ラグビー日本代表
ユニオン | 日本ラグビーフットボール協会 | ||
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愛称 | ブレイブ・ブロッサムズ | ||
エンブレム | 桜 | ||
ヘッドコーチ | ジェイミー・ジョセフ | ||
主将 | 坂手淳史 | ||
最多キャップ | 大野均 (98) | ||
最多得点選手 | 五郎丸歩 (711) | ||
最多トライ選手 | 大畑大介 (69) | ||
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初国際試合 | |||
日本 3 - 3 カナダBC州 (1930年9月24日) | |||
最大差勝利試合 | |||
日本 155 - 3 チャイニーズタイペイ (2002年7月6日) | |||
最大差敗戦試合 | |||
ニュージーランド 145 - 17 日本 (1995年6月4日) | |||
ラグビーワールドカップ | |||
出場回数 | 9 (1987年初出場) | ||
最高成績 | ベスト8 (2019) |
ラグビー日本代表(ラグビーにほんだいひょう)とは、日本ラグビーフットボール協会が組織するラグビーユニオンのナショナルチーム。愛称は「ブレイブ・ブロッサムズ」(BRAVE BLOSSOMS)[注 1][1]。古くからファンは「ジャパン」と呼び[2]、さらにヘッドコーチの名前を冠して現在は「ジェイミージャパン」[3] とも呼ぶ。ファーストジャージのデザインは、赤と白のストライプ。左胸に「全開の桜3弁」があしらわれており、「桜のジャージ」と呼ばれる[4]。
代表資格
ラグビーでは、国の代表チームとしてプレーする際に、国籍は問われない[5][6]。「外国人選手が多い」という批判がある[6][7]が、日本は外見的特徴からそのように指摘されやすい。他の国のラグビー代表チームも同様に、異なる国の出身者が多く含まれる[注 2][8][9]。高校・大学時代から日本で生活し、日本に帰化(日本国籍を取得)している選手も少なくない[10][11][12][13][14][15]。カタカナだけの氏名であっても、姓と名の表記の間に「・」が無い選手は、日本国籍を持つ者である。
国の代表資格は、ワールドラグビーのレギュレーション8条により、以下の4つの箇条書きのように規定されている。
- 当該国(日本)で出生している、または、
- 両親、祖父母の1人が当該国(日本)で出生している、または、
- プレーする時点の直前の60ヶ月間(※)継続して当該国(日本)を居住地としていた、または、
- プレーする時点までに、通算10年間、当該国(日本)に滞在していた[16]。
(※)2021年12月31日までは、「60ヶ月間」ではなく「36ヶ月間」[17][18]。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により出身国へ長期帰国をした選手のなかには、日本居住期間がリセットされ、日本代表資格を得られなくなった者もいる[19]。
また、2022年1月1日から、以下の基準を満たす場合に選手が一つの協会(国)から別の協会(国)へ変更できるようになった[20][21][22]。これは、フィジー、サモア、トンガなどの南太平洋の国々出身の選手が、活躍の場や経済力を求めて外国に行ってしまい、出身国のラグビー運営に支障が出ることへの配慮を主とする規約改正である[23]。
- 36ヶ月間、ラグビーの国際試合に参加していない。
- 選手が移動を希望する国で生まれている、または親や祖父母のうち誰かがその国で生まれている。
- 選手は一度だけ協会を変更することができ、各ケースはワールドラグビーの承認が必要となる。
現在の日本代表選手
日本代表選手
2022年11月の日本代表欧州遠征メンバー40名(FW22名、BK18名)[24]。キャップ数は、11月20日テストマッチ終了時点。
2022年12月17日から2023年5月14日までは国内リーグ「リーグワン」があり、日本代表が再集結するのは2023年5月20日の予定。
★印は2022年10月29日のニュージーランド戦出場選手[25](日野剛志は出場登録されたが出場機会が無かった)。
●印は11月12日のイングランド戦出場選手[26]。
◆印は11月20日のフランス戦出場選手[27]。
- ヘッドコーチ : ジェイミー・ジョセフ
- キャプテン : 坂手淳史
現在のスタッフ
日本代表スタッフ
日本代表秋シーズンスタッフ 2022年11月2日現在[28]
役職 | 名前 | 所属 |
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ナショナルチームディレクター | 藤井雄一郎 | 日本ラグビーフットボール協会 |
ヘッドコーチ | ジェイミー・ジョセフ | 日本ラグビーフットボール協会 |
アシスタントコーチ | トニー・ブラウン | 日本ラグビーフットボール協会 |
アシスタントコーチ | 長谷川慎 | 日本ラグビーフットボール協会 |
アシスタントコーチ | ジョン・ミッチェル[29] | 日本ラグビーフットボール協会 |
ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ | アンドリュー・ベードモア | 日本ラグビーフットボール協会 |
アシスタントストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ | 太田千尋 | 日本ラグビーフットボール協会 |
分析 | アンドリュー・ワッツ | オタゴハイランダーズ |
分析 | 浜野俊平 | 日本ラグビーフットボール協会 |
分析 | 瀬尾勝太 | 静岡ブルーレヴズ |
ドクター | 高森草平 | 横浜南共済病院 |
パフォーマンスコーディネーター | カール・マクドナルド | 日本ラグビーフットボール協会 |
アスレティックトレーナー | 濱野武彦 | 武蔵野アトラスターズ整形外科スポーツクリニック |
アスレティックトレーナー | 國次聡史 | 横浜市スポーツ医科学センター |
通訳 | 吉水奈翁[30][31][32] | 日本ラグビーフットボール協会 |
チームマネージャー | 波多野恵介 | 日本ラグビーフットボール協会 |
アシスタントマネージャー | ジョシュ・ウェストブルック | 日本ラグビーフットボール協会 |
ロジスティックマネージャー | 中村彰 | 日本ラグビーフットボール協会 |
チームメディアマネージャー | 津久井信介 | 日本ラグビーフットボール協会 |
ビデオグラファー | 中村拓磨 | 日本ラグビーフットボール協会 |
レフリー | 滑川剛人 | トヨタヴェルブリッツ |
アシスタントコーチ | 田邉淳(※) | クボタスピアーズ船橋・東京ベイ |
アシスタントコーチ | 斉藤展士(※) | 浦安D-Rocks |
コンバットトレーナー | ライアン・ヘンリー(※) | 日本ラグビーフットボール協会 |
ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ | 臼井智洋(※) | ブリングアップアスレチックソサエティー |
ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ | アダム・キーン(※) | 日本ラグビーフットボール協会 |
分析 | 神亮輔(※) | 早稲田大学 |
分析 | 瀬尾勝太(※) | 日本ラグビーフットボール協会 |
アスレティックトレーナー | 久々知修平(※) | 国立スポーツ科学センター |
アスレティックトレーナー | 小川秀治(※) | フリーランス |
※は、2022年11月の欧州遠征には不参加。
ワールドラグビー男子ランキング
上位30チーム(2024年11月11日時点)[33] | |||||
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順位 | 変動* | チーム | ポイント | ||
1 | 1 | 南アフリカ共和国 | 92.46 | ||
2 | 1 | ニュージーランド | 91.21 | ||
3 | 2 | アイルランド | 90.58 | ||
4 | フランス | 86.96 | |||
5 | 1 | アルゼンチン | 85.60 | ||
6 | 1 | スコットランド | 82.70 | ||
7 | 2 | イングランド | 82.62 | ||
8 | 1 | オーストラリア | 81.14 | ||
9 | 1 | フィジー | 80.07 | ||
10 | 2 | イタリア | 78.67 | ||
11 | ウェールズ | 75.04 | |||
12 | ジョージア | 74.10 | |||
13 | サモア | 72.68 | |||
14 | 日本 | 72.31 | |||
15 | ポルトガル | 68.82 | |||
16 | 3 | アメリカ合衆国 | 67.49 | ||
17 | 1 | スペイン | 67.10 | ||
18 | 2 | トンガ | 66.87 | ||
19 | 2 | ウルグアイ | 66.58 | ||
20 | ルーマニア | 63.87 | |||
21 | チリ | 62.99 | |||
22 | カナダ | 59.43 | |||
23 | 香港 | 58.62 | |||
24 | ロシア | 58.06 | |||
25 | ナミビア | 57.87 | |||
26 | 4 | ブラジル | 57.40 | ||
27 | 1 | オランダ | 57.29 | ||
28 | 1 | ベルギー | 56.51 | ||
29 | ジンバブエ | 56.03 | |||
30 | 2 | スイス | 56.04 | ||
*前週からの変動 | |||||
日本のランキングの推移 | |||||
生のグラフデータを参照/編集してください. | |||||
出典: ワールドラグビー[33] 推移グラフの最終更新: 2024年11月11日 |
毎週月曜の日中(アイルランド時間。日本時間では同日夜)までに ワールドラグビーが発表するデータにもとづく。このシステムは2003年10月から始まった。
ワールドラグビーが示す計算ルール[34]で対戦相手とポイント交換し、最新ポイントとランキングが発表される(計算ルールがあるので、試合直後はもちろん、試合前でも勝敗や点差を仮定して、ポイント結果やランキングを誰でも正確に算出できる)。
日本代表の過去最高ランクは、ワールドカップ2019準々決勝南アフリカ戦の前日、2019年10月19日(土)に記録した6位[35][36][37]。翌日、南アフリカに敗れて8位になった[38]。右のランキング推移グラフは毎週月曜のデータを使うため、6位は反映されていない。
このシステムが始まって以来の日本代表の最低ランクは、2003年11月3日付から2004年2月9日付までの20位である。
対戦相手別 テストマッチ勝敗表
1930年から現在までの全テストマッチ(国代表どうしの試合)を対戦相手ごとに集計した。現在ではテストマッチ扱いにしない対戦相手(XV、学生選抜、U-23など)について、1989年までは日本側だけがテストマッチ扱いにしていた[39]ことに留意されたい。
色つきは「ティア1(tier 1)」の国の代表チーム[40]。2022年11月21日現在。
対戦相手 | 試合数 | 勝 | 負 | 分 | 勝率 | 対戦 最終年 |
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アイルランド | 12 | 1 | 11 | 0 | 8.3% | |
アイルランド学生選抜 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0% | |
アメリカ合衆国 | 24 | 10 | 13 | 1 | 41.7% | |
アラビアンガルフ | 3 | 3 | 0 | 0 | 100% | |
アラブ首長国連邦 | 3 | 3 | 0 | 0 | 100% | |
アルゼンチン | 6 | 1 | 5 | 0 | 16.7% | |
イタリア | 8 | 2 | 6 | 0 | 25% | |
イングランド | 3 | 0 | 3 | 0 | 0% | |
イングランドXV | 7 | 0 | 7 | 0 | 0% | |
イングランド学生選抜 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0% | |
イングランドU-23 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0% | |
オックスフォード大学&ケンブリッジ大学 | 3 | 0 | 3 | 0 | 0% | |
オックスフォード大学 | 4 | 0 | 4 | 0 | 0% | |
ケンブリッジ大学 | 4 | 1 | 3 | 0 | 25% | |
ウェールズ | 10 | 1 | 9 | 0 | 10% | |
ウェールズXV | 3 | 0 | 3 | 0 | 0% | |
ウルグアイ | 5 | 4 | 1 | 0 | 80% | |
オーストラリア | 6 | 0 | 6 | 0 | 0% | |
オーストラリアA | 4 | 0 | 4 | 0 | 0% | |
オーストラリア学生選抜 | 6 | 2 | 4 | 0 | 33.3% | |
クイーンズランド州 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0% | |
オーストラリア・コルツ(U-23) | 2 | 1 | 0 | 1 | 50% | |
オランダ | 1 | 0 | 1 | 0 | 0% | |
カザフスタン | 5 | 5 | 0 | 0 | 100% | |
カナダ | 25 | 15 | 8 | 2 | 60% | |
ブリティッシュコロンビア州(BC州) | 6 | 2 | 2 | 2 | 33.3% | |
韓国 | 36 | 29 | 6 | 1 | 80.6% | |
