュージシャンを多く起用するようになった背景には、すでに名実ともに安全地帯がトップアーティストになっていた事や、過密なスケジュールに追われる中で、創作面で守りに入ることなく玉置のインスピレーションを実現するためであった[5]

またこの頃の安全地帯は一大プロジェクトとなっており、玉置の意向がストレートに反映されない状態となっていた[6]。本作より打ち込みの要素が全面的に取り入れられるようになり、常時マニピュレーターがスタジオにいる状態となった事に関して玉置は不快感を感じていた[4]

「じれったい」と「月に濡れたふたり」はリアレンジが施され、シングルとは異なるバージョンとなっている。また、「星空におちた涙」は歌詞カードに"Dedicated to Kyu Sakamoto"と記されており、坂本九の「見上げてごらん夜の星を」(1963年)のメロディーが引用されている。

リリース

1988年4月10日LPCTCDの3形態でリリースされた。

その後1990年7月25日1992年11月21日2007年3月7日にはCDのみ再リリースされ、2010年3月3日には完全復活を記念してSHM-CDにて[7]2017年11月22日にはデビュー35周年を記念してLP盤を再現した紙ジャケット、SHM-CDにて再リリースされた[8][9][10]

それ以外にも1996年10月2日にはCD-BOX安全地帯 メモリアル・コレクション』に収録され、2010年6月23日にはCD-BOX『安全地帯BOX 1982-1993』に収録されて再リリースされた[11]

プロモーション

メディア出演

本作に関するテレビ番組への出演は、TBS系音楽番組『ザ・ベストテン』(1978年 - 1989年)にて1987年5月7日に第6位、5月14日に第5位、5月21日に第4位、5月28日に第3位、6月4日に第5位でそれぞれ「じれったい」を演奏した。

メディアでの使用
  • 「I Love Youからはじめよう」「じれったい」「Too Late Too Late」 - 太陽誘電カセットテープ「That's」のコマーシャルソングとして使用された他、玉置が主演のフジテレビ系ドラマ『並木通りの男』(1988年)と、浅丘ルリ子が主演のTBS系ドラマ『アイラブユーからはじめよう×××』(1989年)の挿入歌として「I Love Youからはじめよう」が使用された[12][13]
  • 「Juliet」 - テレビ朝日系報道番組『CNNデイウォッチ』のエンディングテーマとして使用された。
  • 「月に濡れたふたり」 -JTMIASS」のコマーシャルソングとして使用された。

ツアーと活動休止宣言

ツアー最終日の会場となった香港コロシアム

本作を受け、1988年4月より「MIASS CONCERT 安全地帯VI」と題したコンサートツアーを17都市全24公演にて敢行し、7月23日香港コロシアム公演を最後にツアーは終了した。その後8月24日にフジテレビ系の音楽番組『夜のヒットスタジオDELUXE』(1985年 - 1989年)に出演した際、「より良い音楽をやりたいので、少しの間だけ時間を下さい」と安全地帯の活動休止を発表した[14]。翌8月25日のシングル「微笑みに乾杯」リリースを最後に安全地帯は活動休止となった[15]

翌1989年7月1日にリリースされたライブ・ビデオ『安全地帯ドキュメント I LOVE YOUからはじめよう 日本武道館ライブ』では7月7日の日本武道館での模様を中心に収録されているが、楽屋で玉置がメンバーの田中裕二六土開正を叱りつけている場面や、矢萩渉BAnaNAが険悪なやり取りを行う場面もドキュメンタリーとして収録されている[15]。また、開演前のPA席に玉置が突如入り込み、前座と称して「All I Do」を歌い出し大混乱となる様子なども収められている[16]

当時の玉置は「もうコンサートをやるのはめんどくさい」、「音楽を辞めたい」等と発言しており、バンドとしての活動に疑問を抱いていた[17]。また、本来のメンバーは5人である所をステージ上にはサポートミュージシャンを含めて15人いた事に不快感を覚えていた[17]

批評

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[18]

音楽情報サイト『CDジャーナル』では、玉置のボーカルに切なさを感じる事を指摘した上で「もはや“迫力”ものの境地にきている」と絶賛した[18]。また、玉置のボーカルに対しては大袈裟なアレンジにならざるを得ない事を指摘し、「テレることなく過激になっていく玉置の演技は危険な綱渡りに似た快感を呼ぶ」と絶賛した[18]

チャート成績

オリコンチャートでは最高位1位を獲得し、これにより3作連続での1位獲得となった。また、登場回数は27回となり、売り上げ枚数は36.0万枚となった。その他、オリコンチャート1988年度年間19位も獲得している。