サモア | 16 | 5 | 11 | 0 | 31.3% | |
ジョージア | 6 | 5 | 1 | 0 | 83.3% | |
シンガポール | 1 | 1 | 0 | 0 | 100% | |
ジンバブエ | 1 | 1 | 0 | 0 | 100% | |
スコットランド | 9 | 1 | 8 | 0 | 11.1% | |
スコットランドXV | 4 | 1 | 3 | 0 | 25% | |
スペイン | 3 | 3 | 0 | 0 | 100% | |
スリランカ | 3 | 3 | 0 | 0 | 100% | |
タイ | 1 | 1 | 0 | 0 | 100% | |
チャイニーズタイペイ | 4 | 4 | 0 | 0 | 100% | |
トンガ | 18 | 9 | 9 | 0 | 50% | |
ニュージーランド | 5 | 0 | 5 | 0 | 0% | |
ニュージーランドXV | 2 | 0 | 2 | 0 | 0% | |
ジュニア・オールブラックス | 3 | 0 | 3 | 0 | 0% | |
マオリ・オールブラックス | 1 | 0 | 1 | 0 | 0% | |
ニュージーランド大学選抜(NZU) | 15 | 2 | 11 | 2 | 13.3% | |
ニュージーランド・コルツ(U-23) | 5 | 1 | 4 | 0 | 20% | |
フィジー | 18 | 4 | 14 | 0 | 22.2% | |
フィリピン | 2 | 2 | 0 | 0 | 100% | |
フランス | 6 | 0 | 5 | 1 | 0% | |
フランスXV | 7 | 0 | 7 | 0 | 0% | |
ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズ | 1 | 0 | 1 | 0 | 0% | |
ポルトガル | 1 | 1 | 0 | 0 | 100% | |
香港 | 29 | 24 | 4 | 1 | 82.8% | |
南アフリカ共和国 | 3 | 1 | 2 | 0 | 33.3% | |
ルーマニア | 6 | 5 | 1 | 0 | 83.3% | |
ロシア | 7 | 6 | 1 | 0 | 85.7% |
大会成績(ワールドカップ、太平洋地区、アジア地区)
ラグビーワールドカップ
回数(開催年) | ラウンド | 日付 | 開催地 | 対戦相手 | 勝敗 | スコア | 監督・ヘッドコーチ |
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第1回(1987年) | 1次リーグ | 5月24日 | ブリスベン | アメリカ合衆国 | ● | 18-21 | 宮地克実 |
5月30日 | シドニー | イングランド | ● | 7-60 | |||
6月3日 | シドニー | オーストラリア | ● | 23-42 | |||
第2回(1991年) | 1次リーグ | 10月5日 | エディンバラ | スコットランド | ● | 9-47 | 宿澤広朗 |
10月9日 | ダブリン | アイルランド | ● | 16-32 | |||
10月14日 | ベルファスト | ジンバブエ | ○ | 52-8 | |||
第3回(1995年) | 1次リーグ | 5月27日 | ブルームフォンテーン | ウェールズ | ● | 10-57 | 小藪修 |
5月31日 | ブルームフォンテーン | アイルランド | ● | 28-50 | |||
6月4日 | ブルームフォンテーン | ニュージーランド | ● | 17-145 | |||
第4回(1999年) | 1次リーグ | 10月3日 | レクサム | サモア | ● | 9-43 | 平尾誠二 |
10月9日 | カーディフ | ウェールズ | ● | 15-64 | |||
10月16日 | カーディフ | アルゼンチン | ● | 12-33 | |||
第5回(2003年) | 1次リーグ | 10月12日 | タウンズビル | スコットランド | ● | 11-32 | 向井昭吾 |
10月18日 | タウンズビル | フランス | ● | 29-51 | |||
10月23日 | タウンズビル | フィジー | ● | 13-41 | |||
10月27日 | ゴスフォード | アメリカ合衆国 | ● | 26-39 | |||
第6回(2007年) | 1次リーグ | 9月8日 | リヨン | オーストラリア | ● | 3-91 | ジョン・カーワン |
9月12日 | トゥールーズ | フィジー | ● | 31-35 | |||
9月20日 | カーディフ | ウェールズ | ● | 18-72 | |||
9月25日 | ボルドー | カナダ | △ | 12-12 | |||
第7回(2011年) | 1次リーグ | 9月10日 | オークランド | フランス | ● | 21-47 | |
9月16日 | ハミルトン | ニュージーランド | ● | 7-83 | |||
9月21日 | ファンガレイ | トンガ | ● | 18-31 | |||
9月27日 | ネーピア | カナダ | △ | 23-23 | |||
第8回(2015年) | 1次リーグ | 9月19日 | ブライトン | 南アフリカ共和国 | ○ | 34-32 | エディー・ジョーンズ |
9月23日 | グロスター | スコットランド | ● | 10-45 | |||
10月3日 | ミルトン・キーンズ | サモア | ○ | 26-5 | |||
10月11日 | グロスター | アメリカ合衆国 | ○ | 28-18 | |||
第9回(2019年) | 1次リーグ | 9月20日 | 東京都調布市 | ロシア | ○ | 30-10 | ジェイミー・ジョセフ |
9月28日 | 静岡県袋井市 | アイルランド | ○ | 19-12 | |||
10月5日 | 愛知県豊田市 | サモア | ○ | 38-19 | |||
10月13日 | 神奈川県横浜市 | スコットランド | ○ | 28-21 | |||
準々決勝 | 10月20日 | 東京都調布市 | 南アフリカ共和国 | ● | 3-26 | ||
第10回(2023年) | 1次リーグ | 9月10日 | トゥールーズ | チリ | - | ||
9月17日 | ニース | イングランド | - | ||||
9月28日 | トゥールーズ | サモア | - | ||||
10月8日 | ナント | アルゼンチン | - |
パシフィック・ネーションズカップ
第1回の2006年のみ、大会名は「パシフィック・ファイブ・ネイションズ」だった。
※2014年は、参加6か国を地域別に2つのグループに分けて、それぞれの勝者を決めた(1位が2つ)。
2019年の参加国は、日本、フィジー、アメリカ、サモア、トンガ、カナダ。2020年と2021年は新型コロナウイルス感染症の世界的流行により開催されなかった。
2022年はフィジー、サモア、トンガ、オーストラリアAの参加で行われた。日本はフランスとのテストマッチ2連戦のため、アメリカはワールドカップアメリカ大陸予選(対チリ戦)のため、カナダはベルギーおよびスペインとのテストマッチのため、参加しなかった。
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アジアラグビーチャンピオンシップ
1969年からアジアラグビーフットボール大会として始まり、2008年からアジア5カ国対抗に、2015年からアジアラグビーチャンピオンシップになった。しばしばワールドカップのアジア地区出場権1枠を決める大会となる。
★は、翌年のラグビーワールドカップへの出場権を得られたもの。別途、1990年にはW杯アジア太平洋地区予選、2002年と2006年にはW杯アジア地区予選が行われ、いずれも日本はW杯出場権を得た。第1回のワールドカップ1987は全チーム招待のため、地区予選は行われなかった。
2018年は、香港・韓国・マレーシアの3か国によるトーナメントで、ワールドカップ2019アジア地区予選の1つと位置づけられた。このため日本は不参加。
2019年も日本は不参加。ワールドカップ2019の前哨戦として日本はパシフィックネーションズカップに参加し、フィジー、トンガ、アメリカに勝利して優勝。2020年・2021年は新型コロナウイルス感染症の世界的流行により開催されなかった。
2022年も香港・韓国・マレーシアによるワールドカップ2023アジア地区予選の1つとなった。この時期に日本は、フランスとのテストマッチ2連戦を行った。
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歴史
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
1930年~ 黎明期
- 日本代表誕生
1899年(明治32年)、慶應義塾大学にラグビーが伝えられて[41]以来、各大学を中心に競技が広まり、1924年(大正13年)に関東ラグビー蹴球協会、1925年(大正14年)に西部ラグビー蹴球協会ができ、1926年(大正15年)11月30日に日本ラグビー蹴球協会(現在の日本ラグビーフットボール協会)が発足した[42]。
初めて日本代表が編成されたのは1930年(昭和5年)8月~10月のカナダ遠征である[43]。香山蕃が初代監督に就任し、全7戦のうち6戦目、9月24日に行われたブリティッシュコロンビア州代表 (以下、BC代表)戦が初のテストマッチ認定試合となり[44]、双方1トライずつで3-3の引き分け(当時のトライは3点[45])となった。この試合には、後に映画俳優となる藤井貢も出場した[46]。日本代表は、この海外遠征で6勝1分の成績を残した[43][44]。
国内での初テストマッチは、1932年1月31日のカナダ代表戦。戦前最高のプレイヤーと呼ばれた笠原恒彦 (明大)らの活躍により、戦績は日本の2戦2勝だった[44]。香山は1930年から1934年まで監督を務め、テストマッチで3勝1敗の成績を残した。
一方、1932年から1962年までは海外での試合はなく、国内でのみ試合を行なった。この間、ニュージーランド学生代表クラブ (NZU)、オーストラリア学生代表[注 3]、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学の他、在韓ニュージランド部隊や極東英連邦軍チームなどと対戦したが、ほとんど勝てなかった[44]。
1963年、葛西泰二郎が監督に就任し、33年ぶりにカナダへ遠征。同年4月13日のBC代表戦を33-6で制し、海外遠征テストマッチ初勝利を挙げた他、通算成績4勝1敗の成績を残した[44]。ちなみに同遠征メンバーの中に、後にプロレスラー グレート草津となる草津正武もいた[47]。
1966年~ 大西ジャパン
- NZ遠征
その後2年間は試合が行われなかったが、1966年に大西鐡之祐が監督に就任すると、2年後の1968年にニュージーランド (以下、NZ)とオーストラリアへ遠征し、1か月間で11試合を行い、6月3日のオールブラックスジュニア戦と6月8日のNZU戦がテストマッチ対象試合となった。23歳以下で構成されたオールブラックスジュニアとの試合では、坂田好弘が4トライを挙げるなどの活躍を見せて23-19で撃破する大金星を挙げた。翌日の地元新聞には「NZラグビー暗黒の日」という見出しが踊ったという[48][49]。この長期遠征は5勝6敗の成績だった[44]。
- 日本選手権出場辞退事件
1969年に開催された第1回のアジアラグビーフットボール大会(アジア選手権ともいう)で優勝。
1970年タイ・バンコクで開催の第2回開幕直前に、1969年度の全国社会人ラグビーフットボール大会で優勝した近鉄、準優勝のトヨタ自工、同3位の三菱自工京都が相次いで、アジア選手権に主力を送り込むため、同年度の日本ラグビーフットボール選手権大会 (日本選手権)を辞退することを表明する騒動が起こった (詳しくは、日本ラグビーフットボール選手権大会#日本選手権の辞退を参照)。1月10日から18日までのアジア選手権と、1月15日開催される日本選手権とで日程が重なったためである。
このような騒動があったものの、アジア選手権連覇を果たした日本は、1970年3月にNZUとBC代表を日本に招いてテストマッチを行なったが、日本のエース坂田好弘は当時ニュージーランド留学中のため、NZUのメンバーとして出場した。結果、BC代表には32-3で快勝したが、NZUには3戦全敗[44]。大西ジャパン時代にはNZUには勝つことができなかった。
- 「〇〇ジャパン」のルーツ
大西は、早大監督時代から海外列強の理論を導入。寄せ集め的な日本代表チームの編成に異議を唱え、日本代表の強化・セレクションの基礎を作り上げた。日本代表監督に就任する前、当時はラグビーでも「全日本」という言い方をしていたが、それではただの寄せ集めチームの名前に過ぎないとして[50]、「いいか、君らは日本を代表して戦うんだ!よって(親しみを込めて)これから『ジャパン』ということにする。」と、代表選手を集めたミーティングで説き[50]、以後しばらく、当時「ジャパン」といえば、ラグビー日本代表のことを指すようになった[注 4]。また、大学ラグビーでは「大西早稲田」「北島明治」など監督名を冠する呼称が一般的だったので、日本代表は「大西ジャパン」と呼ばれた。
- 接近・展開・連続
大西の豊富なラグビー理論を集約した考え方が、「接近・展開・連続」である[51]。これは、体の大きい相手にはスペースを与えず、できる限り「接近」してプレーする。相手とすれ違いざま、接触する寸前に素早く、味方に正確なパスを通し、人もボールもワイドに「展開」する。そのプレーを「連続」させて、相手ゴールを陥れるということに起因する[51][52]。このように作戦内容を言語化し、当時のラグビーファンにも大きくアピールした。
さらに、大胆な選手起用も試みた。ラグビー経験の少ない井沢義明をいきなり代表に抜擢、身長160センチ台ながらタックルが良くラインアウトのスローイングに長けた石田元成をフランカーとして起用。トリッキーなステップで対面を抜き去るウィングの萬谷勝治を「カンペイ[53]」の切り札としてフルバックに配置替え。No.8だった原進を鍛え上げて世界に通用するプロップに育てるなど、オールスター選抜・早慶明同に人選が偏重する傾向の強かった日本代表を革新した[54]。
- イングランド相手に大健闘
1971年9月、イングランド代表が来日。同月24日の花園での試合では、5度にわたる逆転劇の末、 19-27で敗れた[55][56]。28日の秩父宮では双方ノートライで、日本は山口良治が挙げた1ペナルティ・ゴールしか得点を奪えなかったが、後半32分頃にあと2センチあればトライを取れていたプレイがあるなど、イングランドと互角に渡り合い、3-6で惜敗した[57][56] 。これは日本代表試合史に残るベストゲームとして語り継がれている[56][58]。この後、大西は監督を辞任した。
1972年~ 相次ぐ海外遠征
- 海外遠征の増加
1972年に同志社大学の指揮を執る岡仁詩が後継監督となり、23歳未満で構成されるオーストラリア代表コルツが来日したテストマッチ[59]で1勝1分を記録する[44] など、国内強化試合を含めて無敗を記録した。そして翌年のイギリス・フランス遠征が決まったが、岡が指導する同志社大で練習中に部員が死亡するという事態となったため、岡は監督を辞任した。
1973年イギリス・フランス遠征の監督には急遽横井久が就任、当時主将は実弟の横井章が務めており、「横井兄弟体制」となった。10月6日に当時世界一の評価を得ていたウェールズと、10月28日にフランスと、それぞれ初のテストマッチを行なった[44]。ウェールズには14-62で敗れたが、フランス戦では18-30と健闘した[44]。
1974年、明治大学OBの斎藤寮が監督に就任し、4月下旬から1か月にわたり、6年ぶりにニュージーランド遠征を実施。遠征最終戦で、「大西ジャパン」時代でも勝利できなかったNZU(ニュージーランド大学選抜)に対し、「アニマル」こと藤原優の逆転トライが利いて24-21で初勝利を挙げた[44]。
1975年、岡仁詩が監督に復帰し、7月中旬から約1か月間、オーストラリア遠征を実施した。オーストラリア代表とテストマッチを2試合行い、第2試合では25-30と健闘した[44]。この頃までは、IRFB正加盟国8カ国[注 5]の代表に対し、勝てないまでも、健闘する試合が少なくなかった[44]。
- ラグビーブームとは裏腹の日々
1970年代後半あたりから、大学ラグビーが空前のブームとなった。早明戦や早慶戦、全国大学ラグビーフットボール選手権大会、日本ラグビーフットボール選手権大会ではスタンドが満席となるのが常だった[60]。しかし日本代表は、アジア諸国相手にしか勝てないという戦績だった[44]。1975年のオーストラリア遠征から1980年までのうち、キャップ対象試合で日本代表が勝利したのは、アジア選手権において3回韓国を破ったのみ[44]。それ以外では、1979年イングランド戦の惜敗 (19-21)があったものの、1引き分けを挟んで19連敗を喫した[44]。
1981年、オーストラリア学生選抜戦でようやくアジア勢以外から勝利[44] すると、1982年の香港及びカナダ代表の来日試合に勝利しテストマッチ5連勝を記録した[44]。以後、1982年9月26日にNZUから国内初勝利を挙げた試合[44] や、1983年のウェールズ遠征でウェールズ代表に24-29と惜敗した試合[44] もあったが、一方では韓国にたびたび敗れてアジア王者から陥落した年もある[44] など、安定した成績を収められなかった。
この間の代表監督は、就任期間が短期間であることが少なくなかったばかりか、新任監督が誕生せず、過去の経験者が二度目、三度目の就任をするなど、人事面で問題を抱えていた。国内の爆発的なラグビー人気があり、かつ松尾雄治などのタレントを擁しながらも、日本代表は成績が振るわなかった。
キャップ制度の導入
1982年12月17日、日本ラグビー協会はテストマッチ出場選手にキャップを授与し表彰する制度の導入を決定した。1930年9月24日の初めてのテストマッチまでさかのぼって77試合254人の出場選手に対し、1983年1月16日にキャップ授与を行った[61]。
1987年~ 第1回ワールドカップ
- 初のワールドカップ
長年ラグビーには世界一を決める大会がなく、日本は海外遠征やラグビー強豪国(IRFB正加盟国8か国)[注 5]を招いて勝利することが悲願であったが、実力が及ばず、試合機会も少なかった。そんな中、1987年にラグビーワールドカップが創設され、日本は第1回大会に招待された。
しかし、第1回ワールドカップの招待を受けたにもかかわらず、岡仁詩監督が大会直前になってニュージーランドへの研修留学という名目で辞任[62]。急遽宮地克実が監督に就任した。初戦のアメリカ戦ではペナルティキックを5回も外し、勝てる期待の高かった試合を18-21で落とした[63]。続くイングランド戦で7-60[64]、オーストラリア戦で23-42[65]と、3戦全敗で予選敗退となった。
その後は通常のテストマッチでも連敗が続き、1986年のスコットランド戦からテストマッチ11連敗という「暗黒の時代」が続いた[44]。その後、1988年のアジア選手権で韓国に2大会連続で敗退[44] した責任を取り、日比野弘が監督を辞任。しかし、後任監督の選定には時間を要した。
1989年~ 宿澤ジャパン
- 「宿澤ジャパン」誕生
1989年、宿澤広朗が監督として白羽の矢が立った[66]。宿澤は、早大時代にラグビー日本選手権2連覇達成の立役者の一人で、「伝説のスクラム・ハーフ」と言われていたが、当時は住友銀行の英国支店に勤務しており、ラグビー界から遠ざかっていた。日本代表の新任監督は、1980年の山本巌以来、9年ぶり。
スコットランド相手に「金星」
1989年5月28日秩父宮ラグビー場で、宿澤ジャパンとして初めての国際試合が、スコットランドと行われた。スコットランド代表メンバーのうち、中心選手9名はブリティッシュ・ライオンズのメンバーとしてNZに遠征中だったため[67]、ベストの布陣とは言えず代表扱いではないチームとして「スコットランドXV(フィフティーン)」と名乗っていた。
それまで日本は、スコットランドに3戦全敗。来日したスコットランドが国内の他のチームと行った試合を、宿澤監督は観戦・分析し、代表選手たちに指示をした[68][69]。
最高気温25℃の夏日、晴天[70]で午後2時開始のためスコットランドに不利であり、PGを7本も外すというスコットランドの不調があった[71]とはいえ、日本の5トライに対してスコットランドを1トライに抑え、28-24のスコアで勝利[72][73]。旧IRBファウンデーション8か国[注 5]の1つを破る金星となった。試合後「宿澤コール」が会場に鳴り響き、宿澤監督は胴上げをされた[74]。
スポーツ新聞各紙はこの金星を一面で大々的に報道したほか、Sports Graphic Number「第8回Number MVP賞」を日本代表チームが受賞した[75][76]。
この試合の主将に、神戸製鋼の主将でもあった平尾誠二が就き、シナリ・ラトゥ、吉田義人、堀越正巳、青木忍といった現役大学生をレギュラーに抜擢した[77]。そのため、たった1戦の指揮しか行なっていないにもかかわらず、「宿澤は日本のラグビーを変えた」とまで言われるようになった[78]。
この試合は、日本側ではキャップ授与対象のテストマッチ扱いだが、スコットランド側は上記のように自国は代表チームではないとして、テストマッチとは認めておらず、スコットランドの選手にキャップは授与されていない。
- テストマッチのあり方を見直す
その後は、日本側のみがテストマッチとする対戦のあり方を、宿澤は抜本的に見直した。
原則的に、各国代表チーム以外のチームとの対戦(XVチーム、A代表チーム、大学生チームなどとの試合)については、テストマッチとはみなさないことに決まった[79]。この方針転換は、当時のラグビー日本代表としては画期的だったが、世界的なルールに沿ったものであり、1990年実施のテストマッチから反映され、この基準は現在まで踏襲されている。ただし、過去1989年までの試合については、現在の基準を満たしていなくても、取り消しは行わない。
- ワールドカップ1991で初勝利
対スコットランド勝利後のカナダ遠征では2戦2敗、翌1990年3月のフィジー戦も完敗した[44]。ワールドカップのアジア・太平洋予選は1990年に行われ、西サモアにこそ苦杯を舐めたが、トンガ、韓国を破って2大会連続でワールドカップ出場を決めた[44]。だが、その後は西サモア戦の敗退を含めてテストマッチで5連敗となった[44]。
1989年スコットランド戦の金星があったとはいえ、その後は強豪国相手ではなく、日本代表とレベルの近いチームとの対戦を宿澤は志向したため、強豪IRB8か国[注 6]との対戦は、ラグビーワールドカップ1991までの2年間は行われなかった[80]。しかしワールドカップを迎えるにあたって、宿澤の情報収集力や明快な選手起用方針などから、宿澤ジャパンに対する評価は、不安よりも期待感のほうが高まっていた[81]。
ワールドカップ1991でプール2に入った日本は、優勝候補の一角スコットランドと初戦を迎えた。2年前のような勝利を期待していた日本のラグビーファンも多かったが、前半は9-17で折り返したものの、後半はスコットランドの一方的展開となり9-47で完敗した[82][83]。
続くアイルランド戦は、初戦から中3日で行われた。吉田義人の70m独走トライなどが見られ拮抗した内容になったものの、16-32で敗北[84]。この時点で予選敗退が決まった[85]。
最終戦のジンバブエ戦では、日本は本大会最多の9トライを奪う猛攻を見せて、52-8でワールドカップ初勝利を収めた[86][81]。
1993年~ 歴史的大敗の時代
- ワールドカップ1995に向けた準備
ワールドカップ終了後、宿澤が退任し、新日鐵釜石時代に監督として日本選手権で3度の優勝に導いた小藪修が就任した。
小藪はチームコンセプトとして、大会直前にルーマニアに快勝した戦略「タテ・タテ・ヨコ」(ボールが出てから、フォワードが前への突進を連続して行い距離をかせいだ後、バックスへ展開しトライのチャンスを得る)というパワーラグビーを志向した[87]。しかし、レベルが総体的に落ちるアジア諸国相手であれば通用したが、速度が伴わず、北・南両半球の強豪相手には通用しなかった。とりわけ1993年のウェールズ遠征では、同国代表はもとより、予備軍である同国Aチームにも惨敗を喫し、小藪解任論が噴出した。
そのため、タテ・タテ・ヨコの戦略の修正を迫られ、フィジーに国内でのテストマッチで連勝。1994年のアジア選手権決勝で韓国を破り、3大会連続のワールドカップ出場権を得た。
145失点「ブルームフォンテーンの悪夢」
1995年、南アフリカで開催の第3回ワールドカップでは全く歯が立たず[88]、1戦目5月27日のウェールズ戦で10-57[89]、2戦目5月31日のアイルランド戦で28-50[90]と完敗。この時点で3大会連続となる予選プール敗退が決定した。
一部の主力選手たちは、ワールドカップ期間中にゴルフに興じたり、明け方までカジノで遊んだり、二日酔いで練習中に嘔吐する者もいた[91][92][93][94]。当時27歳で初参加の今泉清は、スタッフが日本からゴルフ道具を持ってきていたと証言しており[93]、南アフリカの警備担当者から「お前たちはワールドカップに何をしに来たんだ? ゴルフとカジノに来たのか?」と問われ、日本代表の意識の低さを悲しんだ[93]。当時26歳でW杯出場2回目の吉田義人は、「国を代表して戦いに来ているのに、信じられなかった。日本代表として一つになれなかったことが一番悔しかった」と振り返っている[91]。W杯第2回から第4回までの3大会連続で参加した村田亙は、第3回の日本代表について「W杯に臨むという体制も気構えもできていなかった。それが第2回大会の宿澤ジャパンとの大きな違いだ」と語る[95]。
6月4日、先の2試合と同じくブルームフォンテーンのフリーステイト・スタジアムで行われた3戦目では、相手ニュージーランドは既に決勝トーナメント進出を決めていたため、控え選手主体のメンバーだった。日本代表もワールドカップの過密日程からか一部の主力選手が出場せず、ニュージーランドには前半だけで12トライ、後半に9トライを取られるなど、17-145で敗北[96]。ニュージーランド戦では過去に100失点以上を経験していたため、戦う前から日本代表の大敗は予想されていたとはいえ、「ブルームフォンテーンの悪夢(悲劇・惨劇・国辱とも)」と呼ばれる歴史的な大敗を喫した[97][98][94][99]。この試合によりニュージーランドはプール戦において225得点、日本は252失点。ラグビーワールドカップ史上、プール戦最大得点、プール戦最大失点、1試合での得点差(128点)は、いまだ破られていない記録である。この試合をもって小藪は監督を退任した。
ワールドカップ1995を開催した頃の南アフリカを舞台とする映画「インビクタス/負けざる者たち」(2009年公開)で、南アフリカ大統領ネルソン・マンデラが、ニュージーランドが日本から145得点した情報に驚くシーンがある。
- 1996年
小藪の後任には、サントリーの部長だった山本巌が3度目の就任となった。1996年から日本・米国・カナダ・香港の4協会(1998年からはトンガ・フィジー・サモアも参加)で毎年開催することになったパシフィック・リム選手権では、第1回大会で2勝4敗の最下位に終わり[44]、山本は同年限りで退任した。
- 平尾ジャパンの4年間
1997年、平尾誠二が監督に就任。平尾は、競技人口の減少を背景に「平尾プロジェクト」を立ち上げ[100]、これは、埋もれた逸材や、他のスポーツの優秀な選手を取り込み育成し、日本代表選手を発掘するコンセプトだったが、成果は挙げられなかった[100]。1997年パシフィック・リム選手権でカナダに32-31に逆転勝利した以外は全敗し、1勝5敗の最下位に終わった[44]。
1998年、日本代表として初めて外国籍選手のアンドリュー・マコーミックが主将なった。第4回ワールドカップのアジア予選の壮行試合となったアルゼンチン戦に44-29で勝利。W杯アジア予選でも優勝し、4大会連続のW杯出場を決めた。
1999年、パシフィック・リム選手権で初優勝を果たし、ワールドカップに臨んだ。