収録曲

全作詞: 松井五郎 全作曲: 玉置浩二 全編曲: 安全地帯、星勝BAnaNA

SIDE 1
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.I Love Youからはじめよう  
2.悲しきコヨーテ  
3.Juliet  
4.じれったい  
5.星空におちた涙  
合計時間:
SIDE 2
#タイトル作詞作曲・編曲時間
6.夢のポケット  
7.No Problem  
8.Shade Mind  
9.月に濡れたふたり  
10.Too Late Too Late  
合計時間:

スタッフ・クレジット

安全地帯

参加ミュージシャン

スタッフ

  • 安全地帯 - プロデューサー
  • 星勝 - プロデューサー
  • 金子章平 - プロデューサー
  • 近藤由紀夫 - ディレクター
  • 諸鍜治辰也 (MIG) - レコーディング・エンジニア、ミックス・エンジニア
  • 最上三樹夫 - MIDIシステム・オペレーター
  • 田中是行 (MIX) - アシスタント・エンジニア
  • "MIX" All Stars - 追加エンジニア
  • 廣瀬修 - マスタリング・エンジニア
  • 酒井祐司 - アーティスト・マネージメント
  • 松山晋 - テクニカル・クルー
  • 木村佳則 - テクニカル・クルー
  • 武藤英徳 - テクニカル・クルー
  • 小林紀子 - プロダクション・アシスタント
  • 安藤岳司 (ROBOT) - アート・ディレクター、デザイナー
  • 徳江由里子 - デザイナー
  • 翁長裕 - 写真撮影
  • 酒井マサヒロ - ヘアー&メイク・アップ
  • 堀越まゆみ - スタイリスト
  • 多賀英典 - エグゼクティブ・プロデューサー

リリース履歴

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 1988年4月10日 Kitty Records LP
CT
CD
28MS0170
28CS0170
H32K20090
1位
2 1990年7月25日 CD KTCR-1042 -
3 1992年11月21日 KTCR-1213 -
4 1996年10月2日 KTCR-1608 - CD-BOX『安全地帯 メモリアル・コレクション』に収録
5 2007年3月7日 ユニバーサル UPCY-6334 -
6 2010年3月3日 SHM-CD UPCY-6576 -
7 2010年6月23日 UPCY-9197 - CD-BOX『安全地帯BOX 1982-1993』に収録
8 2017年11月22日 UPCY-9712 - 紙ジャケット仕様

脚注

注釈

  1. ^ 「じれったい」と「月に濡れたふたり」はアルバムバージョン。

出典

  1. ^ ORICON STYLE”. オリコン. 2013年5月18日閲覧。
  2. ^ 志田歩 2006, pp. 82–83- 「第4章 スターダム」より
  3. ^ 志田歩 2006, p. 86- 「第5章 初心にかえろう」より
  4. ^ a b 志田歩 2006, p. 90- 「第5章 初心にかえろう」より
  5. ^ a b 志田歩 2006, p. 89- 「第5章 初心にかえろう」より
  6. ^ 志田歩 2006, pp. 89–90- 「第5章 初心にかえろう」より
  7. ^ 安全地帯 / 安全地帯6~月に濡れたふたり [SHM-CD]”. CDジャーナル. 音楽出版. 2019年8月16日閲覧。
  8. ^ 安全地帯、これまでの全オリジナルアルバムを紙ジャケット仕様にして再販決定!”. OKMusic. ジャパンミュージックネットワーク (2017年9月15日). 2019年8月12日閲覧。
  9. ^ 安全地帯デビュー35周年、オリジナルアルバム14タイトルを紙ジャケで一挙再発”. Musicman-net. エフ・ビー・コミュニケーションズ (2017年9月15日). 2019年8月12日閲覧。
  10. ^ 安全地帯、1983~2013年発表の14タイトルが紙ジャケで一挙再発”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2017年9月19日). 2019年8月12日閲覧。
  11. ^ 安全地帯 / 安全地帯BOX 1982-1993 [12CD+DVD] [SHM-CD]”. CDジャーナル. 音楽出版. 2019年3月30日閲覧。
  12. ^ 並木通りの男 - ドラマ詳細データ”. テレビドラマデータベース. キューズ・クリエイティブ. 2019年9月9日閲覧。
  13. ^ アイラブユーからはじめよう×××”. テレビドラマデータベース. 2022年6月14日閲覧。
  14. ^ 安全地帯 ALL TIME BEST 楽曲解説
  15. ^ a b 志田歩 2006, p. 91- 「第5章 初心にかえろう」より
  16. ^ 志田歩 2006, pp. 91–92- 「第5章 初心にかえろう」より
  17. ^ a b 志田歩 2006, p. 92- 「第5章 初心にかえろう」より
  18. ^ a b c 安全地帯 / 6~月に濡れたふたり [2CD] [再発] [廃盤]”. CDジャーナル. 音楽出版. 2019年9月8日閲覧。

参考文献

  • 志田歩『玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから』雲母書房、2006年4月30日、82 - 92頁。ISBN 9784876722006 

外部リンク