ワールドカップ1999当時の日本代表には、元オールブラックスのジェイミー・ジョセフ(17年後に日本代表ヘッドコーチに就任)など、ニュージーランド出身の選手が5名登録され[101]、その人数の多さから、イギリスBBCなど海外メディアから「Cherry Blacks(チェリー・ブラックス)」と報じられた[102][103][104]。これに対し平尾監督は「人種や国籍ではなく、共通の目的とビジョンで団結している」とイギリスのガーディアン紙に反論している[105]。
ワールドカップ1999は3戦全敗に終わり、プール敗退となったが、パシフィック・リム選手権が評価され平尾体制を継続していくことを決めた[106][107]。
2000年のパシフィック・リム選手権では4戦全敗となり最下位。その後のカナダ、アイルランドの各遠征のテストマッチで大敗を喫した[108][44]。11月25日、日本協会は平尾の監督辞任を了承した[109]。
2001年~ 再建への試行錯誤
- 大正製薬がスポンサーに
平尾の辞任を受け、宿澤広朗が強化委員長に就任[110]。宿澤からのオファーにより、2001年から大正製薬が日本代表のスポンサーになった[111][112]。以後、日本代表戦は国内開催で「リポビタンDチャレンジカップ」、海外遠征で「リポビタンDツアー」の冠名がつく。
- 学閥排除でも不調
宿澤は、自身の出身校である早稲田大学を含めた、日本ラグビー界にはびこる「学閥」[113][114][115][116]の排除の意味も込めて、監督時代に東芝府中の黄金時代を築いた、東海大学出身の向井昭吾を監督に招へいした。
向井は、東芝府中監督時代に「PからGO」のキャッチフレーズを掲げ、相手がペナルティを与えられたらペナルティキックやラインアウトへのキックを狙わずに間髪入れず素早い攻撃を仕掛けるという戦法を駆使し、日本選手権3連覇などの実績を挙げていた[117]。また「PからGO」の戦法は、体格に劣る日本代表にも合致していると考えられた。さらに大畑大介と小野澤宏時という俊足バックスに期待が寄せられた。
日本の「速いラグビー」戦術に対し、他国チームは逆に、セットプレーが日本の弱点だと考え、そこを突いてきた。日本はフィジカル不足などのためほとんど対応できなかった[118]。
結局、向井時代にアジア諸国以外のテストマッチで勝利したのは、2001年カナダ戦と、試合にスポンサーがついた初めての「リポビタンDチャレンジカップ」[119]となる2002年ロシア戦のみだった[44]。
W杯地区予選となる2002年アジア3国対抗では、2002年7月6日に国立競技場で行われたチャイニーズタイペイ戦で155-3で勝利し、日本代表としては最多得点試合となった[120][121]。さらに韓国にも勝利し、W杯出場権を得た。しかし、秋からのアジアラグビーフットボール大会では格下の韓国に敗北を喫し、優勝を逃した[122]。
Brave Blossoms誕生
ラグビーワールドカップ2003は4戦全敗 (3大会連続の全敗)[44] でプール敗退となったが、初戦のスコットランド戦で11−32と健闘したことから、地元オーストラリアの新聞コラムで記者のRich Freemanが「Brave Blossoms」(勇敢な桜たち)というニックネームをつけた[123][124]。これがラグビー日本代表の愛称となる。
向井監督は「世界の背中が見えた」とコメントした[125]が、大会終了後に解任された。
- 迷走時代突入
2004年3月22日、神戸製鋼コベルコスティーラーズのヘッドコーチだった萩本光威が監督に就任。当初、同年のスーパーパワーズカップでロシアとカナダを破って優勝に導き[126][127]、幸先のよいスタートかと思われたが、続くイタリアには敗戦した[128]。11月の欧州遠征において、スコットランドに8-100[129]、ルーマニアに10-25[130]、ウェールズに0-98[131] と、いずれも完敗ないし大敗したため、直後に監督解任論が噴出した[132]。
しかし、萩本監督解任を唱えた向井昭吾、春口廣、清宮克幸の3名が、逆にラグビー協会内の監督評価機関である8強会議(世界8強進出対策会議)の委員を解任された。また、欧州遠征と前後して日本代表のフィットネスコーチ、選手2名が相次いで深夜未明の繁華街でのトラブルで合宿中に逮捕される不祥事が起きた[133] が、監督の萩本には協会規定で最も軽い「警告」という処分にとどまった[133]。
翌2005年の南米遠征でウルグアイ、アルゼンチンに連敗[44]。さらに5月から6月にかけて、カナダ、アイルランド (2試合)にもそれぞれ大差で敗戦した[44] ため、萩本は監督を解任された。
- ヘッドコーチ制を導入
これを契機に、強化委員長・監督という指導体制に限界を感じた日本ラグビー協会は、海外で一般的になっている分業制を導入し、ヘッドコーチ(HC)はコーチたちのリーダーとして現場で指揮をとり、ゼネラルマネージャー(GM)はチーム強化に関する総合マネジメントを行う体制に変わることになった[134]。これにより、親代わりのように各選手のマネジメントまで行う学生ラグビーの監督などと異なり、日本文化に詳しくない外国人であっても、現場指揮だけに徹する人材としてヘッドコーチに起用することが可能になった。
2005年8月、初代GMにNECグリーンロケッツの太田治、HCには、初の外国人指導者となるジャン=ピエール・エリサルドが就いた。新体制下の日本代表は、いきなりテストマッチ4連勝を果たし[44] 上々の滑り出しとなったかに思われたが、2006年、第1回のパシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)では全く歯が立たず、4戦全敗[44] で最下位に終わった。
- 兼業ヘッドコーチを契約解除
2006年9月、エリサルドHCが、フランスのクラブチームアビロン・バイヨンヌのスポーツマネジャーにも就任したことが判明した。日本ラグビー協会は、契約書には兼職を規制する「日本代表HC専任」の条項がないことを明らかにすると同時に、日本協会はHCに専念するよう求めたが、エリサルドが拒否した[135]。このため日本ラグビー協会は、ワールドカップ10か月前となる10月31日付でエリサルドを契約解除した[135][136][137][138]。
その後2か月は、暫定的にGMの太田治がHCを兼務した。そして太田は、かつてNECでチームメイトであり、第1回W杯におけるニュージーランド優勝の立役者ジョン・カーワンに白羽の矢を立てることになる。
2007年~ JKジャパンの5年間
- 急ごしらえでワールドカップ2007へ
太田HC代行体制で挑んだ2006年11月のW杯アジア予選で、韓国、香港に快勝し、6大会連続のワールドカップ出場を決めた。
ワールドカップ2007まで8か月を切った2007年1月9日(就任は同年1月1日付)、日本協会はジョン・カーワンをヘッドコーチ とすることを発表し、「JKジャパン」が発足した[139]。カーワンは1984年から1994年までオールブラックスに在籍したスーパースターであり、1987年の第1回ワールドカップにおけるイタリア戦で、90メートル独走トライをしたことでも知られている[140][141]。また、現役生活の晩年にはNECでもプレー経験があり[139]、日本のラグビーファンにも知名度があった[141]。また現役引退後、イタリア代表のヘッドコーチを務めた[139][141]。既にW杯出場を決めていることもあり、カーワンに求められたのはW杯本戦での実績だった。カーワンは、フィジーとカナダ相手に2勝すること[139][142]を主眼におき、決勝トーナメント(各プール2位まで)には残れなくとも、3位(同位以内であれば、次回のW杯予選が免除される)に滑り込む算段を目論んでいた[143]。
W杯の前に行われたパシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)では1勝4敗で最下位[144]。8月18日にイタリアのサン=ヴァンサンで行われたイタリア戦も12-36で完敗した[145]。
- 主力選手を温存し、強豪相手に「捨てゲーム」
ワールドカップ2007開幕直前になって、エースの大畑大介[146]、山本貢[147]、安藤栄次[148]の3選手が怪我により帰国するといった事態にも見舞われた。
カーワンは、日本代表を主力選手とリザーブ(控え選手)との2チームに分ける奇策に出た。強豪のオーストラリア戦とウェールズ戦は“捨てゲーム”としてリザーブ主体で戦い、フィジー戦とカナダ戦に主力選手を使って確実に2勝する作戦である[149][150]。
したがって、初戦のオーストラリア戦は3-91で惨敗したが、最初から“捨てゲーム”としていたカーワンは「想定の範囲内」と強がった。しかし、続くフィジー戦では、日本チームが主力選手中心で構成したにもかかわらず、31-35で敗北。さらに“捨てゲーム”のウェールズ戦を18-72で大敗し、6大会連続の予選プール敗退が決定した。加えて、1995年W杯のウェールズ戦から数えて13連敗となってしまった。
そして、最終戦のカナダに勝ったとしても、最低限の目標である「次回W杯出場権獲得となる3位以内」もきわめて難しくなった。カナダ戦において、日本は試合終了直前まで5-12でリードされ、4大会連続の全敗が確実視されたが、ロスタイムに平浩二が右隅にトライを決めて2点差まで迫り、大西将太郎がゴールキックを決め12-12の同点とし、日本は14試合ぶりに敗戦を免れ、また、4大会ぶりに予選プール最下位を免れたが、次回ワールドカップ2011の優先出場権は得られなかった[150][151]。
- JK続投
大会終了後、日本協会は目標としていたW杯2勝はできなかったものの、準備期間が短かったことや、けが人が続出した中で予選プール最下位を免れたことを評価し、引き続きカーワンにジャパンの指導を託した。
2008年、同年から始まったアジア5カ国対抗で優勝をもたらした。パシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)は前年同様1勝4敗に終わったが、トンガには前年に続き勝利。11月のアメリカ来日シリーズでは連勝。2009年、アジア5カ国対抗を連覇。続くPNCはトンガに3年連続で勝利したが1勝3敗に終わった。
- ワールドカップの日本開催が決定
2009年7月28日に行われた国際ラグビー評議会 (IRB)の理事会で、2019年のラグビーワールドカップ開催国に日本が決定した[152]。同年11月、カナダが来日し、日本は連勝した。
2010年、アジア5カ国対抗では順当に3連覇を達成し、「アジア地区1位」枠として、7大会連続となるワールドカップ2011への出場を決めた。
PNCでは、サモアとトンガに勝利し、得失点差の末、3位に終わったとはいえ、サモア、フィジーと同じく2勝1敗の好成績を挙げた。その後、10月30日のサモア来日テストマッチでは10-13と惜敗したが、翌週11月6日のロシア来日テストマッチでは75-3と大勝[153]。JKが本格的に指導を行なった成果が徐々に実績にも現れつつあり、翌年に控えるワールドカップ2011にも弾みがついたと思われた[153]。
- 強豪国との試合が組まれない
2011年シーズンもアジア5カ国対抗から始動し、順当に4連覇を達成。続いて7月のパシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)ではサモアには敗れた[154] が、続くトンガを1点差で破る[155] と、最終戦となったフィジーにテストマッチとしては17年ぶりに勝利し[156]、得失点差により、ついに大会初優勝を果たした。
その後、8月13日のイタリア遠征で24-31で敗れたとはいえ、前半は17-14でリードして折り返した[157]。そして同月21日のW杯壮行試合のアメリカ戦は20-14で下し[158]、通常のテストマッチでは第二グループと称されるナショナルチームにはほとんど勝てるほどに日本のチーム力が向上していた。しかし、W杯以外のテストマッチでは、いわゆる強豪国、旧IRFBファウンデーションユニオン8か国[注 5]との対戦が全く組まれなかった。
- 2011年ワールドカップ「ハミルトンの失笑」
9月からのワールドカップ2011で、日本は、開催国ニュージーランド、フランス、トンガ、カナダと共にプールAに入った。カーワンは、前回W杯同様、主力選手と控え選手とを分けた戦略を使った[149][159]。
初戦9月10日のフランス戦では、一時は4点差まで詰め寄り日本のファンを期待させた[160] が、結局は21-47で完敗[161]。
2試合目は9月16日、ニュージーランド北島ハミルトン市のワイカト・スタジアムで行われた。開催国であり強豪のニュージーランドは、16年前のW杯「ブルームフォンテーンの悪夢」のときの相手だった。JKジャパンは、初戦メンバーから10人を入れ替えて主力選手を多数温存した[162][159]。その結果、相手の速い攻撃に終始防御を強いられ、前半に6トライ、後半に7トライを献上[163]。結局、本大会ワースト2位の得失点差である7-83で惨敗した[164][165]。16年前と同じく主力選手を使わない「ニュージーランド戦から逃げるような」[166]メンバー構成による大量トライ献上には、地元ニュージーランド人の観客で埋まる会場から大きな失笑が漏れるほどで[149]、ファンの間では現地の名前を冠して「ハミルトンの失笑」と呼ばれる汚点になった[166][149]。
その後の試合は、念願の2勝を目指したが、予選3試合目トンガ戦ではミスを連発した上に、日本の速い攻撃を完全に封じ込められて18-31と完敗[167][168]。
最後のカナダ戦も、前半に17-7でリードしながらも、後半終盤になってミスを連発、立て続けに得点を許し、23-23で2大会連続ドローとなってしまった[169]。結局、強豪国に対して主力選手を温存した作戦でも2勝はおろか、5大会連続勝利なしという結果に終わった[170]。
- 停滞JKジャパンの終焉
通常テストマッチで強豪国とは試合を組まず、W杯では2大会連続で主力選手を温存し強豪国相手には出さないカーワンの方針は、ファンを失望させ[149][166]、選手の強化機会を無くす結果になった[159]。太田治GMは「これでは強化が停滞してしまう」と、カーワン体制の5年間を総括した[159]。ラグビーライターの中尾亘孝はJKジャパンの5年間を「カネと時間だけを浪費した壮大な無駄」と辛辣に切り捨てた[166]。2007年のW杯では最終登録の外国人選手は5人だったが、2011年には倍の10人になっていたことも強く批判された[149]。同年10月13日、正式にカーワンの解雇が決まった[171]。
2012年~ エディージャパン
- 2012年
サントリーサンゴリアスのゼネラルマネージャーを3年間務めていたエディー・ジョーンズが、2012年から日本代表ヘッドコーチに就任[172]。前任者カーワンのチーム作りが、外国人への依存度が大きかった[149]という反省の意味もあり、3月19日に発表された代表メンバーは、当時外国人選手にけが人が続出という背景もあったが、当時日本国籍取得申請中のマイケル・リーチ以外は全て日本人選手で、ノンキャップ選手が13名というフレッシュな顔ぶれとなった[173]。主将には、5年振りの代表復帰となった廣瀬俊朗を任命した。
アジア5カ国対抗では、全チームに順当に勝利し、5連覇を達成。その後、パシフィック・ネイションズ・カップ (PNC)と、フレンチ・バーバリアンズを招待[注 7] して挑んだ。しかし、PNCではいずれも完敗の3戦全敗で最下位。また、フレンチ・バーバリアンズにも2連敗し、春シーズンを終えた。
11月にテストマッチ2試合を含めた欧州遠征を挙行。ルーマニア戦は34-23で下し、欧州で行われたテストマッチにおいて、ホームのチームに初めて勝利した[174]。さらにジョージア戦では、同点で迎えた試合終了直前にドロップゴールを決め、25-22と劇的な勝利を収めた[175]。この遠征から元フランス代表のマルク・ダルマゾがスクラムコーチに就任した[176]。
- 2013年 ウェールズに初勝利
2013年アジア5カ国対抗では、全チームに順当に勝利し、6連覇を達成。PNCでは、トンガとフィジーに連敗し、最終順位は5か国中、4位となった。
6月、ウェールズ代表の日本遠征により、国内では12年振りとなるウェールズとのテストマッチ2試合を行った。第1戦では18-22で惜敗[177]。第2戦では、前半は互いにPGのみで6-3でリード。後半には2トライを追加し、五郎丸歩は前後半あわせて5つのPK・GKを決め、23-8でウェールズ戦初勝利を挙げた[178]。
旧IRFBファウンデーション8か国[注 5]のチームに勝利したのは、宿澤広朗監督時代の1989年に秩父宮で行われたスコットランド戦以来のことである。当時試合をしたスコットランドは正式な代表ではなかったため、正代表に対しては史上初めての勝利だった。さらにPNCで組まれたカナダ戦とアメリカ戦にも勝ち、春のシーズンを終了した。
秋シーズンは、国内でニュージーランドと戦い、1トライも挙げることができずに敗れる[179]。その後、海外遠征を行い、スコットランド代表とイングランドのクラブチーム グロスター・ラグビーに敗れたが、ロシアとスペインには勝利した。
- 2014年
2014年4月8日、エディ・ジョーンズHCは、リーチマイケルをキャプテンに指名[180]。以後、W杯2大会、7年以上に渡りリーチは日本代表チームの顔となる[181]。
日本代表は、まずアジアと太平洋地区から選抜されたアジアパシフィックドラゴンズと対戦し、前半はリードするも後半に逆転されて29-35で敗れた[182]。
アジア5カ国対抗では全チームに順当に勝利し、7連覇を達成。「アジア地区1位」として、8大会連続となるワールドカップ2015への出場を決めた。
続くPNCでは、カナダ、アメリカに連勝し、アジア・パシフィック・カンファレンスで1位になる。その後イタリアと秩父宮で対戦し勝利。イタリアに6戦目にして初勝利を挙げ、テストマッチ10連勝を達成。世界ランキングが過去最高の10位となり[183]、春のシーズンを終了した。
DFコーチに香港ヘッドコーチだったリー・ジョーンズ、FWコーチにイングランド代表主将だったスティーブ・ボーズウィックが就任。
秋シーズンは、国内で2試合マオリ・オールブラックスと戦い、11月1日にノエスタで行われた第1戦は終始リードされて、21-61で完敗した[184]。翌週8日の秩父宮で行われた第2戦では前半5-15でリードされるも、後半五郎丸歩のPG2発などで逆転した。しかし37分に決勝トライを決められて、18-20で逆転負けを喫した[185]。しかし、世界ランキング上位国がテストマッチで敗北したため、一時、世界ランキングは過去最高の9位に浮上した[186][187]。
その後、海外でテストマッチを行い、ルーマニアに勝利した[188] が、ジョージアには敗れ[189]、1勝1敗でシーズンを終える。国代表ではないアジアパシフィックドラゴンズ戦、マオリ・オールブラックス戦はテストマッチではないため、ジョージアに敗れるまでテストマッチ11連勝だった。
2014年に行われた日本代表の強化合宿は合計114日だった。トップリーグが通常開催しているなか、この合宿日数は非常に多い[190]。
- 2015年、ワールドカップへ
アジア5カ国対抗の改編により発足した2015年のアジアラグビーチャンピオンシップで優勝。PNCではカナダに勝利した[191] が、アメリカ[192]、フィジー[193]、トンガ[194] に3連敗して4位で終えた。世界選抜戦も敗れた[195] が、ウルグアイには2試合とも勝利[196][197] し、ジョージアにも勝利した[198]。4月下旬には、日本代表応援キャラクターとして鉄腕アトムが発表された[199]。
イングランドで開催されるワールドカップ2015に向け、4月から8月までの5か月のうち、宮崎合宿が9回、計75日間行われた[200]。その合間に、上記の国際大会やテストマッチ、イングランド合宿、カナダ・アメリカ遠征が行われた[200]。9月1日にはイングランド入りし現地合宿を行い、ワールドカップ2015開幕を迎えた。
「ブライトンの奇跡」スポーツ史上最大の番狂わせ
現地時間9月19日、ラグビーワールドカップ2015のグループBの開幕戦として、イングランドの南東に位置するブライトン・コミュニティ・スタジアム(現 ファルマー・スタジアム)で、南アフリカ戦が行われた。W杯で過去2回優勝し、当時世界ランク3位の南アフリカ代表 (スプリングボクス)に、初対戦ながらラストプレーでWTBカーン・ヘスケスが挙げたトライにより34-32で逆転勝利した[201][202][203][204]。これにより南アフリカの世界ランキングは3位から6位に落ち、日本は13位から11位へ上昇した[34]。スプリングボクスから奪ったこの24年ぶりのW杯勝利は、日本国内および海外のメディアにより「ブライトンの奇跡」、「スポーツ史上最大の番狂わせ」、「W杯史上最も衝撃的な結果」と報じられ、社会現象を巻き起こした[205][206][207][208]。
9月23日、中3日のスコットランド代表戦では前半は7-12で折り返すが、SHグレイグ・レイドローの正確なキックに苦しめられるなど後半に立て続けにトライを重ねられ10-45で敗れた[209][210]。10月3日の第3戦でサモア代表に26-5で勝利し初のW杯1大会2勝目と通算3勝目を挙げた[211][212]。10月11日の第4戦でもアメリカ代表に28-18で勝利し[213][214]、大会3勝目通算4勝目を挙げるも、勝ち点で南アフリカとスコットランドを下回り、初の決勝トーナメント進出はならず、1次リーグ敗退は8大会連続になった[214]。W杯において3勝したチームが1次リーグ敗退となるのは史上初である[215]。国内外のメディアからは「最強の敗者」と形容された[216][208]。
日本代表の活躍は各メディアで話題になり、特に五郎丸歩がプレースキック前に行うルーティンは「五郎丸ポーズ」[217]として有名になった[218][219]。このブームについて五郎丸は、「個人が注目されることに違和感を覚える」と同時に、「僕がきっかけでラグビーを知ってもらえるだけでもありがたい」「2019年W杯に向けてラグビーの良さを発信する責任感も感じた」と語る[220]。
ラグビー日本代表のオフィシャル(公式)スポンサーの大正製薬は、選手・スタッフ全員に1人当たり100万円で合計5000万円の報奨金を贈呈すると発表した[221]。また、新聞・雑誌など様々なメディアから功績を表彰された。
次期監督の選考
ワールドカップ終了をもってジョーンズHCが退任 (退任自体はワールドカップ開幕前には決定していた)、後任にはスーパーラグビー・ハイランダーズのヘッドコーチを務めるジェイミー・ジョセフが就任することが決定した[222]。彼は1995年から2000年までサニックス(現・宗像サニックスブルース)に所属し、ラグビー日本代表としてワールドカップ1999に出場し9キャップを持つ[222][223]。
しかし、ジョセフは2016年シーズン終了までハイランダーズとの契約が残っており、日本代表には合流できないため、2016年度上半期のテストマッチについてはヘッドコーチに代行を立てた。
アジアラグビーチャンピオンシップはU-20代表HCを勤める中竹竜二が、カナダ戦とスコットランド戦の3試合はサンウルブズヘッドコーチを務めるマーク・ハメットが、HC代行として指揮を執った。
アジアラグビーチャンピオンシップは若手選手を中心としたチーム編成で臨み、香港・韓国を相手に4戦全勝で前年に続き優勝を果たした。続くカナダ戦は前年のワールドカップ組の半数を招集して臨み、26-22で辛くも逃げ切った。
帰国後のスコットランド代表戦は、13-26で敗れた。1週間後の味の素での第2戦は16-21の逆転負け。ハメットHC代行で臨んだテストマッチ3連戦は、1勝2敗で上期シーズンを終えた。
2016年~ ジェイミージャパン
- 2016年
9月になりジェイミー・ジョセフHCが正式に就任[224]。就任後の会見では、ジョーンズHCの手法を称えつつ、課題として「パワー」を挙げ、世界のラグビーの潮流に合わせ「キックのスキル」の必要性を強調。スーパーラグビーで実践してきた、キックやパントを用いて陣地を確保しFWのアタック力とBKの俊敏な展開をもって突破していく「キッキングラグビー」を代表チームに取り入れることを宣言[224]。トップリーグの視察を繰り返した上で代表選手を選考し、その後に短期合宿を2回行った上で11月のテストマッチに備えた。
また、10月にはチームテーマに「ONE TEAM」を掲げた[225]。
秩父宮ラグビー場で行われたランキング4位アルゼンチン戦では、20-54で完敗。翌週からはヨーロッパ遠征となり、ランキング11位 (日本は1つ下の12位)ジョージア戦では、22-18でジョセフHC体制での初勝利を挙げた。その翌週のランキング6位ウェールズ戦は7万人を超える大観衆の中で行われ、互角の戦いを行い、30-33の僅差で敗れた。年度最終フィジー戦では、レッドカード退場で1人少ないフィジー相手に25-38で完敗。ジェイミージャパン1年目のテストマッチ4連戦は、1勝3敗で終わった。
- 2017年
年初の会見でジョセフHCは、今後はサンウルブズを中心にした代表強化を進めていく考えを打ち出すとともに、サンウルブズが海外で試合をする際は、遠征に参加しない選手を自ら指導するなどで若手を育成していく方針も明らかにした[226]。
アジアチャンピオンシップは全勝で優勝。6月に強化試合でルーマニアとアイルランドと対戦し、ルーマニアに勝利、アイルランドに2連敗した。
秋シーズンでは、世界選抜戦において27-47で敗れる。11月4日に日産スタジアムで行われたオーストラリア戦でも30-63で敗れたが、国内開催ラグビーテストマッチ史上最多43,621人の入場者数を記録した[227]。フランス遠征でトンガに39-6で勝利、フランスとは23-23で引き分けた。
- 2018年
6月は国内でイタリア(1勝1敗)[228][229]、ジョージアに勝利[230]。10月に国内での世界選抜戦[231] とニュージーランド戦[232] で敗れた。
11月3日に味の素スタジアムで行われたニュージーランド戦でも31-69で大敗したが[233]、国内開催ラグビーテストマッチで史上最多43,751人となり、入場者数の記録を1年ぶりに更新した[234][227]。続く11月のイングランド遠征では、イングランドに15-35で敗れ[235]、ロシアに32-27で勝利した[236]。CTB中村亮土は、イングランド戦で2トライして前半15-10[237]で日本がリードしたことで、日本代表の成長を強く実感したという[238]。
11月1日、B’z「兵、走る」(つわもの、はしる) が「リポビタンD ラグビー日本代表応援ソング」としてリリース[239]。以降、ワールドカップ2019の日本代表試合会場で流れた[240][241][242]ほか、2022年に至るまで選手入場時やハーフタイム、試合後などに日本代表戦の会場で流れている[243]。
- 2019年
ワールドカップ2019の前哨戦となったパシフィックネーションズカップではフィジー[245]、トンガ[246]、アメリカ[247] の3か国に勝利して優勝。8月29日にW杯最終登録メンバーを発表[248]。9月6日に熊谷でW杯前最後のテストマッチを行ったが、南アフリカに7-41で敗れ[249] W杯前最後のテストマッチを勝利で飾ることはできなかった。
ワールドカップ初の決勝トーナメント進出
ホスト国として挑んだワールドカップでは、9月20日の開幕戦・予選プール1戦目においてロシアと対戦。序盤、日本のプレーには硬さが見られ、ハイパントの処理ミスからロシアに先制トライを許したが、松島幸太朗の2トライで逆転に成功し12-7で前半を終える。後半もピーター・ラブスカフニと松島のハットトリックとなるトライで突き放した日本が30-10で快勝を収める[250][251]。
2戦目(9月28日)は、ランキング9位の日本と、ランキング2位の強豪アイルランドとの試合(いずれも試合前の順位)。前半にアイルランドに2トライを許したものの、3本のペナルティゴールで9-12と接戦に持ち込むと、後半に福岡堅樹のトライにより逆転し、相手を無得点におさえ、19-12で勝利した[252][253]。アイルランドには、通算10戦目にしての初勝利となった[254]。イギリスBBCは「アイルランドの崩壊、日本の歴史的勝利」と報道した[255]。これにより、9月30日付のワールドラグビーランキングにおいて、日本は8位となった[256]。
3戦目(10月5日)はサモアと対戦し、38-19で勝利[257][258]。4トライ獲得によるボーナスポイントによりA組3位以内が確定し、次回2023年フランス大会の出場権を得た[259]。
予選プール最終戦となる4戦目(10月13日)は、前回大会で唯一敗戦を喫した強豪スコットランドと対戦。序盤にスコットランドに先制トライを許したが、日本は3トライをあげ前半を21-7とリードして終える。後半開始早々42分に福岡のトライで28-7とリードを広げたが、スコットランドも49分、54分に立て続けにトライを奪い28-21と7点差に迫った。しかしその後日本はスコットランドの猛攻を凌ぎ28-21で勝利した[260][261]。スコットランドの地元紙ザ・スコッツマンの記者アラン・マッシーは、「この試合はどんな勝利よりも記憶に残る試合だ」とし、「スコットランドの負けを嘆くよりも日本を称えよう」と述べた[262]。これにより、10月14日付のワールドラグビーランキングにおいて、日本は7位となった[263][256]。
予選プール1位通過で、史上初の決勝トーナメント進出を決めた。ティア2の国[264] が予選プール全勝で1位となるのはワールドカップ史上初のことである。なお、10月19日にはオーストラリアの敗戦により、わずか一日だけ、日本が入れ替わってランキングが史上最高の6位となっていた[36][37]。
準々決勝は10月20日にプールB2位通過の南アフリカと対戦。前半は3-5と接戦で折り返したが、後半に2つのトライを奪われるなど突き放されて3-26で敗れ[265][266]、ワールドカップ史上初のベスト8で大会を終えた。南アフリカ戦直後から大会終了まで、日本のランキングは8位となった[256]。
ワールドカップ後、ジェイミー・ジョセフの続投が決定[267][268]。しかし依然として外国人(ハーフ含む)の選手が多い事に対する批判があるという[6]。
12月11日、選手とスタッフの全51人に対して、日本代表公式トップパートナーの大正製薬は、報奨金として1人当たり200万円を贈呈すると発表し[269]、提供ユニフォームであるカンタベリーオブニュージーランドのブランドを持つゴールドウインは、1人当たり100万円を贈ることを発表した[270]。日本ラグビー協会からは事前の規定どおり8強入りの報奨金100万円ずつが選手とスタッフ全51人に贈られる[271]。これにより、1人当たりの報奨金は合計400万円となった[272]。
12月11日、東京都千代田区の丸の内仲通りで、晴海通りから御幸通りまでの800メートル[273] にわたり日本代表28人[注 8]が歩いてパレードを行った[274][275][276][277]。平日ながら約5万人(主催者発表)の観衆が集まった[278][279]。正午から始まったため、この模様は地上波テレビ各局のニュースや情報バラエティ番組、BSテレビ局J Sports、Ameba TVやニコニコ生放送などのネット配信などで生中継された[280][281][282][283]。
大会終了後は、様々なテレビ番組やCMに出演[284][285]。年末の第70回NHK紅白歌合戦には19人[注 9]でゲスト出演し、後半冒頭でチームソング「ビクトリーロード」をアカペラで司会者や観客と共に合唱[286]、番組終盤近くで松任谷由実は日本代表メンバーが見つめる中、W杯を振り返る映像をバックに「ノーサイド」をテレビ初歌唱した[287][288]。
2020年 コロナ禍による長期停滞
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、6~7月のウェールズ戦とイングランド戦[289]、11月のスコットランド戦とアイルランド戦が、次々と中止になった[290]。秋に招待されていた欧州のオータム・ネーションズカップは、コロナ禍で南北半球のラグビー交流が不可能であることを受けて計画された[291]一度限りの国際大会だったが、感染リスクと準備期間の不足を理由に辞退した[292][293]。2020年はテストマッチがまったく行えず、日本のワールドラグビーランキングはアルゼンチンとスコットランドに次々と抜かれ、ポイント数が変わらぬまま8位から10位に落ちた。
ジェイミー・ジョセフHCは、候補選手を50人ほどリストアップし、個別の調整メニューを配布して秋の試合に備えていた[292]。リーチマイケルはこの期間中に関節の手術を済ませた[294]。日本ラグビー協会は南半球での試合開催も模索したが、世界中で新型コロナウイルス感染者が増えるなか、政府筋から海外遠征を諦めるよう警告を受けたという[293]。
12月14日、ラグビーワールドカップ2023において、日本はイングランド、アルゼンチン、オセアニア地区1位、アメリカ地区2位と共にプールDに組み分け抽選された[295]。2021年7月、オセアニア地区1位にはサモアが決まった[296]。アメリカ地区2位については、現地時間2022年7月16日、アメリカ合衆国を破ったチリに決まった[297][298]。
2021年 再始動するもティア1に全敗
ワールドカップ2019終了以来、1年半ぶりの4月12日、2021年度日本代表候補選手とチームスタッフが発表され[299]、6月からの試合に向けて再始動した。
6月12日のサンウルブズとの強化試合[300]で、日本代表側はキャップ非対象チーム「JAPAN XV(ジャパンフィフティーン)」として戦った。2020年に解散していたサンウルブズは、この試合のために日本代表候補選手から9人[301]、新たな選手を数人加えて[302] 再結成[303]、JAPAN XVが32-17で勝利した[304][305]。6月からのヨーロッパ遠征で、1年8か月ぶりのテストマッチ。6月26日に、ブリティシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズと対戦[306][307][308]。10-28で敗れた[308][309] [310][311]。続く7月3日にアイルランド戦では31-39で敗れた[312][313][314]。
10月2日、ピーター・ラブスカフニがキャプテンに指名[315][181][316]。10月23日、2年ぶりの国内開催テストマッチとなるオーストラリア戦でも23-32で敗れた[317][318][319][320]。
秋のヨーロッパ遠征3連戦では、初戦11月6日アイルランド戦で相手の圧倒的なボールキープ力に翻弄され、9トライを取られ、5対60と大敗した[321][322][323]。ワールドカップ2019後からこの対戦までの2年間に、日本は国際試合を3試合しかしていないのに対し、アイルランドは16試合も行ってきており、コロナ禍における日本代表の停滞を如実に示す結果にもなった。遠征2戦目11月13日のポルトガル戦[324]では、日本側がディフェンスでの反則が多く、苦戦し38-25で辛勝[325][326]。3戦目11月20日のスコットランド戦では[327]4トライを奪われ、日本のトライは1つのみで20-29で敗れた[328][329][330]。
結局、2021年はティア1[注 10]の国に全敗[331][332]。ワールドカップ2019以降、日本のティア1入りが期待されていた[333][334][335]が、ワールドラグビーからの正式発表は無く[332]、日本は依然ティア2のままである。
ヨーロッパ遠征中の日本代表から、バーバリアンズのメンバーに中村亮土、垣永真之介、堀越康介、小瀧尚弘、の4名が選ばれた。イングランドのトゥイッケナム・スタジアムでサモア代表と2021年11月27日に対戦予定だったが[336][337]、バーバリアンズ内で新型コロナウイルス陽性者が発生し、中止となった[338]。
2022年「Our Team」
5月20日、ワールドカップ2023大会組織委員会は、フランスにおける日本の公式ベースキャンプ地がトゥールーズになると発表した。トゥールーズは、日本代表が初戦と第3戦で対戦を行う都市である[339]。
リーグワン初年度が終わった[340]5月31日、日本代表は選手層の厚みを増す目的で2チームに分かれ、日本代表チーム34名とNDSチーム34名、そして各チームのスタッフが発表され、それぞれ合宿入りした[341]。ジョン・ミッチェルがアシスタントコーチに加わる[342]。
6月18日に秩父宮ラグビー場で、NDSチームが日本代表(キャップ対象試合)としてウルグアイ代表と戦い34-15で勝利した[343]。試合後、NDSチームは解散[344]。6月25日ミクニワールドスタジアム北九州でのウルグアイ戦(第2戦)は、日本代表チームが臨み、HO坂手淳史が初めてキャプテンとなった[345]。43-7で圧勝[346]。
7月2日のフランス戦(第1戦)は約5年ぶり。ランキング2位のフランスに対し、10位の日本代表は、試合の数日前に主要選手4名が新型コロナウイルス陽性になるなどしてメンバー構成を大きく変えて臨み[347]、フランス代表は1桁キャップが先発15人中6人という「1.5軍」の編成だった[348]。豊田スタジアムで気温35度の猛暑のなか[349]、前半は13-13と互角だったものの、後半は4トライで突き放され、23-42で敗れた[350]。
7月9日に、フランス戦の第2戦が気温31度超え[351]の国立競技場で行われ、前半15-7でリードしたが、後半の終盤には逆転され15-20で惜敗[352]。この試合では、国内開催ラグビーテストマッチ史上最多57,011人の入場者数となり、4年ぶりに記録を更新した[353][354][227]。
7月16日にワールドカップ2023アメリカ大陸第2代表がチリに決まり、同大会で日本との初戦相手となる[297][298]。
9月4日から18日まで52名で別府合宿[355]、9月18日から10月27日まで41名で宮崎合宿[356]を、それぞれ断続的に行った[357]。
6月合宿時からチーム内で使っていたチームスローガン「Our Team」[358]を、9月に正式発表した[359][360][361][362]。
10月1日から3週にわたり、日本代表候補メンバーの中から編成のセカンドシニア代表チーム「JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)」が、強化を目的に、オーストラリア代表のセカンドチーム「オーストラリアA代表」と日本国内で3連戦した(キャップ非対象)[363]。1戦目は22-34で敗れ[364][365]、2戦目は21-22で敗れた[366][367]。3戦目は双方トライを重ねたが、日本が終始リードするペースで展開し、52-48で勝利した[368][369]。
その後、ニュージーランド、イングランド、フランスとの強豪国テストマッチ3連戦を行った。
10月29日のニュージーランド戦は4年ぶり7回目。会場となる国立競技場の入場者数は65,188人で、ラグビー国内開催テストマッチだけでなく国立競技場改築後のイベントとしても、最多入場記録を更新した[370][371]。日本は終始積極的に攻め、前半は17-21と接戦に。後半は途中ニュージーランドが1人退場する中、終了近くまで4点差を維持。しかし終了直前にPGを決められ31-38の惜敗となった。通算7敗目となったものの、対ニュージーランド戦で歴代最少の点差であり、続くヨーロッパ遠征に期待できる善戦だった[372][373]。
そして、11月12日にロンドントゥイッケナムスタジアム8万1087人の観衆の中で、イングランド代表と4年ぶりに対戦。反則を多くとられたほか、ハイボール処理やハンドリングのミスが続き、攻守とも精彩を欠いた。前半はトライできず6-24。後半に1TGを返したのみで、13-52で大敗した[374][375][376][377]。藤井雄一郎ナショナルチームディレクターによると、試合後に日本側はレフリーの判定について確認を入れ、日本に不利となる8つのジャッジミスが明らかになったという[378]。試合中のレフリーとのコミュニケーションの重要性が浮き彫りになった。
11月20日にフランストゥールーズ(スタジアム・ド・トゥールーズ)で、フランス代表と7月に続き、この年3回目の対戦をした[379]。日本の反則多発と、フランスの攻撃力で、前半3-21と苦戦。後半は2TGの反撃をしたが、終始フランスが巧みなプレイで翻弄し17-35で敗れた[380][381][382]。
強豪国に勝利できない状態について、ジョセフHCは「この期間はベースキャンプという形でたとえている。W杯に向けては、いい方向に向かっていると思う」と総括した[383]。12月17日から2023年5月14日までは国内リーグ「リーグワン」があり、日本代表が再集結するのは2023年5月20日の予定[383]。9月8日にはワールドカップ2023が開幕、日本の初戦は9月10日のチリ戦となる。
歴代ヘッドコーチ(HC)・監督
役職 | 名前 | 就任期間 | 出身大学 | 在任中の主な大会など |
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監督 | 香山蕃 | 1930年-1934年 | 東京 | |
監督 | 北島忠治 | 1936年 | 明治 | |
監督 | 奥村竹之助 | 1952年-1953年 | 京都 | |
監督 | 北島忠治(2) | 1956年 | 明治 | |
監督 | 西野綱三 | 1958年 | 早稲田 | |
監督 | 知葉友雄 | 1959年 | 明治 | |
監督 | 和田政雄 | 1959年 | 明治 | |
監督 | 葛西泰二郎 | 1963年 | 九州 | |
監督 | 大西鐡之祐 | 1966年-1971年 | 早稲田 | |
監督 | 岡仁詩 | 1972年 | 同志社 | |
監督 | 横井久 | 1972年 | 早稲田 | |
監督 | 斎藤寮 | 1974年 | 明治 | |
監督 | 岡仁詩(2) | 1975年 | 同志社 | |
監督 | 日比野弘 | 1976年 | 早稲田 | |
監督 | 横井久(2) | 1976年 | 早稲田 | |
監督 | 斎藤寮(2) | 1976年-1978年 | 明治 | |
監督 | 宮地克実 | 1978年 | 同志社 | |
監督 | 横井久(3) | 1978-1979年 | 早稲田 | |
監督 | 今里良三 | 1979年 | 中央 | |
監督 | 山本巌 | 1980年 | 早稲田 | |
監督 | 斎藤寮(3) | 1980年-1981年 | 明治 | |
監督 | 山本巌(2) | 1982年 | 同志社 | |
監督 | 日比野弘(2) | 1982年-1984年 | 早稲田 | |
監督 | 宮地克実(2) | 1984年 | 同志社 | |
監督 | 岡仁詩(3) | 1985年-1986年 | 同志社 | |
監督 | 宮地克実(3) | 1987年 | 同志社 | WC1987 |
監督 | 日比野弘(3) | 1987年-1988年 | 早稲田 | |
監督 | 宿澤広朗 | 1989年-1991年 | 早稲田 | WC1991 |
監督 | 小藪修 | 1992年-1995年 | 同志社 | WC1995 |
監督 | 山本巌(3) | 1996年 | 早稲田 | |
監督 | 平尾誠二 | 1997年-2000年 | 同志社 | WC1999 |
監督 | 向井昭吾 | 2001年-2003年 | 東海 | WC2003 |
監督 | 萩本光威 | 2004年-2005年 | 同志社 | |
HC | ジャン=ピエール・エリサルド | 2005年-2006年 | ||
HC | 太田治 | 2006年 | 明治 | 暫定HCとしてGMと兼任 |
HC | ジョン・カーワン | 2007年-2011年 | De La Salle College (NZ) | WC2007、WC2011 |
HC | エディー・ジョーンズ | 2012年-2015年 | シドニー(AUS) | WC2015 |
HC | ジェイミー・ジョセフ | 2016年- | オタゴ(NZ) | WC2019 |
ゼネラルマネージャー(GM)
2005年から、選手への現場コーチングに専念するヘッドコーチ(HC)制を導入し、当時海外で一般的になった分業体制に移行した。
ゼネラルマネージャー(GM)は、HCとは異なり、現場でのコーチングには関わらないものの業務範囲は広く、男子15人制チームだけでなく、女子15人制チーム、男女の7人制チームといった、すべての日本代表チームを統括する役職だった[384]。
GMは2005年8月6日付けで設置され[385]、2017年1月17日をもって廃止された[386]。2017年からは、各日本代表チームごとに強化委員長を置くことになった[384]。
役職 | 名前 | 就任期間 | 出身大学 | 在任中の主な大会 |
---|---|---|---|---|
GM | 太田治 | 2005年-2012年 | 明治 | WC2007、WC2011 |
GM | 岩渕健輔 | 2012年-2017年1月17日 | 青山学院 | WC2015 |
強化委員長・ナショナルチームディレクター
2021年4月から、強化委員長はナショナルチームディレクターに変わった。
役職 | 名前 | 就任期間 | 出身大学 | 在任中の主な大会 |
---|---|---|---|---|
強化委員長 | 薫田真広 | 2017年1月18日[384]-2019年8月28日 | 筑波 | |
強化委員長 | 藤井雄一郎 | 2019年8月29日[387]-2021年4月11日 | 名城 | WC2019 |
ナショナルチームディレクター | 藤井雄一郎 | 2021年4月12日[388]- | 名城 |
ジャージの変遷
桜のエンブレムと赤白ストライプ
図では省略されているが、いずれも、左胸部分に桜のエンブレムが入っている[389]。ファーストジャージの赤白ストライプは伝統的な柄であり、途中2003年から2014年までの大きなデザイン変更期でも、一部に赤白ストライプが使われている[389]。2003年版から、左袖に日の丸(日本国旗)が入る[390]。2015年版から、ショーツの右もも正面にも桜のエンブレムが入る[391]。
1930年にカナダへ初の海外遠征が行われ[43]、日本代表ジャージが作られた。その初戦は9月1日、スタンレー・パーク競技場での全バンクーバー戦[43]。ジャージの左胸には「つぼみ、半開き、全開」の3弁の桜がデザインされていた[392][393]。現在のような3弁とも全開したデザインは、1952年10月1日 東大阪市花園で行われたオックスフォード大学戦[394] からである[395]。
カンタベリーが提供
1982年のジャージは、スズキスポーツ製であることが分かっている[396]。
ワールドカップ第1回(1987年)から第3回(1995年)までは、セプター製だった[397]。
1997年からはカンタベリーが提供[398]。1999年以降、ワールドカップ開催年の春から夏にかけてリニューアルされている[398][399][400][401][402]。日本ラグビー協会では「ファーストジャージ/セカンドジャージ」と呼ぶ[403]が、そのレプリカジャージを一般販売するカンタベリーでは「ホームジャージ/オルタネイトジャージ」という商品名にしている[404]。
1999年版は綿55%、ポリエステル45%と重かったが、2003年からはポリエステル100%となった[405]。襟(えり)は、2007年版から折り返せないほど小さくなっていき、2015年版から完全に無くなった[406]。
2015年版は、2002年以来のストライプ主体の原点回帰。ストライプは幅の変化やカーブをつけ、スピード感など錯視効果を持たせている。ショーツとソックスの背面から側面にかけて、ファーストジャージでは赤い曲線、セカンドジャージでは青い曲線を配置[391]。選手用は、FW1列目とそれ以外とで、型紙が異なる[398]。
2019年版は、赤白ストライプ(セカンドジャージは紺と青のストライプ)の間にゴールドを配色した[407]。正面は谷型ストライプで上体を大きく見せ、背面は山型ストライプで背後から追う敵に遠く見せる効果を持たせている[408]。ショーツの背面に赤い直線(セカンドジャージは青い直線)を配置し、ソックスは無地となった[403]。選手用ジャージは、布の強度の違いなどで、FW1列目用、FW2~3列目用、BK用の3種類がある[408][409]。
セカンドジャージの着用機会
ラグビーでは、原則としてホームやアウェイに関係なく、両チームとも第一候補であるファーストジャージを着用する[410][411]が、相手チームとまぎらわしい場合、話し合いで片方あるいは両方のチームが、第二候補としてのセカンドジャージを着用する[410]。
日本代表の試合では、相手ジャージが赤または白が主体の場合に、セカンドジャージが選択されることが多い。
逆に、自国を訪問してくれた相手チームの負担軽減や敬意を表す意味で、ホームチームがセカンドジャージを着るという判断もある[412]。2018年イングランド戦[413]や2021年秋のアイルランド戦[414]では、ホームのイングランドやアイルランドがセカンドジャージを着用し、日本はファーストジャージだった[415]。
2017年フランスにおいて、赤いファーストジャージのトンガとの対戦[416]で、日本はセカンドジャージを着用[417][418]。2019年に日本国内(花園)で行ったトンガ戦[419]では、両チームともセカンドジャージ(トンガは白)を着用した[420]。ワールドカップ2019(日本大会)のロシア戦では、ロシアが えんじ色のファーストジャージではなく、紺色のセカンドジャージを着用。2021年11月13日のポルトガル戦[324]では、ホームのポルトガルが赤いファーストジャージ、日本がセカンドジャージを着用した。
ファーストジャージ
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セカンドジャージ
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キャップ数 トップ10
日本代表選手として実際にテストマッチや国際大会の試合でプレイした選手には、キャップが与えられる。初キャップ対象者には小さな赤い帽子を与え[421]、2キャップ目からは星型の刺繍がされたワッペンを与えて帽子に縫い付けていく[422]。帽子には選手固有の通し番号が刺繍されている[422]。リザーブ(控え選手。英語では Replacements あるいは Substitutes)として出場していても、試合でプレイしなかった選手には与えられない。
大野均は、2004年5月16日韓国戦で初キャップ[423]、その12年後の2016年6月25日スコットランド戦[424]で日本代表最多98キャップを獲得し、2020年に現役引退[425]。最多キャップ記念セレモニーが2021年6月に行われた[426]。
トンプソンルークは、2019年10月20日ワールドカップ2019準々決勝の南アフリカ戦において、38歳6か月4日で出場し71キャップ目を獲得。日本代表の最年長キャップ獲得者になった[425]。
名前 | キャップ数 | 主なポジション | 所属 | W杯出場大会 |
---|---|---|---|---|
大野均 | LO | 東芝 サンウルブズ |
WC2007 WC2011 WC2015 | |
小野澤宏時 | WTB | サントリー | WC2003 WC2007 WC2011 | |
元木由記雄 | CTB | 神戸製鋼 | WC1991 WC1995 WC1999 WC2003 | |
畠山健介 | PR | サントリー ニューカッスル |
WC2011 WC2015 | |
リーチマイケル | FL | 東芝 チーフス サンウルブズ |
WC2011 WC2015 WC2019 | |
田中史朗 | SH | パナソニック ハイランダーズ サンウルブズ キヤノン |
WC2011 WC2015 WC2019 | |
トンプソンルーク | LO | 近鉄 サンウルブズ |
WC2007 WC2011 WC2015 WC2019 | |
田村優 | SO | NEC サンウルブズ キヤノン |
WC2015 WC2019 | |
菊谷崇 | FL/NO.8 | トヨタ自動車 キヤノン |
WC2011 | |
堀江翔太 | HO | パナソニック レベルズ サンウルブズ |
WC2011 WC2015 WC2019 |
※太字は現役選手、所属はキャップ獲得時
2022年11月21日現在。
表彰
- ラグビー関連団体による表彰
- ワールドラグビーアワード2015 ラグビーワールドカップベストマッチモーメント賞 受賞(対 南アフリカ RWC2015)[427]
- ワールドラグビーアワード2015 年間最優秀チーム賞 ノミネート[428]
- その他
- Sports Graphic Number「第8回Number MVP賞」(1989)[75][76]
- 読売新聞社・第65回日本スポーツ賞・特別賞(2015)[429]
- 毎日スポーツ人賞・グランプリ (2015)[430]
- 報知プロスポーツ大賞 特別賞(2015)[431]
- Sports Graphic Number「第34回Number MVP賞」(2015)[432]
- 読売新聞社・第69回日本スポーツ賞・グランプリ(大賞)(2019)[433]
- 毎日スポーツ人賞・グランプリ(2019)[434]
- 報知プロスポーツ大賞 特別賞(2019)[435]
- 第67回菊池寛賞(2019)[436]
- Sports Graphic Number「第38回Number MVP賞」(2019)[437]
- DIMEトレンド大賞2019 特別功労賞(ラグビー日本代表/日本ラグビーフットボール協会の連名で受賞)[438]
- 2019年ユーキャン新語・流行語大賞 大賞「ONE TEAM」[225][439][440]
- 日本スポーツマンシップ大賞(2019)[441]
- デイリースポーツ 2019年度ホワイトベア・スポーツ賞 特別賞[442]
パートナー・スポンサー・サプライヤー
- トップパートナー:大正製薬[119]
- 男子日本代表オフィシャルパートナー:東芝、三井住友銀行、セコム、カンタベリー
- 男子日本代表オフィシャルスポンサー:三菱地所、ヒト・コミュニケーションズ、キヤノン、アサヒビール
- 日本代表オフィシャルサポーター:JTBスポーツ、凸版印刷、KASHIYAMA、Mastercard[443]
- サプライヤー:GILBERT、ザバス、アサヒ飲料、日の丸自動車興業[444]
(2022年11月21日現在)
メディア
視聴率
ラグビーワールドカップ2015(イングランド大会)
いずれもビデオリサーチ社による関東地区の世帯視聴率。一部、不明部分がある。
放送日 | 放送時間 | 放送分数 | 放送局 | 試合 | 対戦相手 | 放送形態 | 平均視聴率 | 瞬間最高視聴率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2015年9月20日(日) | 0:00~2:55[445] | 175分 | NHK BS1 | 予選1 | 南アフリカ戦 | 生中継 | 0.8%[446] | - |
2015年9月20日(日) | 13:15~15:00 | 105分 | 日本テレビ | 予選1 | 南アフリカ戦 | 録画放送[447] | 4.9%[448] | - |
2015年9月23日(水) | 22:15~24:25 | 130分 | 日本テレビ | 予選2 | スコットランド戦 | 生中継 | 15.0%[449][450] | 20.3%[449][450] |
2015年10月3日(土) | 22:15~24:35 | 140分 | 日本テレビ | 予選3 | サモア戦 | 生中継 | 19.3%[451][452] | 25.2%[451] |
2015年10月12日(月) | 3:45~5:00 | 75分 | 日本テレビ | 予選4 | アメリカ戦(前半) | 生中継 | 3.3%[453] | - |
2015年10月12日(月) | 5:00~5:55 | 55分 | 日本テレビ | 予選4 | アメリカ戦(後半) | 生中継 | 5.2%[453] | 6.8%[453] |
2015年10月12日(月) | 2:50~6:10[454] | 200分 | NHK BS1[453] | 予選4 | アメリカ戦 | 生中継 | - | - |
予選第1試合 南アフリカ戦を生中継したNHK BS1での0.8%は、同時間帯の前4週の平均視聴率0.3%を0.5ポイント上回る、異例の高視聴率であるとNHKは分析した[446]。
予選第4試合の日本テレビでのアメリカ戦中継は、ビデオリサーチの1日の視聴率測定が午前5時で切り替わるため、前後半にデータが分かれた[453]。なお、前後半を通した最高視聴率は、後半の時間帯での6.8%である[453]。NHK BS1でも生中継があった[453][454]が、視聴率の出典が見つからない。
有料BS局J SPORTSではワールドカップ2015の全試合を生中継した[455]。
ラグビーワールドカップ2019(日本大会)
ラグビーワールドカップ2019では、日本国内開催および日本代表の快進撃により、日を追うごとに視聴者が増加していき、以下のように記録的な高視聴率をおさめた(ビデオリサーチ社による関東地区の地上波テレビ 世帯視聴率[456][457])。
準々決勝の南アフリカ戦の平均視聴率41.6%は、2019年の全番組で1位だった[456][457][458][459]。また、決勝トーナメントへの出場(ベスト8)をかけた予選第4試合スコットランド戦39.2%は、2019年の全番組で2位[456]。
放送権を持つ日本テレビとNHKは、ネット配信サービス(NHKプラス、TVer)や再放送などで見逃し視聴者への対応を行った。この他に、有料BS放送J SPORTSによるワールドカップ全試合の生中継や時間差放送、再放送があった[460]。
放送日 | 放送時間 | 放送分数 | 放送局 | 試合 | 対戦相手 | 放送形態 | 平均視聴率 | 瞬間最高視聴率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019年9月20日(金) | 18:00~21:50 | 230分 | NHK BS1 | 予選1 | 開会式・ロシア戦 | 生中継 | - | - |
2019年9月20日(金) | 18:25~19:30 | 65分 | 日本テレビ | - | 開会式 | 生中継 | - | - |
2019年9月20日(金) | 19:30~21:54 | 144分 | 日本テレビ | 予選1 | ロシア戦 | 生中継 | 18.3%[457] | 25.5%[461] |
2019年9月28日(土) | 15:40~18:41 | 181分 | NHK総合 | 予選2 | アイルランド戦 | 生中継 | 22.5%[457] | 28.9%[461] |
2019年10月5日(土) | 19:15~21:34 | 139分 | 日本テレビ | 予選3 | サモア戦 | 生中継 | 32.8%[457] | 46.1%[461] |
2019年10月5日(土) | 22:00~23:50 | 110分 | NHK BS1 | 予選3 | サモア戦 | 録画放送 | - | - |
2019年10月13日(日) | 19:30~21:40 | 130分 | 日本テレビ | 予選4 | スコットランド戦 | 生中継 | 39.2%[457] | 53.7%[461] |
2019年10月13日(日) | 22:00~23:50 | 110分 | NHK BS1 | 予選4 | スコットランド戦 | 録画放送 | - | - |
2019年10月20日(日) | 19:10~21:50 | 160分 | NHK総合 | 準々決勝 | 南アフリカ戦 | 生中継 | 41.6%[457] | 49.1%[461] |
ラグビーワールドカップ2019は、前大会で話題を集めた五郎丸歩選手が不在のため、視聴率は大苦戦するという予想もあった[462]。しかしこのような高視聴率を獲得した原因を、テレビ評論コラムニストの木村隆志は、「『ルールがわからない』『ほとんど選手を知らない』という“にわかファン”の多さ」[463]と、彼らが「自ら『私、“にわか”だから』と公言して楽しむ」[464]ことができたからだと考察している[465]。さらに4つの要因として
- 日本代表の躍進が、劇的なシーンの連続で、新たなファン層を掘り起こした
- 日本代表選手たちが頻繁に発するコメント「選手・スタッフ・応援する人々によるONE TEAM」[466]が、人々の心に響いた
- 40億人が視聴する[467]ラグビーワールドカップというビッグイベントが、日本ではなじみが薄いながらも国内開催で、新鮮だった
- 6月に池井戸潤の小説『ノーサイド・ゲーム』が出版され、それをテレビドラマ化して7月からW杯開幕5日前まで放送し話題となった[468]TBSテレビのアシスト[469][470]
を挙げている[465]。またメディアアナリストの鈴木祐司も、にわかラグビーファンがラグビーの歴史を変えたと考察している[470][471]。ビデオリサーチ社の柿倉樹は、ドラマ『ノーサイド・ゲーム』がラグビー応援ムードを醸成し、予選第2試合アイルランド戦の内容が「にわかファン」に火をつけたと分析している[457]。
流行語「にわかファン」
ワールドカップ2019において、「にわかファン」だと肯定的に自称する[464]多くの新しいファンの存在が、大会成功の一因だと日本ラグビー協会も歓迎している[472]。
「にわかファン」という言葉は流行語にもなり、大賞となった「ONE TEAM」と共に、2019年の新語・流行語大賞にノミネートされた[473]。他に、姫野和樹の得意技としての「ジャッカル」[474]、稲垣啓太のニックネーム「笑わない男」[475]、ワールドカップ2019のキャッチコピー「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」[476]もノミネートされ、2019年はラグビーの話題で盛り上がった年だった。
三省堂書店「辞書を編む人が選ぶ今年の新語2019」においては、初心者を歓迎する文脈で使われた[477]「にわか」が2位に選定された[478]。
テレビCM
(選手個人の出演ではなく、日本代表チーム全体をイメージしたCM)
- 大正製薬「リポビタンD」(2011年8月20日 - )[479][480][481][482][483][484][485][486][487][488][489][490][491]
- 三菱地所 企業広告(2019年7月29日 - )[492][493][494][495][496][497][498]
- 東芝 企業広告 「ラグビー日本代表 桜のエンブレム」編(2022年4月9日 - )[499][500]
- カンタベリージャパン「Be TOUGH」編(2022年4月1日 - )[501]
- 三井住友銀行 企業広告「ラグビー日本代表 挑戦と継承」篇(2019年9月20日 - 2019年10月)[502][503]
- J SPORTS × JAL (2015年8月1日 - 9月) JAL機内上映およびJ SPORTSホームページ公開限定[455]
脚注
注釈
- ^ 海外のメディアでは古くから、エンブレムから「チェリー・ブロッサムズ」と呼ばれていたが、2003年ワールドカップにおいてスコットランド代表相手に対しての健闘を、地元オーストラリアの新聞が「BRAVE BLOSSOMS」と形容したことが英語圏において広まった。 BRAVE BLOSSOMSとは ラグビー日本代表
- ^ 一例として、ワールドカップ2019で日本と戦ったスコットランドの先発メンバー15人のうち5人は、スコットランド以外の出身である。南アフリカ2人、オーストラリア・ニュージーランド・イングランド各1人。-- ラグビーワールドカップ2019_日本代表#第4試合(スコットランド戦)
- ^ 2015年、東京都にて日本代表対オーストラリア学生代表戦(1934年2月11日、明治神宮外苑競技場)の試合の様子を記録した映像フィルムが発見され、NHK『ニュースウオッチ9』にて取り上げられた →「81年前のラグビー日本代表、幻のフィルム!」NHKアーカイブス、2015年12月4日
- ^ 1995年頃放送された、大西を取り上げたテレビ番組より。また、ドラマ・スクール☆ウォーズでもこれに類似したシーンがあった。
- ^ a b c d e International Rugby Football Boardの略。1886年に3か国(スコットランド、ウェールズ、アイルランド)で始まり、1948年に8か国(オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、フランス、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド)になった。さらに参加国が増え、名称は1997年にInternational Rugby Board(IRB)に、2014年には現在のWorld Rugby(WR)に変わった。-- ラグビーワールドカップはこうして始まった
- ^ International Rugby Football Boardの略。1886年に3か国(スコットランド、ウェールズ、アイルランド)で始まり、1948年に8か国(オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、フランス、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド)になった。さらに参加国が増え、名称は1997年にInternational Rugby Board(IRB)に、2014年には現在のWorld Rugby(WR)に変わった。-- ラグビーワールドカップはこうして始まった
- ^ フレンチ・バーバリアンズは国代表ではないため、テストマッチではない。
- ^ 31人の選手のうち、トンプソン ルーク、ヴィンピー・ファンデルヴァルト、ウィリアム・トゥポウの3名は欠席
- ^ 稲垣啓太、木津悠輔、ヴァルアサエリ愛、坂手淳史、中島イシレリ、ヴィンピー・ファンデルヴァルト、姫野和樹、アマナキ・レレィ・マフィ、徳永祥尭、堀江翔太、茂野海人、田中史朗、アタアタ・モエアキオラ、田村優、中村亮土、山中亮平、ラファエレティモシー、福岡堅樹、松田力也
- ^ イングランド、アイルランド、ウェールズ、スコットランド、フランス、イタリア、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ共和国、アルゼンチン
出典
- ^ JRFU, (公財)日本ラグビーフットボール協会-. “【JRFU公式】ラグビー日本代表応援サイト - WE ARE BRAVE BLOSSOMS”. www.rugby-japan.jp. 2021年10月30日閲覧。
- ^ 二宮清純「侍ジャパン」の原点は「松永ジャパン」『週刊ベースボール』2012年3月19日号、ベースボール・マガジン社、2012年、雑誌20443-3/19, 20頁
- ^ “ジェイミー・ジャパン、4年間の軌跡。不協和音も乗り越え強くなった|ラグビー|集英社 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva”. 集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva. 2021年6月30日閲覧。
- ^ “日本の桜ジャージー、爆発的売上に海外メディアも驚嘆「需要が供給を圧倒的に凌駕」”. THE ANSWER スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト. 2021年10月27日閲覧。
- ^ “ラグビー国代表資格 継続居住条件「60ヵ月間」への改正時期は2022年1月1日に延期 | ラグビーリパブリック” (2020年8月7日). 2021年10月28日閲覧。
- ^ a b c “【ジャパン2020】 ラグビー日本代表が示した多様性と「日本の和」”. BBCニュース (2020年1月10日). 2021年6月11日閲覧。
- ^ “ラグビー代表にはなぜ外国人選手が多いのか、日本は20ヵ国中5番目だった!”. ダイヤモンド・オンライン. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “ラグビー日本代表に外国人が多い理由と代表資格の条件 | 教えて!ラガマルくん” (2019年9月18日). 2021年12月7日閲覧。
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- ^ “ヴァル アサエリ愛 | 選手・スタッフ紹介 | ラグビー | パナソニック スポーツ | Panasonic”. panasonic.co.jp. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “「もっとうまくなりたい」: ラグビー韓国代表の父を持つ具智元が、国籍を変えてまで日本代表としてプレーする理由”. nippon.com (2021年4月27日). 2021年10月30日閲覧。
- ^ SportsPicks (2019年11月10日). “【中島イシレリ】「嫌だった日本の習慣」を改善した日本代表”. NewsPicks. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “ラグビー日本代表キャプテン・リーチマイケル「日本に恩返しがしたい」 - 情熱大陸を読む | MBSコラム”. www.mbs.jp. 2021年10月30日閲覧。
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- ^ “ラグビー代表国が変更可能になる新規定 太平洋諸国の活性化、日本代表への影響は? - スポニチ Sponichi Annex スポーツ”. スポニチ Sponichi Annex. 2021年11月26日閲覧。
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関連項目
外部リンク
- 15人制男子日本代表 - 日本ラグビーフットボール協会
- ラグビー日本代表応援サイト WE ARE BRAVE BLOSSOMS - 日本ラグビーフットボール協会